真・恋姫†無双~北刀伝~   作:NOマル

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~流星の遣い、決心するのこと~

 

一刀を屋敷の一室に寝かせた後、愛紗達は、夏候惇の部隊を見送る為、門前に集まっていた。

 

「夏候惇殿、ありがとうございました」

「本当助かったよ」

「曹操殿には、改めてお礼に伺います」

「それは、止めておいた方がよいでしょう。また閨に引っ張りこまれますよ?」

「えっ!?」

 

愛紗は顔を赤くし、その間に、夏候惇の部隊は引き上げていった。

 

「黄忠殿も、ありがとうございました」

「いいえ、少しでも恩返しが出来たのが嬉しいです」

「所で、星は何で“華蝶仮面”なんかになってたのだ?」

「うむ、実はお主達とはぐれた後――――私は空から落ちてきた光の球によって一度死んだのだ」

 

衝撃の発言に、皆一同、驚く。

 

星曰く、光の球は、実は天からの遣いだったらしく、“すまない、趙子龍。その代わり私の命を授けよう”と告げられた。

新たな命を与えられた星が目覚めると、枕元に“例の仮面”があった。

 

「それ以来、私は、この仮面を付けて、華蝶仮面となり、正義の為に戦っていたのだ」

 

蝶の仮面を取り出し、星はそう説明する。

 

「なんと不思議な……」

「趙雲。それって本当の事なのか?」

「いや、嘘だ」

 

その言葉で全員がずっこける。

 

「相変わらずだな、星……」

「本当だね……」

 

苦笑する愛紗に、瑠華も同意する。

 

 

◇◆◇◆

 

 

――――劉備率いる義勇軍が村に戻ってきたのは、それから三日ばかり経ってからの事。元より、無謀な策だった上、関羽、馬超の勇将欠いては、成功する筈もない。

無様に敗れた劉備は、“朝廷の威信を傷つけた“と、何進から強い叱責を受けたのでした。

 

結局、曹操の策が入れられ、反乱は無事に鎮められたのですが、それはまた別のお話。

 

 

◇◆◇◆

 

 

そして今、何事もなかったかの様に、劉備は帰ってきた。

 

「い、いや〜皆無事で何より!勢揃いとは痛み入る」

 

一体どの面下げて帰ってきたのやら。

村を見捨てようとした男を、誰が迎え入れるものか。

とにかく、愛紗達は歓迎の雰囲気ではなかった。

 

「私の知らない新顔も――――ん?」

 

劉備は黄忠を見るや否や、狼狽え始めた。

 

「こ、黄忠!?お主が何故ここに!?」

「どうして、私の名前を?――――その剣、何処かで」

 

劉備の腰に携えている綺麗な剣を見つめていると、黄忠に抱っこされている璃々が、思い出した様に叫ぶ。

 

「あっ、悪い人!」

「えっ、何?」

「あのね――――」

 

璃々は耳元で、黄忠に伝える。一瞬にして、顔が驚きの色に変わった。

 

「それじゃあ、あなたが!」

「黄忠殿?一体どうしたのだ?」

 

怪訝な表情を浮かべる、愛紗を含めた他一同。

 

「関羽さん!あいつは娘を!璃々を誘拐して、私に暗殺をさせようとした一味の黒幕なんです!」

「ええっ!?」

 

愛紗達が驚く中、劉備は汗をかき、動揺を隠し切れない。

 

「恐らく裏家業めいた悪事だけでは飽き足りず、世の乱れに乗じて一旗挙げようとしたのでしょう。きっと、中山靖王の末裔というのは真っ赤な嘘!劉備という名すら本当かどうか――――」

「な、何を言い出すかと思えば!出鱈目を言うな!この劉玄徳を貶めるとは、なんと無礼な女だ!」

「今更、何を!」

 

黄忠と劉備?の二人が言い争っていると、後方から愛紗達の間を通り過ぎ、一人の青年が劉備に近づいていく。

 

「おお、北郷殿!ご無事で何より!聞いてください!あの女がこの私を――――」

「――――話は聞かせてもらった」

「え――――「ぶほっ!?」

 

一刀は劉備の胸ぐらを掴み上げ、そのまま顔面目掛けて拳をぶつけた。

吹き飛ばされた劉備は、何度も地面の上でバウンドし、馬にぶつかって制止する。

一刀はゆっくりと近づき、劉備を見下ろした。

 

「今のは、俺の“大切な仲間”を苦しめた分だ――――これ以上殴られたくなかったらとっとと失せろっ!!」

 

親の仇を見るかの様に、劉備を睨み付ける。刀の様に研ぎ澄まされた眼光。鬼の形相で睨まれ、劉備はガタガタと震え出す。後方にいる仲間達も、目を見開いて、驚いていた。

 

「ひ、ひいぃぃぃぃ!!」

 

恐怖に呑まれ、劉備は一目散に逃げていった。

 

舌打ちをした後、落ち着きを取り戻す為、深呼吸する。すると、黄忠が歩み寄った。

 

「北郷さん、ありがとうございます」

「いえ、黄忠さん。気にしないで下さい」

「お兄ちゃん、ありがとう♪」

「どういたしまして」

 

一刀は笑顔で璃々の頭を撫で、黄忠も優しく微笑む。

すると今度は、愛紗が近寄ってきた。どこか、思い詰めた様に。

 

「――――一刀」

「愛紗……」

 

二人共、気まずそうにしている。お互いに自分が悪いと思っている、どう謝ればいいか分からない、等の理由で、言葉が出にくい。

 

「あの時、私はどうかしていた……何も知らないのに、あなたに、あんな酷いことを……」

「いや、俺の方こそ……配慮が足りなかった……本当に、ごめんな」

「一刀は悪くない!悪いのは私だ!」

「いや、俺が悪いんだ!」

「違う、私だ!」

「違う、俺だ!」

 

両者、一向に譲らない。このまま、ずっと続く――――かと思いきや、二人の眼前に、瑠璃色の頭が下から出てきた。

 

「はい、そこまで」

 

いつの間にか来ていた瑠華。二人の間に割り込み――背伸びしており、足がプルプルと震えている――、仲裁する。

 

「二人共、お互い謝った。はい、これで話は終わり」

「「いや、でも」」

「お!わ!り!」

「「は……はい」」

 

無理矢理終わらせ、瑠華は背伸びしていた状態から、バランスを崩して尻餅をつく。

それを目にし、自然に笑みがこぼれる。見守っていた仲間たちも微笑んでいた。

そこへ、朱里が走ってやって来る。

 

「皆さ〜ん!お花見の用意ができましたよ〜!」

「おっ、よしっ!じゃあ行きますか♪」

「ええ♪」

 

一刀と愛紗は微笑み合い、仲間と共に村へと帰っていく。

その足取りは、とても軽やかであった。

 

 

◇◆◇◆

 

 

その頃、桃花村から少し離れた山道。偽劉備は走っていた。

 

「ひいぃぃぃぃ!!ぐほっ!」

 

頬は痛々しい程赤く腫れ上がっている。すると、木の根に足を引っかけ、派手に転ぶ。同時に腰にある宝剣が前に転がっていった。

 

「し、しまった!」

 

偽劉備はすぐに駆け寄り、宝剣を掴む。取ろうとするも、びくともしない。

よく見ると、宝剣を“白色の足”が押さえていた。

 

「おい貴様!その汚い足を退け――――」

「バァ♪」

「ひぃ!?」

 

見上げた途端、大きな螺旋状の単眼と目が合ってしまった。偽劉備は腰を抜かし、後退る。

すると、何かにぶつかった。振り返れば、青年が不機嫌そうに偽劉備を見下ろしていた。得体の知れない恐怖に戦く偽劉備。

 

「何だ、貴様?」

「あ、ああ……!」

「退け、屑がっ!」

「べほっ!」

 

苛立ちを込め、顔面に蹴りを入れる青年。吹き飛ばされ、木にぶつかる偽劉備。白い人型の怪物が、どんどん近づいていく。

 

「ヘヘッ、食ッチマウゾ〜♪」

「ひいぃぃぃぃ!!お助けぇぇぇぇ!!」

 

偽劉備は、逃走を図る。しかし、目の前の“何か”にぶつかり、またも尻餅をつく。木とは違う、“金属の壁”にぶつけた様な痛み。

痛む顔を擦りながら、目を開ける。

 

「ばっ、化け、物……」

「――――腹、減ッタ」

 

見上げる程の巨体。黒鉛色の、鋭利な太い刺々が体から隙間なく生えている。異常に発達した両腕。不釣り合いな短足と小さな尻尾。目が見当たらないが、その代わり、大きな口が備えられている。

 

「ヨウ、【鉄拐(てっかい)】!迎エニ来テクレタノカ?」

 

蟇蝦(まが)が気さくに話しかけると、その怪物――――鉄拐はゆっくりと頷いた。

すると、鼻を動かし、臭いを嗅ぐ。偽劉備に顔を向けた。

 

「ひぃっ!!」

「……男、カァ?」

「うがっ!?」

 

後退りながら、逃走する偽劉備。しかし、鉄拐の巨大な手によって、容易に捕らえられた。必死に足掻くも、まるで万力で締め付けられる様な怪力には敵わなかった。

 

鉄拐は、口を大きく開いた。口内に生えている鋭い歯。涎が糸を引き、喉仏まで見える。

 

偽劉備は青ざめ、崩れた表情で命乞いをする。しかし、それを受ける者はいない。

ある者は興味無さげに無視し、ある者は面白可笑しく笑っていた。

 

「い、嫌だ!助けて!助けて助けて助けてた、助け――――」

 

グシャッ――――と、口を閉じた鉄拐。“口内にある肉”を咀嚼すると、地面に吐き捨てた。

 

「男ノ肉、マズイ……女ノ肉ガ喰イタイ……」

「ソウカイソウカイ。マッ、オイラモ男ヨリ女ノ方ガ好キダケドサ」

 

鉄拐は“首のない胴体”を放り、剣を肩に担いだ蟇蝦が、それを足蹴にする。

 

「ケケケッ、運ガ無ェナァ、コイツ」

「おい蟇蛾。その剣は何だ?」

「ン~、何ダロネ?」

 

蟇蛾は、落ちていた宝剣を、品定めするように見つめる。

 

「カ〜ッチョイイ〜♪ドウ?似合ウ?」

 

蟇蛾は宝剣でポーズをとりだした。

青年は鬱陶しそうに睨み、鉄拐はボ~っとしている。

 

「似合わん!とっとと捨ててこい!」

「エェ、何デダヨ左慈〜。イクラ自分ガ似合ワナイカラッテ、嫉妬シナイデヨネェ」

「うらあっ!」

「ヒョエエエ!?」

 

業を煮やした左慈は、鋭い蹴りを繰り出す。蟇蛾は体を反らして、何とか回避するも、そのはずみで宝剣が離れ、近くの川へと落ちてしまった。

 

「ア~~!オイラノオ宝ガァ……」

「今から葛玄と合流する!いいから行くぞ!」

「イテテテッ!分カッタカラ!髪ノ毛ヲ引ッ張ラナイデ〜!」

「鉄拐!案内しろっ!」

「分カッタ」

 

鉄拐が先行して進む。巨大な足が、“遺体”を踏み潰した。その上を、蟇蝦を引きずって、左慈が歩く。

 

遺体はそのまま、置き去りにされた。

 

 

◇◆◇◆

 

 

川に落ちた宝剣は、そのまま流されていき、やがて岸に着いた。

すると、一人の山賊らしき男が、宝剣を発見。

 

「おっ、良いもの見つけたぜ」

「おおっ!中々のもんだな!」

「これから幽州の方へ向かう序に、良いもんを拾ったな」

「全くだぜ、ぎゃははは!」

 

機嫌が良くなり、山賊達は、そのまま立ち去っていった。

 

 

 

 

――――この宝剣が、後に大きな鍵になる事を、誰も知る由はない

 

 

◇◆◇◆

 

 

大きな岩に、仮面を被った一人の男が座っていた。空を見上げていると、横に目をやる。

 

「いい加減に自分で歩けのろま!」

「イタッ!モウ〜乱暴ナンダカラ〜」

 

乱暴に放り投げられ、蟇蛾は引っ張られた部分を擦っている。

 

「やあ、御苦労様。左慈君」

「例の物だ。ほら」

 

懐から白い勾玉を取り出すと、仮面の男に投げ、男はガシッと掴む。

 

「うん、確かに……所で、左慈君?」

「何だ?」

「途中で、何か異常は起こらなかったかい?」

「……別に」

「そうか――――じゃあ、これはどう説明するのかな?」

 

葛玄は左慈の後ろに回り込み、彼の右手首を掴んだ。裾を引っ張ると、右手首には痣がある。左慈は痛みで顔を歪ませた。

 

「嘘はいけないな〜。外套も脱いでるし、その様子だと、周囲に姿を見られたようだね」

「ちっ……!」

「ア〜ア、知〜ラネット」

「お前も同罪だよ、蟇蛾?」

「デスヨネ〜……」

 

葛玄に睨まれ、蟇蛾は体を竦める。

 

「監視役としてお前を左慈君につかせたのに、何をやってるんだか……」

 

葛玄は顔に手を置き、呆れた様に溜め息をつく。

 

「で、その痣は誰につけられたんだい?」

「………」

「黙ってちゃ分からないよ?早く答え――――」

「北郷、一刀……!」

「――――何?」

 

忌々しげに呟いた左慈の言葉に、葛玄は耳を疑った。左慈から離れ、少し俯く。

 

「ア〜後ネ、アイツの持ッテタ木刀。ナンカヒビ割レタ所ガ光ッテタヨ。刀ノ光沢ミタイニネ」

「何っ!?お前何故それを先に言わない!」

「ゲフッ!?イヤイヤ、ダッテ左慈が黙ッテロッテ言ウカラ……!」

「何だと!?」

「ヒエエッ!」

 

左慈に首を掴まれ、蟇蝦は悲鳴を上げる。まるで、蛇に睨まれた蛙。

そこへ、もう一人の同志がやってくる。

 

「左慈、落ち着いて下さい」

「……于吉か」

 

眼鏡をかけた男、于吉が左慈の手に手を添え、優しく離させる。蟇蝦は咳き込みながら、首を擦る。

 

「まったく、何やら騒がしいかと思えば。一体、何があったのです?」

「そこの馬鹿が、ヘマをしただけだ」

「チョッ、ハァッ!?責任押シ付ケテンジャネェゾ、ゴラ!?」

 

聞き捨てならないと、左慈に詰め寄る蟇蝦。左慈も睨み付け、喧嘩腰になっている。

鉄拐は相も変わらず無関心。于吉は呆れながら止めに入る――――その時だった。

 

「――――黙ってろ……殺すよ?」

 

突如、放たれた凄まじい殺気。ピリピリと、近くの木々に生えている葉が震えている。左慈と蟇蛾は沈黙、于吉も顔を険しくする。全員の額に、一筋の汗が流れる。

 

――――パン!と手を叩く葛玄。音に反応し、肩を震わせる左慈達。

 

「な~んてね♪同志である君達を殺すつもりなんてないよ。冗談冗談」

「……やれやれ」

「ちっ……!」

「ブヘェァ~~……」

 

眼鏡の位置を直し、一呼吸置く于吉。舌打ちする左慈に、蟇蝦は地面に崩れ落ちる。

葛玄は歩み寄り、弟子である左慈の肩にポン、と手を置く。

 

「左慈君、君は気が短い上に物事の真意を見落としてしまう所がある。そこを反省してもらわないと困るな〜?」

「……分かったよ」

「うん、それでこそ左慈君だ」

「分カッタカ、左慈?」

「君は全部を直したまえ」

「ゼ、全部スカ……!?」

「で、于吉。収穫はどうだい?」

「えぇ、南華山から取ってきましたよ」

 

于吉は懐から一冊の書物を取り出した。その本には“太平要術”と書かれている。

 

「よし、これで計画の第二段階に行けるな」

「所で、気になったのですが、やけに血の臭いがしませんか?」

「確かにな」

「ウン、オイラモ思ッタ」

 

鼻に付く、嫌な臭い。しかし、彼らにとっては、嗅ぎ慣れた臭いでもある。鉄拐に至っては、先程から鼻をすんすんと嗅いでおり、匂いを楽しんでいた。

于吉の質問に、葛玄は答える。

 

「ああ、君達が来る前に、暇潰しとして“ゴミ掃除”をしていたのさ」

「成る程、“ゴミ掃除”ですか……」

 

于吉は横目で、葛玄が座っていた岩の後ろを見る。

かつて、桃花村を襲った賊達の遺体が、そこに横たわっていた。地面から突き出た無数の黒い棘で胴体を貫かれており、その様子はまるで地獄絵図。葛玄は“殺戮”をしていたのだ。“ゴミ掃除”という名の“殺戮”を。

 

「ホレ、鉄拐。餌ガタンマリトアルゼェ~?」

「男、バッカリ……女、イナイ……ダカラ、喰ワナイ……」

「好キ嫌イスンナッテ」

「さて、証拠隠滅っと 」

 

葛玄が指をパチンと鳴らす。

地面が紫色の液体に変わり、底なし沼の様に賊達を吸い込んでいく。

 

――――グルルッ……!

 

獰猛な唸り声と同時に、骨と肉を食らう生々しい音が鳴り響く。

 

「さて、左慈の報告によると、どうやら北郷一刀がこの世界に降り立ったらしい」

「なっ、彼が……!?」

「【管輅】の預言が、当たったってことさ」

 

葛玄の言葉に、いつもは冷静な于吉も驚きを隠せずにいた。

 

「そこでだ。于吉、その書物を君に預ける」

「よろしいのですか?」

「ああ、君は計画を進めてくれ」

「かしこまりました」

「俺はどうすればいい?」

「左慈君、君には僕の手伝いをしてもらうよ」

「手伝い?」

「北郷一刀、いずれ彼には挨拶しなきゃならないし……ねぇ?」

 

仮面の下で、葛玄は邪悪な笑みを浮かべていた。

 

闇は、新たな動きを見せる。

 

 

◇◆◇◆

 

 

桃花村では、村人総出で、花見が開かれていた。

綺麗な桃の花が咲き誇り、花びらが風で舞い上がる幻想的な風景を肴に、宴会を楽しむ一同。

鈴々と馬超は大食い対決をし始め、黄忠と星は酒を楽しむ。瑠華は恥ずかしそうに顔を赤く染めながら、朱里と璃々に料理を食べさせてもらっていた――満更でもない様子――。

一刀と愛紗も笑い合いながら、他愛ない話をする。蟠りも無く、楽しげに会話していた。

 

しばらく経ち、一刀と愛紗は一本の桃の木にもたれて腰掛け、鈴々は愛紗に膝枕してもらいながら眠っている。

その様子を他の仲間たちも、優しく見守っている。

 

「愛紗……お兄ちゃん……これからもずっと、ずっと一緒なのだ……」

「ああ、もちろんさ鈴々」

「なんたってお前は私たちの妹なんだからな……」

 

愛紗は慈愛の笑みを浮かべ、鈴々の頭を優しく撫でている。

 

「よく寝てるな」

「ええ、まったく……」

 

一刀は、空を見上げ、徐に手を上げる。

 

(これから、何が待ち受けているかは分からない。だからと言って、不安になる事はない)

 

一刀は片手で、ヒラヒラと舞い下りた花びらを優しく包み込む。

 

(俺にはみんなが……大切な仲間がいる。みんなと共に歩んでいくんだ)

 

仲間と支え合い、強く生きていくと、誓いを立てた。

そんな一刀の横顔を、愛紗は見つめていた。

 

トクン……と、心臓が高鳴り、胸を押さえる。今まで疑問に思っていたこの感情。しかし、今になってようやく分かった。

何故気づかなかったんだろう、と愛紗は可笑しくなり、クスッと笑う。

それは単純且つ、とても素敵な感情だ。

 

愛紗は綺麗な笑顔を浮かべ、一刀を見つめる。

 

(北郷一刀殿……私、関雲長こと愛紗は、あなたの事を――――)

 

――――花咲き誇る桃園で、姉妹の誓いを新たにした関羽と張飛。自分自身の誓いをより強めた北郷一刀。そして三人の元へと集った無双の姫達の行く手には、これから何が待ち受けているのでしょう。

 

 

そのお話はいずれまた、何処かで……。

 

 




どうもです。
何とか、ここまで書くことが出来ました。やっと一章が終わりました。
区切りが良いので、オリジナル話を書いた後、なろうでの北刀伝を進めていきます。気分転換で、たまにハーメルンの方を進めたりしますけど、しばらくはなろうを優先的に書いていきます。
これからも、よろしくお願い致します。

それでは!
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