二か月くらい出してないですけど、もうちょっとだけお待ちくだされ。(^^;;;
ではでは、今回もお楽しみあれ~
今日は三日月。
幻想郷に本物の月が戻り、肝試しも終わった数日後ー
バーダックは永遠亭でケガの治療をしてもらっていた。
永遠亭の薬師である八意永琳、その主である蓬莱山輝夜と戦った夜のこと。
彼が幻想郷で出会ってきた中でも非常に強い種族であり、勝ち目などありえなかった。
しかし、その日は満月だった。
バーダックの尾が反応し、同調したのだ。
すると、彼は巨大化し大猿となって暴れまわった。
ピンチに駆けつけた霊夢たちも、初めは見たこともない猿の妖怪かと勘違いしたが、左頬の傷ですぐにバーダックだと気づいた。
彼は下級戦士のため、理性もなくただひたすら破壊活動を続けていくだけ。
全員が束になってかかっても全く敵わない。
これまでか・・・と思った。
すると、妖夢が一つの提案を持ちかけた。死を覚悟した提案を。
「誰か素早い人が彼を錯乱させて、その隙に霊夢さんが尻尾を斬る」
妖夢は大猿バーダックとの戦いで両腕を負傷し、もはや刀など握れるほどの力は残っていなかった。咲夜たちも同様だ。
うち一人は全身を握りつぶされて動くことさえできない。
作戦開始だ。
魔理沙が箒に八卦炉を取り付け、ブレイジングスターで一気に加速する。
ハエのように飛び回り、バーダックは妖夢の予想通りとなった。
魔理沙の動きに翻弄され、腕をブンブンと振り回してるだけ。
おまけに弾幕も撃ち込まれているので、視界を遮られて思うように動けない。
霊夢はその瞬間を見逃さなかった!
やり方としては不本意だが、見事に彼の尻尾を斬り落としたのだ!
雄叫びを上げ、彼の体はグングンと小さくなっていく。
やがて元の姿に戻り、バーダックはそのまま気を失った。
そこに残されたのは、ほっと胸をなでおろして一息をつく霊夢たちの姿だった。
そして現在の状況に繋がる。
(オレは・・・いったい何をしていたんだ?全く憶えていない・・・)
目を覚ましたが、彼の心には濁ったものが残っていた。
「ひっ!?あ、あーその、気分はどうですか?」
急に目が覚めたので、付きっきりで隣にいた鈴仙と呼ばれるウサギが声をかける。
「・・・」じろり
「えーと、いやまあ、その。よ、良かったらいいんです!それでは!」
逃げるように鈴仙は病室から立ち去って行った。
実は霊夢も彼のベッドの隣にいたのだが、なかなか声をかけにくい状況なのでどうも恥ずかしかった。
霊夢によると、輝夜が提案した肝試しというものがあったらしく、彼が寝ている間に肝試しはとっくに終わっていたようだ。
霊夢は火傷を負ったので、しばらく入院生活らしい。
それも炎の使い手であり、なんと不老不死の体を持った「蓬莱人」という種族と戦ったそうだ。
なんでも、いくら倒しても何度でも復活するらしく、相当の根気を使うほどだそうだ。
霊夢は、うっかり油断して左腕に大やけどを負った。
その話が本当ならば、ここを出た時にでも会ってみるべきだろうか。
不死身度を試してやろうじゃあないか。
彼は、霊夢については特に心配の言葉をかけることはしなかったのだが、彼女にとっては傍にいるだけで幸せを感じた。
他の連中はとっくに退院していたのだが、お見舞いに来ていた魔理沙は終始イライラしながら鼻を鳴らした。
まるで誰かさんの癖が移ったかのようだ。
「そんじゃあ、ここに見舞いの品のキノコとか置いておくからな。じゃ、またな」
(けーっ、ここにいるだけで虫唾が走る!)
退院の日。
輝夜が新しく作り直してくれたヨロイやスパッツを身につけ、尾の無くなった下半身に違和感を覚えつつ、霊夢とともに帰っていった。
リハビリを始めたころは、結構転ぶことが多かったのでバランスを保つのが難しかった。
しかし、それも数日ほどで慣れてすっかり尻尾があった頃と同じくらいのバランス感覚になった。
これには、永琳も驚いていた。
「戦闘民族サイヤ人、ね・・・全く驚きの連続を見せてくれるわね」
「全くです。でもお師匠さま、その傷は大丈夫なのですか?」
鈴仙は、永琳があの時に負った腹部の傷に指をさした。血がにじみ出ている。
「いいのよ、私はわざと彼に隠してるのだから。あとで驚かせられるように」
そう、実は彼女も不死身の体。その気になればこの程度の傷などすぐに治る。
バーダックを驚かせるために、わざと傷をそのまま残していた。
彼女も遊びが過ぎである。
「見世物じゃあないんですから・・・ばれないようにこっそり治してくださいよ」
鈴仙が物静かに叱る。
「分かってるわよ。冗談よ冗談。」
彼にばれないように、こっそりと回復させる永琳であった。
夜の博麗神社ー
満月はとっくに過ぎ去ったが、「月さえ出てればお月見団子はいつだって食べられるのよ!」と霊夢が言ったので・・・
急きょ退院祝いと称したお月見観賞とすることにした。
どこからか持ってきたのだろうか。
大量のお団子を用意し、縁側で二人並んで月を見ることになった。
バーダックはつまらなそうな顔をしているのだが、ちょうど暗いのでその表情は見えない。
いつもは毎年ひとりぼっちか、魔理沙と一緒にお月見観賞していた霊夢。
だが、男と初めてそうするので、いつも以上に緊張していた。
数分の沈黙が続き・・・ようやくお団子に手を出すところまで進展した。
ちょうどいいのか、悪いのか。そんなタイミングで二人の手が重なる。
二人とも同じ考えでお団子を取ろうとしたのだろう。
霊夢がカーッとゆでだこのように顔どころか全身が真っ赤になり、今にも煙が噴き出そうだ。
「あ、あの・・・さ、さ、先に取っていいわ・・・」
「・・・?フンッ」
先にバーダックが団子を取り、むぐむぐと口にする。
ちっとばっかし不味そうな表情になったが、すぐに次の団子を食べ始める。
(う~、こ、こうして二人でいると恥ずかしくてしょうがないわ・・・)
霊夢は、自分のやったことをちょっぴりだけ後悔した。
でも、彼と一緒にいられるなら・・・そう思っているところもあったのですぐに振り払った。
霊夢もお団子を取り、むぐむぐと揃って食べる。
「ど、どうかしら?」
「フンッ、あまり味はしねえし不味いに決まってんだろ」
素直な反応である。
「そ、そう?私はこのお団子は結構おいしいと思うんだけど・・・合わなかった?」
「その通りだ。出してくれて悪いがな」
味覚は他の人と比べて相当鋭いのだろう。私も、今後出すお食事には気を付けなければ。
バーダックは、以前の花見のこともあったので、酒は一切出せないようにどこかへ隠していた。
そのことには、池に住んでいる玄爺もなんとなく察していた。
「バーダック殿、もしよければその酒、ワシにいただかせてくれませぬかな?」
「なぜだ」
「ほら、あの時、あのようなことがあったでしょう?その対策ですじゃて」
なぜ知っているのだろうか・・・
「祖母である靈夢さま、そして先代巫女さま。彼女が小さいころからずっと見てきたのです。
ですから、血を引くあの子のことだってなんとなく分かるのですじゃ」
とのことらしい。いったい何年生きてるのだろうか。
気づけばお団子もなくなり、観賞会もたけなわといったところである。
相変わらず片づけを手伝うことはなく、やっぱり一人で全部やる羽目になった霊夢。
いつもと比べて量は少ないので特に苦労はしなかったのだが。
(バーダックさん、結局あの猿の妖怪の件についてなにも言ってくれなかったな・・・
やっぱり憶えてないのかしら)
霊夢は寝室に戻りながらぶつくさと考えていた。
(でも、一言くらいは謝ってほしいかな・・・)
「よう」
「キャッ!?不審者ッ!?」
寝間着姿でも戦闘態勢を整える霊夢。腰がびくついてるけど。
「大猿がなんだと?サイヤ人にすれば満月でああなるのは全員同じだ。理性はないし戻っても憶えてないがな。
それにしても、なんだ?オレに謝ってほしいとかなんとか言ってたが?」
全部筒抜けだったようで。
「えッ!?え、ええ。せめて私だけにでもって思ってたの。べ、別に強要してるわけじゃあないから・・・
そ、それじゃあ、お、おやすみ・・・」
汗も噴き出しそうな恥ずかしさを身にまといながら寝室に向かおうとする。
そんなとき、意外な言葉が出た。
「お前、その治りきってない腕で持ってきただろ。オレが言うのもなんだが・・・
自分の体くらい大切にしたらどうだ」
「・・・・ッ!・・・ッ!?」
意外だ。彼の口からそんな言葉が出てくるなんて思わなかった。
なんだかんだで心配してくれているのだろうか?
「・・・勘違いするな。別にお前のために思ってるわけじゃねえ。さっさと寝やがれ」
ぷいっとそっぽを向いて自室に戻っていった。
けれど、彼女の心は満たされていた。
気づかれないように治っていない火傷を隠してまで団子を持ってきたが、彼にはなんとなく気づかれていた。
いつも近くにいるからだろうか。そこまで分かっていたなんて。
「やれやれ・・・ご主人様もあまり無茶をなさってはならないというに。
バーダック殿も少しばかり変なことを申してしまっているではないか」
その様子を見ていた玄爺であった。
数か月後。季節は巡り幻想郷に花が咲く。
それは、各地に咲くほどであり、異変のように感じるほどだ。
白黒はっきりとつける閻魔もまた、相手への説教のために動き始める。
幻想郷にいる、明らかに罪人レベルの男へと立ち向かうために。
とまあ、前書きでも言ってるように本編の最新話を作り直しているので、なかなか進まないことに定評のあるうちの作品です(^^;
そろそろクオリティあげてかないとマズイ状況なので、結構プレッシャーを自身でかけちゃってます。
でもまあ、今月中か来月辺りにはいけると思うので、もうちょっとだけ、もうちょっとだけお待ちください。
では、また次回お会いしましょうか