インフィニット・ストラトス 亡国の一夏   作:OLAP

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鐘を鳴らすのは勝者

(俺はこんな奴に対して劣等感を抱き、比べられていたのか……弱い、なんて弱かったんだ……昔の俺は)

 

抵抗する力もなくなった百春の胸倉を掴みながらゼロは過去の自分に対して嫌悪感を抱いていた。

 

(さてと、そろそろ終わらせるか)

 

ゼロが拳を構えると下の方から斬撃が飛んできた。百春を盾にしてその斬撃を防ぎ、ゼロは攻撃が放たれた方向を見る。するとそこには先程撃墜したはずの紅椿が接近していた。

 

(どういう事だ……何かの単一能力でも発動したか……まあ、考えるのはやめよう)

 

ゼロは考えるのをやめ目の前の敵に集中する。

 

(まずはこいつをぶつけるか……)

 

ゼロは百春を箒に向かって全力で投げつけた。体勢を崩しながらも何とか百春をキャッチした箒はゼロの方向を見る。

 

するとそこには……

 

「吹き飛べ……」

 

二丁のバスターショットを構えているゼロがいた。

 

箒は危険を感じ逃げようとスラスターを噴かせ移動するがその程度の事でゼロから逃れる事はできない。空から降り注ぐレーザーの雨、箒は百春を庇うようにレーザーをくらう。

 

「ほう……き、すまない。助けにきたつもりが助けらてしまった」

 

弱々しい声色で百春が呟く。

 

「百春、今エネルギーを分けてやる。手を掴め」

 

箒は自らの右手を百春の前に差し出す。百春は箒の右手を握る。その瞬間、紅椿のエネルギーが白式の内部に流れ込む。

 

「百春!この力で奴を倒せ!」

 

「わかったぜ箒、あいつを倒して見せる!そして戻ったら皆でお前の誕生日を祝おう、な!」

 

再び覇気を取り戻した百春は箒に向かって宣言する。

 

「そうか、わかっ」

 

そうか、わかった。その言葉を言おうとした箒の姿が百春の前から突如として消えた。そして突如として声が現れた。

 

「まったく、大人しく海の上でプカプカと浮かんでいれば良かったものを、わざわざ自分から痛い目に会いに来るなんてな」

 

声の主はゼロ。そして右手にはチェーンロッドが握られていた。

 

「さてと」

 

ゼロは高く飛ぶ。そしてその先には先ほど消えた箒がいた。そう、箒が消えたのはゼロによってチェーンロッドを巻かれ、空高く投げられたのだ。

 

「今回はさっきの様に復活させないぜ」

 

ゼロは箒にチェーンロッドを巻きつけ手繰り寄せる。そして、手繰り寄せた箒の腹にバスターショットを突きつけるゼロ。

 

「やめろ!」

 

百春はさけぶが、ゼロはそれを無視する。そして零距離でバスターショットを連射する。

 

「うあ……うが」

 

箒から訳のわからない声が漏れる。

 

「次」

 

ゼロは再び箒を上空に上げるそしてゼロもスラスターを噴かせ追撃する。

 

「おらああ!!」

 

箒を他方向から何度もゼットセイバーで切り裂くゼロ。もうすでに箒の意識はなくなりかけている。

 

「やめろおおお!!」

 

百春が瞬時加速を使い接近して来る。ゼロは箒の腹を蹴り上げ、三度箒を飛ばす。

 

「まだ挑んで来るのか」

 

接近して来る百春を睨みながら、ゼットセイバーを構えるゼロ。接近して百春は雪片を振り下ろすがカウンター気味にゼットセイバーで切りつけられる。そしてそのまま背中を蹴られ吹き飛ぶ。

 

「finish」

 

発音の良い英語を呟き、自由落下する箒に背後から接近する。そのままゼロは両脇から腕を通しホールドする。ゼロは箒を掴んだまま海面にむけて瞬時加速を行い、更に螺旋状に回転する。

 

「うおおおお!」

 

スラスターを噴かせ更に加速し回転するゼロ。海面ギリギリまで接近するとゼロは箒を海へ叩きつけて、ゼロは上空へと飛翔する。箒を叩きつけた衝撃で発生した凄まじい水飛沫をバックに百春へと接近する。

 

「さあ、とっとと終わらせるか」

 

仮面の奥でゼロは笑いながら百春をみる。

 

「まだだ、まだ負けてないぞ!」

 

絶望的な状況にもかかわらずその瞳に闘志を燃やす百春。

 

「可哀想だ……実に可哀想だ」

 

ゼロはいきなり謎の言葉を喋る。

 

「何が可哀想なんだ」

 

ゼロに質問する百春。

 

「いや、ただ単に貴様の様な男の為に敵討ちをしに行き、そして傷だらけになったあいつら。そして……」

 

「そして?」

 

「織斑千冬のせいで死んだお前の双子の兄だ」

 

「なっ!」

 

その言葉を聞いた時、百春の顔が歪む。

 

「どうして兄さんの事を知っている!」

 

「どうして?そんなの調べたからに決まっているだろ。俺らの情報収集能力を舐めているのか?ならばもう少し詳しくお前の情報を言ってやろうか?」

 

「どういう事だ!」

 

「織斑百春。父、数児。母、季菜の間に双子として兄の一夏とともに出生。その後、7歳の時に母の季菜が病死。その翌年、数児は再婚し、今の姉でありIS学園の担任でもある織斑千冬と現在行方不明の同い年の妹、織斑マドカと出会う。小学生時代は兄の一夏や周りの人間と比べて優れていた為に神童、天才などと呼ばれる。そして10歳の時、父数児が死亡。その後、再婚した母がマドカを連れ行方を暗ます。その後、ISが開発され開発者である篠ノ之束からISについての講義を兄の一夏と共に受ける。姉の織斑千冬は第一回モンドグロッソに出場し優勝。第二回モンドグロッソでは織斑千冬の優勝を妨害する為に兄の一夏と共に誘拐される。その後、百春は織斑千冬によって助け出されるが、兄の一夏は救出されず現在では死亡扱いになっている。そして今年、世界初の男性IS操縦者としてIS学園に入学……どうだこれが俺たちの調べた情報だ」

 

機械的にボイスチェンジャーの声で話すゼロ。

 

「なんでそんな事まで調べた!」

 

「世界初の男性IS操縦者、上の奴らが気になるのは当然だろ。それよりもさっさとケリつけようぜ、お前の新しく出来た武器はもう使い物にならないだろ?だから俺も刀一本で戦うからお前も刀を出せ」

 

ゼロはそういうとゼットセイバーをコールし構える。

 

「……いいだろう」

 

百春もゼロと同様に雪片二型を構える。

 

「「……」」

 

無言の二人。百春は緊張し、それとは対象的にゼロは冷静でいた。

 

「っ!」

 

先に動いたのは百春。一気にゼロに接近し雪片二型を両手でゼロへと振り下ろす。しかし、ゼロはそれを片手で持ったゼットセイバーで受け止める。鍔迫り合う二人、その2人は対象的であり、百春はゼロを倒そうと必死であり、それに対しゼロは冷静に対処していこうとしている。

 

「お前は誰だ!」

 

「俺は俺だ他の誰でもない。そして、亡霊でもある」

 

「亡霊……つまりお前は死んだのか」

 

「ああ、そうだ」

 

ゼロは雪片二型を押し返すと素早く百春の腹を三回斬りつける。

 

(やばい、技量が全く違い過ぎる。瞬時加速もあと二回ぐらいしか使えない。ここはなんとかして零落白夜をもろに当てるしか勝てない)

 

百春はゼロに向かって瞬時加速を、使わずに接近する。ゼロは接近する百春に向けてセイバーを振り下ろすが空振ってしまう。

 

「……上か」

 

ゼロが上を見上げるとそこには百春がいた。そう、百春はセイバーが振り下ろされる直前に瞬時加速を使い上へ飛んだ。

 

<単一能力発動     零落白夜>

 

百春はした向きに瞬時加速を行いゼロへ近づく。

 

「もらったあああ!!」

 

百春は零落白夜の剣をゼロへと振り下ろす。ゼロも同様に下から上へセイバーを百春めがけ振り上げる。

 

一瞬だけ交差した二人。そして

 

       宙をまう雪片二型の剣

 

「嘘……だろ」

 

剣の根元から先が切り裂かれている雪片二型を見て今の状況が全く信じられない様な表情をした百春。

 

「零落白夜はエネルギーを打ち消す必殺の単一能力。しかし、打ち消せるのは剣の部分だけだ」

 

ゼロは冷淡に告げる。

 

交差した刹那、ゼロが行った行為は単純で雪片二型の剣の根元を切り裂いたただそれだけだ。

 

「終わりだ」

 

ゼロは両手でゼットセイバーを振り下ろし、百春はかわす事も出来ず直撃する。そして落ちて行く百春。

 

「なかなかつまらなかったよ、元弟」

 

ゼロは百春に向けてそう呟くがその声は百春にはもう聞こえない。

 

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