ガーベラとの戦闘が終わったゼロはセイバーを収縮し、金色に光っていたラインは何時ものように白くなっていた。そしてそれと同時に疲労感がゼロを襲う。
「……ッツ!」
一瞬だけゼロの頭に頭痛が走りふらついてしまう。さらにはバランスを崩したことにより、落下してしまいそうになる。
「大丈夫!?」
誰かから不意に声をかけられ、落下しそうになった身体が支えられる。ゼロは疲労感を振り切り身体を支えている人の顔をみる。そこにあったのは普段の任務でよく見かける装甲を纏った少女。
「ティファか……すまない、助かる」
「どうしたのよゼロ、そんなに疲れて」
バイザーを上げ顔を見してくるティファ、そして彼女は心配そうにゼロを見つめた。
「そんなことより、敵が落下してこなかったか?紫の全身装甲タイプのISが」
「いいえ、落下してこなかったわよ」
「そうか……(入道雲の中を飛んで行ったのか)」
ゼロは下方に広がる広大な入道雲の海を眺めながら呟く。
「つーか、お前無人機はどうしたんだよ!?さっきかなりの数が行ったはずだろ」
「あー、そのことね。イギリスの代表候補生とアメリカの銀の福音とドイツの黒ウサギ隊が戦っていたから、バレないように通り抜けてきた。それよりもこれからどうするの?帰る?それとも下にもどって闘う?」
ゼロは顎に手を添えて数秒間思考を巡らせる。そして
「……いや、撤退するぞ。敵の司令官は倒したし、なにより俺の体力がきつい。最大稼働なんて使わなきゃ良かった」
「だったら、無人機は回収する?」
「スコールなら俺たちじゃなくて別の部隊に回収させるはずだ、いやきっとそうする。というわけで戻るぞ」
「了解」
ゼロはティファから離れると二人とも入道雲目掛けて落下していく。
ホテルに戻ってきたゼロはテーブルにノートパソコンを置き、今回の事件に関する報告書を纏めていた。
「よし、これで終わりっと」
キーボードのエンターキーを押し、データを保存するゼロ。ふと、時計を確認してみるとすでに時刻は午後11時を過ぎていた。ゼロはパソコンをシャットダウンする。そしてその後立ち上がりベッドへと向かう。その部屋に一つしかないキングサイズのベットに腰をかけ、自分の左腕に装着されてある黒零の待機形態である黒いブレスレットをぼんやりと眺め始める。
ガチャリ……浴室のドアが開かれる音が聞こえ、浴室からシャワーを浴びたばかりのティファがでてくる。彼女は今、寝間着に着替え、首にはタオルを掛け、身体はほんのりと火照っている。
「どうしたのゼロ?そんなに難しい顔なんかして」
彼女はそういうと、ベッドの上に乗りゼロの後ろに移動すると後ろからゼロの首に腕をまわしながらゆっくりと抱きついた。
「いや……なんでもない」
ブレスレットを見つめたまま、返答するゼロ。その言葉を聞くとティファはゼロの頭をゆっくりと撫で始める。
「そう、ならいいんだけど」
「心配させて悪かったな……それよりもどうする、明日本部に帰ってスコールに報告書を渡せば任務は終わる。そしたら休暇を貰えると思うから、2人で旅行にでも行くか?」
その言葉を聞くとティファは頭を撫でる手をやめ、にっこりと笑う。そして両腕でゼロを抱きしめる。
「行く!」
「そうか、なら」
ゼロは抱きついているティファを離すと立ち上がる。
「シャワー浴びてくるから、そしたら寝るぞ」
「うん、じゃあ待ってるから」
ティファは笑顔で返事をする。そしてゼロはシャワー室へ入っていった。