太平洋海上、この海域を猛スピードで飛行する二機のISがある。
「ったく、何で私達があいつらを回収しにいかなくてはならないのだ!」
一つはドイツ製の第三世代IS[シュヴァルツェア・レーゲン]、パイロットはラウラ・ボーデヴィッヒ。
「しょうがないよ、命令だもの我慢しよ」
もう一つは日本製の第二世代型IS[打鉄・二式]パイロットは更織簪。
「任務だが、これはあいつらが勝手な真似をしたせいで起きた事だぞ、任務として納得できるか!本当なら今頃本音や清香達と一緒にUNOをしてるはずだったのに、ドロー2の連鎖したかったのに!」
ラウラが不満や私的な怨みのこもった事を言う。
「そうだね」
簪もラウラの意見に同意する。接点の無い様に思われがちな2人では有るが、共通の友人である布仏本音を介して知り合ったのだ。
「そろそろ目標のポイントにつく、さっさと回収してUNOするぞ……何だあれは?」
ラウラと簪の視線の先には一つの影、それが最初何かは分からなかったが近づくに連れてわかってきた。ISだ、それも黒色の。ラウラと簪は警戒して戦闘体勢を整える。しかし
「おい、お前らIS学園のパイロットか!安心しろこっちは攻撃する気なんか無い!」
突然、黒色のISのパイロットがボイスチェンジャーによって変えられた声で叫んだ。
「そんな事信じられるか」
ラウラとが少しばかりの喧嘩口調で喋る。
「いや、攻撃する気は無いよ。こっちだって人を抱っこしてるんだよ、戦えるわけねえよ」
ラウラと簪はゼロをよく観察して見る。すると遠目では逆光になっていて分からなかったが確かに女性がゼロにお姫様抱っこされる形で寝ていた。
「彼女を君たちの方に渡すから近づいてきてよ」
「分かった。だがあいつらはどこだ。ここにきていた筈だろうが!」
ラウラがゼロに叫ぶ。
「あいつらなら、こっちの邪魔をしてきたから、無力化させてもらったよ。ほら下見てよ、下」
ゼロの言葉通りにしたを見て見るとそこには棒状の浮き輪に捕まっている五人がいた。しかし、百春と箒は気を失っているのか、他の三人によって支えられる事によって浮き輪をつかんでいる。
「ほら、あいつら見殺しにしたく無かったらさ、早くしようよ」
そう言うとゼロは2人に近づく。敵意を放つ事無く、ゆっくりと近づいていく。そしてゆっくりと福音のパイロットであるナターシャ・ファイルスを引き渡す。
「これで任務完了っと……あとついでに言っとくけど、俺に攻撃しない方が良いよ、攻撃したらあいつら殺すよ」
先ほどまでとはうってかわって殺気を放つゼロ。その殺気を感じた2人の肌に嫌な汗が流れる。右手にはバスターショットが握られており、その銃口は百春達の方に向けられていた。
「冗談だよ。それじゃあね」
ゼロは振り向き飛び去った。その様子を見ていた2人は緊張がほどける。
「……何だったのあれ?」
「わからない、だが物凄い実力者だ。それよりも早く回収して戻るぞ」
「任務完了……戻って来たぞ」
ゼロは今回の任務の拠点となっていた高級ホテルの一室に戻って来た。
「お疲れ様ゼロ」
そこには上司であるスコールがソファーに座ってお酒を飲みながら待っていた。
「マドカとオータムはどうしてる?先に戻ってきた筈だろ」
「あの2人なら別に借りた部屋で寝てるわよ、疲れてたみたい」
「そうか」
ゼロは着ていた上着をハンガーにかけ、クローゼットに収納する。部屋に備え付けられた冷蔵庫から水の入った1Lサイズのペットボトルを取り出す。その後ゼロは倒れるようにソファーに体をあずける。
「2人から聞いたわよ、織斑百春と闘ったんでしょ。どうだった?」
ゼロはペットボトルから口を離す。
「どうだったと聞かれても……只単に弱かった。がっかりするほどにな、昔の自分に対してそして今のあいつに対して。そうとしか言いようが無い」
ゼロは目の前のテーブルに置かれた籠からクロワッサンを取り出し囓る。
「ふーん、まあ何にせよお疲れ様。本部には明日戻ることになっているから今日は休みなさい」
スコールはソファーから立ち上がり二つあるベットのうちの一つに移る。
「分かった。なら、報告書は明日書かせてもらう」
クロワッサンを食べ終えたゼロは立ち上がり、飲み終えたペットボトルを5mほど離れた所にあるゴミ箱の中に投げ入れる。その後ゼロはシャワールームへと向かう。
IS学園の生徒たちが止まっている旅館から少し離れたところにある海岸に2人の男女が居た。1人は織斑百春、そしてもう一人は篠ノ之箒。
「ごめんな箒、お前の誕生日なのにこんなボロボロになっちまって……」
「そんな事は無い!私は百春が無事で良かった」
「箒……本当はちゃんと渡したかったんだけど」
百春は制服のポケットから簪を取り出し、箒に付ける。
「誕生日プレゼント、似合う思ったから買ったんだ」
「ありがとう百春」
次第に2人の距離は縮まり0になろうとしたその時
トントン
誰かが百春の肩を叩いた。百春が振り返るとそこには三匹の鬼が居た。
「なにをしていらっしゃるのかしら、百春さんは」
「箒も何抜け駆けしようとしてんのよ」
「ダメだよ百春、箒2人だけで過ごすなんて」
イギリスの鬼、中国の鬼そしてフランスの鬼の目に光は無かった。
「「「さあ、楽しい楽しい鬼ごっこの始まりよ!」」」
「うわあああああああ!!!!」
七夕の日に1人の男の悲鳴が響いた。
次の日、旅館には2人の女性がいる。1人は織斑千冬、そしてもう1人はナターシャ・ファイルス。
「体調はもうよろしいのですか?」
千冬はナターシャに問う。
「ええ、もう大丈夫よ。一つ聞きたい事が有るんですけど、良いですか?」
「はい、何でしょうか?」
ナターシャはふっと息を吐き、真剣な眼差しになる。
「私を助けてくれたのは本当にここの学校の生徒かしら」
その言葉を聞いた瞬間、千冬の口角がピクリと反応する。
「ええ、確かに助けたのはボーデヴイッヒと更識て「違う」え?」
ナターシャは反論する。
「その2人に昨日、お礼を言ったのよ。そしたら何て言ったと思いますか、あなたを助けたのは謎の黒いISです、って言ったのよ」
その言葉を聞いて千冬は渋々口をわる。
「隠しても仕方がありませんね。確かにあなたを助けたのは謎の黒いISです。しかし、そいつは以前学校を襲撃したんです。それに今回も百春達は襲われた。だからあなたには「関係ない」!」
「だけどそいつは私を助けた。だから、お礼が言いたいのよ……では私は帰らせてもらいます」
ナターシャはそのまま何処かへ行ってしまった。
(あのIS、またしても百春を傷つけた。マドカもいなくなり、そして一夏も死んでしまった。これ以上家族を失うわけにはいかない。今度は私が自らの手で倒す!)
千冬は闘争心を燃やしていた。死んだと思っている弟に対して……
次は多分、亡国機業のオリキャラ登場話になります。