〜レゾナンス付近〜
「あ、あの……ありがとうございました」
「いいって、気にしなくていいぜ」
ゼロは休日を利用し買い物に出かけていた。そこで、不良に絡まれている少女がいたので、不良をボコボコにして助けてあげた。
(以前にもこんなことあったよな確か、あの子今頃どうしてるんだろう。それにしてもこの子、どっかで見たことがあるような)
ゼロが助けた少女は内側に跳ねた水色の髪に、眼鏡を掛けていて気弱そうに見える。
「あ…あの…どうかしましたか?」
「いや、なんでもないよ。それにしても、どうして不良に絡まれていたの?」
「その…お姉ちゃんと友達と一緒に買い物に来てたんですけど……途中ではぐれてしまって……そしたらあの人達に絡まれたんです」
弱々しく話す少女。
「そうか、それは大変だったな、早くお姉さんと連絡をとって合流しな」
「あの…すいません、お名前は何ですか」
「一夏だ」
ゼロが少女に対してそう話すと、ふととある方向から声が聞こえる。
「簪ちゃーん」
「かんちゃーん」
2人の少女がこちらに向かって走ってきた。1人の少女は先ほどゼロが助けた少女と同じ髪の色をしていて、少女とは違い髪の毛が外側に跳ねている。もう1人はどこかのほほんとした雰囲気を出している。
(あれは更識楯無、なるほどそういうことか)
「簪ちゃん何処行ってたのよ、お姉ちゃん心配したのよ」
更識は少女に抱きつく。
「ごめん、お姉ちゃん。でも、一夏が助けたくれたんだよ」
少女はゼロを差しながらそう話す。
「気にするな唯の気まぐれだからな」
ゼロの声を聞いた更識は何かに気付いたらしくニヤリと微笑む。
「妹を助けてくれてありがとう。久しぶりね一夏」
「(やはり気づいたか)そうだな、久しぶりだな更識」
「お姉ちゃん、この人と知り合いなの?」
「ええ、ちょっとした知り合いよ。それと簪ちゃん、この人と話があるから本音ちゃんと一緒に買い物してきてくれる」
「わかった、行こうか本音」
ゼロが助けた少女、簪は本音と呼ばれた少女と共に何処かに去って行った。簪と本音が見えなくなった時、更識の口が開く。
「それで今回は何が目的なのかな?ゼロ」
「やはり気付いていたのか更識、安心しろ今回は休日を利用して遊びに来ているだけだ、それじゃあな」
ゼロはその場から立ち去ろうとするが、肩を更識に掴まれる。
「どういうつもりだ更識」
「休日なら暇でしょ、だったらこの前の事件と簪ちゃんとの事での相談についての御礼がしたいから一緒に買い物しましょ」
「御礼はいらない、任務としてやったからな」
「まあまあ、そういう事言わずに一緒に買い物しましょ、ね!」
「……わかった、さっさといくぞ」
折れたゼロが更識と共に行く。
〜レゾナンス内部〜
ゼロと更識は並んでレゾナンス内部を歩いている。その姿は2人の容姿も合わさり、まるでモデルのカップルの様にも見える。
「それで何を買うつもりなんだ?」
「何も買うつもりは無いわよ」
「どういう事だ?」
「あなたに色々と聞きたい事があったのよ」
更識からの言葉に顔を顰めるゼロ。
「それにしても貴方、とても顔が整っているのね、戦う時は何時も仮面をつけていたからわからなかったけど、カッコ良いのね」
ゼロを褒める更識。ゼロの顔立ちは思春期特有の少年と大人が混ざったような幼げのある顔立ちでは無く、幾つもの戦場を駆け抜けた事によってできた、凛々しい顔付きである。他人がみれば十人中十人がカッコ良いと答える完璧な顔付きである。
「どうとでも言え」
更識からの言葉を冷たくあしらう。
「それじゃあ、本題に移るわね。貴方の本名って織斑一夏?」
「そうだ、それがどうかしたか。今、この日本で織斑一夏は死んだ事になっている、あの第二回モンド・グロッソの決勝戦が行われた日にな」
更識からの質問に対して楽に答えるゼロ。
「それじゃあ、貴方はどうしてあの組織にいるの?」
「モンド・グロッソの決勝戦が行われた日に俺と百春は誘拐されたんだ、そして織斑千冬は百春のみを助けた。その後の俺は今いる組織とは別の組織に少年兵として育てられていたところを今の組織に助けられた。その後の俺はIS適性がある事がわかり、今に至るってわけさ」
「そういう事だったのね、それじゃあ最後にあなた達の目的は何?」
「地域紛争の鎮圧と違法施設の破壊。今俺が言えるのはそこまでだ」
「そう、質問に答えてくれてありがとう」
「問題があるわけではないからな、それにお前は他人にこの事を話す様なまねはしないだろうからな」
しばらくレゾナンス内部を歩いていると
「まったくあなた達は何を考えているんですか!
女性の怒鳴り声が聞こえた。ゼロと更識が声のした方向を見てみると、そこには緑色の髪をした女性、黒色の髪のスーツ姿の女性、IS学園の制服を身に纏った金髪縦ロールとツインテール、そしてその人達の前で正座している2人の
男女がいた。
(織斑千冬、織斑百春)
ゼロにとっての元家族。そして、自分が自分として見られなかった原因、それが今目の前にいる。
「ちょっと!貴方何をしてるの!」
突然、更識が形相で怒鳴ってきた。
「どうした、そんな大声をあげて」
「どうしたもこうしたもないわよ!貴方が今手に持っているのは何!」
「はあ?俺は何も持って……」
そこでゼロは気づく、何も持っていなかった手には何時の間にかバスターショットが握られていた。ゼロが無意識の内にコールしたのか、それとも、黒零が勝手にコールしたのかは分からない。
「……」
ゼロは無言の間々、バスターショットを収縮する。
「戻りたいの?」
更識が問いかけてくる。 その瞳には好奇心は無かった。
「いや、戻りたくはない……かな。今の居場所は俺を俺として見てくれる。織斑千冬の弟して、織斑百春の兄としてでは無く、唯の俺としてな」
「ふーん、残念だわ。もし貴方が戻りたいなんて言ったら、すぐさまIS学園の生徒にするのに」
ゼロの答えに対して残念そうな楯無。
「じゃあな、更識。今日は色々と面白かったぜ」
「ええ」
更識に別れの挨拶をするとゼロは人ごみの中に消えていった。
この作品での一夏くんは原作よりもカッコいいです。