リリカルなのはvivid―アナザーメモリーズ―   作:NOマル

17 / 28
ゲンホウファンガイア――深緑色のモスファンガイアっぽい外見


flare―星光の殲滅者―

荒れ果てた荒野。そこに建っている少数のビル群。

人が全く寄り付かないであろう、その地区は、今は“ある人物”の根城として使用されていた。

その根城へと向かう、二体のネオファンガイア。その表情は憤慨に満ちている。

何も知らない人間が鉢合わせれば、瞬く間に八つ裂きにされる程に。

 

「あそこね」

「我らをコケにしやがって……!」

 

目的地が見え、更に憤る二体。一歩進む、と同時に、歩みを止めた。

 

「まさか……」

「追ってきたか」

 

微かなバイク音と共に、遥か後方から、何かが近づいてくる。誰が追いかけているかは、言うまでもない。

 

「先に行って。ここは私が」

「なに?それなら――――」

「早く行かないと、あいつが覇王に何かするかもしれないでしょ。それを止めておいて」

「……分かった」

 

ゲンホウに言われ、ミノタウロスは先に向かう。一人残ったネオファンガイアは、近くのビル群を一瞥する。

 

「迎撃、開始」

 

踵を返し、そのビル群へと消えていった。

 

 

◇◆◇◆

 

 

荒野を走る、一台のオートバイ。深紅に染められた車体。“深紅の鉄馬”という異名を持つバイク――――マシンキバー。

そのマシンキバーに誇るは、キバに変身したネクサス。速度を上げ、目的地へと急行していく。

 

――――因みに、免許の方は特殊な経緯にて取得している。

 

荒野を走る鉄馬。その後は、砂煙が吹き上がる。そのまま現場まで行ける――――かと思いきや、そうはいかない。

 

「っ!?」

 

突然、銃声が鳴った。

同時に、バイクのすぐ真横に銃弾が突き刺さる。それだけに止まらず、銃声は鳴り続け、銃撃が繰り出された。

キバはマシンを乗りこなし、ジグザグに走りながら、射撃を回避していく。

 

「キバ!あそこに避難するわよ!」

 

キバーラの指示により、キバはバイクを旋回させ、建物の陰に身を隠す。

それを目にし、銃口を下げる一体のネオファンガイア。

 

「さて……どう動くかな?」

 

二丁の銃を手にしながら、ゲンホウファンガイアはその場を後にする。姿が見えない以上、長居は無用だ。ならば、こちらから出向くとしよう。

ゲンホウが移動を開始した頃、キバはマシンキバーを停車。バイクから降り、物陰に潜む。

 

「もしかして、ネオファンガイア……」

「ここで通せん坊って所かしら」

 

柱から顔を覗かせ、周囲を見渡す。敵は、どこから来るか分からない。警戒し、身を潜めながら、先へと向かう。

一歩、また一歩と踏み出していく――――更に一歩目、足元に銃弾が被弾した。

キバはすぐにその場から離れ、近くの柱に身を隠す。

 

「残念、外しちゃった」

 

二丁の銃を肩に担ぎ、こちらを見据えるゲンホウファンガイア。静かに歩みながら、周りを見渡している。

 

「出てらっしゃい、隠れても無駄よ~?」

 

おどけた口調で話しかけるも、その眼差しは獲物を捜索。手に持っている銃も、構えたままだ。

油断も隙もない。その佇みから、キバはそう感じ取る。

 

『見るからに遠距離攻撃を得意としてる。なら……』

『時間もかけたくないしね。あの子に任せましょう』

 

念話で作戦を練った後、キバは橙色のフエッスルを取り出し、キバーラに咥えさせる。

 

「メラメラと撃ち抜いちゃって!」

 

そして、笛の音を奏でる。

 

 

◇◆◇◆

 

 

少女の頭に響き渡る、聞き慣れた笛の音色。自分を呼ぶ号令であると確認。

 

「――――参ります」

 

少女の体は橙色の光に包まれ、球体となる。そして待機場所から、自らを呼ぶ者の元へと向かった。

 

 

◇◆◇◆

 

 

突如、後方の彼方から“何か”が接近。ゲンホウはそれに気づき、すかさず銃口を向け、引き金を引いた。銃が火を吹き、銃弾が放たれるも、橙色の光球は難なく回避。ゲンホウに体当たりし、ファンガイアの体から火花が散る。一撃を入れ、直ぐ様キバの元に向かった。

 

『カモン、シュテルッ!』

『承知致しました』

 

キバが右手を伸ばし、橙色の光はその手に収まった。

 

その瞬間、光は形を成していく。

 

橙色を主体に緋色のパーツが所々に埋め込まれている銃、【魔焔銃・ルシフェリオバスター】。右腕、胸元を鎖が何重にも巻き付き、弾け飛んだ。

体は、焔を模した形状の鎧へと、瞳の色は橙へと変化した。

 

『失礼します』

 

キバは【フレアフォーム】となり、ルシフェリオバスターを手に取る。

身を隠した柱から飛び出し、両手で構え、一瞬で照準を定めた。突然、獲物が堂々と姿を現した事に動揺してしまい、咄嗟の行動が遅れてしまうゲンホウ。慌てて引き金にかけている指に力を入れた。

 

「発射」

 

こちらが素早く引き金を引き、銃口から炎の弾丸を射出。キバが放った一発が、ゲンホウの肩に直撃した。

 

「があっ!?」

 

初弾は見事に命中。火花が飛び散り、ゲンホウは大きく後退した。痛みに耐え、再度狙いを定めようとするが――――。

 

「このぉ……!」

「させません」

 

更に二、三発目を撃ち込む。

二発目は銃を弾き、最後は右膝部分に被弾した。悲鳴を漏らし、膝が地面につく。

 

「ぐ、ぅぅ……!」

 

痛む箇所を押さえながら、ゲンホウは一人考える。この場から逃げる方法を。

まさかの事態になってしまった。紛い物だと思っていた相手の手によって、瞬く間にこちらが不利に。

 

(くそっ!くそっ!こんなの想定外よ!冗談じゃない!)

 

覇王の血は惜しいが、自分の命の方が大事だ。この際、もう一人――ミノタウロス――に押し付け、自分はもう下がろう。

即決断し、ゲンホウはすぐに仕掛けた。

 

「食らいなぁ!!」

 

力を振り絞り、全身から鱗粉を撒き散らす。壁や地面に付着した瞬間、火花を散らしながら爆発。瞬く間に、煙が充満していく。

キバは咄嗟に身構え、後退した。

その隙に、ゲンホウは踵を返して、場を走り去る。否、羽根を動かし、出口目掛けて飛び立とうとしていた。

 

(こんな所でくたばるなんて真っ平ごめんだわっ!!早くここから逃げないと)

 

痛みが増しているのか、堪えているのか、ゲンホウは時折呻き声を漏らす。怪我した部位を押さえながらも、羽根を必死に動かす。

一瞬、後ろに視線を向けた。煙が立ちこもっており、こちらから標的(キバ)の姿は見えない。ならば、あちらもこっちの姿を把握できていない筈。そう結論付け、ゲンホウは一安心しながら、出口へと向かっていった。

 

「――――標的(ターゲット)、確認しました」

 

一方、キバは標的を“捉えていた”。しっかりと、その眼で。

フレアフォームが優れているのは、射撃能力だけではない。標的を決して逃さない、優れた視力。瞬時に相手の姿形を探知し、狙いを定めた。

そして、武器である銃を、キバーラに咥えさせる。

 

「【フレアバイト】!!」

 

魔皇力を注ぎ終え、キバは武器を構え直す。

建物の外、空は闇一色に染まり、橙色の半月が現れた。

 

「な、なにっ!?」

 

異様な光景に気づき、ゲンホウは動きを止めてしまう。否、止めてしまった。

 

「ああ、ぁぁああぁ……!!」

 

恐る恐る、横目で後方を確認。

燃え滾る炎の弾丸を装備した銃口が、自分に向けられていた。未だ、煙が晴れていないというのに、その輝きだけが自らの網膜に焼き付く。

同時に、底知れぬ恐怖がゲンホウを襲った。我に帰り、またも逃げようと試みる。

しかし、それは叶わなかった。

 

「ぐぁっ!?」

 

突如、地面に魔法陣が浮かび上がり、そこから数本の鎖が飛び出す。その鎖はゲンホウの全身に巻き付き、体に自由を奪った。

必死にもがき、拘束を破ろうとするも、手負いの状態では、解く事は出来ない。

 

「発射準備、完了」

 

赤き炎を操りし者の口から告げられる、冷徹な宣告。

 

「ま、待って……もう、降参…あ、あの末裔の事は諦めるから……お、お願い、た…助けて……ゆ、許して……」

 

恐怖に震えた声音で、必死に命乞いをするゲンホウ。煙の向こうで収束していく炎の輝きを目の当たりにし、更に恐怖へと陥る。それでも、腹の底から声を出し、慈悲を懇願。

 

「や、やめ――――」

「――――発射(シュート)

 

引き金が、引かれた。

 

強烈な爆発音と共に、銃口から巨大な火炎放射、或いは熱線が放たれる。その風圧により、煙は容易く切り裂かれた。そして、膨大な熱エネルギーの塊は“的”目掛けて一直線に伸びる。

 

「ああああああああああああああ!!」

 

燃え盛る灼熱の炎は、鎖に繋がれた魔の者を飲み込んだ。全身に熱を浴び、断末魔の叫びさえ、その轟音にかき消される。

 

【フレア・デストラクター】

 

ほぼ消し炭と化した亡骸に、待機状態のルシフェリオンを模した紋章が浮かび上がる。その直後、亡骸は砕け散り、やや焦げたステンドガラスの破片が地面に落ちた。

そして、内包されたライフエナジーは、明るくなった外へと向かった。

 

「迎撃、完了しました」

「害虫駆除、お疲れ様」

 

報告するシュテルに、労いの言葉を述べるキバーラ、

 

『シュテル、悪いけど、急いでアインハルトさんの所に』

「はい、直ちに向かいます――――」

 

咄嗟に、シュテルはルシフェリオバスターを自らの背後に向けた。そこには、“誰もいない”

 

「この気配、まさか……」

 

ボソッと呟き、シュテルは再度武器を構え直した。

 

「シュテル、危ないっ!!」

 

キバーラの声に反応し、自らに襲いかかる“何か”に銃を向ける。

しかし、相手の方が早かった。“黒い集合体”は触手の様に、キバの両手足に絡み付く。先程、ゲンホウを捕らえていた時と同様。しかも、今度は自らが拘束されてしまうとは。

 

「“ジェノム”……って事は」

「間違い、ありませんね……」

 

キバーラとシュテルは、確信した。今回の出来事に、“奴”が関わっていると。

結論に辿り着いた直後、キバが立っている地面に、魔法陣が描かれた。地面だけでなく、壁や天井、あらゆる箇所に出現。

 

「やばっ……!」

「くっ!」

 

魔法陣の光が強くなった所を目にし、キバーラとシュテルは、同時に顔を歪ませる。

 

そして、爆発が起きた。

 





【挿絵表示】


こんな感じなんだな、と思っていただけたらと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。