8月。世間一般の高校生にとっては課外や夏休みなどが始まる時期である。ちなみにIS学園では代表候補生などが所属している事もあってか、8月は夏休みになっている。では亡国機業はどうだろう。
「暑い……」
「我慢しろ。俺だって暑いんだから」
今現在、ゼロとティファは任務でフランスで行われる仏英独三国合同のIS展覧会会場に来ている。
ゼロの現在の格好はビジネスマンの様な長袖のカッターシャツにサングラスをかけている。ティファニアはキャリアウーマンの様な格好をしている。
「今回の任務の内容を確認するぞ」
「うん」
「今回俺たちがする事は各国の最新機の調査だ」
「うん」
気だるそうにティファニアが返事をする。
「この任務が終わったら休暇貰えるから、そしたら前約束してた秋葉原に連れてってやるからよ」
「わかった!」
すぐさま元気になるティファニア。その様子を見たゼロは少し微笑む。
「正直なやつだな」
〜フランスエリア〜
「ラファール・ネオ、最終調整に入ります」
「わかりました」
今現在フランス会場の裏側で一機のISの調整が施されていた。
ラファール・ネオ(仮)
フランス初の第3世代型IS。オレンジ色のボディ。前作ラファール・リヴァイブの万能性を引き継ぎ、特に秀でた性能は無く全体的に万能な機体。追加パッケージの多さも特徴の一つ。だが量産の目処は立っていない。
(百春のおかげでなんとか完成出来たな、感謝しないと。百春は立場があるから自分の名前を出さなくていいって言ってたけど、僕の事をおもってふふふふふふ……)
今現在、脳天お花畑になっている少女、シャルロット・デュノアは今回のラファール・ネオのテストパイロットだ。
〜イギリスエリア〜
2人の少女がいる一人はイギリスの代表候補生セシリア・オルコット。そしてもう1人はセシリア同様、イギリスの代表候補生エリナ・グレンジャー。この2人は同い年という事もありとても仲が良い。
「災難だったね、セシリア」
エリナがセシリアに対して優しく声をかける。
「エリナこそ目の前でISが奪われたじゃありませんか」
「痛いとこつくね」
エリナが顔を引きつらせる。
「ですがわたくしも目の前にサイレント・ゼフィルスがあったにも関わらず、奪還できずにやられてしまいましたもの……」
溜め息を吐くオルコット。
「そうだ、私もIS学園に入学するかもしれない」
「本当ですか!」
「ええ、同じクラスになれるいいね」
(それはダメですわ。百春さんの毒牙にかかるかもしれませんもの)
〜ドイツエリア〜
今回、ドイツはIS部隊であるシュバルツェ・ハーゼの公開演習を行うことになっている。
「いいか!今回は我れらがシュバルツェ・ハーゼの実力を他の国々に知らしめるいい機会だ!全力で取り組む様に!」
「「「「「了解!」」」」」
綺麗に隊列を組まれた隊員達の前で銀髪で赤目、左目に眼帯をした少女、シュバルツェ・ハーゼの隊長ラウラ・ボーデヴィッヒが隊員達に喝を入れる。それにたいして同じく眼帯をした隊員達が返事をする。
〜フランスエリア〜
現在2人はアリーナ状の会場の1観客席の1番上の席の手すりにもたれかかっている。
「そろそろ時間だね、ゼロ」
ホットドッグを食べながらティファが喋る。今現在、観客席はかなりの数が埋まっている。それだけ今回の第三世代機に対する世間の注目度の高さが伺える。
「そうだな。それにしても人が多いな……あれは」
ゼロは何かを発見すると手摺から離れ、歩きだした。
「ゼロ、どうしたの?」
「安心しろ、すぐ戻ってくる」
私の名前はナターシャ・ファイルス。アメリカ軍所属のISのテストパイロット。今日は休暇を利用してこの展覧会に来ている。今私がいる場所は観客席の1番上の席。
「隣に座っても宜しいでしょうか?」
突然、サングラスをかけた男性が声をかけて来た。
「良いですよ」
男性は私の隣に座った。その男性は長袖のかったシャツにサングラスをかけていた。
(この人……強い)
私は直感でそれが分かった。決して表には出さず自らの内側に潜めている力、多分私と同じかそれ以上強い。彼が何者なのか私は気になった。
「ナターシャ・ファイルスさんですよね」
彼は私の名前を言ってきた。私は驚いた。
「この前の事件は大変でしたね」
何者だこの人は
「あなたは誰……?」
私は彼に質問した。すると彼は左袖をまくり始めた。
「俺ですか?俺はこういう者です」
彼は左袖をまくり終えると、左腕を見せてきた。そこには黒色のブレスレットがつけられていた。それを見た瞬間、何かがわかった。
ISの待機形態である。だが、女性が付けているのならわかるが男性が付けているのはおかしい。織斑百春の様なイレギュラーでも無い限り。
「何であなたがそれを身につけている……の」
「それは貴方の身に付けている銀の福音に聞いてください。その子は貴方を信頼してますから。この前暴走した時も貴方のことを思っていましたから」
「あなた……あの時の!黒いISの操縦者!?」
私は自分で自分の言ってる事が信じられなかった。当然だ、2人もイレギュラーがいるはずはない。
「ええ、そうですよ」
彼は私の考えていた事を否定し、自分がイレギュラーだと告げた。情報が処理しきれず頭が回らない。
「今回はあなたに言いたい事があります」
彼は私の事なんかお構いなしに話す。
「その子を大切にしてください。その子は貴方の事をとても信頼しています。それも滅多に見かけないぐらい」
私はようやく頭が回ってきた。
「わかったわ、この子は大切にする。この前の借りがあるから貴方のことは黙ってて上げる」
そうすると彼はニコッと笑い。
「貴方ならそう言うと思いましたよ、なんせその子に信頼されてますから」
彼は席を立ちまた何処かへ行ってしまった。
「戻ったぞ、あとこれクレープ」
ティファの元に帰ったゼロは買ってきたクレープをティファにクレープを渡す。今現在アリーナではフランスの第三世代機、ラファール・ネオが演習を行っていた。次々と出現するターゲットを打ち落としていた。
「イマイチだな」
ゼロが演習の様子をみながら呟く。
「そうね。あのIS私の機体よりかスペック低いんじゃないの」
クレープを食べ終えたティファが返事をする。
演習は順調に進んで行き最後のターゲットを撃とうとしたその時
ブオオオオオオオン!!!!
轟音と共に巨大なビームが落下してきた。ラファールはそれを避け上空をみる。会場の観客全員上空をみる。そこにあったのは黒い塊、それも一つや二つではない。百以上の黒い影が空から落下してきた。黒い影の一つがアリーナに着陸する。それは右手に大剣を左手に銃を持った、全身装甲タイプのIS。
「ねえゼロ、あれってもしかして……」
周りの観客達がザワザワと騒ぐ中、ゼロとティファは冷静でいた。
「多分奴らだろうな」
ゼロは空から落下してくる物体を見る。すると突然、秘匿回線から連絡がきた。
「ゼロ、聞こえる?」
回線の相手はスコール。
「今から貴方達に追加の任務を与えるわよ、あのISを破壊して」
「スコール、今回やつらが来る事を分かっていたから俺たちをよこしたんだろ」
「あら、分かってたの」
「当然だ、わざわざIS見物のために俺たち2人を使うなんておかしいだろ」
「物わかりがよくて助かるわ。そういうとこ好きよ」
ふふっと笑ながら答えるスコール。
「任務については了解した」
ゼロは回線を切る。
「スコール、なんて言ってたの?」
「あいつらを殲滅しろだってさ」
すると、ゼロ達の後ろで何かが落下する音が聞こえた。2人が振り向くとそこには落下してきた奴と同じタイプのISがいた。ISは右手を上げ、横薙ぎに大剣を2人目掛けて振るう。ティファはしゃがんでそれを躱し、ゼロはその剣を飛び越え背後に回る
キャアアアアアア!!
その様子を見ていた観客達から悲鳴が上がる。次第にパニック状態に陥り始め、下の方にある出口へ向かう人達。
(人前で黒零を呼び出すのは流石にまずいな……)
すると左の方からビームが飛んできた。ゼロはかわそうとするがビームはゼロではなく黒いISに直撃して吹き飛ばした。ビームの飛んできた方向を見るとそこには右手を前に突き出しているIS、銀の福音がいた。
「大丈夫!」
福音が飛んでよってきた。
「ああ、なんとか」
「それよりもこれは貴方達の仕業?」
「残念ながらちがうぞ。どちらかと言えばこいつらを破壊する側だ」
「だったらさっさとISを呼び出したら」
「そうしたいが周りに観客がいるからできないんだよ」
ゼロは出口の方向を見るとそこには係員に誘導されている観客達がまだいた。ついでに言うと、ラファールと最初に落下してきた機体は現在交戦中だ。
「なら、あいつは私に任せて!」
ナターシャは吹き飛ばしたISへ突撃しにいった。
「どうするゼロ」
少しばかり空気になりかけてたティファが声をかける。
「観客もほとんど逃げたし係員達もカメラもなさそうだから、呼びたすぞ」
「了解」
ゼロの左腕につけられたブレスレットが光り、黒零を展開する。
続いてティファのネックレスが光り、ISシエルが展開される。
<シエル>
ゼロが開発したティファ専用の第三世代型IS。開発するにあたってティファから多数の要望があったため、ゼロ曰く作るのにかなり面倒くさかったIS。
ピンク色のボディに四つのウイングスラスターが特徴的な機体。
「行くぞ!」
その言葉を合図に2人はアリーナから飛び出した。