(さてと、これからどうした物かな)
ゼロはラウラを抱きかかえたままそんな事を考えていた。
(ここはIS学園で俺は侵入者、ならば教師達は俺を捕まえようとする筈だ)
「おーい、大丈夫」
ゼロと共にVTシステムと戦っていた更識がゼロもとに駆けつけた。
「ああ、なんとか救出する事に成功したよ。ほらよ」
ゼロはそう言うと更識に安らかな寝息を立てているラウラを渡す。
「それよりも、あんな大きな声で叫んで良かったの?ボイスチェンジャーの声じゃなくて肉声だったけど」
「……あ」
ゼロはようやく気付く、VTシステムの攻撃を食らった事によって仮面に付けられたボイスチェンジャーの機能が壊れていた事に。
(やばい……気づいてなかった。どうする、さっき叫んじまったからな、十中八九俺の声は聞こえている)
ゼロがそのような事を考えているとピットのハッチが切り裂かれ、中から白色のISとオレンジ色のISが飛び出して来た。
(あれは白式とフランスの代表候補生のラファールのカスタム機。やばいな、さすがに今の状況で代表候補生レベルの奴ら2人を相手にするのはキツイな……撤退するか)
ゼロはそう思うと次の瞬間、垂直に上昇し始める。
「させるか!」
接近した白式がゼロに攻撃を仕掛けるが、ゼロはそれを躱し踵落としを決める。踵落としを食らい地面に落下する白式。
「よくも百春を!」
白式が倒された事に怒ったラファールがゼロに向け銃を構える。すると、上空から無数のレーザーの雨が降ってきて、ラファールと倒れている白式に直撃する。
(エムが援護してくれたのか。それにしてもスコールになんて報告すればいいのやら)
ゼロはそのまま飛び去って行った
「待て……よ」
地面に叩きつけられビームを食らった百春は最後の力を振り絞り叫んだ。
〜学園長室〜
「どうして捜査する事ができないんですか!あの侵入者はもしかしたら男なのかもしれないんですよ!ならばこちらで保護するべきでしょう!」
織斑千冬は学園長てある轡木に対して激怒していた。
「落ち着いて下さい織斑先生。今回の事件ではあの侵入者は生徒であるラウラ・ボーデヴィッヒさんを助けようとしただけであって、何も破壊行動はしていませんよ」
「ですが、織斑百春は攻撃され怪我をしています」
「それは百春くんが先生の忠告を聞かずに出て行ったからじゃないんですか?」
「ですが……」
「もうこの話は終わりです。織斑先生、まだ事後処理が残っているようですから早く済ませてきなさい」
「……わかりました」
千冬は苦虫を噛み潰したような顔をしながら学園長室から出て行った。
〜保健室〜
保健室のベッドで1人の少女が寝ていた。少女の名はラウラ・ボーデヴィッヒ。VTシステムの影響で疲れてしまい、現在は寝ている。
「すやすやと寝てるわね」
ラウラが寝ているベッドの近くのイスに腰をかけている少女、更識楯無が呟く。
(それにしても彼がいて助かったわ、彼がいなかったら今頃、ラウラちゃんは再起不能になっていたかもしれないわね。)
更識はラウラの頭を優しく撫でながらそんなことを考える。
「ん……んん」
(あら、起きた見たいね)
「ここは……何処だ?」
「ここは保健室よラウラちゃん」
「あなたは誰ですか?」
「あら、ごめんなさい。自己紹介がまだだったわね、私の名前は更識楯無。この学園の生徒会長よ」
ラウラに対して簡単な自己紹介を済ませる更識。
「あなたはあなたのISかわ暴走したのよ、それを私とそしてもう1人、侵入者で倒したのよ」
「そう……ですか」
「?どうかしたの?」
更識がラウラの異変に気付く。
「いえ……ただ、暖かい声がしたんです」
「暖かい声?」
「はい、私が捕えられている時に冷たかったんですけど、奥底は暖かい声を感じたんです、とても心地良い声を」
とても穏やかな表情で話すラウラ。
「そう……」
その言葉に対して、優しく微笑む更識。
「それであなたは何者なの」
更識は優しく微笑みながらラウラに尋ねる。
「私は…」
尋ねられたラウラは暖かい声で言われたことを思い出し、にっこりと笑い答える。
「私はラウラ・ボーデヴィッヒです。それ以外の誰でもないです」