花開院家とぬらりひょんの孫   作:よしの桜

3 / 9
リクオ、家出する

今日のゆらは絶好調だった。

カンが冴え、怨霊を退治し、依頼人から感謝の礼をされほくほくで家に帰って来た。

 

なので、花開院本家の玄関を通り、マミルと一緒に食堂の扉を開け

 

「ただいま~、ごはんある~?」

「悪い、食っちまった」

 

いるはずのない奴の返事に固まった。

 

食堂には食後の茶を飲んでいる竜二と秋房は良いとして、なぜか妖姿の奴良リクオがいた。そして、リクオは最後のご飯を頬張る。

 

「ああああ!! 私のぉぉぉ!! 滅!!」

「ダメだよゆら、冷静にならないと」

「ゆら、夕食ならあるぞ、カップ麺だが」

「私のぉぉ!! 卵かけご飯がぁぁ!!」

「まぁまぁ」

「アンタにまぁまぁ、って言われるとゴッつ腹立つわぁぁ!!」

 

起爆札を取り出したゆらに後ろからマミル、前から竜二が取り押さえに入った。それを横目にのほほんと食後のお茶を手にするリクオに秋房は苦笑した。

 

 

 

「で、何でアンタがいるん? 竜二兄、よくコイツがいるのを許したな~」

 

ずるずるとカップラーメンをすすりながら半目で睨むゆらに、竜二は珍しく肩を落とす。

 

「まぁ、あまりにも哀れというか可哀想というか」

「うん、同情するよね」

「同情するなら説得してくれ」

「無理」

 

ここにいるワケは他の皆は知っているらしく、リクオに同情的な視線を送っている。

ハテナ顔のゆらにリクオはため息一つ、携帯を取り出し見せた。

 

「・・・・・・・・・なんやコレ」

「ほら、俺って元服しただろ。カラス天狗がそれはもう張り切って奴良組三代目の嫁候補を探した訳だ。その候補の1人」

 

携帯に映っているのは、こちらを折り目正しく見ている般若だった。

いや、コイツ見たことある奴に似ている。

般若っぽい顔、長い髪、にょきっと出た角2本、決めポーズをとっている(らしい)腕6本。

 

「土蜘蛛子・・・」

「身長は俺の3倍以上、体重は・・・シークレットとか書いてあったな」

「・・・見合い相手??」

 

遠い目をするリクオに、九州にいるはずの土蜘蛛を思い浮かべたが、彼の一族の女性らしい。マミルの問いにリクオはゆっくり頷く。

 

「妖怪世界のお見合い・・・」

「俺は少なくともジジイより年上の妻は認めん。あっちも腕2本はイヤだと言っている」

「そういう問題なん?」

「ジジイも親父も自分より小さい相手が妻なのに、俺だけ超ビッグっていうのも納得がいかん。今ジジイとカラスの奥方とささ美と牛鬼でカラス天狗を説得しているが聞きやしない」

 

リクオが携帯を操って奴良本家の画像を出した。

良く聞こえないがカラス天狗が木に吊るされており、ぬらりひょんが何やらしゃべっている傍ら、ささ美がムチで、妻の濡鴉がハタキで叩き、牛鬼が真剣で突きをする度必死にかわしている。

 

「少なくとも、カラス天狗以外はこの見合い、異常だと思っている訳だな」

「俺がいるとカラス天狗が興奮してな。ちょっと騒動が終わるまで家出した方がお互いに良いだろう」

「なんでこんなに意固地になってるんやろ」

 

現在の状況を送って来た携帯に皆がのぞき込んでため息をついている時だった。

 

「ご説明しましょう!!」

 

元気な声が後ろから響いた。

振り返るとどくろを持った少女とセーラー服を着こなす少女がいた。

 

「このお見合いはお姉さまが奴良リクオの為にお膳立てしたからです。喜べ! 奴良リクオ!!」

 

どくろを持った少女、狂骨は胸を張る。後ろにいる羽衣狐は楚々と笑っている。

竜二とマミルがゆらの前に出て守る傍ら、リクオが携帯を閉じて前に出る。

 

「妖術をかけたってワケか、羽衣狐」

「うむ。千年前にぬらりひょん一族に子無の呪いをかけた詫びじゃ、受け取れ」

 

羽衣狐は邪気のない笑顔でふふふふ、と笑っている。

ゆらには悪意がないように見えるが、きっと悪意と嫌味満載なお見合いなのだろう。

 

「なんじゃ? 妾の真意が読めぬのか? 仕方がない、狂骨、説明せよ」

「はいお姉さま!!」

 

狂骨はどくろを頭の上に器用に乗せると教師よろしく仁王立ちした。

 

「子無の呪いによってぬらりひょんという妖はたったの2人ぽっち! そして子を生せるのはなんと1人! これは早急に子を作らなくては!

という訳で1回の出産で雨後の筍の如く子が産める女性を紹介したのだ!

土蜘蛛一族で一番の器量よしを推薦したお姉さまに感謝しろ!!」

 

あまりな宣言に一同、止まった。

止める間もなくリクオは祢々切丸で羽衣狐を切りつけた。

 

「ほほほほ、良い良い、照れなくとも!」

「カラス天狗を元に戻せ!」

 

リクオの豪速連続突きを羽衣狐は4本の尾でいなし、他の尾で時々攻撃するもリクオが躱し、あっと言う間に2人は外に飛び出して行ってしまった。

 

「まぁ、この見合いは狐の悪ふざけだろうさ。そのうちカラス天狗も治るだろう」

「そうか、雨後の筍の数のぬらりひょんか・・・」

 

秋房がぽつりと呟いた言葉に、皆が無言で想像してしまった。

 

リクオに似た少年少女が大挙して、なぜか花開院家に押しかけて宴会を開く図を。

リクオに似た少年少女が押しかけて来て刀をねだって群がる様を。

 

「参戦だぁぁ!!」

「滅したる!!」

「・・・行く」

「悪夢です!!」

 

 

数日後、花開院家と奴良本家に封書が届いた。

長い文章を要約すると「ちょっといたずらが過ぎましたね、もうお見合いをセッティングしませんごめんなさい」と書かれていたとかいなかったとか。

 

 




らせんの封印とか花開院家の結界とか、妖がめっさ通っているじゃんという突っ込みは却下です(笑
最後まで読んでいただきありがとうございました。
色々訂正しています。
2016.10/7
ご飯を頬る×→頬張る
良く×→よく
ビック×→ビッグ
注・「ゴッつ」はそういうアクセントでゆらちゃんが言っていると思って書いていますので修正は無しです。わざとなんですよぉ(涙
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。