リリカルなのはvivid―アナザーメモリーズ―   作:NOマル

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ミノタウロスファンガイア――角の生えた赤茶色のウォートホッグファンガイア。


Reconciliation―大事な友達だから―

大切な友人に、凶刃が迫っている。

それを目にした瞬間、すぐに行動を起こした。

右足のカテナが弾け飛び、紅の翼が広がる。キバはそのまま跳躍し、ダークネスムーンブレイクを繰り出した。

 

「ハアアアアアア!!」

 

そのまま、イデア目掛けて飛び込んでいく。

しかし、寸前の所で止められた。イデアを包み込む様に、ドーム状のバリアが展開。それに阻まれ、触れている足を中心に、周囲に電流が迸っていく。

 

「ほぅ、これは驚いた。もうここまで来るとはね」

 

僅か数センチ目前にある右足、そしてキバを見ながら、イデアは感心した様に息をつく。

そして、すかさず手を翳した。

 

「うわっ!?」

 

硝子が割れる様に、バリアが唐突に砕け散る。同時に衝撃波が生じ、キバはそのまま吹き飛ばされてしまった。壁に叩きつけられ、地面に転げ落ちる。

 

「くっ……!」

「奇襲にしては、随分と派手にやったものだ。まあ、結果はご覧の通りだがね」

 

後ろで手を組み、イデアは未だに余裕の態度を崩さない。傷一つ付いていない姿を目にし、仮面の奥で歯を噛み締める。

 

「たった一人でやって来たか……いや」

「おりゃああああああ!!!」

 

ガキンッ!と、すぐ横で金属音が大きく響いた。横を見れば、水色の刃が目前に迫っており、その距離は僅か数センチ。

この光刃は、間違いなく自分に向けられた攻撃。しかし、側近であるファウストによって、遮られる。両腕に魔力を纏わせ、鎌を受け止めていた。

バルフィニカスを食い止められた事に、レヴィは悔しげに歯を噛み締める。

 

「一人……と、もう一人か」

 

今度は、後方で爆発が発生。

赤系統の色をした魔力弾が、イデアの背中目掛けて放たれる。空を切り、淡い軌跡を描きながら、標的へと向かう。だが、もう一人の側近、メフィストが主の背後に回り、防壁を張る。魔力壁に続々と被弾していき、爆風が巻き起こった。

魔力弾を放った少女、シュテルは無の表情を、微かに歪める。

 

それを皮切りに、ファウストは相手を押し退け、レヴィも距離を取った。

 

「くっそぉ……!」

「やはり、そう簡単にはいきませんね」

 

二人は合流し、デバイスを構え直した。対するメフィストとファウストも、各々戦闘準備を整える。

 

「いや~、惜しかったなぁ二人共。レヴィ、相変わらずの速度(スピード)(パワー)。鈍ってなくて安心したよ。シュテル、弾の威力、命中精度、悪くなかった。この調子で頑張りなさい」

 

攻撃されたというのに、イデアは笑っていた。それ所か、二人を褒め称えていた。その声音は、いつもの淡々とした様子はなく、まるで子供を思いやる親の様な声。

 

「ふざけんな、クソ野郎……!」

「耳障りにしかならないので、永遠に黙っててもらえませんか?」

 

二人との再会を嬉しがるイデアに対し、二人は違った。レヴィは威嚇する様に睨み付け、シュテルは冷淡な眼差しを向ける。共通する事といえば、イデアに関しては嫌悪感、憎悪丸出しでデバイスの先端を向けている事だろうか。

 

「酷いなぁ、“産みの親”に対してそんな言い方はないだろう?」

「酷い?酷いだって?よく言うよ」

「今更親の顔をして、私達を引き込もうとしても無駄ですよ。あなたの道具になるのは死んでも御免ですからね」

 

悲しむ素振りを見せるイデアの姿を目にし、二人は更に怒りを募らせる。

 

「まったく、すっかり変わってしまったな。あんな紛い物の言いなりになってしまって」

「ネクサスの事を悪く言うなっ!!」

「頭に風穴を空けてあげましょうか?」

 

神経を逆撫でする様な発言に、レヴィは勿論の事、普段冷静なシュテルですら怒りを露にしていた。

二人はデバイスを構え、イデア目掛けて攻撃を繰り出す。瞬く間に距離を詰め、機械のマスクに、デバイスが触れる――――事はなかった。

 

「我等が主に刃向かう者」

「例え“同じ実験台”でも容赦しない」

 

メフィストとファウストが、またも立ちはだかる。それぞれ、魔力を纏わせた拳と魔法壁により、攻撃を防御していた。

 

「ファウスト、メフィスト。しばらく二人の相手を頼むよ」

「「はっ!」」

「待て~っ!!」

「逃げるのですか!?」

「すまないなぁ、まだやらなければいけない事があってね」

 

そう言うと、イデアは後ろ手に組んだまま、素通りする。その際、レヴィとシュテルは攻撃するも、その全てが忠実なる配下二人によって、防がれてしまう。

絶対的な信頼があるのか。イデアは怯む事なく、堂々と歩いていった。

 

「くっそぉ~!お前ら邪魔だ!」

「レヴィ、まずは目前にいる二名を片付けましょう」

「やってみるがいい」

「出来るものならな」

 

レヴィとシュテルは、ファウストとメフィストと交戦。

四名を他所に、イデアは“もう一人”の元に歩み寄る。

 

「はあああああっ!!」

 

キバは駆け出し、その勢いのまま、拳を振るった。

今、側近の二人は手が空いていない。攻撃するなら、今がチャンスだ。キバの拳が、イデアの顔面に迫る。

だが、当てる事は出来なかった。またもや、見えない障壁によって、阻まれたからだ。

 

「動きが単調だな。ただ感情に任せた攻撃では、決定打に欠けるぞ?」

「くっ……」

「それに……お前の相手は、私ではない」

 

そう言い終わった直後、キバは横からとてつもない衝撃を食らう。イデアの傀儡となった、ミノタウロス。獰猛な唸り声を上げ、突進を繰り出した。パワーには敵わず、そのままキバは受け続け、柱にぶつけられる。

 

「がはっ……!!」

「ネクサスさんっ!!」

 

柱は簡単に砕け、キバは地面を転げ落ちる。倒れるキバに対し、ミノタウロスは追撃を行う。助走をつけ、蹴り上げた。

一瞬、キバの体を浮かせ、すかさず上から踏みつける。

 

「ぐあ……っ!!」

 

背中から地面に叩きつけられ、呻き声を上げるキバ。

ミノタウロスは地団駄を踏む様に、数回踏みつけ、今度はキバの首を絞めながら、無理矢理立たせる。いや、そのまま持ち上げた。

そして、近くにあった柱にまたも叩きつける。

 

「ブオオオッ!!」

 

雄叫びを上げながら、相手の胴体、顔面に拳をぶつけていくミノタウロス。鎧から火花が飛び散り、キバ自身も大きなダメージを受けていた。

 

「や、やめて……もう、やめて下さい……」

 

未だに鎖に縛られたまま、目の前で友人が痛め付けられる惨状を、ただただ見るしか出来ない。

 

「ブオッ!!」

 

裏拳を顔面に食らい、キバは吹き飛ばされた。そのまま、アインハルトの目前にて倒れる。顔を青ざめながら、少女は側に寄った。

 

「ネクサスさん!ネクサスさんっ!!」

 

必死に呼び掛けるアインハルト。しかし、キバの鎧は、ピクリとも動かない。

 

「ネクサス、さん……ごめんなさい……」

「…………」

「あなたは、私の事を友達だと……そう、言ってくれたのに……私は……」

 

後悔の言葉を述べる少女。一つ、また一つと、涙が黄色の複眼に零れ落ちる。

 

「あなたを、こんな目に遭わせてしまった……!もう、私には……友達である、資格なんて――――」

「そんな事ない」

 

負の感情に飲み込まれている少女の言葉を、優しく遮る。震えている小さな手に、籠手が乗せられる。冷たい金属の感触、しかしどこか温もりを感じさせた。

 

「そんな事、ないよ」

「ネクサスさん……!」

 

驚きながらも、アインハルトはその手を取った。両手で、包み込む。

 

「君は僕の、大事な友達だ……。友達は、絶対に守る」

 

バキッ!!と、少女の体を拘束する鎖を断ち切り、キバは立ち上がった。友を守る様に、足を踏みしめる。

 

「――――やれ」

「ブオオオオオオ!!」

 

やや苛立ちを込めた声音で、ミノタウロスに命令を下すイデア。それを聞き、ミノタウロスはキバに突進を繰り出す。

危ない!と、アインハルトは声を上げた。キバは既に反応し、友を守るべく、立ち塞がる。

 

「っ!!」

 

相手に備え付けられた二つの牙、それぞれ両手で掴み、キバは突進を食い止めた。足を地面に踏みしめ、全力で押さえつける。少し地面の上を滑ったが、後方にいる少女の手前にて、踏みとどまった。

 

「ほう、頑張るねぇ……だが」

「ブゥゥオオオオ!!」

 

雄叫びを上げ、敵は更に加速を続ける。パワー、重量は相手の方が上。キバは徐々に押されつつある。

 

「――――ぁぁぁああああああ!!!」

 

負けじと、こちらも叫び、キバは軌道を反らした。その一瞬の隙をつき、ミノタウロスは加速を更に強める。結果、キバの体は浮かび、そのまま遥か後方に押されていった。ワイヤーに引っ張られるかの如く、キバはくの字になる。

 

「さぁて、そろそろ出番よ王様!」

 

今度はキバーラが叫び、キバは紫色のフエッスルを取り出して、それを咥えさせる。

 

「ガキガキンっと砕いちゃって!」

 

そして、笛の音が鳴る――――と、同時に、キバは壁に叩きつけられた。

 

「ネクサスさんっ!!」

 

アインハルトの悲痛な叫びが、その場に木霊する。虹彩異色の瞳から雫を溢し、煙が立ち込める場を目にする。

 

「――――漸く、我の出番か」

 

やや幼いながらも、堂々とした声音と口調。耳に届き、アインハルトは怪訝に思う。

すると、煙が晴れてきた。最初に見えたのは、ミノタウロス。しかし、その動きは停止していた。やや小刻みに震え、力を振り絞っている様に見える。足を踏み出すも、徐に地面の上を滑るだけに終わった。

更に煙が晴れ、漸く全貌が明らかとなる。

 

「待ちわびたぞ、戯けめ」

 

キバの姿が、変化していた。

両肩、両腕、胸部は、深紫色に染まった強固かつ重厚な鎧に身を包んでいる。

得物である巨大な斧【魔戦斧・クロイツアックス】を左肩に担ぎ、不意に刃を地面に付ける。地に無数の亀裂が走り、その重さを物語っている。

フォームの中でも、ずば抜けたパワーと防御力の持ち主である【キバ・アイシクルフォーム】。

ミノタウロスの顔面を、片手で受け止め、その握力を強める。

それにより、苦しみもがくミノタウロス。すると、キバは手を離した――――瞬間、鉄拳が顔面目掛けて振り抜かれた。

 

「ブホッ!?」

 

腕の動作のみで行われた正拳突き。にも関わらず、相手を約三十メートル先まで吹き飛ばした。壁に激突し、呻くミノタウロス。徐に、正面を向いた。

断罪の斧を引き摺りながら、こちらへと歩み寄る魔王(キバ)。時折、地面に触れている刃から、火花が飛び散る。

 

「我が前に平伏すがいい」

 

堂々たる宣言を告げ、目の前の敵に引導を渡した。

 





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またまた、こんな感じなんだなぁと、思ってください。
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