インフィニット・ストラトス 亡国の一夏   作:OLAP

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年内最後の投稿!





赤黒色の空の下での二人

赤黒色の空、大地は豪炎に呑み込まている。しかし、ただ一箇所だけ炎に呑み込まれないでいた。円状の土地に立っている2人の男性。一人は黒色の髪に白を基調とした軍服を身に纏い、そしてもう一人は金色の長い髪に黒色のロングコートを身に纏っている。

 

「こんなとこに呼ぶなんてどうかしたのか?」

 

黒髪の男性が問いかけると、金髪

の男性は無言で左手を天高く掲げる。すると金髪の男性の左手にあるガントレットが光ると、光は男性を包み込む。光がなくなると男性は黒色の機械を装着していた。全身を纏う装甲に、クリスタルのようなものが埋め込まれているヘッドギア、腕、脹脛と肩の装甲にはそれぞれスラスターが装備されている。全身を走る灰色のライン。左右非対称の腕、右腕だけが特殊な装備を付けている。さらに何処からか取り出した刀を構える。

 

「なるほど……そういうことか」

 

黒髪の男性がそう呟くとさっきと同じように光が男性を包み込み、金髪の男性と全く同じ機械を装着した。さらに此方も刀を取り出し構える。

 

「「…………」」

 

無言のまま構える両者、その姿はぶれることはなく互いに相手を見ている。

 

「はあ!」

 

先に動いたのは黒髪の男。身に纏っている機械の両脹脛に備え付けられているスラスターを使い、単純にかつ高速で接近する。距離をどんどんと詰めていく。するとそれまで微動だにしなかった金髪の男が刀を居合斬りの様に構える。

 

「……斬鋭弾!」

 

金髪の男は一気に刀を振り抜く。すると刀からビーム状の斬撃が黒髪の男性に向けて飛ばされる。地面を刳りながら進んでいく楔形の斬撃。

 

「くっ!」

 

黒髪の男は横向きにスラスターを使い進行方向を変えて、斬撃を躱す。さらに方向を変えた力を利用して金髪の男の周りを円周上移動を行う。金色の男を中心に円状移動を行い続ける黒髪の男。そして彼はあることに気づいてしまう。

 

 

金髪の男は眼を閉じていた。

 

 

恐怖、怒り、絶望

 

そんな感情、黒髪の男にはなかった。高揚感、唯一つその感情が男の心で昂ぶっていく。

 

「そういうことなら!」

 

円状移動を行っていた黒髪の男が急に金色の男に向けて直線移動を行う。それは側面でも背面からではなく、真正面から。黒髪の男は刀の先端を金色の男に向け、槍で敵を貫く様に突撃する。

 

「烈風撃!」

 

勢いよく直進していく黒髪の男。すると金髪の男が今まで閉じていた眼を開け、刀の側面を盾代わりにする。

ぶつかる刀と刀。金髪の男は相手の勢いを殺しきれずに後ろへと下がってしまう。

だが金髪の男は刀の向きを僅かに変え、さらに身体をずらして、突撃を受け流す。受け流されてしまったことにより、体制を崩してしまう黒髪の男。

さらに続けざまに黒髪の男の腹目掛けて、刀が振るわれる。体制を崩してしまったことによりまともに躱すことができない。しかし

 

「ぬおおおお!!」

 

黒髪の男は全身にあるスラスターを使い、体制を強引に変える。金髪の男の刀が擦りながら黒髪の男の腹を通過する。

 

「まだまだ!」

 

黒髪の男は体制を立て直すと、左足を軸にしながら右足を大きく踏み込み刀を上から振り下ろす。金髪の男の左肩に直撃する。しかし、金髪の男もお返しとばかりに黒髪の男の腹に刀をあて、身体を滑らかに移動させながら斬る。今度は先程の様に擦った訳でわなく直撃。

黒髪の男は斬られた腹を左手で抑えながら離れる。

 

「……強くなった……だが」

 

金髪の男が今迄閉じていた口を開く。そして、右手に持っていた刀を地面に突き刺し右手を握る。すると右手は眩い光を放ち始める。

 

「それはお前だけのものじゃねえぞ!うおおおおお!」

 

黒髪の男も刀を地面に突き刺した後、大声で咆哮する。さらに此方も右手が光始める。

そしておたがい同じタイミングで高速で直線移動し始める。右手によって大地を砕きながら進んでいく両者、そして距離が零に近づくつと腕のスラスターを勢いよく噴射させ渾身の一撃を叩き込む。

お互いに放った右手と右手がぶつかり巨大な爆発が起こる。吹き飛ばされる両者、だが途中で空中でバランスをとり綺麗に着地する。

 

「強くなったな、オレと始めてあったときから…………一夏よ」

 

金髪の男は黒髪の男のことを一夏と呼ぶ。

 

「当然だ。誰がお前の相棒だと思っている、黒零……それとも別の呼び方がいいか」

  

「黒零で構わない。オマエさっきオレに尋ねたよな、なんでここに呼び出したのか……」

 

空気が変わった。そう表現するのが最も適しているだろう、黒零の装備している機械に走る灰色のラインが金色に輝き出す。

 

「最大稼動?」

 

金色に輝き出す機体を見て一夏はそう呟く。

 

「いや、違う」

 

返答する様に黒零が喋る。すると金色に輝いていたラインはその輝きを失っていき、全身完全な黒色へと変貌を遂げる。すると何処からか黒い霧がたちこめ、黒零の身体を包み込む。それを固唾を呑んで見守る一夏。

すると突然、霧の中から右手が飛び出る。先程迄の黒零の手とは違う。威圧感のある右手、右手を天に掲げるとそれを霧を取り払う様に動かす。

 

「これが新しい力……いづれオマエが手に入れるもの」

 

そう話す黒零、その姿はぼやけて見えない。だがそこには圧倒的な存在感がある。黒零は右手で拳銃の形を作ると一夏に向ける。

 

「また、いづれ会おう」

 

その言葉を聞くと一夏も右手で拳銃の形を作り、黒零に向ける。

 

「じゃあな、相棒」

 

そう言った途端、一夏の意識はなくなった。

 

 

 

 

 

 

「んん」

 

一夏は眼を覚ます。ふと隣を見るとティファが抱きついて寝ている。幸せそうな顔で寝ている。一夏は彼女を起こさない様に左手で頭をゆっくりと撫でる。

 

「ふへへ〜」

 

なんとも幸せそうな声でニヤニヤしながら寝言を言うティファ。それを見た一夏はふっと微笑む。そして布団から左手を出すとぼんやりと眺め出す。

 

「そろそろ……か」

 

左手を布団の中に潜りこませて、再び眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 




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