「目標は500m先で現在停止中。オータム、エム準備はできているか?」
「OK」
「いいわよ、ゼロ」
三人は現在、太平洋海上で戦闘準備を行っていた。500m先には目標である銀の福音が体操座りの様な体制で浮かんでいた。
「よし、ならば行く……」
ゼロが号令をかけようとした時、銀の福音がいる場所とは反対の方向からレーザーが飛んで来た。ゼロはシールドブーメランでそれを防ぎ、エムに命令する。
「エム、敵の数は何機だ!?」
「4機よ。多分IS学園の奴らね。ブルー・ティアーズ、ラファール、甲龍そして紅いISよ」
エムはすぐさまゼロに敵の情報を伝える。
「わかった、敵意が有るとして奴らを撃破する。エムはブルー・ティアーズを、オータムはラファールを頼む。残りの二機は俺が倒す」
「「了解」」
「GO!」
ゼロの合図とともに三人は突撃していった。
「防がれてしまいましたわ」
先ほどゼロ達に対してレーザーを放った少女、セシリア・オルコットが話す。
「敵が高速で接近しているわよ!」
鳳が叫ぶ。次第に接近して来る機体の形がわかってくる。それを見たとき、オルコットとデュノアが驚く。
「あれはサイレント・ゼフィルス……どう言う事ですの」
奪われた自国のISが敵として君臨している事に驚くオルコット。
「嘘でしょ……皆、気をつけて。一機はこの前のタッグトーナメントの時にIS学園に侵入して来た機体だよ。もしパイロットが同じなら、国家代表クラスの実力者だよ」
デュノアの言葉を聞いた三人は緊張する。
「国家……代表か。だが、邪魔するのならば倒してみせる。私と紅椿で」
しかし、篠ノ之は恐怖するどころか気分をどんどん高揚させていった。
ゼロは二重瞬時加速を使い一気に四人との距離を詰めていった。少し遅れて2人が飛行しているが、ゼロについて行くので必死だった。敵からレーザーや実弾が放たれたがそれら全てを躱したり、切り裂いたりしながら接近する。
「はあああ!!」
四人と接近したゼロは勢いそのままでドロップキックをラファールにおみまいする。ラファールは蹴られた勢いで海面すれすれまで飛んで行き、オータムがそれを追いかける。
「さて……と!」
ゼロは停止し、オルコットへと狙いをつける。オルコットはスターライトmkⅲを構えるがチェーンロッドで弾かれ、巻きつけられ、飛ばされる。そして飛んで行ったオルコットを追いかけるエム。
「これでようやく戦闘準備はできたな。どうするお前たち、ここで引き返せば逃がしてやるけど?」
ゼロは残った篠ノ之と鳳に問いかける。
「逃げる?冗談も大概にしておきなさい。私たちはあんた達を倒して銀の福音を撃破する!」
「そうか……ならば戦うのみ!」
ゼロが叫ぶと同時に篠ノ之が雨月と空裂を持ち、鳳は青龍刀を構え突撃して来る。ゼロはゼットセイバーとチェーンロッドを構える。接近して来た2人の斬撃を時には躱し、時には弾く。
「貴様のその仮面を剥いで素顔をさらしてやる!」
「やれるもんならやってみな」
激情している篠ノ之の言葉をれいせいに受け流すゼロ。ゼロは一度距離をとるが篠ノ之が空裂を構える。
「いけ!空裂!!」
篠ノ之が空裂を降り下ろすと空裂からエネルギーの斬撃が飛びたした。
「……斬鋭弾」
ゼロはゼットセイバーを下から上へ振り上げ空裂同様にエネルギーの斬撃を飛ばす。斬鋭弾は空裂のエネルギー斬を切り裂き、篠ノ之に直撃する。篠ノ之はそのまま落下して行く。
「よくも箒をやったわね、喰らいなさい龍砲!」
甲龍から何かが放たれた。ゼロはそれを回避することが出来ず直撃する。しかし、すぐさまゼロは体制を立て直し鳳へ接近する。
「龍砲!」
また何かが放たれるが今度は躱した。弾丸は見えなかった、しかし、直感のおかげで全て躱すことが出来た。ゼロはゼットセイバーで甲龍の両肩付近に浮かんでいる装備を破壊する。
「嘘でしょ……」
「嘘ではない、事実だ」
ゼロはチェーンロッドを凰の腹に巻きつけ、ゼットセイバーで何度も斬りつける。
「はあああ!」
何時の間にか接近していた篠ノ之は雨月で背後からゼロを切ろうとする。しかし、ゼロはチェーンロッドを解き鳳を篠ノ之に向かって投げつける。篠ノ之はこれを躱せず鳳とぶつかる。
「吹っ飛べ!」
何時の間にか2丁のバスターショットをチャージしていたゼロは2人目掛けてはなった。その攻撃を喰らい落下して行く鳳。しかし
「まだだ、まだ私と紅椿は戦える」
篠ノ之箒は戦う意思を見せていた。
「まだ戦うか……やめておけ、今のお前では俺には勝てない」
「うるさい!そんなことはまだ分からない」
「周りを見てみろ、既にお前の仲間は撃墜されている」
ゼロの言うとうり、ブルーティアーズ、ラファールそして甲龍は海上に浮かんでいた。
「そんな事はわかっている!だが、私は貴様達を倒し、銀の福音を倒して百春の仇をとる!展開装甲!」
篠ノ之がそう叫ぶと紅椿の両の腕肩脚部と背部に装備されている装甲が変形した。
「行くぞ!」
「展開装甲……か、面白い見せてみろ!お前の力を」
篠ノ之は瞬時加速を使いゼロとの距離を詰めようとする。そのスピードは先程よりも速かった。
「はあああ!」
「オラァ!」
篠ノ之は雨月と空裂を振るう。しかし、二本のゼットセイバーによって弾かれてしまう。
「烈風撃」
ゼロは瞬時加速を使い篠ノ之との極僅かな距離を詰め、スピードを利用してゼットセイバーを槍の様に篠ノ之に突き刺す。突き刺された篠ノ之は無惨にも落下していく。
「敵の無力化に成功。オータム、エムこれから目標を停止させる」
「「了解」」
ゼロはオータムとエムに連絡を取る。
「なんだ……この反応は」
ゼロは何かが接近しているのに気づいた。ゼロは接近している物が何かわかると、仮面の内側に薄っすらと笑みを浮かべた。
〜旅館〜
(一夏そしてマドカを失い、今度は百春まで私は失ってしまうのか……)
織斑千冬は旅館の一室で酷く落ち込んでいた。そんな中突然
「織斑先生、大変です!」
山田先生が障子を開けて入ってきた。
「山田先生、すいませんが今は1人にしてもらえませんか」
何時もの千冬ならば考えられない様な低いトーンで返答する。
「そんな事を言ってる場合ではありません。篠ノ之さん、オルコットさん、デュノアさんそして鳳さんが勝手に出撃したみたいなんです。それに」
「それに?」
「織斑くんも見当たらないんです」
「な……」
山田先生からの言葉を聞いて一瞬だけ頭が真っ白になってしまう千冬。しかし、直ぐに何時もの様な冷静さを取り戻し
「直ぐにボーデヴィッヒと更識を出撃させろ!」
〜〜〜〜〜〜〜
「織斑千冬の恥さらしが」
「お前のの姉ならこんな事簡単に出来るぞ」
「姉と弟は優秀なのに」
頭の中に流れる死んだ織斑一夏の記憶、その一つ一つを思い出しながらゼットセイバーを強く握る。
「来たか……」
こちらに向かって接近する物体に対して呟く。
「織斑百春!」