ハイスクールD×D 理不尽壊しのリインカーネイション   作:橆諳髃

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「おっ? 今回はこっちの作品を1ヶ月以内に投稿したのか?」

そうですね。なんか書いてたら少しこっちを書きたいなぁ〜っていうやる気が出てしまったものですから……あっ、勿論ホライゾンの方も近日中に投稿しますよ?

しかしながら今回またいつかの様に後編〈上〉とか出してしまい申し訳無いです。どうしてもキリが良かったものですから、そこから第2ラウンドを次回に回した方がと思いましたので、今回またこの様な仕様とさせて頂きました。

「そうか。それと読者の方から、『オーフィスどこいった? しっかりしろよ⁉︎』っていう感想も貰ってるだろ? あれは結局どうするんだ?」

あぁ……その指摘については、機会を伺って各話を編集しようかと思います。まぁまた新しい話を書いた時の前書きに、いついつに何話編集してオーフィスを加えました……とかって入れようと思います。一応読者の皆様がまたいつの間に出したんだよこの作者は⁉︎ ってならないようにですね。

「それもそれで読者の皆様も面倒くさいと思うんだが?」

そ、それはそうなんですけど……ともかく今回の話を見ましょう!

「強引に逸らしたなこの作者……」


59話 堕天使(堕ちた転生者) 後編〈上〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

颯也が鉄血メイスを振るう。その一振りで颯也の行動を阻害しようとしていたプルーマは鉄屑に早変わりし、あたりに散らばった。

 

『何をしているプルーマども! 目の前の相手は突っ込めば勝てる相手ではない! 近距離、遠距離に分けて奴を撹乱しろ‼︎』

 

ハシュマルに変わった黒幕転生者がプルーマにそう指示すると、プルーマ達の動きも変わった。近距離の攻撃を担うプルーマは、先ほどと同じく搭載されたドリルで颯也に風穴を開けようと、遠距離の攻撃にシフトチェンジしたプルーマは、これも搭載されているレールガンで颯也を穿つ。

 

「遅い!」

 

だがそれも颯也がメイスを素早く振るう事で全ていなされ、近接戦を行なっていたプルーマは先ほどと同じく鉄屑になり、撃ち出されたレールガンはメイスの一振りで塵となる。

 

魔神鉾(まじんけん)‼︎」

 

それによってプルーマ達に隙が出来た事を見逃さなかった颯也は魔神鉾を繰り出し、目の前にいたプルーマ達をこれまた塵芥に変えた。

 

『うぉぉっ⁉︎』

 

魔神鉾の直線上にいたハシュマルにも少なからずダメージを与えた。そして颯也は、魔神鉾で作り出したハシュマルへの1本道を迷う事なくブースターを蒸して近付く。

 

『ぐぅっ! 舐めるなぁ‼︎』

 

しかしハシュマルも負けじと自らの武装を展開、ハシュマルの口らしき所が開くと、そこにピンク色のエネルギーを溜め込んで即座に発射した。狙いは自分に近付こうとする颯也で、これで颯也が倒れてくれればあとは簡単だ。役立たずの堕天使部下と悪魔どもを皆殺しにするだけ……

 

(そんなもの簡単っ⁉︎)

 

しかし黒幕転生者の目は捉えていたのだ。こちらがビームを放つと同時に相手も何か動作をした気がした。

 

(いや! 気がしたではない‼︎ あれは……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手に持っているものを投げる動作だ……‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァァァァァッ! デヤッ‼︎」

 

颯也はブースターを助走がわりにして、手に持つ鉄血メイスをまるで槍投げの如く構える。そしてブースターでの移動を一旦やめると同時に鉄血メイスを眼前に迫っているビーム目掛けて一直線に投擲した。ハシュマルのビームと颯也の投げた鉄血メイスがぶつかり合った瞬間……

 

 

 

 

 

 

 

ギュァァァァンッ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全く聞いた事がない音が響き渡る。黒板を爪で引っ掻くよりも不快な音ではないが、それでも大きな衝撃同士がぶつかり合う音は大きい。

 

そしてビームと鉄……ぶつかり合ったらどうなるだろうか?

 

大体ガンダムの世界の基準では、ビーム兵器の威力によるが、それらは容易に鉄装甲を貫ける威力だ。颯也が投げた鉄血メイスも、強度はビームに貫かれる鉄装甲よりも強度は高いだろうが、それでも鉄なのだ。そしてハシュマルの放つビームは、初期のガンダムが持つビームライフルとは比べ物にならないほどの火力は間違いなく、いくらそこらのビーム兵器を鉄血メイスが弾いたとしても、長時間の、下手をすれば戦艦の主砲と同じ程の威力を持つビームに晒されると溶けてしまうのも時間の問題だろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その鉄血メイスが普通の鉄よりも強度が高いだけの話なら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『なっ⁉︎』

 

黒幕転生者は動きを止めた。何故ならば、ビームにぶつかっている相手の投げた武装が、いつまでたっても溶けないからだ。確かにこっちに武器を投げつけてくる事は予想外だったが、所詮は鉄……ヒームを撃つこちらとしては容易に鉄屑に還す事ができる威力でもあるし、その後は何も武装を持ってないあの憎たらしき転生者をそのまま穿つ事ができる。

 

そう、思っていたのに……

 

 

 

 

 

 

ギュィィィィッ‼︎

 

 

 

 

尚もビームを弾いてこちらに速度を落とさず迫ってくる敵の武器に戦慄した。そう惚けていた時には……

 

 

 

 

 

 

ガラッシャーン

 

『ぐぅっ⁉︎』

 

ビームを放つハシュマルの口に鉄血メイスが投げられた勢いのまま激突した。その威力故に仰け反る。

 

そこにブースターを蒸した颯也がハシュマルに近付き、ハシュマルに突き刺さるようになっている鉄血メイスをまた握った。

 

「さらにダメ押しだ! 穿て‼︎ 盾殺しジールドピアース‼︎」

 

鉄血メイスの先端に搭載されていた盾殺しと呼ばれる鋭い杭がハシュマルのビーム口を完全に破壊した。

 

『がぁっ⁉︎』

 

黒幕転生者は苦しそうな声をあげる。だが……

 

(ここまでのダメージは予想外だけど、でもお前の纏う鎧は所詮鉄! 装甲をブチ抜けばこっちの勝ちなんだよ‼︎)

 

そう思いながらも密かに颯也の後ろに展開させた1機のプルーマ……颯也の攻撃によって数は減ったものの、それでもまだ動かす事が出来る機体は残っていた。そしてそいつを一気に颯也の背中目掛けて飛び込ませ、搭載されたドリルでその装甲ごと肉体も抉る……

 

「そんな事は既に見えている」

 

『なっ⁉︎』

 

次に黒幕転生者が見せた光景は……真後ろに迫るプルーマを何かで動きを止め、そしてメイスを持ったまま自分から宙返りをして離れる転生者の姿が……足裏を見せたと同時に何らかの方法で止めていたプルーマをこちらに突進させる。

 

『っ⁉︎ あ、あれはっ⁉︎ がぁぁぁっ⁉︎』

 

プルーマのドリルが自らの機体を抉ると同時に見えたのは、転生者の纏う鎧のブースターあたり……そこにサブアームが顔を覗かせていた。

 

(あれでプルーマの動きを⁈)

 

対する颯也は宙返りををした後に少しブースターで跳び上がり……

 

「レンチメイス‼︎」

 

鉄血メイスとは違う武装を呼び出す。それはまるで、肉食恐竜の口を思わせる程の武装だった。白塗りのその口が大きな口を開けた。そのまま、ようやくプルーマを引き離したハシュマルの片腕クロー部分の付け根にレンチメイスを咥えこませる。

 

『なにっ⁉︎』

 

何もかもが後手に回っている黒幕転生者は上からくる衝撃にただ驚くしか出来ず……

 

「噛み砕け‼︎」

 

キュィィィン‼︎

 

レンチメイスに備え付けてあるチェーンソーが唸りを上げ、その度に火花が散る。その度にハシュマルのクロー部分……人間で言うところの胴体と腕の付け根部分を徐々に削り取り……

 

『あぁぁぁっ⁉︎』

 

その痛みは黒幕転生者にもフィードバックされる。その頃には既に片腕クロー部分はレンチメイスによって切り離されていた。颯也はそれを切り離したと同時にレンチメイスを、クロー部分を咥えさせたまま振りかぶる。右利きの打者がバッターボックス内でピッチャーの放つ球を今か今かと待ち構えるように……

 

「吹き飛べ‼︎」

 

ハシュマルのクロー部分を咥えたまま、レンチメイスで殴打した。

 

『がっはぁっ……』

 

そのままハシュマルは、背後にあった壁らしき物に激突した。その衝撃で煙が上がるが、その中から勢い良く颯也めがけて何かが放たれた。颯也を突き刺そうと真っ直ぐに向かってくるが、それを颯也は左手で殴って逸らす。晒された何かは煙の中に帰っていく。煙が晴れると、先程颯也を襲ったものの正体がわかった。それはハシュマルの背部に付いている尻尾状の物……それが硬度なワイヤーに繋がって颯也を襲っていたのである。

 

『はぁ……はぁ……まさか僕がここまで手こずるなんてね……』

 

ハシュマルは既にボロボロで、黒幕転生者も息切れしていた。だがそこで颯也は気を抜かない。そのままじっと黒幕転生者を見据える。

 

「ハハ……僕をここまでボロボロにしてまだ油断しないなんて」

 

「当然だ。俺の大切な人を傷つけようとする奴をどうして油断した目で見る必要がある? やるのならば徹底的にだ。それに……貴様はまだ何か隠しているだろう?」

 

「っ⁉︎ 何故それを⁉︎」

 

「貴様の纏う風だ。そんな不純物などすぐに分かる」

 

「風……? あっはっはっはっ……正真正銘の化け物だよねお前は?」

 

そう言いながらハシュマルの胴体から黒幕転生者が出てくる。戦いの衝撃で頭から血が流れ、左腕を抑えて颯也を睨みつける。

 

「でもそんな余裕はここまでさ。これを出す気などなかったが……ここまでされて黙ったままは割に合わないからね!」

 

黒幕転生者は懐から一切れの紙を取り出して掲げた。それは……

 

「逆五芒星か」

 

「アイツからは暴走とかの恐れがあるって言われたがそんなもの構うものか‼︎ どのみち僕が貴様らを叩き潰せば勝ちなんだからさぁ‼︎」

 

そして黒幕転生者とハシュマルの下に赤い逆五芒星の魔法陣が展開され、ハシュマルを呼び出した時と同様眩い光が辺りを包む。そして光が収まった瞬間そこにいたのは……

 

『あははははははっ! コイツはいいや‼︎ 力がどんどん溢れてくる‼︎』

 

まるで阿修羅のように顔と腕部クローが増え、尻尾にあたるテイルブレードも3本に増えていた。オマケにプルーマの数も3倍に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side リアス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ……あれってもう私達いらなくないかしら?」

 

「今の光景を生で見ますと……確かにリアスに同感ですわ……」

 

主に防御役のリアスと朱乃はそんな会話をしていた。それはまさに蹂躙劇……颯也目掛けてプルーマは殺到するが、それをメイスの一振りで塵芥に返す。逆にどちらが悪者か分からなくなるほど……

 

悪魔2人は正直そう思っていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ目の前でリアス達を守っているこの方だけは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ……ハァ……颯也さん♡ とても、とても良いですわ! 素晴らしいですわ‼︎」

 

「あ、亞里沙? な、何をやっているの? こんな戦場のど真ん中で……」

 

「あらリアス。何って……見たら分かるではないですか♡ 颯也さんの勇姿をこの高性能ビデオカメラに録画しているのですわ♡」

 

とまぁこの惚気っぷりで……

 

「えぇっと〜……今はそんな事よりも……っ⁉︎ あ、亞里沙⁉︎ 前‼︎」

 

リアスは亞里沙に敵がすぐ目の前に来ていた事に今気付いた。ビデオカメラは颯也の方に向けているが、顔はこちらを向いていた。このままでは亞里沙が攻撃を受けてしまう……リアスは自然と口が動いて彼女に知らせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「邪魔ですわね……」

 

バゴンッ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

亞里沙は回し蹴りでプルーマを蹴り飛ばした。それによってプルーマは、ほぼほぼ砕け散ってさっきまで教会の壁だったところに叩きつけられていた……

 

「「えっ?」」

 

これには目の前で見ていたリアスと朱乃も驚きの表情を見せていた。何ださっきのは? 一体何をしたのかと?

 

 

 

 

 

 

リアスの見る今までの彼女亞里沙は、自分と同じ貴族の出身で、自分と同じく悪魔として、当主としての研鑽を積み、またそれに負けないほどの努力をしてきたと、そして平穏な時は蝶よ花よと愛でる彼女の性格を知っていた。しかしながら自分と同じく、嫌なものはハッキリと主張する程意志の強い人物だ。まぁ自分の方が我儘だとは自覚していたが……

 

彼女とは、簡単に言ったら幼馴染であり小さい頃から付き合いはあった。供奉院の家はどちらかというと社交界、そして商業などに力を入れている関係から、社交界での集まりや商談などでも度々会ったりもしていた。会う度に、最近話題の話であったり面白い話はよくしたものだ。

 

(でも初めて会った時からあなたは別の遠くを見ていたわね……)

 

こう思うようになったのは最近だ。確か……亞里沙が高校2年になった時だろうか。丸っきりと言うわけではないが、いつもよりも表情が柔らかく見えた。そして笑っている時も……同性ではあるが美しくも思えた。

 

初めて会った時やこれまで過ごしてきた顔とはまるで大違いにリアスは見えたのだ。そしてその時から、部に顔を出すのも少し遅れて現れる。別に遅れて来る分には何も問題ないが……それでも気になった。

 

「ねぇ亞里沙、何か最近いい事でもあったの?」

 

それについて亞里沙は……

 

「良いこと……えぇそうですわね。とても良いことがあったんですの。そう、私はこのために、この時のために努力してきたのだと……それをハッキリと感じ取れることがあったんですの♡ だからでしょうね……今がとても充実しているんだって……そう思えるんです」

 

それが何だったのかは……聞くのも憚られた。その時は聞く事が野暮だと思ったから。

 

しかしながら日に日に亞里沙の表情などは、自分が知り合ってここまで一緒に過ごした時よりも美しく見えた。さらに最近部室にも少し遅れてくるし……。彼女が花嫁修行と称して色々な部を兼部していることは知っているが、それでも前よりも来るのが遅かったりした。だからこそこっそりと使い魔に監視をさせたのだ。

 

そしたらどうだろう……亞里沙がとある部活が終わってオカ研とは違う方向に歩みだした。それは1年生の教室だった。しばらく経つと誰かと出てきた。亞里沙と一緒に歩くのは金髪の男……自分の眷属である裕斗と一緒の色ではあるものの、どこかしら高貴さを感じるものだった。そして裕斗と違うところは他にもある。前髪は長く、後ろ髪も背中くらいある。極め付けは前髪と後ろ髪の先端についているひし形の……まるで髪の毛ではない様な物。歩く度にユラユラとたなびく。というかよくよく見たら今年の新入生代表だった。確か名前は愛護颯也という名前だったろう……

 

閑話休題それはさておき、ひし形の物体を亞里沙は微笑みながら優しく指で弄り、それに対してその男は酷く狼狽えていた。というより赤面して恥ずかしがっていた。それを見てより優しく微笑む亞里沙。これは亞里沙がその男と別れるまで飽きる事なく続いた。

 

(というか何よ⁉︎ この惚気は⁉︎)

 

初めて持った感想がこれだった。まさか……彼女が最近昔よりも表情が明るく見えたのはこの男の影響なのかと。さらなる監視が必要だと感じ、使い魔に監視を続ける様にと命じたが……それ以上彼を監視する事が出来なかった。何故なら使い魔とのリンクが切れてしまったからだ。

 

それ以降、いくら彼を調べようとしても結果は同じだった。使い魔は無事ではあるのだが、それでも肝心の彼についての調査などは進まなかった。

 

まるで何かから妨害されているかの様に……

 

そこからは彼の調査を諦めた。別段何か悪い事が起こった訳でもないし……幼馴染が変わらず元気であるのならと。

 

それから1年後……つまりは今年に入ってからようやく謎の男についてが分かった。それまでは噂でしか聞きはしなかったが、実際に会ってようやく分かったのだ。

 

彼は最初から……悪魔(私達の存在)も、それに敵対する者達も、それ以外の様々な事も知っている。知っていて平然としている……

 

後は……彼が特殊な力を持っている事。それも私達が言う神器(セイクリッドギア)とはまた別の力を……

 

ただ、それしか分からなかった。何故彼が亞里沙と一緒にいるのか、いつのまにそんな関係になっていたのか。

 

(彼女がどうしてそこまで彼の隣にいたがるのか……)

 

実際に会った今でも、そんな表面上の事しか分からない。亞里沙がどうしてそこまで愛護颯也という存在とそこにいたがるのか……

 

だがこれだけは分かる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「恋が人の事を変えるのね……」

 

「リアス? 突然どうしたの?」

 

「いえ……ただの独り言よ」

 

「あぁ♡ 颯也さん……もっと貴方の強さを見せて下さいな♡」

 

目の前でそんな事を惚気ながら、録画カメラ片手に時折来るプルーマを格闘で粉々にしている亞里沙さんがいたそうです……

 

因みに亞里沙さんはこんな事もあろうかと別の録画カメラを使い魔に持たせて撮らせていた様です……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 武蔵ちゃん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい……あれどうなってんだよ? 部長の攻撃でも壊れなかった奴が颯也の攻撃で粉微塵になってるぞ……」

 

「あれは……うん、力の暴力としか表現できないよね……」

 

「自然災害……」

 

ホントに仰る通りって感じよね? 黒い奴は私に任せてって言ったのに……あ〜あぁ〜、私も颯也ちゃんと一緒に飛び出せばよかったなぁ〜……

 

「イッセー君⁉︎ 危ない!」

 

「うぉっ⁉︎ あ、ありがとうございます」

 

「いやいや、これくらいどうって事ないわよ? それより君はさっきので力を使い果たした感じなんだからちゃんと休まないとダメだよ?」

 

「お、仰る通りで……」

 

まぁ偶に颯也ちゃんを無視してこっちに来る奴もいるからいいし、まぁこの子達を守るって形にもなるし良いか。

 

そう思っていたらもう片方の場所で動きがあった。なんかあっちにもプルーマって奴が行ったらしい。それもあの紅い髪の女の前にいた栗色の女が片足で粉砕していたけど……

 

(ホント……颯也ちゃんを好きな子が多すぎるよぉ〜。はぁ……ライバル多いなぁ〜)

 

「さ、さっき亞里沙先輩のパンツがスカートからチラッと見えたようn ダンッ っ⁉︎ あ、危ねぇ⁉︎」

 

あっ、颯也ちゃんが怒りの表情になってる。あの距離で敵を殴りながら的確にツンツン頭したこの子の足元に射撃するなんて……

 

「あっ! また見えs ダンッ うぉっ⁉︎ ま……まさか颯也が撃ってきてるんじゃあ……」

 

「それだと地獄耳過ぎませんか……?」

 

「ハハハ……確かにね」

 

「……後でまた正座させられそうな気がする」

 

いやぁ〜……もうホントに凄いよね! 惚れ直したわ♡

 

(っと、惚気てるのもここまでっと……奴さんも切り札切ってきたみたいだしね)

 

武蔵の言う通り、丁度黒幕転生者が逆五芒星が描かれた札を取り出し、自らのパワーアップをはかったところだった。

 

(へぇ〜……力がさっきよりも増したし、あの黒い奴も数増えたんだ〜。やーっと斬りがいが持てるかなぁ〜)

 

この状況に武蔵さんもにやけていたと言います……

 

「あぁ、後語り部さんも私の事は武蔵ちゃんで良いわよ?」

 

それじゃあ今から武蔵ちゃんと呼ぶ事にしましょうか……

 

「えっ? さっき誰に言ってたんだろ……」

 

武蔵ちゃんの呟きに反応したドスケベ原作主人公がいたとも言います……

 

「なんかおまけに俺自身も貶された気がする……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『アッハッハッハッハッ‼︎ これはいいや‼︎ 力がどんどん溢れてくるぅ‼︎』

 

暴走口調でいう黒幕転生者だが、それは正しかった。何故ならさっきまで颯也相手に軽く弄ばれていたが、今では少し押していた。3本に増えたテイルブレードで颯也を斬り裂こうとする。

 

しかし颯也も持っている刀でそれを捌いていた。少し後退気味ではあるが、未だ傷は付いていなかった。

 

『耐えるねぇ〜。ならこれならどうだい⁉︎』

 

片腕も3本ずつに増えたクローからエネルギー弾を順次発射、テイルブレードと連携させて更に攻撃を重ねる。

 

「ハッ!」

 

だがいかんせんそれも颯也には通用しなかった。テイルブレードを捌くよりも素早い動きで、3本のテイルブレードはまた弾かれ、それと同時に6つのエネルギー弾も細かく斬り刻まれて消失した。

 

『チッ‼︎ ならこれだぁっ‼︎』

 

埒があかないとふんだ黒幕転生者は3つのビーム口を展開、先程とは比べ物にならないほどの速さで溜めると、一斉に発射した。それは一直線に颯也へと牙を剥く。

 

(さっきはビーム1つだけだったが、今は3本だ。それにさっきよりも出力が上がってるからね。流石にこれは奴でも……)

 

その油断は直ぐに粉々に砕け散る事となる。

 

シュバババ……

 

『ん?』

 

シュババババババ……

 

『なっ……』

 

シュババババババババババババッ‼︎

 

『なんだとぉぉぉっ⁉︎』

 

まさかさっきまでとは比べ物にならないほどのビーム3本が霧散していっていた。それも刀の1本……メイスと同じ鉄製の、強度もメイスに劣るぐらいにも思えるものの1本で……

 

「ハァァァァァッ‼︎」

 

それも見えぬ速さで振るわれてビームは微塵に帰していた。

 

『ぐっ⁉︎ なんてデタラメなんだよコイツは⁉︎』

 

(だがアイツにも弱点が……っ‼︎)

 

そこで思った事は……どうして颯也しか自分に対して攻撃してこないのかだ。後ろの奴らは防御に徹しばかりで自分には攻撃をしていない。確かにあちらにはほぼほぼ戦闘に参加できない奴が、使えない堕天使を含めて4人だ。それを守るのは分かるが……しかしあまりにもプルーマが目の前の奴にやられ過ぎている。

 

そこから導き出される答えは……

 

(最初からこうすれば奴のペースも乱せてこっちのペースに持ち込む事も出来たじゃないか)

 

しかも今はプルーマの数も最初の3倍に増えているし、それを颯也に対して全てをぶつけ、こっちはこっちで後ろの奴を狙う。

 

『だがこれで終わりだぁーっ‼︎』

 

プルーマを陽動として颯也の周りに配置して一気に突っ込ませる。プルーマの波に一瞬颯也は見えなくなるが、それもすぐに終わる。颯也を取り囲み、突撃したプルーマは全て……無残な姿に成り果てた。場合によっては全てが斬り刻まれ塵芥に帰する物もあった。

 

だが黒幕転生者の攻撃はそれだけに留まらず、プルーマで颯也を取り囲み、こちらはこちらで颯也の死角を作ってテイルブレードを3本同時に射出。プルーマの壁が無くなる頃には颯也との位置関係は目と鼻の先であった。

 

それに対しても颯也は冷静に対処し、テイルブレードを弾いた。しかしそれは1本だけだった。後の2本は急に方向転換をし、颯也の後ろに向かった。

 

その向かう先は……イッセー達を守る武蔵とリアス達を守る亞里沙の方向だった。

 

そう、黒幕転生者の狙いは最初から颯也ではなく、颯也が守っていた者達だった。いくら目の前の者が強かろうと、弱点がないわけが無い。そこで思ったのだ。後ろの者達(護るべき対象)を狙ったらどうなるのかと。流石に焦って隙を見せるかもしれない。しかもさっきの反応からか、颯也の後ろで護りの態勢を取っている2人は、颯也の事を完全に恋愛対象として見ている。それに対して颯也もその事については理解している。

 

だからこそ颯也は、()()2()()()()()()()()()何が何でも守り抜きそれに伴って隙をこちらに見せてくれるだろう。後はこっちで強力な一撃を叩き込んだのなら、颯也も呆気なく消すことが出来るだろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう簡単に思ってしまったが故だろう。黒幕転生者がここから地獄を見るのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(なっ⁉︎)

 

結果を言うと、颯也はテイルブレード1つしか弾かなかった。後の2本はそのまま黒幕転生者が狙った通り動く。このままではこちらの狙いが完全に狂ってしまう……

 

(だがあいつの屈辱にまみれた顔は拝めるな)

 

咄嗟にそうプラス思考する。そうした方がいいと思った。どちらにしろ奴の動きは鈍るだろうと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふ〜ん……さっきよりも強度は高くなってるとは思ったけど、普通に斬れるわねこれ」シュシャキンッ‼︎

 

「この程度で私は倒れません事よ?」バキッ‼︎

 

武蔵に向かったテイルブレードは刀によりバラバラに斬り裂かれ、亞里沙に向かったテイルブレードは、亞里沙の片脚だけの踏み付けによって粉々になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『……えっ?』

 

それを見た黒幕転生者からそんな間の抜けた声が聞こえた。

 

薙羅(なぎら)‼︎」

 

『ぐぁっ⁉︎』

 

それも颯也の横薙ぎに斬り払った衝撃波を喰らうことで現実に意識を戻された。

 

「貴様……今有り得ない物を見たと、そう思っているだろう? さっき惚けたような声上げていたものな? 要するに……さっきの攻撃が俺の隙を作るものだと考えての行動だろ?」

 

『なっ⁉︎』

 

何故それを⁉︎ と続けようとしたがその言葉は続かなかった。何故なら颯也がいきなり纏っていた鎧をパージしたからだ

 

パージした颯也は、顔を俯かせて相手に顔を見えないように立つ。そして量の拳からは……強く握り過ぎて掌から血が流れ出ていた。それと同時に、颯也から溢れているであろう怒気は強まっていった。

 

「俺には貴様が次に何を起こすのか……それを貴様の風を読み取っているから分かる。そして後ろで守っている彼女達を攻撃すれば、俺は懸命に彼女達の元へと向かい……その隙をついて俺を攻撃する。だが俺が彼女らを守らずそのままでいた時同時にこう思ったよな? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と。……貴様余程殺められたいらしいな?」

 

さらに怒気が増す。それに黒幕転生者は……無意識の内に後退りした。

 

「貴様が俺を愚弄するならまだ叶わない。だが……彼女達を愚弄すると言うのなら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だと彼女達を見ているのならば……俺はここから一切の容赦はしない‼︎」

 

「来い‼︎ バルバトスルプス‼︎

 

そう唱えた颯也は、先程とは違う鎧を纏った。しかしその鎧は全体を覆う物ではない。ブースター部分の背部、肩を含めた両腕、両膝からの脚先の部分展開だった。フルフェイスは取り外されたが……しかしながら黒幕転生者にとっては、今はフルフェイスであった方が良かったかもしれない。

 

何故なら……颯也の顔がいつもの様な涼しげな顔から憤怒の顔に変わり、瞳は青から赤に、そしてルンも青から紅に変わっていたから。

 

『な……なんなんだお前は⁉︎ なんなんだその力は⁉︎ 何でお前みたいなやつg「ゴチャゴチャウルセェよ」っ⁉︎』

 

「俺が例えどこにいようと……この場で俺の大切な人を侮辱した事には変わらないだろう? なら俺のやる事はただ1つだ」

 

その言葉と共に颯也のルンがさらに強く紅色に染まる。

 

「そんな戯言を吐く貴様を、俺はこの力で完膚なきまで……2度とそんな口が出来ないように叩きのめす。ただそれだけだ。だから……」

 

「だからもっと俺に力を寄越せ。バルバトス‼︎」

 

颯也のその声に呼応してから、紅色に染まったルンがさらにさらに鮮やかさを増し、同時に両肩を覆うアーマーがガシャリと音を立ててスライドする。スライドしたアーマーからは、紅色とは全く逆の、蒼い炎が吹き出していた。

 

「始めよう……貴様への罰を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さて、今回オリジナルで機体の方を出させていただきましたんで、今回もまた解説から入ります!



解説

アシュマル

黒幕転生者が謎の人物から貰った逆五芒星の札でハシュマルをパワーアップさせた姿。全身のフレームは白から黒に変わり、まさしく堕天使の色合いとなった。攻撃力と防御力も上がり、頭が3つと腕が片腕3本ずつ、テイルブレードも3つに増え、またプルーマもハシュマルが出した3倍の数を召喚できるようになった。しかしながら機動力だけは某赤い彗星の様にはならず、少しアップしただけに留まる。

武装

・頭部ビーム砲×3
・腕部クロー/エネルギー弾発射装置×6
・テイルブレード×3
・プルーマ



「にしてもテイルブレードがもう2本お陀仏になったなぁ〜」

コイツでお陀仏ゥ〜ッ‼︎

「あれ? なんか聞こえた様な……」

と言うわけでまた次回お会いしましょう‼︎

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