サイヤの下級戦士が幻想入り   作:霧雨悟空

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いかんいかん、ちょっと足が遅くなってしまった・・・(^^;
では、今回もお楽しみあれ~


数度も買われた怒り

あれから二日。

空を覆っていた紅い霧も消え、すっかり元の青空に戻り平和を取り戻していた。

この異変を解決したのは・・・

 

 

「でさ、あいつは相当無謀な行動に出たわけだ。弾幕で戦うよりも肉弾戦ってところか。

プライドの高そうな吸血鬼の鼻を見事にへし折ったんだ」

不本意だが、共に戦った魔理沙が霊夢にそう語っていた。

ただ、相変わらずお互い嫌悪な雰囲気を出していたようだが。

 

「そうだったの。それで・・・今バーダックさんは?」

「向こうにいるぜ。なんだかんだでここが気にいってるんじゃねえの?」

 

 

バーダックは神社の裏側で鍛錬をしていた。

基礎的なものから始め、少しずつ応用の動きへと変えていくのだ。

 

(楽勝で勝てたとはいえ、このオレに傷をつけさせたのだ。

いつかまた戦うようなことがあったときは、一瞬で片付けてやるさ・・・)

バーダックの背には、ほんのちょっぴりだが爪跡が残っていた。そのほかにもところどころ傷が増えていたりもしていた。

 

(この痛み・・・いつか必ず倍以上にしてリボンでもつけてプレゼントし返してやる・・・!)

 

 

「おお怖い。なんだか知らんが、相当お怒りみたいだな。霊夢がなにか言って抑えてきたらどうだ?」

彼のいる方向に指をさしてからかう。

 

「ええ?いやよそんなの。魔理沙が行ってきなさいよ。一緒に戦ってたんでしょ?

ならそっちのほうが効果的よ」

「はあ!?何言ってんだお前は!?ただでさえあいつのこと嫌いなのに私が行けってか!?私だっていやだ!」

「自分がいやだと思うものを人にやらせないの!どういう神経してんのよあんたは!」

 

二人の声が神社内に大きく響く。ケンカはいつものことなのだ。

 

 

「やかましいッ!!!うっとおしいぜてめえらッ!!!!!」

当然彼の耳にも聞こえるほどのうるささなので、怒りが頂点に達してしまった。

お仕置きとしてたんこぶ一個程度のゲンコツで済ませた。

 

「そ、そんなに強く殴らなくたっていいだろ・・・いってえ・・・」

「あ?あんなうるせえ声出せば誰だろうと気づくだろ。

ひよこみたいにピーピーわめきやがって耳障りなんだよ」

 

「えっとその・・・ごめんなさい。急に熱くなりすぎちゃって」

「私も・・・わ、悪かったよ」

結局二人で謝ることに。バーダックは鼻を鳴らして背を向ける。

 

「まあいいだろう。ちょっと気晴らしにでもどこか行く。

オレはあいつらだけじゃまだ殴り足りないからな。適当にどこか行って適当にぶちのめしてくるぜ。」

と、どこかへと飛んで行った。

魔理沙からすれば、十分殴り足りてると思うのだが・・・と、そう思った。

 

 

「でも、あいつがパチュリーってのだけは殴らないでおいたらしいってのは珍しいな。

たぶん魔法にちょっと興味を惹かれたからか?

地味に惚れてたようなツラしてたって話しだし」

「ただ見境なく攻撃するような人だって思ってたけど・・・意外とそれなりの情けはあるのね」

霊夢は彼がいない間に、魔理沙から戦った時の状況を聞いていた。

 

「あ、でも・・・主であるスカーレット姉妹に相当手こずっててな。

お前も見ただろうけど、背中に爪跡を残されたんだよ。それが怒りを買う原因になって・・・」

魔理沙は、あのときの状況を思い出して震えた。

 

「理性がふっ飛んだようにキレて、他のヤツらなんて眼中になくメッタ殴りしたんだよ。

門番やメイド以上に痛めつけられて、普通の人なら全治何ヶ月かかかるような重傷を負わせた」

 

 

「あいつほど怒らせてはいけない奴に出会ったのは初めてだよ。さっきもちょっと怒らせてしまったけどな」

肩を震わせながら震え声で語り終えた。

霊夢には到底見られなさそうな光景を目の当たりにしてしまったのだから。

 

「さっきのそれはあんたの言い方にも問題あるように思えるわよ」

「いやまあ、その。う~ん」

 

 

 

一週間経過。博麗神社に、かの館のメイドがやってきた。

「すみません。バーダックという方はいらっしゃるかしら?(できれば会いたくはないけど・・・)」

「オレがどうかしたのか?負け犬メイドさんよ」

 

「・・・ッ!」

一瞬だけ彼に殺意の眼を向けるが、すぐに落ち着かせた。ここで戦うのはまずいからだ。

 

「・・・お嬢様からの伝言を伝えに来ました。お暇があれば、こちらに来てほしいとのことです。

なんでも、お詫びの印とお食事会を開きたいと。・・・では、私はこれにて失礼いたします」

十六夜咲夜。そう呼ばれるメイドは、バーダックに伝言を伝えて帰っていった。

 

手紙には、またしても本人を怒らせるほど上から目線な書き方の内容だった。

そんなやつのところになど死んでも行くわけがない。

そんなことなら、もっとぶん殴っておけばよかっただろうか。

 

 

「バーダックさん、その手紙はどうしたの?」

「・・・紅魔館のやつらからの招待状だってよ。メシを食うだけの会らしいがよ。

ま、オレはあんなところに行くのは御免だがな」

 

「せっかくだから行きましょうよ。ちょっとは親睦を深めるってのも悪くはないかもしれないわよ?

(ここで私も彼にひっつくチャ~ンス!)」

心の中でよだれを垂らしながら妄想する霊夢である。

 

「お前がいいってんなら別に行ってやらんこともないが・・・ちょっとでも怒らせてみろ。すぐに帰るからな」

「分かってるわよ。ささ、行きましょ」

霊夢はまだ傷が完全に癒えてないので、バーダックの背にもたれかかる形で連れていかれることになった。

魔理沙も途中で合流してだ。

 

 

その日の夜。

紅魔館を出た霊夢たちは、またしても怒っているバーダックを諫めながら帰っていた。

弱いくせにプライドだけ無駄に高い性格が気に入らないのだろう。

そのうえに勧誘までされた。それが彼の怒りを再び買う原因になったのだ。

サイヤ人は誰かの下につくことを極端に嫌っている。

だからこそ上から目線の物言いや態度が彼にとって屈辱そのものだったのだろう。

 

「チッ、やはり行く必要などなかったぜ。あんなことを言われさえしなきゃな!」

「まあまあ落ち着いて・・・でも、あなたの言い分も理解できなくはないわ。

魔理沙の言ってたとおり、確かにあれは嫌悪感を覚えるわね」

 

「こりゃ当分あいつらもお前に敵意を向けるだろうなあ。負けることないと思うけどさ」

「フン」

知ったことかと鼻を鳴らした。

 

 

 

ー紅魔館のベランダ

「お嬢様のあの態度には本当に困るわ。そりゃあの方も怒って当然だというのに」

「あら、自分の主人にそういう思いを抱いてていいのかしら?」

「いえ、パチュリーさま。別にそのようなことはございませんが。

ただ、前もそれで負けたのに、また同じことをして反省する気などないのだろうかと。そう思っただけ、ですよ」

 

メイド長、咲夜は思った。

自分が頑張らなければ、いつ誰があの姉妹たちを守ることができようか。

心を鬼にして躾に取り組まなければと、そう思った。

 

ただ、そう簡単にいくのかは定かではないのだが。

 

 

 

ー翌朝。

霊夢は、自分を鍛えてほしいとバーダックに懇願していた。

この前の異変で、傷を負って決戦場へ向かえなかった自分を恨んだ。憎かった。

そして、この修行嫌いの性格を消すためにと。

 

「お願いバーダックさん!わたし、どうしても強くなりたいの!」

「オレが、てめえみてえなやつを鍛えろだと・・・?やめときな。

オレがそんな奴じゃないのはお前も薄々感づいているだろう」

 

「それでもいいの!断られたっていい。あなたを納得させるまで鍛える。

そして、あなたに認めてもらう!」

土下座して必死に頼み込む霊夢。

 

 

(ケッ、そう言って負けたくせに何を言いやがる・・・

だが、待てよ・・・こいつを敢えて弟子にさせて、サンドバックの代わりになってもらえるじゃあないか・・・

フフ、なんだ、なぜそう考えなかったか)

不敵な笑みを浮かべ、霊夢に視線を下す。

 

「・・・いいだろう。」

「本当に!?あ、ありがとう!」

嬉しそうに抱き着く霊夢。さすがに彼も困惑したようだ。

 

遊びに来た魔理沙がぎょっとした表情で霊夢とバーダックの姿を見たのは言うまでもない。

 

 

 

季節は長い長い冬へと移り変わる。

本来あるべき季節が失われようとしていることも知らずに。

 

「さあ・・・幻想郷の春を利用して・・・この西行妖を満開にさせてみせましょう。妖夢。」

「はい、幽々子お嬢様」

妖夢と呼ばれる半人半霊の少女。彼女は春を集めるべく下界へ降り立とうとしていた。

主人のために春を集め、夢を叶えさせてあげよう。

きっと、下界の桜以上にキレイで厳かな桜となるのだろう。

 

これから先に待ち受ける人間たちが来るはずなど、知る由もないのに。




えーっと、一週間ぶりにちょいと更新してみました。
あまり長くするのも疲れるので、今話からこの形式でいきます。

本編の4話目でちょっとだけ明かされた程度ですが、この後の展開はそこへ繋がります。
彼のことは嫌っていても、どこか尊敬できる部分があるのだと。
それでも殴られたのは一生のトラウマだと幽々子はそう思ったのでした(^^;


では、また次回にお会いしましょうか
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