ハイスクールD×D 理不尽壊しのリインカーネイション   作:橆諳髃

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5話 〜罪の王の世界〜 交渉人と中立者

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

親子を治して数日が経った。俺が今何をしているかと言うと、アポカリプスウィルスに感染した人々を治していた。それも無償でだ。あの親子を治してから、何故かは分からないが俺の元に、アポカリプスウイルスに感染した人々が何人もやって来たのだ。どこで俺の居場所を知ったのか知らないが、目の前で苦しんでいる人を放っておくわけにはいかない。だから俺は、来る日も来る日も俺の元に来る人達を助けた。

 

その事をまたどこで聞きつけたのか、GHQに所属する軍人達が様々な武装を携えてやって来る。狙いは勿論俺だ。最初に親子を治した時に俺を確保できなかったためか、その時よりも大人数の軍人が俺を囲ったりしていた。

 

まっ、だからと言って捕まるわけがない。毎回同じ呪文で抜け出すのも構わないが、それじゃあ芸がない。だから軍人達が俺を包囲している(わざと俺がのっている)時とか、地面を足で蹴りつけて粉塵を周囲に撒き散らす。そうやって軍人達の目を一時的に使用させないようにして、その場から逃走したりした。

 

そんな事もあり今では転々としている。それでも俺の元には何らかの事情で来る人が絶えない。何らかの事情とは、アポカリプスウイルスに感染している以外で外傷を負っている人達も含まれる。まぁ俺からすれば、全て怪我人であり患者だ。

 

生前は普通の高校生で、医療のいの字も分からなかったのに、神様からもらった恩恵でその知識も既に俺の頭の中にある。治す時は呪文を使うのは相変わらずだが、それでも俺の元に来る患者達は、俺の事を気持ち悪がったりしない。いきなりそんな存在が自分の近くに現れたら、人は無意識に拒絶して異能を持つ存在を嫌い、罵声を浴びせては離れる。どこでもそうというわけではないが、でも普通ならそうだろうと思う。

 

だがここの人達は俺を嫌ったりはしない。あろう事か俺の事を、神様からの使者と呼ぶ者まで出てきているしまつだ。

 

(確かに神様から送られた事は確かだけど……)

 

と、そんな事を思いながら俺は目の前の患者を治している。雑念が入っていて申し訳ないが、それでもミスはしない。なんか似た様なフレーズをどこかで聞いた事があるが……まぁ気のせいだろう。

 

「あぁ、何とお礼を言ったら良いか……。少ないですが、せめてこれだけでも」

 

「いいえ、私はお礼なんていりません。私は好きでやってる事ですから、気にしないでください」

 

「で、ですが……」

 

「ほら、もう少しで日も暮れてしまいますし、早くあなたの帰りを待っている人達の元へ帰ってあげてください」

 

「な、なら……せめてお名前だけでも……」

 

ここまで粘られたのは初めてだった。それに俺の名前を教えて欲しいときた。

 

そういえば……神様にも俺の名前を言ってなかったよな。まぁあっちはとうの昔に俺の名前を知っているんだろうが……。という事は、長らくの間自分の名前を口にしてなかったんだなと今になって思う。

 

別に自分の名前を忘れた訳じゃない。ただ、名乗る必要が無かったからだ。だからこれまで名無し状態でも通用した。だが目の前には、せめて俺の名前だけでも聞かせて欲しいという人がいる。

 

まぁ、別に名乗ったところで俺に対して害は全くない。例えどこの誰が俺の名前を知ろうが、俺の助けを求めている人には手を貸し、逆に非道を行う者に対してはそれなりの罰を受けさせる。だから、ここで名乗ったところで俺に対するデメリットは無いのだ。

 

だが勘違いはしないで欲しい。俺が手を貸すのは、本当に困っている人達の事であり、この国からGHQを追い出すために力を貸すとかっていう、そういう武力方面には極力力は貸さない様にしている。

 

しかしながら、ここは違う世界の日本とはいえ、他の国が支配体制を置くとか、そんな事は許した覚えはない。だからどちらかというと、中立ではあるが日本よりに傾いている。これを言っては中立ではないと自分でも感じてはいる。

 

おっと……深く考え込んでしまっていた様だ。

 

「あぁ……それくらいならお安いごようですよ。私の名前は愛護颯也と言います」

 

「愛護先生……ありがとうございます!」

 

「えぇ、それではまた……いえ、もう怪我とかしない様にして下さいね」

 

そして患者は帰って行った。さて……俺ももうそろそろお暇するとしよう。簡易的に作った医療施設……といっても、その場を軽く掃除して衛生的にしたり、壁の代わりにビニールで壁を作ったりとそんなところだ。後は荷物を置く台と、俺と患者が座る椅子を複数用意するだけだ。こうやって用意できるのも、神様がくれた恩恵のおかげで……。こう考えると、何から何まで神様から貰った力に頼りきりだなと思う。俺だけでは……正直何もできなかった。

 

だが、だからと言って何もしないのは宝の持ち腐れに等しい。そう思うからこそ、俺にできる事はやる。今はそうやって生きている。

 

「失礼、少し良いだろうか?」

 

俺がそう思いながら片付けていると、ある男が目の前に現れた。金髪ロングの男性で、全身が黒い服装をしていた。

 

「はい、何でしょうか?」

 

「間違っていたら申し訳ないのだが、君がアポカリプスウイルスを薬品も何も使わないで治す医者かな? 巷では神様の使者と呼ばれているらしいが……」

 

ふむ……それを承知でここに来たという訳か。とりあえず最初は惚けておこう。

 

「神様の使者……ですか? えぇっと……それって私の事でしょうか?」

 

「まぁ確かに、唐突にそんな事を言われては狼狽えるかもしれないが、君はわざとそんな態度をとっているんだろう? 我々は君の事をずっと監視していたんだ。勿論君に気づかれない様にね」

 

ふむ、どうやらその上でここに来ているということか。まぁ、監視されている事は分かっていた。あんなに大勢の視線が飛んでくるのだ。俺でなくても気付くだろう。なら……いつも通りの口調で話すとするか。

 

「なるほど……まぁ、俺は気付いていたよ。あんなに視線が飛んでくると嫌でもわかる」

 

「態度が変わったな。惚ける気が無くなったのか?」

 

「そっちこそ、先ほどの丁寧口調はどこに行ったんですか?」

 

「君が未だに惚けていれば口調は変えはしなかったが、予想以上に早く話が進みそうなんでな。こちらもいつもの口調で行かせてもらおう」

 

「なるほど……で? あなた方が俺に希望する事は何です?」

 

「ほぅ、そこまで見通すか、まぁ良い。ならこちらも単刀直入に言わせてもらおう。我々の「断る」……即答だな」

 

「大体あなた達が俺に要求する事は分かってますよ。あなた達葬儀社の仲間になれというのでしょう?」

 

「確かにそうだ。我々葬儀社は、GHQの支配下から脱するために行動している。そのために戦力が必要だ。そこで君の力はとても魅力的に思う。重症もすぐに治すことができる医者としてのスキルに、GHQに囲まれても顔色変えず逃げ切る冷静な判断能力……そしてさらには、エンドレイブに囲まれたとしてもそれを沈黙させる力がある。こんな魅力的な力をそのままにするのはとても惜しい。だからわれわ「さっきも言ったと思うが、俺は組織に属するつもりはない」……理由を聞いても良いか?」

 

「そんなのは簡単だ。俺は……人殺しをする為にここにいる訳じゃないからだ。確かに人間は同じ種族だ。だが、個人によって考え方が違う事も分かる。それで争い事が起こるのも大いに分かるし、必然的に仕方無いとも思う。残酷な考え方かもしれないがな。それに、GHQが我が物顔で日本を支配体に置いているのも気に食わない。そこら辺はあなた達と一緒だ。だが、俺は血を血で洗うというのは嫌なんだよ。例え争いで重傷を負った患者を俺が治すとしても、その患者は嬉々としてまた戦場に立ち、敵対する人を殺めるだろう。俺はその為に人を救ってるんじゃない! 俺は、本当に俺の助けを求める人にしか手を差し伸べない。あんた達は、そう思って俺を訪ねに来たのか? 本当に助けを求めてここに来たのか? 違うだろ? あんたらはただ単に、俺の力が欲しいからここに来たんだ。そんな薄っぺらな覚悟で俺の元に来るな! というのが俺の理由だ。理解したか?」

 

「……あぁ、その通りだ。俺は、君の戦力が欲しいという理由だけでここに来た。だが、我々の理念が薄っぺらな覚悟ではない事は分かって欲しい」

 

「俺は別にあんたらの理念まで侮辱したつもりはない。さっきの台詞は、あくまでここに来たあんたに向けて言ったもんだからな。それに俺は、自分では中立を貫いてはいるが、どちらかと言えばあんたら寄りの中立だ。俺も、この国が違う奴らの支配下に置かれるなんてまっぴら御免だからな」

 

「そうか……今回はそれを聞けただけでも良かった。収穫があったと言うものだ」

 

「そうかい……まぁそんな事を言われたんなら、俺は反省すべきだな。さっきはあんたに対して言い過ぎた。悪かったよ」

 

「いや、俺も君がそこまでの信念で行動しているとは思わなかった。これは俺の落ち度だな」

 

「まぁ、あんたもわざわざ危険を冒してまでここに来たんだ。なら俺も、それ相応の対価を支払うべきだろう。これ、あんたに渡しとくよ」

 

颯也が渡した物は、数字が書かれた紙切れだった。

 

「それが俺の連絡先だ。見ての通り俺は一箇所に留まっている訳じゃないからな。だからなんか用があったんなら連絡してくれ。もっとも、人殺しには協力はしないが……。それと、負傷した人をすぐに治す事もしない。患者は安静にという事だ。これで良いか?」

 

「あぁ! それだけでも十分過ぎるほどだ。感謝する」

 

「それ程でもないさ。あっ……それと、人殺しはしないが、兵器の破壊とか負傷した人の救護には協力するぜ。ま、ここが俺のできる範囲って事で。それじゃ、もう日も暮れてるし、道中気をつけて帰れよ」

 

「あぁ、君もな。ところで君の名前を聞いてなかったな。俺は恙神涯だ」

 

「恙神涯ね。俺の名前は愛護颯也だ。それじゃ、俺はここいらでお暇させてもらうよ」

 

颯也はそう言うと、いつの間にかし終えていた詠唱でその場から消えた。そこに残されたのは、涯1人だけだった。

 

「愛護颯也……か。不思議な奴だな」

 

そんな言葉を残し、涯もその場を後にした。




さて、やっとオリ主の名前が本編でも出てきました!

えっ? 何故今までオリ主の名前を出さなかったのかって? ひょっとして忘れてたんじゃなかったのかって? いやいやまさかー……ソンナワケナイジャナイテスカー(棒)

まぁともかくとして、早くハイスクールの世界にオリ主を登場させたい‼︎ なので……結構早く投稿していきますよ‼︎

それではまた‼︎
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