【短篇集】明星の虚偽、常闇の真理   作:長閑

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注意。
・やはり低クオリティ
・やはりオチも特に無い
・口調はそこまで迷子じゃないけど迷子
・やっぱりレイフォンいない



<天剣時代>平和は日常ではなく一瞬のものにして瞬間。

「なぁ、エルメン」

「……どうしたの?」

 

 ふと、ウォルターは目の前に来た同僚の天剣授受者、リヴァース・イージナス・エルメンに声をかけた。

 今日は汚染獣戦も無くアルシェイラも暴れていなくて平和な日。

 その上よく晴れた日だ。だからウォルターはこうして庭園でひなたぼっこをしていた。

 もっと言えば、天剣授受者で一番温和なこのリヴァースと居ることは、天剣授受者になってから一番落ち着ける時間だと言っても過言ではない。

 

 

平和は日常ではなく一瞬のものにして瞬間。

 

 

 ウォルターは、自身が問いかけたことにより振り返った小柄で、ふくよかな体型をした目の前の同僚、リヴァースに少し間を開けたから問うた。

 

「ちょっと気になっただけだからいいンだけどよ、唐突な質問、リヴァースとカウンティアってどういう経緯で恋人になったンだ?」

 

 急な質問にリヴァースが少し眼をぱちくりとしぱたかせ、首を傾げた。

 

「…唐突だね?」

「うん、だから唐突だって言っただろ」

「………………ん~、そうだなぁ」

 

 リヴァースはそのつつけばぷにっとした感覚が返ってきそうな頬をやや朱に染めながら答えた。

 

「色々あって、都市戦で再会して……それで一緒に都市を出たかな」

「……それ、経緯の説明にはなってないような……」

「あれれっ」

「………………」

 

 この人は相変わらずだなぁと思いつつウォルターは言葉が紡がれるのを待つ。

 よく晴れて空がキレイな今日この頃、この庭園はそよそよと柔らかな風がゆったりと通り抜けていく。

 

「そうだなぁ、でもはっきりと言える時期はないんだ。きっと、一緒に都市を出た時から惹かれてたんだよ、ティアに」

 

 そうにこにことウォルターに言うリヴァースだが、ウォルターは「ふぅん」と生返事を返した。

 カウンティア・ヴァルモン・ファーネス。

 それがこのリヴァースの恋人の名前。

 悪い女性ではない。

 活発的で快活としていて明るい。好印象が多い女性だ。

 だが、そんな彼女は武芸者としてはやや何処かかけていて、天剣授受者になれるほどの実力者でなければやっていけないであろう人物でもある。

 攻撃に特化した彼女の攻撃は、防御というものを一切欠いている。

 このリヴァースの鉄壁の防御……金剛剄という剄技だが、それがなければ危険な程だ。

 それに、彼女はリヴァースに近付く女性にも攻撃的である。

 優しくて好印象のあるリヴァースに近寄ろうとする女性は、恋人のカウンティアによって撃沈される。

 それでもカウンティア自身、リヴァース以外に興味はなく、一途な女性だ。

 そういうところは素直であるし、実際リヴァースには甘えたがりなんだとか。

 

「まぁ、それこそ惚れたから感じるものってのがあンのかなー?」

「さぁ…ね。でも、そういうものがあると信じたいね。……ところで、どうしていきなりそんな事を聞いてきたんだい?」

「ん~、なんとなく」

「………………?」

「……ここに居ると、平和という事を忘れそうになる。というか一般を忘れそうになる」

「…その縛りでいくと一般人はここには居ないような……」

「そうなんだけどさ……」

 

 はぁ、と盛大に溜息を吐くと、リヴァースが困った顔をした。

 ここ最近連日でアルシェイラにいじられたりサヴァリスに無駄に手合わせを頼まれたりして色々と精神的に結構ダメージがきていたのだ。

 たまにはゆっくりしたいと思いながら、知らずのうちにこぼれおちた質問だった。

 

「……たまにはしっかり休まないとね。疲れが貯まると戦いにも響くから」

「……本当にエルメンと居ると平和だなー」

「えっ、そうかな?」

「うん。オレ本気でいま女じゃなくてよかったと思ってる」

 

 リヴァースは首をかしげたが、正直本当にそう思う。

 復唱するが、カウンティアはリヴァース(恋人)に近寄る他の女を許しはしない。

 男はまだ許容範囲のようなので、これでウォルターが女だったら確実に休む場がなかった。

 

「あー……平和だ……」

 

 だらりと備え付けの椅子に寝転がって空を見た。

 

「そう言える日々が続けばいいけどね」

「…あんたの彼女さんは退屈で仕方ないンじゃないか?」

「それはそうかもしれないね」

 

 笑みを浮かべたリヴァースにウォルターは苦笑を返した。

 ぽかぽかとあたたかい日差しがさしてきて、そよ風もちょうどいい。

 ウォルターはふぅと満足気に息をもらす。

 

「キミがそんな雰囲気なのは珍しいね」

「そうか?」

「いつも何処かぴりぴりしてて、なんだか周りを警戒しているみたいだったから」

「………………そ、か」

 

 また笑みを浮かべた。

 ウォルターはリヴァースに、一瞬、仏頂面の知り合いを重ねてしまいそれを瞼の裏にしまい込む。

 体躯が似ているからとはいえ、彼とは大違いの仏頂面だったなぁ、と思う。

 だが…………

 

「……そういえば、さっきから向こうにティアが居るみたいなんだけど、行ったほうがこれはいいのかな? ウォルターはどう思う?」

「……ンあ? ……あー……どうなンだろ」

 

 なんだかふわふわした雰囲気が漂ってきている気がする。

 だから別にいンじゃね、と言うとリヴァースに苦笑を返された。

 一瞬、物思いに耽りそうになった。

 だが、そんなことをしている暇は無い、と、ふっと息を吐いて考えを放った。

 

「あ―――――!! こんなところにいたー!」

「げー、アルモニスだ」

 

 廊下の影から顔をのぞかせ、きらきらの笑顔で寄ってきたアルシェイラにウォルターは眉を潜めた。

 アルシェイラの後ろには何故か笑いそうなのかなんなのかを必死に堪えているカウンティアと、もう一人女が居た。

 

「げー、ってなによ。まったくもー。ほらっ」

「?」

 

 ウォルターが上半身を起こして首をかしげた。

 

「クラリーベル・ロンスマイア。ティグ爺のところの孫よ。あんたに会いたいって言い出したから連れてきた」

「えー」

 

 アルシェイラにそう言われたウォルターが嫌そうに眉を寄せる、しかし紹介された女、クラリーベルは意気揚々とウォルターの前に立った。

 

「はじめましてですね、わたしはクラリーベル・ロンスマイアといいます。おじい様やわたしの師から話は聞いています。とても強い武芸者でいらっしゃるとか」

「……師?」

「えぇ、あなたと同じ天剣授受者の、トロイアット・ギャバネスト・フィランディンです」

「………………あー……。フィランディンね」

 

 呆れた顔でウォルターが返すと、クラリーベルはきらりと瞳を輝かせる。

 

「噂通りなんですね、人を名前で呼ばずに家名で呼ぶって」

「……噂になってンの、これ」

「なってますよ? 興味ないんですか、大衆記事とか、雑誌」

「………ん~、新聞なら時々読むけど……、情報収集なら自分でしたほうが早いし」

「さすがですね」

 

 なにがさすがなのか、と思いながらウォルターはクラリーベルの輝く表情をまっすぐ見ることがだんだんできなくなってきて目線を逸らした。

 

「私のことは、クララと呼んでください。周りの人からはそう呼ばれていますから」

 

 マイペースに進めるところはティグリスそっくりだと思う。

 

「……で……? 来たのには理由があるんだろ?」

「あ、はい! ぜひ、手合わせしてください!」

「………………却下」

「え―――――っ!」

 

 クラリーベルの要望を一蹴すると、後ろでリヴァースが苦笑したようだった。

 ウォルターが眉を寄せてクラリーベルを見る。

 

「どうしてですか?」

「面倒くさい、やりたくない、オレはいま眠い。以上」

「どうしてですかっ、武芸者にとって手合わせとは鍛錬の一種であって、強くなく為には必要じゃないですか」

「あのなー……」

「なんですか?」

「オレはお前らとは感覚が違うンだよ。やりたくないのに無理矢理巻き込むな」

「………………じゃあ、無理に巻き込みます」

「おーい?」

 

 クラリーベルが、錬金鋼を取り出した。

 

「レストレーション」

 

 復元言語を呟くと、錬金鋼はクラリーベルの手の中で独創的な形へと復元される。

 

「っだぁーもー…」

「いざ!」

「元気すぎるだろ最近の子供は!」

 

 そう言ってクラリーベルが横薙ぎに振るった錬金鋼……胡蝶炎翅剣をひょいと跳躍して躱し、そのまま後退した。

 

「おいちょっと待て、ここで暴れるとあとで庭園の片付けやらされるのオレなンだぞ!」

「じゃあやらされてください。行きます!」

「おい聞いてンのか? 頭腐ってるンじゃないのかお前」

「酷いです」

 

 クラリーベルの剄技を躱しながら、結局はゆっくり出来ないのか、と不安要素が増えたウォルターだった。

 

「それにしてもティア、さっき楽しそうだったね」

「えっ?」

「さっき。凄く笑ってたね」

「あぁ、あれは」

 

 カウンティアがリヴァースの言葉に思い出したように笑い出した。

 物陰からリヴァースとウォルターのやり取りを見ていたカウンティアだったのだが、意外にも微笑ましくてうっかり笑いがこぼれた、という流れだったとリヴァースに言うと、リヴァースはふわりと笑みを浮かべた。

 

「ウォルター最近賑やかだからね」

「陛下が色々といじるからよ」

「そうだね」

「なによ、そのわたしが悪いみたいな言い方は」

 

 話を聞いていたらしいアルシェイラがそう言うとリヴァースは慌てて首を横に振り、カウンティアはにやりと笑った。

 そんな2人に「相変わらずねー」とアルシェイラは呆れて言う。

 

「まあでも……」

 

 そう呟きアルシェイラは、困った顔をしながらどうしようもなく素手で応戦するだけにとどめているウォルターと、それに悔しそうな顔をしながらも楽しそうに戦うクラリーベルという2人の空中戦闘に視線を向けた。

 

―――――あいっかわらず女の子に手はださないのねー…

 

 実際の戦闘となれば別だろうが、こういう場ではウォルターは決して女とは戦わない。

 女だから、とか女に手は出せないとか、そういう甘ったれた事ではなく何処か引いている雰囲気があるのだ。

 それにアルシェイラは首を傾げながらも笑いながらクラリーベル応援剄弾をウォルターに向けて放った。

 

「っちょ、危なっ、あんたなにしてくれンだよ」

「クララ応援剄弾のお見舞い☆」

「本当に面倒くさい人だなあんたは」

「まだまだです!」

「いい加減諦めろお前も!」

 

 この空中戦闘は、クラリーベルの祖父であるティグリスが来ても制止がかけられることはなく観戦に加わられてウォルターはとにかく応戦するだけになった。

 結局終わったのは、クラリーベルが力尽きて剄を練ることができなくなってからだった。

 

 

 

平和は日常ではなく一瞬のものにして瞬間。

(ここでは騒動が日常)

 

 




番外編第三弾でした。

今回はリヴァース中心にちらっとカウンティア、ついでにクラリーベルというふうにしました。
本当はカルヴァーンでも引きずり出そうかと思ったんですけど、最新刊のラノベまで持っているにも関わらず登場回数が少なくて口調がつかめず断念しました……
口調のイメージ的にはデルクと似たイメージなんですけどね…?

クラリーベルは本編がクラリーベルに追いついてから出そうと思っていたんですけど、Wトラブルメーカー的な感じで出てもらいました。
クラリーベル結構好きですよ。
というより、ここで絡ませたら本編でもレイフォンとウォルターにWでちょっかい出せるかなぁとか思っていたり思っていなかったり……

 最後までありがとうございました。
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