学年別タッグトーナメント当日、ゼロは前回と同じようにIS学園のアリーナの屋上で目標の試合が始まるのを待っていた。
「こちらゼロ、待機地点に到着しました」
「了解、そのまま待機していて」
「なあスコール、一つ聞いていいか?」
「なに?」
「もし、ラウラ・ボーデヴィッヒのISに搭載されているVTシステムが暴走した場合にはISを奪わずにその場で黒零を使いVTシステムを破壊してもいいのか?」
「ええ、構わないわよ、寧ろそれが今回の目的なんだから」
「了解、では引き続き待機してお……」
その時、ゼロは誰かがこちらに接近している事に気が付いた。
(この気配……)
「どうしたのゼロ?」
「いや、なんでもない、引き続き任務を継続する」
そう言うとゼロは通信を切った。
すると
「誰と話していたのかな?」
若い女性の声がした。
その女性の髪は水色で髪は外側に跳ねている。さらにIS学園の制服を着ている。ゼロはこの女性を知っている、以前のクラス対抗戦でこの場所で戦った人間。そう、その女性の名は
「更識楯無」
「あら、覚えていたなんて光栄ね。ええっと、そういえばあなたの名前はなんていうのかしら?」
「ゼロ」
ゼロは自分の名前を更識につげる。
「そう、ゼロっていうの。ボイスチェンジャーはしなくていいの?それと今回のあなた達の目的は何なの?」
更識はゼロの近くに座る。
「お前にはすでに声を知られてるからな使ったところで無駄だ、それに今回は前回と違って任務の内容は話さねえぞ」
「あらそうなの」
更識はゼロの言葉を聞くと残念そうな顔をする。
「更識、お前はこんなところにいてもいいのか?お前は確か生徒会長だろ?」
「どっかの誰かさんを見張らないといけないのよ」
「そうか大変だなお前も」
ゼロはからかうよう話す。
「あなたって妹さんいる?」
突然、更識が聞いてきた。
「いるけど、それがどうした?」
「妹さんとは仲良いいの?」
「それなりにな、そんなこと聞いてどうする?」
「どうやったら妹と仲良くなれるか知りたいの」
「……は?」
ゼロはわけが分からなかった。なぜ敵である更識にこのようなことを聞かされているのか。
「だから、私にも妹がいるんだけど、ある事の所為で姉妹の仲に溝ができてしまったんだけど、どうにかしてその溝を埋めたいのよ」
「何故俺に聞く、クラスメイトかルームメイトにでも相談すればいいだろ」
ゼロのいう事は尤もだクラスメイトやルームメイトではなく、敵であるゼロに相談するのか訳がわからなかった。
「いやね、私さ学園では完璧超人に見られてるらしくてさ、相談されるけど、相談する事はできないのよ」
「なるほど、それで敵だけど妹と仲の良い俺に相談するのか」
「そういうこと、どうやって妹と仲良くなったの?」
「俺の妹も俺と仲は悪かったが、接していくうちに仲良くなったぞ。それより、どうして仲が悪いんだ?」
「うっ……それは」
事情を説明する楯無
「なるほどね、よし、お前は一回妹に謝罪してこい、それが一番手っ取り早い」
ひどく考えた更識に対し、バッサリと言い放つゼロ。
(姉に対する劣等感か……昔の俺もそんなんだったのか)
そんなことを考えるゼロ。そしてふとアリーナの内部に目を向けると今まさに百春のコンビとラウラのコンビが戦っていた。
(百春の相方はラファールのカスタム機という事はアレがデュノアか。そして、ラウラの相方は一般生徒……いや、あいつは確か篠ノ之箒?)
アリーナを見ているゼロに対し更識が
「また今回も百春くんのデータ撮りが目的?」
「そんなどうでもいいことではない、今回はもっと大事なことだ」
「大事なこと?」
更識は疑問に思った、百春のデータ撮りが目的ではなかったら何が目的なのだと。
「見ていれば分かるかもしれない」
「そう。ねえ、あなたから見て彼女達の戦いはどう思う?」
「ノーコメント」
そうこうしているうちに篠ノ之が百春によって倒され、ラウラはデュノアによって壁際まで追い込まれ、腹にパイルバンカーを撃ち込まれる。
「これで終わりかしらね」
「そうだな」
しかし、突如としてラウラが叫び、ラウラのISから黒い泥が出現しラウラを包み込み、やがて、黒色の女性剣士の姿が現れる。
「なんなのよ、アレ」
「VTシステム、俺の今回の任務はアレの破壊だ。じゃあな、更識」
そう言うとゼロは黒零を展開し、アリーナ内部へ降りた。