リリカルなのはvivid―アナザーメモリーズ―   作:NOマル

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まずは、原作主人公であるヴィヴィオの視点から始まります。


vivid―始まり―

わたし――――【高町ヴィヴィオ】は、ミッドチルダ在住の魔法学院、初等科四年生。“公務員”のママと二人暮らしで、けっこう仲良し親子です。

 

仲良しの友達――――リオとコロナ。

 

結構ハイレベルだけど、楽しい授業。

 

実は昔、自分の生まれについて“色んな事”があったりもしました。

 

それでも、わたしを“高町ヴィヴィオ”として生きる事を許してくれた人達のおかげで、わたしは今、すごく幸せだったりします。

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

Stヒルデ魔法学院、図書室。

 

始業式が終わり、ヴィヴィオは親友であるリオ、コロナと共に図書室にいた。

 

本を読みながら、談笑する三人。すると、ヴィヴィオが持つ携帯端末から着信音が鳴る。

先程、親友二人と撮った記念写真を、お世話になっている人達に送り、それが返信されてきたのだろう。

 

「そういえばヴィヴィオって、自分専用のデバイス持ってないんだよね?」

「それって、普通の通信端末でしょ?」

「うち、ママとレイジングハートが厳しくって――――」

 

『基礎を勉強し終えるまで自分専用のデバイスとかいりません』

 

「――――だって」

 

ため息をつきながら、答えるヴィヴィオ。親友二人も、苦笑いを浮かべている。

リオは既に自分専用のデバイスを持っている為、羨望の眼差しを向けるヴィヴィオ――因みに、“リオの兄”も持っている――。

 

すると、再度ヴィヴィオの端末に通信が入った。

 

「あっ、丁度ママからのメールだ」

「何かご用事とか?」

「平気平気。早めに帰ってくると、嬉しい事があるかもよ――――だって」

「じゃ、借りる本決めちゃお」

「うん!」

 

席を立ち、本を探す三人。

 

すると……。

 

「おっと、と、わあっ!!」

 

いつもは静かな図書室に、とても騒がしい音が鳴り渡る。ドサドサッ!と、数冊もの本が崩れ落ち、“一人の少年”がその下敷きになってしまった。

 

図書室にいた誰もが視線を向ける。

ヴィヴィオ達も驚き、本棚から本を抜く動作を止めてしまう。目を見開いて見ると、ヴィヴィオはその少年の元に向かう。

 

「ネ、ネクさん!?」

「すっごい音がしたけど……」

「だ、大丈夫ですか!?」

 

少年に乗っている本をどけながら、心配そうに声をかける三人。

少年はヴィヴィオに手を引かれながら、ゆっくりと立ち上がる。

 

「いたたた……ありがとう、ヴィヴィオちゃん。ウィズリーさんにティミルさん。もう大丈夫だよ」

 

くすんだ灰色の短髪、線が細く温和な印象を与える顔立ち。

ネクさんこと【ネクサス・ローライト】。魔法学院中等科一年の男子生徒だ。

同時に、図書委員でもあるため、図書室で本の貸出を受け持っている。

 

「いや~、本の整理をしてたら、うっかり脚立から足を踏み外しちゃって……」

「そうだったんですか」

「でも、怪我がなくて良かったです」

 

ネクサスとヴィヴィオは、一年程前からの顔見知りだ。リオとコロナとは、ヴィヴィオの紹介で知り合った。

 

「あっ、もしかして本を借りるの?」

「はい」

「じゃあ、受付で貸出をしてあげるよ」

「ありがとうございます」

 

図書委員であるネクサスに本を提出。その際、ネクサスも会話に加わっていた。

 

「じゃあ、三人は今回同じクラスなんだ?よかったね」

「はい。ネクさんは?」

「残念ながら、“二人”とは別のクラスだね。でも、休憩時間とかに会えるから、どうってことないよ」

「そうなんですか……」

「これからも“兄”の事、よろしくお願いします」

「うん、こちらこそ」

「それではローライト先輩、私達はこれで」

「ああ、じゃあね」

 

三人は手を振りながら、図書室を後にする。微笑みながら、手を振り返すネクサス。

 

「さて、仕事仕事っと……」

 

頼まれていた書類などを積み重ね、それを持ち上げると、ネクサスも図書室から退室した。

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

――――時は少し遡る。

 

魔法学院の生徒達が、校舎の中へと入っていく。大勢の生徒達の中にも、ネクサスはいた。

鞄を背負い、一人で登校している。しかし、そんな彼に声をかける少年がいた。

 

「オ~ッス、ネク!」

「おっと、と。やあジャン、おはよう」

 

ネクサスの首に腕を回しながら、大声で挨拶を交わす少年。明るい緋色の髪に、口元から微かに見える八重歯。無垢な笑顔で、元気いっぱいと言った雰囲気を出している。

名を、【ジャン・ウェズリー】。

 

「ったく……朝から煩いな、お前は」

「おはよう、アイザ」

 

呆れた様にため息をつきながら、後方からやって来た少年。

暗色系の紺色の髪で、前髪で右目がやや隠れている。こちらはジャンとは対照的に、冷静沈着なイメージを与える。

もう一人の少年【アイザ・コルフォード】は、二人と合流する。

 

「ちょっとは周りの目とかも気にしろ」

「そう言うなってアイザ。またクラス一緒だといいな!」

「うん、そうだね」

「俺としては、騒がしいお前だけどっか行ってくれればそれでいいけどな」

「オレだけ!?つれない事言うなよ~」

「だったら遠慮という言葉を知れ。そんなだから妹にも叱られるんだ」

「うぐっ、リオの事は言わないでくれよ……」

 

妹の名前を出され、ジャンは途端に黙ってしまう。本来は兄という立場にいる自分であるが、何かをやらかしてしまう際、いつも妹に説教込みで色々と御叱りを受ける。これは小さい頃から続いており、言葉での喧嘩であれば、妹に完敗する自信がある。

その事を思い出しているのか、ジャンは顔を青ざめ、小刻みに震えている。

 

「だ、大丈夫……ジャン?」

「気にすんな。ほら、早く行くぞ」

「ちょっ、置いてくなって!?」

 

軽い談笑も交えながら、三人は校舎へと入っていった。

 

 

それから始業式も終え、決められたクラスに向かう。式の最中、夢の中へと旅立っていたジャン。終わった後も眠気が覚めず、フラフラとよろめいていた。アイザは呆れながら、首根っこを思い切り掴んで、自分のクラスの教室へと連れて――引き摺って――いった。

 

ぐへっ!?と呻いていたが、多分大丈夫だろう。

 

グギッ!という音が鳴っていたが、恐らくは大丈夫だろう。

 

 

 

クラス替えが決められ、親友二人とは別のクラスとなってしまった。

 

「二人とは違うクラスか……。まあ、言っても仕方ないよね」

 

ネクサスは自分の教室に入り、辺りを見渡す。顔見知りの相手が多いのか、他の生徒は生徒同士でグループを組んで会話をしている。

中々に早い展開に苦笑しながら、ネクサスは自分の席へと座る。窓際の一番端にある席だ。

近づいていくと、自分の隣には既に生徒が座っている事に気づく。

 

「あっ、アインハルトさん。おはよう」

「………ネクサスさん、おはようございます」

 

驚きながらも、落ち着いた物腰でネクサスに挨拶を返す女子生徒。

ツインテールに結んだ碧銀の髪。何より特徴的なのが、左目が青、右目が紫という青系統の虹彩異色(オッドアイ)

ネクサスは少女――――【アインハルト・ストラトス】の横の席に座る。

 

「同じクラスみたいだね、これからよろしく」

「はい。こちらこそ、よろしくお願い致します」

「知っている人がいてよかったよ。ジャンとアイザとは違うクラスになっちゃったしさ」

「そうなんですか……」

 

顔見知りの相手がいると、どこか安心する。ネクサスはちょっとずつ話しかけ、アインハルトも返事を返していく。

 

ジャンとアイザは勿論の事、アインハルトとも、初等科からの付き合いである。

最初はぎこちない雰囲気であったが、ネクサスから少しずつ歩み寄っていく事によって、今となっては、こうして普通に会話できるまでに進歩していった。

 

しばらく会話をしていると、担任教師が教室に入ってきた。

 

「全員席に着いたな?では、出席をとる」

 

点呼を取り、生徒達は返事をする。欠席者が欠席者がいないことを確認し、ホームルームを行う。今日は始業式だけの為、学院は昼までとのこと。そして最後に。

 

「ここ最近、物騒な出来事が多発している。みんな、出来るだけ一人で行動しない様に。充分気を付けるんだぞ?」

 

教師からの注意事項に、はい、と返事をする生徒達。それを確認し、ホームルームは終了となった。

 

教師が教室を出た後、室内は生徒達の談笑で騒がしくなる。その会話には、“ある噂”が広がっていた。

 

「ねぇねぇ、知ってる?人を襲う“怪人”の事」

「ああ、最近噂になってるよな」

「人を食べるんだって?」

「違うって。確か、命を吸い取るって聞いたぞ。吸い取られた人間は、死んじゃうって」

「マジかよ、なんか怖いな……」

 

ここ、ミッドチルダにて多発している怪事件。それは、中等部の生徒達の間でも噂になっていた。

そんな会話を耳にしながら、鞄を手に持つネクサス。

 

「さて、帰ろっかな。アインハルトさん」

「…………」

「アインハルトさん?」

「…………えっ?あっ、なんですか?」

 

思考に走っていたのか、ネクサスの声に気づかなかった様だ。慌てて体を向けるアインハルト。

 

「いや、これから帰るんだけど、一緒にどうかなって」

「……すみません。私はこれから、用事があるので」

「そ、そっか……」

「誘って頂き、ありがとうございました。では……」

「うん、また明日」

 

申し訳なさそうに、失礼します、と一言告げる。すると、ネクサスがまた呼び止める。

 

「えっと、その……。僕、君が何をしているかは知らない。だけど……」

「…………」

「無茶は、しないでね?」

「……はい。お気遣い、ありがとうございます」

 

そう答えると、アインハルトは鞄を手に持ち、ネクサスに一礼してから、教室を後にした。偉そうに聞こえてしまったかな、と少しため息をつく。

 

「……僕も帰ろ」

 

鞄を背負い、教室を出ていく。廊下に出ると、不意に声をかけられた。

 

「――――ローライト」

「ん?あっ、先生」

 

少し長めの短髪、やや吊り上がっている瞳をした、二十歳前後の青年【ゼラム】。

クラスの担任であると同時に、ネクサスのちょっとした知り合いでもある。

 

「どうかしたんですか?」

「すまないが、荷物を運ぶのを手伝ってくれないか?教材を数冊持っていくだけなのだが、“本部”から呼び出しを受けてな」

「だったら、僕が全部やりますよ。先生は行って下さい」

「すまない……。申し訳ないが、頼む」

「はい」

 

ゼラムからの頼みを受け、ネクサスは用意された教材を手に取る。数冊の本を積み重ね、両手で持ちながら、図書室へと向かった。

 

 

 

 

 

用事を終え、鞄を背負い、学院を後にするネクサス。親友二人には、先に帰っていい、と連絡しておいた為、一人で帰っている。

歩いて10分経った頃には、我が家の前まで来ていた。都会のイメージとは違い、周りは緑豊かな森林に囲まれていた。雲一つない青空と合わさり、空気が澄んでいる様にも思える。

 

自然に囲まれ、中々に広い敷地内で、ひっそりと存在している一軒の家。豪邸とまではいかないが、外観は正に西洋をイメージとした館。小さな庭もあり、雑草などはなく、整備もしっかりとされている。煉瓦を積んで出来た土壌に植えられた花壇、色取り取りの花が実っていた。

 

その花畑に、じょうろを使って水を与えている一人の少女がいた。

茶色のショートヘアに、淡い水色の瞳。感情が乏しいのか、表情はほぼ無に等しい。

 

ネクサスは少女を見かけると、声をかける。少女もネクサスに気付き、返事をする。

 

「ただいま、シュテル」

「お帰りなさい、ネクサス」

「水、あげてくれてたんだ。ありがとね」

「いえ、お気になさらず」

 

お礼を言うと、シュテルはペコリと一礼する。

 

「学校はどうでしたか?」

「うん、いつもと変わらない。すっごく平和だよ」

「そうですか」

 

ネクサスと話している最中、シュテルは尚も表情を変えていない。にも関わらず、話はしっかりと聞いており、時折、微かに――微妙な所なのだが――笑っている様にも見えた………………筈。

 

少し会話していると、玄関が開かれた。

 

「あっ!おっかえり~、ネク!」

「レヴィ、ただいま」

 

もう一人の少女が玄関から外に出る。

濃い水色の長髪――毛先が黒い――をツインテールに結んでおり、瞳はやや吊り上がっている。

腹の底から出ているであろう大声、明朗快活を体現している程の元気いっぱいの少女。レヴィは満面の笑みを浮かべながら、自らも二人の間に入る。

 

「レヴィ、居間の掃除は終わったのですか?」

「当然、バッチシさ!」

「本当ですね?」

「何だよシュテるん。疑ってるんだったら、どうぞ好きなだけ見てくれればいいよ?」

「……では」

 

えっへん!と、胸を張って主張するレヴィ。シュテルはそれを聞くと、館の中へと戻っていく。

 

「そっか。今日の掃除当番はレヴィだったもんね」

「うん。でもまあ、ボクにかかればチョチョイのチョイさ!」

 

自信があるのか、またも豪語するレヴィ。あはは、と苦笑いを浮かべていると、

 

「むっ、ネクサス。帰っていたのか」

「お帰りなさい、ネクサス」

「うん、ただいま。ディアーチェ、ユーリ。それから、おかえり」

 

毛先が黒く染まったグレーの短髪。その姿はどこか堂々としており、“王の威厳”を示している。その少女――――ディアーチェの横にも、背の小さな少女がいた。

ウェーブのかかったブロンドの長髪。華奢な体躯で、儚げな印象がある。ユーリは買い物袋を両手で持ち、ディアーチェは片手でそれぞれ軽々と持っている。

 

「一個持とうか?」

「我は大丈夫だ。ユーリの方を頼む」

「うん、分かった」

「いえ、私は……」

「いいからいいから」

 

ネクサスは重たそうに持っているユーリから、荷物を一つ手に取る。申し訳なそうにしつつ、ユーリはネクサスに礼を言う。

 

「材料から察するに、今日はカレーかな?」

「うむ、レヴィからの要望でな。我らも特に決めていなかったから、夕食はそれにする事にした」

「やった~!楽しみだよ~!」

 

子供の様に、おおはしゃぎするレヴィ。

同時に、シュテルが玄関から出る。

 

「――――レヴィ」

「どうだいシュテル。ボクだってやる時は――――」

「やり直しです」

「ええっ!?」

「窓の縁や部屋の隅に埃が溜まっています。あなたの事ですから、どうせ丸く掃いただけでしょう」

「…………そ、そうだったかな?」

「やり直しです」

「うっそ~~!?」

 

大声で叫びながら、レヴィはシュテルに引き摺られていった。

やれやれと言わんばかりにため息をつくディアーチェ。ネクサスとユーリは共に苦笑を浮かべていた。

 

「じゃあ、僕らも中に入ろっか」

「うむ」

「そうですね」

 

夕食の支度をする為、ディアーチェとユーリが先に入る。ネクサスも後から入ろうとするが、不意に足を止めた。

そして、後ろを振り向く。

 

「ハ~イ、おかえりネクサス。そしてたっだいま~~♪」

「ただいま、キバーラ。それとおかえりホロン」

 

宝石の様な深紅の瞳に、額には黄色の魔皇石が埋め込まれている。白色の小さなコウモリ型のモンスター【キバーラ】

 

そしてもう一人。

 

黒を基調とし、灰色のラインが彩られているパーカー。西洋に伝わるゴーストを思わせるパーカーだけの存在。

キバーラと同じく、幼い頃からネクサスと共に居続けたゴースト。

 

正式名称【ホロウ・ファンタジア】

 

愛称【ホロン】

 

キバーラは、パタパタと羽を羽ばたかせ、ホロンはふわふわと浮遊しながら、ネクサスの近くへと降下していく。

 

「いつもの所に行ってたの?」

「ええ、“鎧”の調整と、それから“眠りの姫様”の所にね。あの人達から、あなたが元気にしてるかどうかも聞かれたわ」

「また?」

「元気にしてま~す♪って言っておいたわよ」

「はあ……“あの人達”は心配性過ぎるよ」

「いいじゃない、それだけ気にかけてくれてるんだから」

「……まあ、ね」

 

ため息をつくネクサスの周りを、キバーラとホロンはクルクルと飛び回る。

とはいえ、身寄りのない自分を引き取ってくれたり、こうして住む所も提供してくれた。多忙の身でありながら自分の心配もしてくれる。

キバーラにはこう言っているが、ネクサスは“彼ら”の事を心から感謝していた。

 

「さっ、早く家に入りましょ?」

「うん」

 

三人は、我が家へと入る。

 

中では、シュテル指導の元、レヴィが箒と雑巾を手に奮闘していた。ディアーチェとユーリは、二人で夕食の支度をしている。

 

 

今日もいつも通り、家族と一緒の時間を過ごすのであった。

 

 

 




はい、色々と言いたい事があるかもしれません。
何でいるの!?とか、思っているかもしれません。

それは後々、語らせて頂きます。
次回も是非、ご覧下さい
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