紺碧の暖炉   作:ハース/ユウキ

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やっと…はぁ…w
あ、どうか楽しんでね!


14、作:《絶剣》ユウキ

「すみません…洞窟から戻ったら皆と…店に行くと……約束……守れなくて……、僕の…心は…いつ…でも…あなたの…手の中に…──」

 

ある日親友の紹介で出会い、いつの間にか消え、突然現れたと思ったら、突然消えてしまった。彼は。永遠に────

           ──この剣を遺して。

 

本当だよ。約束したじゃない…ずっと…またあの笑顔で…剣のメンテに来るのを…帰りを…待っていたのに…。

 

「本当にいた…いたぞ!!ラフィンコフィンだ!!今も…今も人を殺した!!」

 

いつの間にか街の大通りには私たちを取り囲むようにたくさんのプレイヤーが集まってきていた。その中の一人がハースが爆散するのを見て叫んだ。

 

「この人達は…?」

「仲間は多い方が良いだろ、何のために俺が…わざわざ街中で大音量のスキル放って戦ったと思ってたん…だ。…まさか俺だけ命が惜しくて安全な圏内に留まってた…とでも?」

 

キリトが必死に何かを堪えているような声音で言った。こうしている間にも続々とプレイヤーは集まってくる。それを見たラフィンコフィンの連中は散り散りに逃げてどこかへ行ってしまった。

 

「リズ…」

 

アスナが心配して声を掛けようとするが、何と声を掛けて良いか分からず、ただ背中をさすることしか出来ないでいると、リズの目から涙が溢れる。右手でそれを拭いその手を膝の上の剣に戻すと、いつもの軽やかな効果音と共にアイテムウィンドウが出た。

 

《アイテム名:紺碧の炎 カテゴリ:装飾品 効果:アイテム精製時成功率+5%》

 

このあとなんとかリズはアスナとキリトに連れられて自分の店へ戻り、キリトが破られた扉類を直し、それから数週間はアスナがほぼ毎日リズベット武具店に泊まりリズの世話をした。

 

 

───それから約一ヶ月後

 

「これでよし!と。どうかな?」

「うんうん!とっても良いと思うよ!」

「おぉ…元々良いデザインだと思ってたけど、こうやって見るとやっぱカッコ良いなぁ…」

 

ハースが遺した細剣は形はそのままで装飾品アイテムになっていたので、それをリズベット武具店の店先と工房を繋ぐ扉の上に飾り付けたのだった。

 

「はいリズ、これも」

 

アスナが差し出したのは鎖が通してある炎の形を模した小さな指輪だった。

 

「これは…?」

「それ、私が前リズに66層の洞窟に行くプレイヤーがいないか聞いたことあったでしょ?その後洞窟に行った時に拾ったの。ハースさんが…つけてたやつだと思うんだ、けど色々あったから渡しそびれちゃってて…今になってごめんね?リズ」

「…そっか! ありがと!アスナ!」

 

そう言うとリズは指輪を受け取り、鎖をくるくると器用に飾ってある剣に巻き付けた。

 

「…ふぅ。今日も頑張りますか!…あ。もうこんな時間か、私店開けてくるね!」

 

そう言うとリズベットはいつもの笑顔で店先の扉を開ける。

 

「おはようございます!リズベット武具店へようこそー!!」

 

 

 

後に、彼女は別のゲームでも鍛冶屋を営むことになるのだが、その店の炉の内側をいろどる煉瓦の色を青色にするのにこだわったのは本人とアスナと俺、3人だけのささやかな秘密だったりする。

 

「しっかりしなきゃね!思い出は全部ココにある。本当に時々思い出して笑ってやんなきゃ、ありがとうって。今はそれしか出来ないもんね、大丈夫。それはアイツだって分かってる」

 

《END》

 

 

─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─

 

2026/2_26

 

「ど…どう…かな…?」

 

少し埃っぽい雰囲気のカフェで木目調の椅子に腰掛ける少女の肩に乗っているドーム型の機械から少し緊張した声が聞こえる。

 

「うん!凄く良かったと思うよ!ユウキ!」

 

少女が励ますように明るく答える。すると少女の周りを囲む少女達が次々に感想を言う。

 

「そうね!私も良かったと思うわ!途中から自分が結構メインで出てくるのはちょっと恥ずかしい気がしなくもないけど…」

「それでもリズさんは良いじゃないですか!私なんて最前線なんて程遠かったんですから出番無しですよ!」

「ほんと!?やったー!!シリカさんごめんねー、なんとか登場させてあげられないかと思ったんだけど…」

「えぇっ!?そんな大丈夫ですよ!凄く良かったと思いますし、ユウキさんは旧アインクラッドにいなかったのに描写も忠実だったと思います!出番の件はリズさんにふっかけただけですから、気にしないでください!」

 

「アスナ、リズ、シリカ、興奮するのは分かるけどまずは元々の発案者の意見を聞くべきだろ?」

 

と、少女達の後ろから黒髪の少年が言った。そして隣に並ぶ少年に発言を促す。

 

「えっそんなこと気にしなくて良いのにキリト、僕も良いと思うよ!…みんなはどうだった?」

 

茶色いくせ毛の頭をポリボリと掻きながら少年は横を見る。

 

「ハースのくせにかっこ良すぎると思う、特に後半」

「俺もそう思う」

「私も」

「えぇっ!?みんなして酷いなぁ!?」

 

これを聞いてカフェにいる少女達は一斉に楽しそうに笑いだす。

 

「ごめんごめん、冗談だよ!私も良いと思うよ!ね、レオ」

「そうだな、いつもはリンリかモモが大筋の話を作ってそれを元に色々話合って作品を仕上げるんだけど、今回は紺野さんが作った話そのままでいけそうな気がするよ!」

「うん…私もそう思う!これからずっと演劇部の脚本をお願いしたいくらいだよ~…」

 

再度笑いが起こる。するとアスナが口を開く。

 

「ハース、演劇部の皆さんも本当にありがとう、私とユウキの我が儘を聞いてくれて…」

「あ、あの!ボクからも、ほんとにありがとうございますっ!!」

 

アスナに続いてドーム型の機械からも声が聞こえる。

 

「そんなそんな!僕らも4人じゃこんな大掛かりな作品を作れなかったと思うし、こちらこそ助かってるよ、ありがとう!」

 

ことの成り行きはこうだ。アスナが初めて視聴覚双方向通信プローブを使いユウキ…紺野木綿季を自身が通う学校につれてきた日のことだった。アスナがユウキに学校を案内している途中、校内で演劇部創立の宣伝をしていた4人の生徒に会ったのだった。そしてその4人はアインクラッドで実際にアスナやキリトと共にボス攻略に参加していた《攻略組》だったのだ。再会を喜んで色々と話をしているうちに、部活創立には最低でも部員が5人いなければいけないのだが、今集まっている部員が4人なこと。アインクラッドで受けた心的外傷後ストレス障害─PTSDを克服するために、SAOを舞台にした作品をやりたいこと等の話をしたのだ。

そこに食い付いたのがユウキだった。彼女は元々物語が大好きなこともあり

「アスナ達が生きてきた闘いを知りたい」

という思いから演劇部の仮部員となり、演劇部の面々、アスナ達や、リズとシリカの紹介でルクスにもデスゲーム当初の話を聞きながら演劇の脚本を書き上げたのだ。予定だと、この脚本を元に現ALOのフィールドを舞台にアイテムを使って動画を撮影、編集して完成。という流れになっている。

 

「ユウキ、初めて学校に来て、授業でトロッコ読んだ時もいってたもんね!『これでもボク読書家なんだよ』って!」

 

笑いながら、衣装はどうしようとか、まだ解放されていない浮遊城の層の代わりはどこにしようとかの議論がそこかしこで繰り広げられる。

 

「あの…ちょっと良いかな、ユウキさん…?」

「ん?なに?キリト」

「あの…最後の方で街で追い詰められたハースを俺が助けに行くシーンの…台詞なんだけど…」

「…あーはは、分かった?」

「…やっぱり?」

 

するとユウキとアスナが笑いだした。後の面々が興味津々で訳を聞く。

 

「ボク達が27層のボスに挑戦しに行ったとき大手ギルドにボス部屋の前を占領されちゃっててさー、戦って押し通ろうとしてたんだけど、そこにいきなりキリトが飛び込んで来たんだよ!?しかも、壁を何mも走って!」

 

「「「「「壁を!?」」」」」

 

「うん!しかもね、大勢の敵の援軍の前に着地した後『──悪いな、ここは通行止めだ』って言い放ってさー」

 

ここでキリト以外の全員がクスクス笑いだす。自分も笑いそうになりながらもユウキは続ける。

 

「までも、そのあとほんとーに速射魔法を叩き斬ったときはほんっとに驚いちゃったたけど!」

 

「「「「「「魔法を斬った!?」」」」」」

 

今まで無言でボク達を見守っていたカフェの店主も皆と驚いた声を重ねる。

 

「い、いや…ほら、どんな高速魔法も対物ライフルの弾丸よりは遅い」

「「「「「………………。」」」」」

「あ、あれ…?」

 

「それって本当に0距離からでもへカートの弾を斬れるっていう遠回しな嫌味?」

 

突如キリトの後ろから機嫌が悪そうな声が聞こえる。

 

「お兄ちゃん…相変わらずむちゃくちゃなこと言うねー…」

「流石は英雄と呼ばれるだけあるな、今は普通の男子高校生にしか見えないが、な」

 

「シ、シノン!?スグ、ひよ…ルクスさんまで!?どうして…つかいつから…」

 

キリトがすっとんきょうな声をあげる。

 

「今来たんだよー、なんでってユウキが書いた脚本ではたくさんエキストラがいるし、撮影の邪魔にならないように周りのMOBを倒す人だって必要になると思って、というか…皆さん楽しそうだし…私もシノンさんもSAO知らないし…」

 

皆も口々に挨拶やお礼を言いながら3人を迎え入れる。その後お喋りをしながら早速今日の夜8時にALOの央都アルンで待ち合わせの約束をし、一旦解散となった。

 

「あ、ねぇ、紺野さん」

「ん?どうしたの?ハース」

「作品が出来上がって学校で公開する宣伝チラシを配るとき、脚本のところに紺野さんの名前を入れたいと思うんだけど、フルネームを漢字で教えてもらっても良い?」

「もちろん!」

 

ユウキが快くハースに自分の名前の漢字の説明をする。するとアスナがポツリと呟いた。

 

「せっかく読んだ人に楽しんでもらえるような話を作ったのに、学校で発表するだけってちょっともったいないよね…」

 

するとハースが思わぬ提案をした。

 

「あぁ、それなら脚本をそのまま小説としてネットに公開するのはどうかな?」

「ネットに?」

「うん、それならいつでも誰でも紺野さんの小説を読めるようになるよ!あ、でも、もしネットに投稿するときは本名じゃない方が良いよ」

 

「「……。それってアバター名が本名な私たちへの当て付けですか?」」

「いえっ!?そんなことは!?」

 

すると二人はふふふと楽しそうに笑いだした。

 

「冗談キツいよ…」

 

僕は少しだけキリトの苦労が分かった気がした。─…少しだけだけど。

 




やっと完結しましたー!!

最後まで後精読ありがとうございました!

これからは…ちょいちょい修正が入るはずw
忘れないうちに早く書き上げたかったもので(^^;
途中とばして雑になってるところとかすみませんでした!
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