リリカルなのはvivid―アナザーメモリーズ― 作:NOマル
他にも似たような感じの小説がありますが、色々な設定など自分なりに考えながら書いてみました。
どうか、ご覧頂けたらと思っております。
――――その時代は、長い戦乱に晒されていました。
幾つもの国が乱立し、領土と実りを奪い合い、侵略しあった乱世の時代。
そんな時代を終わらせるべく、諸国の王達は、覇権を巡って更に争い、戦乱の規模を大きくしていきました。
中でも、古くから歴史の書に記され、後生まで伝え続けられた王達がいました。
聖王――――【オリヴィエ・ゼーゲブレヒト】
覇王――――【クラウス・G・S・イングヴァルト】
冥王――――【イクスヴェリア】
そして魔王――――【キバ】
この時代では、私達の様な人間とは別に、“魔族”という種族が存在していました。中でも、その頂点を争っていたのが、キバが治める“ファンガイア族”、そして、“レジェンドルガ族”。
この二つの種族による争いは、この世を更に混沌の地へと変えていきました。
戦いは長きに渡り、ついに“相討ち”という結果に収まりました。レジェンドルガ族を含め、他の魔族全てが絶滅。対するファンガイア族も勢力を失い、まるで幽霊にでもなったかの様に、その姿を消しました。
魔王もまた、その姿を現す事はありませんでした。
それでも戦乱の時代からその歴史の終焉まで、様々な思いを持って、生き抜いた人々がいました。
その世界の名は、“ベルカ”
今はもう、歴史の中に名を残すだけの世界――――
◇◆◇◆
第一管理世界【ミッドチルダ】
魔法文化がもっとも発達している世界で、魔法といった概念が当たり前の様に存在している。
“第一”とある様に、次元世界は一つではない。無限という言葉に等しい、数え切れない程に存在する次元世界。ここでは、異世界との交流も多く、別世界の住人も少なからず、この世界に滞在している。
そして、その次元世界の秩序を守るべく、結成されたのが【時空管理局】だ。
各次元世界の管理、凶悪犯罪や大災害の対処。いずれも、ありとあらゆる次元世界の平穏を守るべく、日々奮闘していた。
かつて、ミッドチルダを震撼させた二つの事件。
【JS事件】・【マリアージュ事件】
いずれも、歴史に残される大事件へと発展していった。
しかし、二つの事件は【機動六課】のメンバーによって、解決に至った。
いずれも、大きな犠牲を払った。
だが、心に染み付いた悲しみを乗り越え、今と向き合っている。今の平和を守る為、管理局の一員として、別々の道で尽力している。
――――それから数年後、平穏の時は静かに崩れ去ろうとしていた。
◇◆◇◆
その日は、酷い大雨が降っていた。
夜空が黒雲に包まれ、月の光が閉ざされている。にも関わらず、都会の街が照らす光は、あまり暗闇を感じさせない。
それに加え、今日はやけに騒がしかった。街道にはサイレンが鳴り響き、“とある場所”にて、人だかりも出来ている。
立ち入り禁止のテープが張られ、管理局員が通さない様に立ち塞がっている。
“ソレ”は、好奇心に駆られた民衆の視界に入った。
雨に濡れた冷たい地面の上に散らばる、色彩豊かなステンドガラスの破片。信じられないかもしれないが、元は“人間”だったのだ。
ここ最近、ミッドチルダにて頻発している怪事件。
前触れもなく現れた異形の姿をした怪物。その怪物に命を吸い取られると、先程のステンドガラスの破片に成り果ててしまう。
目撃情報も多々あり、実際に管理局員が遭遇し、対峙した事もある。しかし、得体の知れない未知の存在である怪人に手も足も出ず、何人もの局員らが重症を負う始末となった。
この事態には、上部関係の局員達も頭を悩ませていた。
そうこうしている内に、今日もまた事件が起きてしまった。この怪事件は、街の住民達を、確実に恐怖へと陥れていった。
人通りの少ない、薄暗い路地裏。街が照らし出す光から逃げる様に、“ソレ”はその息苦しく、狭い通路を歩いていく。
“ソレ”は、人間ではない。
全身がステンドグラス状に彩られ、動物に酷似した姿が特徴的だ。口を開けば、涎が糸を引いている。鼻息を荒くしながら、ゆっくりと歩いていく。
先程、狙いを定めた人間から、栄養分であるライフエナジーを吸い取り、空腹が満たされた所だ。その為か、微かに笑っている様にも見える。
今日も今日とて、良き食事が摂れた。明日もまた……、そう期待しながら、怪人は堂々と地面を踏み締める。
しばらく歩き、路地裏から抜け出した。
そこもまた、人気のない、地面がアスファルトで出来ている広場。その中心部まで近づいた――――
「…………っ?」
ピタッ…………と、雨が止んだ。
通り雨が過ぎた後の様に、その場は静寂が支配する。しかし、それはすぐに破られた。
コツ……コツ……と、足音が鳴り響く。怪人は思わず足を止め、辺りを見渡す。足音がその場で反響し、中々相手を見つけられない。目を光らせながら見渡していると、足音の主が、その姿を現した。
両肩と右足が鎖で封じられた、銀の鎧。両腕両足は黒く、胸元は紅に染まっている。顔はジャックオランタン、或いはヴァンパイアを彷彿させる仮面。
謎の仮面を付けし戦士は、月光を背に、目の前の怪人に近づいていく。対して怪人は、全身が驚愕に震えていた。
そして…………
「――――キバ」
そう、呟いた。
次回から、原作の方に入っていきます(ほんの少しですが)。