「ひっぐ、ひっぐ。どうしてみんな僕と百春(ももはる)を比べるの、どうして僕を僕としてみてくれないの。」
とある道で少年が泣いていた。少年の名は織斑一夏、両親に捨てられ今は姉の千冬、弟の百春と3人で暮らしている。
一夏は優秀だった。しかし、それ以上に2人は優秀だった。だから、一夏は比べられ、褒められることがなかった。
「泣き止まないと千冬姉が心配しちゃう、だからなきやまないと。」
「ただいま。」
「おかえり、一夏。今日はテストが返ってきたそうだな、百春は見せてくれたから、一夏も見せてくれないかな。」
「一夏兄、僕は100点だったよ、一夏兄は何点だったの。」
また負けた、一夏はそう思った。
一夏の点数は90点、今回のテストは普段よりも難しく回りのみんなが60点台ばかりだったので、一夏も優秀といえる。
しかし
「90点か、百春と比べて少し劣るがよくがんばったな、よし今日はご褒美としてお姉ちゃんが2人の食べたい物作ってあげる。」
「本当!じゃあ、僕はハンバーグが食べたい。」
「また、百春と比べた。」
「何か言ったか、一夏?お前は何が食べたい。」
「百春と同じでいいよ、僕、自分の部屋で勉強してくるからご飯出来たら教えて。」
そう言って、一夏は自分の部屋にいった。
織斑一夏と百春は誘拐された。
千冬がISの世界大会、モンド・グロッソに出場するためにドイツに行くので、一夏と百春もついて行くことになった。
千冬の応援をするため、会場に行っていたのだがその途中で百春と共に誘拐されてしまったのだ。
(ここは何処だろう。それに百春は何処にいるの?まさか、別の場所に連れていかれたのかな。)
一夏は不安だった。1人でここにいる不安と、千冬が助けにくるかどうかという、不安だ。
(助けて、千冬姉。)
一夏は願った。姉が助けに来てくれることを。
「おい餓鬼!お前に良いお知らせがあるぞ。」
突然、男が入ってきた。男は日本人ではなかったが日本語を喋った。
「良い知らせって何?」
「お前の姉がモンド・グロッソを辞退したそうだ。そしてお前の姉はお前ではなく、弟の百春の奴を助けに行ったそうだ。」
「えっ……」
一夏は自分の中で何かにヒビが入る音が聞こえた。
「つまり、お前の姉、織斑千冬は優秀ではないお前ではなく、優秀である弟、百春を選んだ。」
「あぁ、あぁ。」
何かが割れた。一夏は自分の中にある大切な物が割れた。
男は続ける。
「つまり、織斑千冬にとって、お前は大切ではなく、弟である百春の方が大切だった。そして、織斑千冬が二連覇を達成出来なかったから、俺たちの目的は達成された。」
「ふふ、ふふふ」
「つまり、お前は用済みだから死ね。」
「ふははははははは、ひゃーはっはっはっはっは」
一夏は笑った。面白くて仕方がなかった。信じていた姉は自分のことなんてどうでも良いと思っていた。その事がとても面白かった。
織斑一夏は死んだ。
数ヶ月後、織斑一夏はとある施設にいた。その場所は少年兵を育てるための場所で一夏はISと戦い、とある組織と戦うために少年兵として鍛えられていた。
毎日、毎日、訓練という名目で仲間と殺しあい、薬を打たれ続けた。一夏の精神は限界だった。いつ自殺してもおかしくはない、しかし、自殺しようとすれば薬を使われマインドコントロールをされる。
そんなある日、施設が襲撃された、襲撃した相手は一夏が戦うとある組織のようだ。
あちこちから聞こえる大人達の悲鳴、それを一夏は震えながら自分の部屋できいていた。
その時、自分の部屋の扉が開かれた。
扉から女性が入ってきた。
(千冬姉がきてくれた。)
一夏は思った。しかし、入ってきた女性は金髪だった。女性は一夏に近づくと
「私はとある組織に所属している者よ、あなた達少年兵を開放するためにきた。君達の国に連れて帰るからついて来て」
立ち去ろうとする金髪の女性、しかし、一夏は女性の服を掴み
「僕は死んだ、居場所がない。だから、連れていって、お姉さん達の組織に」
その言葉を聞くと女性は優しく微笑み告げる。
「あなたの名前は?」
「一夏…織斑一夏」
「いいわ、私の名前はスコール・ミューゼル、そして組織の名前は亡国企業。ようこそ織斑一夏、私たちの組織へ。」
こうして、一夏の新たな人生は始まった。