インフィニット・ストラトス 亡国の一夏   作:OLAP

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更新遅れてしまいすいません。


荊に囚われた姫

「ちょっとヤバイなこれは」

 

半笑いでオータムが呟く。

 

「ええそうね。でも、もう少ししたらゼロが来る」

 

エムが30mほど離れたところにいる敵を見ながら返答する。

 

エムとオータムが今闘っている敵。それはアメリカとイスラエルが共同開発した軍事用IS[銀の福音]

。最初闘っていた時には2対1という事もあり、エムとオータムが優勢でいた。しかし、トドメをさそうとしたその時、銀の福音が白い光に包まれ第二次移行をした。それから、形勢逆転されオータムとエムは軽いピンチに陥っている。

 

「♪♪」

 

歌う様な機械音を奏でる銀の福音。その音はオータムとエムを応援している様に聞こえる。

 

「♪……!」

 

突如として奏でるのをやめ、2人に接近する銀の福音。エムもすかさずスターブレイカーを構え放つ。銀の福音はそれを踊る様に躱す。

 

「やばい!」

 

エムの頭を鷲掴みにしようと腕をのばす銀の福音、その攻撃をただ見ることしか出来ないエム。銀の福音とエムの距離、3m……2m……1m。しかし、突如として銀の福音の腕が止まった。第三者の妨害があったわけでもなく、それはまるで自らの意思で止めた様に見えた。

 

「何が起きたの?」

 

戸惑うエム。

 

そして、突如として上空からレーザーが銀の福音目掛けて飛んできた。これを躱しエムとの距離を取る。

 

「大丈夫か!エム!」

 

上空からゼロが降りてきて、エムの隣に浮かぶ。

 

「私もオータムもシールドエネルギーが半分近い。それよりもあなたの方はシールドエネルギーの心配は要らないの?」

 

「ああ、大丈夫だ。あいつら弱過ぎて俺のシールドエネルギーの半分も減らしてない」

 

「それよりも、どうすんだよ!」

 

オータムも駆け寄ってきてゼロとエムに問いかける。

 

「遠くから見てたが、あいつのスペックは紅椿って奴には劣るが操縦技術が段違いで高い。それに第二次移行したとなれば装備が増えているかもしれない、だから俺がメインで闘って、エムは援護射撃、オータムは面倒だが隙を見て射撃と接近戦の両方を頼む」

 

「「了解」」

 

エムとオータムは四方に散らばり、ゼロは銀の福音を見る。

 

「♪♪♪」

 

音を奏で続ける銀の福音、その音は先程と同じ様に応援している様に聞こえる。

 

(どういう事だ、暴走していると聞いていたが何だあの音は、まるで俺を応援している様に聞こえる。まだ、意思が残っているのか?)

 

「♪……」

 

奏でるのをやめた銀の福音は 両腕を振るう。すると爪の先が伸び、長さ約75cm、片手5本合計10本のブレードが完成する。ゼロは両手にセットセイバーを持ち構える。

 

「……!」

 

先に動いたのは銀の福音、ゼロに対して高速で接近すると両腕を振るう。それをゼロはゼットセイバーで受け止める。

 

「はあ!」

 

エムが背後からビットとスターブレイカーを使い狙撃する。これを躱しきれずに銀の福音は怯んでしまう、その隙を見計らって爪を弾き、ゼットセイバーの連撃をくらわせる。

 

「ふん!」

 

ゼロは剣を大きく振りかぶり銀の福音を吹き飛ばした。銀の福音は体勢を何とか立て直す。しかし、すぐさまエムとオータムによる一斉射撃を喰らう。

 

「まだまだ!」

 

エムは射撃を継続する。しかし、銀の福音は回転して翼で弾丸を防ぐ。さらに回転する速度は増していき、翼からレーザーがゼロたちに向けて放たれた。

 

「ちっ!」

 

ゼロはレーザーをシールドブーメランで防ぐ。しかし、エムとオータムは視界一面に広がる圧倒的な量のレーザーを躱す事が出来ず食らってしまう。レーザーをシールドで防ぎながらゼロはシールドを前に突き出しながら銀の福音目掛けて体を一本の槍の如くして突撃する。

 

「ギギギギギ」

 

ゼロの一撃を何とか受け止めようとする銀の福音。しかし、衝撃を吹き飛ばせず後ろへと下がって行く。

 

「あらよっと!」

 

シールドブーメランを収縮し、縦回転しながら銀の福音を上を通り過ぎ真後ろへと移動する。ゼットセイバーを使い背中を斬りつける。銀の福音は振り返りながら右手の爪をふるってきたが、これをゼットセイバーで受けとめる。続いて左手を振るうが左手首をつかむ。しかし、銀の福音は足のスラスターを噴出しながらゼロの横腹に蹴りをいれる。

 

「ぐっ!」

 

痛さのあまり左手首を離してしまう。その隙をついてもう一度左手を降ろうとする。しかし、レーザーが飛んで来た為後ろに後退する。

 

「大丈夫ゼロ」

 

エムとオータムが心配そうに駆け寄って来る。

 

「助かった、大丈夫だ。それよりもやばいな」

 

ゼロは再びセイバーを構える。

 

「……」

 

銀の福音は翼を円を描く様に回転させている。さらに回転する速度は増していき、2つの光の輪が出来上がる。2つの光の輪はエムとオータム目掛けて飛ばされる。エムとオータムはそれぞれの武器で受け止めようとするが、突然光の輪は大きくなり、2人を拘束する。必死に引きちぎろうとしてもなかなか切れない。

 

「……」

 

次に福音はビームの爪を伸ばしゼロ目掛けて突撃し、爪を振り下ろす。ゼロはこれをセイバーで受け止める。福音は空いている手の掌をゼロに向ける。するとそこからビームが発生し放たれた、ゼロはこれを何とか躱し、もう一本セイバーをコールしビームが放たれた剣にぶつける。

 

(お願い、彼女を救って)

 

頭の中に突如として声が響く。そしてゼロは白い光に飲み込まれ、目を瞑った。

 

「何だここ……」

 

目を開けた時に広がっていた光景は先程までゼロがいた海ではなかった。その場所は全体的に白くそして果てしなく広がっていた。そしてそこには、磔にされ何本もの荊が巻きつけられている女性とその荊を取ろうとしている少年がいた。

 

「何をしている」

 

ゼロは少年へと近づき声をかける。

 

「彼女を救おうとしてるんだよ」

 

少年はゼロの方を振り向かずに弱々しい声で呟く。

 

「でも……僕には力が殆ど残ってない。僕の力だけじゃ彼女を救う事が出来ない。」

 

少年は悲しくそして弱々しい声で喋る。

 

「お前……名前は何だ」

 

「銀の福音……今はそう呼ばれている」

 

(やはりここは銀の福音のコアが見せているのか)

 

ゼロは納得した様な表情をする。

 

「だからお願い、彼女を救ってあげて。僕はまた彼女と一緒に空を飛びたいんだ。彼女と一緒に……」

 

銀の福音は思いの内を話すと顔を俯かせ泣き始めた。

 

(凄いな、ここまでコアに信頼されているパイロットなんて久しぶりに見たな)

 

ゼロは一歩一歩歩き出し磔にされている女性の前に立つと一本の荊を掴む。

 

「泣くのやめな。今から……」

 

掴んでいる荊を引き抜くと引きちぎると再び光に包まれる。

 

すると目の前には光に飲まれる前の光景が広がっていた。ゼロは福音の手をセイバーで弾くとそのままクロスさせる様に福音を切り裂いた。

 

「助けてやるからよ!」

 

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