「よくも皆を!」
織斑百春はゼロに対して雪片弍型を振るいながら叫んだ。
「俺はあいつらに対して逃げるチャンスを与え、あいつらがそれを拒んだ。それにあいつらもお前も今は出撃命令は出てないらしいね、来て良かったの?」
ゼロは両手に何も持ってないまま冷静に百春の攻撃を躱し続ける。
「うるさい!俺の攻撃に圧倒されてるくせに!」
そういいながらも百春はゼロに対して雪片を振り続ける。
「圧倒?何だ俺は攻撃しても良いのか?」
「どういう意味ゔぉえ!」
喋っている百春の鳩尾にゼロの拳が入る。殴られた百春の肺から空気が吐き出される。
「貴様……汚いぞ!武器を持って戦え」
肺に残っている僅かな酸素を絞り出しながら叫ぶ百春。
「汚い……だと。お前、これをスポーツか何かと勘違いしてないか?これはスポーツじゃあないんだぜ。卑怯も汚いも無いんだよ!」
ゼロは百春の胸倉を掴み、顔面目掛けて右ストレートを食らわせた。吹っ飛ばされる百春をゼロは追いかけもう一発右ストレート食らわせた。
「何処にいる」
何とか体勢を立て直した百春は先程まで目の前にいたゼロがいなくなっているのに気がついた。
「後ろだ」
ゼロの声に反応した百春は振り返ろうとする。ゼロは白式の二つのウイングスラスターを掴み、百春の背中に足をつけた。百春はゼロを振りほどこうとするがゼロは全く離れない。
「銀の福音の元に先に行ったあの2人を援護しなきゃならないんでね、さっさと終わらせる」
次の瞬間、ゼロウイングスラスターを引っ張り、百春の背中を足で押し始めた。
「ぐぁ……ぐぁぐが」
百春は自らの背中にかかっている痛みに耐えきれず、声にならない音を放つ。
「さーて、どっちが先に壊れるかな。お前の背骨?それともウイングスラスター?」
何処か楽しんでいる様な声色で喋るゼロ。こうしている間にもウイングスラスターと百春の背中から悲鳴が聞こえる。ウイングスラスターの付け根はもう既にヒビが入っている。
「おらよ!!」
ゼロはウイングスラスターを引きちぎり、翼を失った百春は海へと落下して行く。
(俺には皆を守る事なんて出来ないのかな)
落下して行く中で百春はそう思った。
<力が欲しいですか?>
突如頭の中に少女の声が響く。
「欲しい……皆を守るための力が欲しい!俺に力をくれ!白式!」
百春と白式は白い光に包まれる。
<白式 第二次移行 雪羅>
「愉しいな」
ゼロは接近してくる第二次移行した白式を見ながら呟いた。
「第二次移行した強さを俺に見せてみろ、織斑百春」
ゼロはゼットセイバーを持ち、百春へと接近する。
「「はあああ!」」
互いに接近した2人、ゼロはゼットセイバーを振るい、百春は雪片二型を振るっていた。
「貴様は誰だ!答えろ」
「何故赤の他人である貴様に対して答える」
ゼロと百春は鍔迫り合いながら言葉を交わす。しかし、ゼロは至って冷静であるが、百春は熱くなりすぎていた。
「何故お前は男のくせにISを使える」
「お前も男だろ、なら男である俺がISを操縦できてもおかしくはないだろ」
ゼロは雪片二型を弾き、百春の腹に蹴りをいれ距離をとる。
「放て!雪羅」
白式の新装備多機能ブレード雪羅を変型させ荷電粒子砲をゼロに向けて放つ。
「……」
ゼロはバスターショットをチャージして荷電粒子砲に向けて放ち相殺した。ゼロはすぐさまバスターを連射するがシールドモードになった雪羅によってかき消される。
その様子を見たゼロは興味を示す。
「なるほど、零落白夜を利用したシールドか面白いな」
「そうだ。これでお前の遠距離武器は使えない」
ドヤ顔を決める百春。
「そうだな……だが」
瞬時加速を行い、百春の顔面に膝蹴りをいれる。
「さっきと同じ様に接近戦をすれば問題は無い」
(私はどうすればいいのだ……せっかく手に入れた力なのに百春を傷つけてしまい、百春のピンチになっている今もどうする事も出来ない)
海に浮かびながら箒は目の前に広がっている光景をただ見る事しかできなかった。百春がゼロによって一方的に殴られ蹴られる光景を。
「力をよこせ紅椿、百春を助けるための力を!」
箒が叫ぶと紅椿から金色の光があふれる。
<単一能力発動 絢爛舞踏>
「エネルギーが回復する。これなら助けられる」
落ちた椿は再び飛び立つ。