魔法少女リリカルなのは~月光の鎮魂歌~   作:心は永遠の中学二年生

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ドン亀時間経過です。


第二話

 

なぜ日本には梅雨などという実に腹立たしい季節があるのか。

外で遊べないだろう!と、子供なら文句を言うだろう。

でも僕からすればそれは些細なことだ。

教室に居てもできることなんていろいろある。

本を読むとか、のんびり友達と話すとか。

 

冷静になれ、クールになるんだ。

そうだただちょっと…

 

「おーい、かくれんぼしようぜ!」

 

「教室でボール投げちゃダメなのに~先生に言いつけてや~ろう!」

 

「誰が先に階段上れるか勝負な!」

 

「……………………………し、静かにしてくれ(涙)」

 

教室内がうるさい。

なぜかって、そりゃ梅雨だからだ。

校庭に遊びに行けない子供がうるさいだけだ。

 

「あーもう!あんたたち、もうちょっと静かにしなさいよ!っていうか、暴れるなっ!」

 

「ア、アリサちゃん…」

 

「にゃはははははは…」

 

学級委員(だっけ?)とその愉快な仲間が頑張っているようだが、いまいち効果が出ていない。

子供には本当に困ったものだ。

僕のように静かに本でも読んでいろ。

面白いぞ、エネルギー工学って。

機械工学も勉強中だし、そのうちガ○ダム作ってみたい。

…二足歩行が難しいのは知ってるよ!

せめてガ○タンクだ!

 

とりあえず、しおりを挟んで本を閉じる。

多少の事なら目をつむるが、ボール遊びはいただけない。

 

注意しようと立ち上がった僕は、その時見た光景をおそらく一生涯忘れないだろう。

 

金髪の学級委員(だと思う)が走り回っている男の子に注意をしている最中である。

その後ろにいた月…月なんとかさんっていう女の子にボールが飛んでいくのが見えた。

瞬間、僕は足に()を流してこの後の結末を阻止しようと動く。

だが、ここは教室内でたくさんの生徒がいる。

どれだけの速度で動ける存在だろうと、周りに被害が及ばない速度となるとおのずと限界速度は決まる。

 

間に合わない…!

 

声を出しても喧噪で聞こえそうにもないし、仮に聞こえたとしても間に合わなかっただろう…本来なら。

 

月なんとかさんの向こう側に立っていた棚町さん(だっけ?)という女の子。

どう考えても彼女にはボールの接近が見えていなかったはずだ。

なのになぜ…彼女は今この瞬間ボールの阻止に動いている?

それも、おそらく初動は僕よりわずかに早い。

視線の向きから考えても、見えていた可能性はない。

ってちょっと待てやコラ!

なんで素手でソフトボール止めようとしてるんだよ!?

 

僕は右手に持っていた(思わず置いてき忘れた)【エネルギー工学の発展と展望】(市立図書館より貸与中)を思いっきり投げ、棚町さんの手にぶつかる前にボールを撃ち落とすことに成功した。

 

「怪我はない棚町さん!?」

 

「え?あ、うん大丈…って、助けてくれてありがとうだけど、棚町じゃなくて高町だよ!高町なのは!」

 

名前、間違えたか…よくあることだし気にしない。

 

「ちょっ何やってんのよあんたら!!」

 

あ、学級委員(だったと思う)が怒った。

 

「落ち着け、タルト・バーニング。まずは高町さんを保健室に連れて行くべきだろう?」

 

「そうだった!なのは、あんた怪我ない!?保健室行く?」

 

「アリサちゃん、大丈夫だから」

 

「………ダウト。高町さん、中指の先っぽが少し腫れてるね?ごめん、本投げるのが少し遅かったみたいだ」

 

慎重に、さっき彼女が伸ばしていた右手に注目して、ようやく気付けた。

 

彼女は演技の才能でもあるのだろうか?

 

自分の席に戻り、水筒から氷を取り出す。

それをハンカチでくるんで高町さんに渡した。

 

「とりあえず、これで冷やすと良い。保健室に行くよ?突き指してる可能性もあるからね」

 

「にゃ!?本当に大丈夫だよ!」

 

「素人診断で放っておいて中指が一か月使えません、とか言いたくないなら保健室だ。僕、保健委員だから連れてくよ?タルトさん、あとお願いね?」

 

「わかったわ。あとあんた、あたしの名前はアリサ・バニングスよ!タルト・バーニングなんて変な名前じゃないから!忘れんじゃないわよ!そもそもタルト焼いてどうすんのよ!?」

 

「…美味しいタルトの完成です?」

 

「うがーーーー!!って、こんなことしてる場合じゃなかった!そこの男子、正座!」

 

「わ、私もついて行きます!」

 

「ん?」

 

月なんとかさんが、同行を申し出た!

どうする?

 

→・連れて行く

 ・説得して置いて行く

 

手間を考えれば当然だよね!

 

「わかった、行こう」

 

「うん!なのはちゃん、ごめんね…」

 

「大丈夫だよ、すずかちゃん。フォルテくんが心配性なだけだよ…」

 

大きなお世話だ。

しかしそうか、月なんとかさんの名前は、「すずか」というのか。

忘れないように気を付けよう。

 

ちなみにこの後、教室内でのボール遊びは完全禁止として、僕の読書ライフはとてもしっかりと守られたのでした。

 

追記…

なぜかあれ以降、高町さんに懐かれて困っています。

あと、月なんとかさんに警戒されてるっぽいです。

「月村!月村すずかだよ!?」

 

 

 




はい、名前覚えられない系主人公フォルテでした。
当然のことながら日本人じゃありません。
…プロフィールってどこで書けばいいんだろう?

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