色々あって今になりました!
「んぶっ…!」
キリトさんとアスナさんがこちらへ走ってくるのを見て助けを呼ぼうとしたがルクスさんに袖を引っ張られ転んでしまう。
「っ!!…なにするんです…」
「シッ!」
先程とは違うルクスさんの冷たく鋭い視線に思わず黙りこむ。
「おい、どうした」
リーダー格っぽい男がこちらを睨んでくる。
「何でもない。新入りが転んだだけだ」
ルクスさんは低い声で答えるとちらりと僕を見た後歩き出した。慌てて追いかけて抗議しようと息を吸い込む。
「話は後だ、今は歩け」
ルクスさんに冷たく言い放たれ僕は黙りこんでしまう。渋々大人しく後に続いて歩く。言葉通り後で目一杯話し合わないと気がすまない。
────数時間後 北東部、岩場
「とりあえずはここでいいだろ」
リーダー格の男の合図と共に続々と他のメンバー達もその場で腰を下ろす。それを見て僕は周りに気付かれないように小声ですぐ前にいたルクスさんに声を掛ける。
「…さっきのはどういうことですか」
目一杯語気を強める。
「あれはお前の仲間だったのだろう?」
「そうです。貴女があのとき邪魔をしなければ助けを呼べたのに…!」
「その後は?」
…その後?どういうことか分からず少し沈黙してしまう。
「お前の仲間はたった二人。お前を入れて三人。当然お前が逃げようとすれば追手がかかる。ここから主街区までの距離を無事に逃げ切れると思うか?しかもプレイヤーを殺すことに何の躊躇も無い連中相手にだ。」
そうか、つまりルクスさんは僕が逃げるのを邪魔した訳ではなく、逆に助けてくれたのだ。いくらキリトさんとアスナさんが強くてもここらの地形に関しての知識や仲間の人数、状況から考えると圧倒的にラフィン・コフィン側が有利なのだ。最悪、僕を助けようとしたせいで二人もろとも殺されてしまう可能性もあるのだ…。ついさっき僕は、自分が持ってきた偽クエストの情報のせいで友達を全滅させたばかりじゃないか…僕が迂闊だった。
「ありがとう…ございます…」
僕はどうにかそれだけ言うと少し離れたところの座りやすそうな岩を目指し歩き出す。
「礼などいらないよ。…むしろ、加入したばかりで今の言葉を聞いただけで己の状況を理解した奴は初めてだ。」
「…そうですか」
ルクスさんなりに僕を慰めてくれているのだろうか、単に感想と事実を言っただけなのかは分からなかったが、常に周りの状況を判断することに長けている人だということは分かった。それを行う真意は分からないが。
「ビーグル、か…」
呟きながら岩に腰掛ける。これから僕はどうなるのだろう…。
──僕がラフィン・コフィンに加入させられてから一週間が経ったときだった。僕はリーダー格の男に呼ばれ、レッドカーソルのしたっぱ二人と一緒に65層の地下ダンジョンの奥に連れて来られていた。
薄緑色の光を放つきのこや鉱石しか光源がなく、何度も転びそうになりながら曲がりくねった道を進む。すると少し開けた場所に出た。
するとそこには、黒いローブを着て目深にフードを被った男が二人立っていた。
「来ないかと思ったぞ」
「いや、時間ジャストですよ?ヘッド」
「フン…まぁいい。座れ」
そういうと、ヘッドと呼ばれた男たちは近くにあった岩に腰掛けた。すると僕は突然その場でしたっぱ達に床へ押さえ付けられた。
「ぐっ!!…」
続いてヘッドと呼ばれた男の隣にいた男がひらひらとナイフを煌めかせながら僕の目の前へしゃがみ、僕の顔を覗き込みながら言った。
「それでぇー、コイツが例の細剣を持ってた奴なんすか?ザザさぁん」
(ザザ…)リンリ達を殺し、僕をここまで連れてきた男の名前が今分かった。名前の響きからしてあまり良い印象は受けない。雑音の擬音語にもあるからか。そこまで考えたところでザザが僕の斜め上で静かに頷いた。
「ふーん?おいお前、あの剣はクエストで手に入る物だろ?何処の鍛冶屋で加工して貰ったのか教えてもらいたいなぁー」
「…。」
言わなかったらこの場で殺されるかもしれない。けれど…言ったらリズさんへ危険が及んでしまうかもしれない。それだけは避けたい。もう僕のせいで人が死ぬのは嫌だ…
「だんまりかぁー。ま、コイツが吐かなくてももう目星はついてるんすからとつげーき。いっちゃいましょうよーヘッドぉー」
なんだって!?そんな、バカな。僕の細剣がユニーク化されたあの場にいたのは、リズさん、キリトさん、アスナさんの3人だけだし、僕が直接話をしたのもリンリ、レオ、モモだけのはずだ。その上キリトさんの助言でユニーク化のことは7人だけの秘密にされたはずだ。それなのにこいつらは僕がリズさんの店で細剣をユニーク化させたのを知っているだと!?何故─
「いや、不確かな情報を元に動いてもし違う鍛冶屋を襲えば奴らにこちらのヒントを与えることになりかねない。必ず裏付けをする」
なんだ…?こちらの動き?やはり僕がここでリズさんの名前を出してしまえばリズさん及びその周辺の人達に何かしら危害が加えられてしまうと考えた方が良さそうだ。
「…もんか」
「んぁ?」
「…言うもんか!加工した店もやり方も必要な物も!何もかもお前らなんかに言うもんか!」
殺されるかもしれない。その恐怖を払うように僕は勇気を奮い立たせ大声で叫んだ。─しかしそれを嘲笑うかのように、ヘッドと呼ばれた男の口元が不適に歪んだ。
次はいつ更新出来るかなぁw