IS00:Re   作:釋廉慎

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~もしもせっさんにあの狐っ娘がついてきたら~

※この話は番外編で本編に関係なくって完全にIFの物語で作者の趣味丸出しで人によっては『ぶっちゃけいらなくね?』でそれでも『よろしい、ならば読破だ』という懐が根源よりも深い方はどうぞ。

※補足説明として、本編のプロローグ後から始まります。



番外編 もしもせっさんにあの狐っ娘がついてきたら

 

 

  刹那side

 

……何が起こったのだろうか。あの空間の歪みに呑み込まれた俺はそのまま意識を失って現在に至る。ゆっくりと瞼を開くと今自分がいるのがクアンタのコクピットだという事に気付いた。

 

 

「ここは…何処だ……?」

 

 

コクピットのメインディスプレイに映されているのは満月の浮かぶ夜の草原だ。草原といっても、若々しい緑ではなく枯れた感じの色だ。なのにその草々は弱い月の光を受けて薄らと黄金色の光を放っている。

 

ティエリアともヴェーダとも通信は繋がらない。恐らく地球のどこかだろうが、位置情報も取得出来ずわからずじまいだ。俺はコクピットのハッチを開き地面に降りて周囲の状況を確認する事にした。

実際に降りてみると画面越しでは色々と気付かなかった事に気付かされた。足首程度の丈だろうと思っていた草原は腰のあたりまであり、枯れた様な草々はその水分を失っておらず力強さを感じる。昔日本にいた頃に世話になった沙慈・クロスロードからこの草の名前を教わった気がする。……確か『ススキ』だっただろうか。

 

辺りを見回しても何もない。ただ草原が延々と続いているだけで人影も無かった。クアンタを見てみても自己診断機能で何も異常が無かった様に特に気になる様なモノはない。クアンタに戻ろうと踵を返した時、クアンタの足元に何かが倒れているに気付いた。そこだけ草が倒れてぽっかりと穴が空いている様になっているのだ。警戒心を強めながらそこに近づいていく。

 

 

「な……っ?!」

 

 

そこで見たものに俺は驚かざるを得なかった。何故ならそこには一人の少女が倒れていて、その少女の頭と腰の辺りから狐の様な耳と尾が生えていたのだから。

 

 

 

 

 

 

 

  ???side

 

……む~?えっとぅ…何で私寝ているのでしたっけ……。ああ、そうでした。なんか私の『座』に変なものがやってきた気がしたから見に行ってみようと思ったら私のすぐ目の前に落ちてきてそれがあまりにも巨大な物でつい気を失ってしまったんでしたっけ。まったく、主でもない者が乙女の部屋に無断で入ってくるのは御白洲裁きモノですよ?

 

ところで此処は何処なんでしょうねえ?布の様なそれとは少し違う様な素材でできた小さな小屋の様なモノの中で私は寝かされていて……。ああ、『座』からの情報でこれは『テント』と言うのでしたっけ。どっかの世界で『聖杯戦争』とやらに私の一部が参加していた記録が甦ってきましたよ。このテントの中を照らしているのは電池式ランプとやらで、後は簡易式の食糧などが置いてありますね。

 

おや、私の愛らしい狐イヤーが誰かが近づいてくるのを捕らえました。取り敢えずその人から根掘り葉掘り聞かせてもらいましょうか。口答えは聞きませんけど。そうして入ってきたのは褐色肌にクセのある黒髪の青年。……むう、イケメンですね。

 

 

 

 

 

 

 

  刹那side

 

クアンタに積んであったサバイバルキットのテントに気絶した少女を寝かせておいたのだが、どうやら目が覚めた様だ。テントの出入り口にある幕を除けてみると、丁度体を起こしたその少女と目が合った。

 

 

「目が覚めたか」

 

「ええ、い・ち・お・う」

 

 

……やたら『一応』の部分を強調されたがそれはこちらへのあてつけか皮肉だろうか。

 

 

「気絶していたので此処に運ばせてもらった。気絶した原因がこちらにあるというのなら謝る」

 

「まったくです。乙女の部屋にずかずかと入り込んできてあまつさえ殺狐未遂……。大罪ですからねえ?」

 

「……それは悪かった」

 

 

やはり彼女が気絶していたのはクアンタと俺が墜ちてきたのが原因か……。逆に言ってしまえばよく無事だったものだ。改めて彼女の姿を見る。彼女の容姿はピンク色の髪を紺色のリボンで二つに縛っている十代後半ぐらいの少女だろうか。服装はやたら露出の多いリボンと同じ紺色の服(『キモノ』といったか?)で一番目が行くのは頭の耳と尾だろう。コスプレというやつだろうか?しかしそれとしても彼女がこんなところで一人でいた理由がわからない。

 

 

「すまないが、こちらは情報が欲しい。此処が何処なのか、お前が何者なのか」

 

 

俺の言葉に少女は一瞬ありえないものを見るかの様な顔をして言った。

 

 

「此処は英霊の『座』です。あなた魔術師ならそれぐらい気付いているんじゃないんですか?」

 

「……英霊の『座』?魔術師?」

 

 

魔術師というと御伽話の魔法使いの様なものか?だが俺はそんなものではないしあれは空想の産物だろう。英霊の『座』がなんなのかはわからんが。

 

 

「……もしかしてマジで言ってます?いやでも魔術師でもなければ此処に辿り着くなんて……」

 

 

どうやら彼女の方も混乱しているらしい。お互い情報交換が必要な様だ……。

 

 

 

 

 

 

 

あれから俺と彼女は互いに知りうる情報を交換し合った。俺からは俺の住んでいた世界と時代、そして此処に至った経緯を。彼女からは英霊の『座』、英霊、魔術なるものの簡単な説明を。

 

 

「過去に何らかの偉業を成し遂げ信仰の対象として祀り上げられた英雄や神話の中の人物の死後の世界、か……。その様なものが存在しているとは思わなかった」

 

「私もあなたがそれだけの魔力を持っていて魔術を知らないなんて驚いちゃいました」

 

 

……作り話と思われていた魔術が実際に存在しているとはな。並行世界の可能性も捨てきれないらしいが。目の前の少女曰く、俺にも魔術を扱えるだけの素質と魔力が存在しているらしい。そう言われてもいまいちピンとこないのが本音だが。

 

 

「それにしても、あなたは何者なんです?人間にしてはどっか違う様ですし、あのでっかい絡繰りと同じ気配がしますし……」

 

 

彼女も英霊の『座』にいるとだけあって敏感らしい。彼女達過去の人物からすればありえない話だろうが、別に困る事でもないので俺とクアンタに融合しているELSとその経緯について話した。……何故だろうか、その話をした後の彼女の目が輝いてる様に見えるのは。

 

 

「ご主人様とお呼びしてよろしいでしょうか?!」

 

「何故そうなる?!」

 

「自分とは違う存在なのに身体の中にまで受け入れてしまうなんてご主人様の包容力パネエです!私も抱いて欲しい、いや寧ろ倫理アウトなまでに抱いてください!!」

 

 

何時の間に彼女は何処ぶっ飛んでいるんだ?!

 

 

「イケメンだと思ったらその魂までイケてるなんて!これはもう、運命の出会い!?」

 

「……俺はそんな風に呼ばれる様な人間じゃない。お前達の様に信仰される資格もない」

 

 

俺は少しだけ話した。俺が、俺達がしてきたのは取り返しのつかない事ばかりだと。歪みを生むモノの敵として、歪みを破壊する者として大勢の人間を殺してきた。俺については幼い時に『神の為』、『神になる為』として両親を、多くの敵兵を殺してきた。

『世界の為』とはいってもその罪は無くならず、変わる事もない。それでも、裁かれる時まで俺は生き続ける。今まで殺してきた者達の分と共に。

 

 

「……ご主人様は私が簡単に誰かに仕えるとでもお思いですか?確かに私は惚れっぽいですけれど、私が仕えるのはその人の行動が最終的に善い事ものである、と感じた方のみに仕えます。それが男性でも女性でも、子供でも大人でも、罪人でもあろうと、悪人であもあろうとも、です。私の願いは一度仕えた主には自分が汚名を被ってでも幸せになって欲しい、その為ならば六道輪廻の果ての果て、主の魂魄尽きるまでお仕えします!」

 

 

でもご主人様にだけ自分語りさせるのも良妻としてよろしくありませんね、と少女は今度は自らの過去を語り始めた。

 

彼女は日本の代表的な神の一人格であり、それが分離した存在であると。彼女の元になった神は自分達より弱い有象無象の存在である人間が幸福の要素も無しに何故そんな風に幸せそうに笑い、自分達を祀り仕えるのかに興味を持ったと。

そして神はある時代に人間の少女として転生した。己が何者であるかを忘れたまま。そして少女はその美貌と博識さからその時代の最高権力者に寵愛され、幸せな時間を過ごした事。しかしそんな時間は何時までも続かなかった事。ある日自分が人間でない事を知り、周りにもそれを知られ逃げる様にして愛する者の元を離れた事。『人非ざるモノ』として追われ殺されかけ、身を護る為に抵抗し追手を殺し、そして最後は殺されてしまった事。

自分は神が最初に抱いた『誰かに仕えてみたい』という願望と興味が実体化したものでありながら『人非ざるモノ』が人間社会の中で幸せになれる、人間が神になれないように神が人間になれる筈がないと最後まで気付けなかった事。

 

 

「だから私はご主人様と分かり合い受け入れてもらえたその『えるす』とやら羨ましく思います。完全に人間とは違う姿、性質を持っておきながら人間と共に生きる事の出来たその有り方を」

 

 

そう締めくくる彼女の顔は何処までも辛そうで、寂しそうだった。だから俺は伝える。俺の言葉を、俺が思った事を。

 

 

「だが少なくとも俺達は分かり合えた」

 

「……え?」

 

「互いに自分の事を話し、互いに受け入れた。ならばそれは分かり合ったのと同義だ。一度分かり合えたのなら、共存する事は不可能ではない」

 

 

人間は神にはなれない。それは俺もあの戦場という名の地獄で知った事だ。それはそうだろう、例え同じ遺伝子を持っていたとしても人は自分以外の誰かになる事など出来ないのだ。世界は複雑であり同時に単純でもある。『矛盾』を孕んでこそ世界であり人間なのだ。

 

 

「……でしたら、ご主人様はこの私を受け入れてもらえますか?」

 

 

彼女は俺に問う。その顔は俺の返答如何で今後の人生が全て決まってしまうかの様だ。そして、俺の答えは――

 

 

「ああ、俺は『タマモ』を受け入れる」

 

 

寧ろ断る理由が無い。彼女が神の一部であったとしても彼女は彼女であり『タマモ』という一人の少女なのだ。

神の興味が実体化しただけとは言っても彼女の願いは間違いなく本物であり、彼女自身の本心からの願いである事には違いない。

 

 

 ――だがいずれ終わりは訪れる

 

 

いきなり地震の様な振動がこの『座』を揺らし始めた。突然の事態に俺は驚いてしまう。

 

 

「これは『世界』が修正力を……?まさか、ご主人様を追い出そうとして?!」

 

 

タマモ曰く、世界の意思である『ガイア』と霊長の意思である『アラヤ』の二つが存在しており、それらが『俺』という不純物を追い出そうとしているのだとか。俺が此処にいるのは偶然なのだが、向こうはそんなものを聞き入れはしないという。急いで俺はクアンタに乗り込み、ハッチを閉じようとして――タマモが飛び乗ってきた。

 

 

「タマmむぐっ?!」

 

 

突然俺の唇がタマモのソレで塞がれる。そして伝わってきたのは鉄の味がする液体…要はタマモの血だ。あまりにも予想外な展開に思考と体が固まっているとタマモは――唯一俺の肌が露出している部分である――顔の頬に爪を立てそこから流れる血を口に含んで呑み込んだ。

 

 

「いきなり何を?!」

 

 

問い質そうと言葉を放とうとした瞬間に、俺の意識は此処に来たように途切れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

……目が覚めた俺の視界にまず飛び込んできたのはピンク色の髪と狐の耳…タマモの頭だった。草むらの上で、俺に抱き着く様にタマモの体が圧し掛かっている。

 

 

「……ん、はっ?!無事ですかご主人様?!」

 

 

意識が覚醒したタマモが俺に詰め寄ってくる。取り敢えず俺は無事なのだが、何故お前が此処にいる?

 

 

「いや~、せっかくご主人様と出会えたのに何処かのKYの所為で離れ離れになんてなりたくありませんから『パス』を繋いだんですよ。ふふふ、緊急とはいえご主人様とヴェーゼ出来てタマモ幸せです~ぅ☆あ、今度はご主人様からもっと熱~い一発をいただいてもかまいませんよ?寧ろバッチ来い……!」

 

 

……どうやら『パス』と呼ばれる魔術的な繋がりを形成する事で『座』から弾き出されても尚連いて来れたのだとか。あのキスはパスを繋ぐのに血を交換する必要があったかららしい。

だが此処はタマモがいた『座』でもなく、俺のいた世界でもないらしい。つまり元に帰る手段が無いのだ。それでもいいのかと彼女に尋ねると――

 

 

「そんな、ご主人様と一緒に居られるのならたとえ火の中水の中汚染された聖杯の泥の中!前にも言いましたが、主の魂魄尽きるまでお仕えします!」

 

 

喩えがよく分からないが問題は無いらしい。こうして俺の不思議な旅仲間が出来たのであった。取り敢えずご主人様は勘弁願いたい。それだけ思った。

 

 

 

 

 

 

 

※ここからダイジェスト方式でお楽しみください。

 

 ――『IS』へと変化し自我が芽生えた愛機『クアンタ』

 

「無機質ポンコツが何言ってんですか。そんなんでご主人様を満足させられるとでも?」

 

『今すぐこの駄狐をライザっていいですかいや寧ろさせて下さいマイスター刹那!?』

 

 

(『ライザる』…ライザーソードをぶちかます事だよ!よい子は真似しないでね?)

 

 

 

 ――仲間との再会

 

「この男の娘(笑)が……」

 

『その侮辱、万死に値する……!』

 

 

 ――『天災』と『世界最強』との出会い

 

「君自身には興味ないけど君の身体と機体とそこのキツネさんに用があるんだよね!」

 

「おととい来やがれこのキチガイウサギ。鉄格子の向こうから二度と出てこないで下さい」

 

「お前にはIS学園に入ってもらう」

 

「誰の許しを得て言ってるんですかこのいかず後家予備軍が。神が許そうが私が許しません。猿山大将の野犬は鎖に繋がれて大人しくして下さい」

 

 

 ――世界を揺るがした少年と……

 

「まずは金的っ!次も金的っ!懺悔しやがれ、コレがトドメの金的だーー!!」

 

「ふぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおうっ?!?!」

 

「「「「「一夏(さん)?!」」」」」

 

「これぞ全世界の一夫一妻派の為の必殺、去勢拳……!」

 

 

 

※続かないよ!!

 

 

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