紺碧の暖炉   作:ハース/ユウキ

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24時間テレビやってるー(・・;)


9、5日間

俺は急いで66層に転移した。するとすぐに転移門広場を真っ直ぐ北に向かって走ってゆくアスナの後ろ姿を確認した。すかさず俺も後を追う。

 

「アスナ!」

「! キリトくん!急いで洞窟へ向かえってどういうこと!?」

「とにかく急げ!走りながら話す!」

 

俺の推測はこうだ。あのクエスト情報の裏で糸をひいているのは恐らく大規模殺人ギルド《ラフィンコフィン》だ。つい最近攻略組のメンバーでラフィンコフィンの討伐に向かったが、その場から逃げのびた残党やラフィンコフィンの幹部格の奴らはまだ生きている。そいつらの仕業だ。奴らの目的は攻略組の壊滅だ。そうすると手始めに今以上に攻略組を大きくしないことが先決だ。そう考えると当然狙いは中層~攻略組の間に位置する実力者たちになる。それがおそらくあのクエストの掲示が50~65層のみに貼られた理由だ。

次に、装飾品アイテムやクエストのクリア者がいないことについて。あの掲示板の情報事態が嘘。もしくは、クエストは存在するがその途中にレッドプレイヤー達に襲われるのだ。アイテムもろとも帰ってきた者がいないのもそう考えれば納得がいく。だとすれば掲示の情報提供元がビーグル(=猟犬)なのも、以前アスナの見解から頷ける。

 

「ってことは、今《蒼い篝火》のみんなは…!?」

「あぁ…だから急いでるんだ!!」

 

状況を理解したアスナが更にスピードを上げる。それに伴って俺もスピードを上げる。そのまま洞窟の内部へと入る。すると、目の前に木の看板が現れた。

 

『←クエストNPC クエスト受注後→』

 

木の看板もフィールドに置きっぱなしにしておけばやがて消滅してしまう。確かこういう看板はもって5日間だったような…。

 

「もうひとつ繋がったぞ」

「…え?どういうこと?」

「掲示板には、『クエストクリアには人によって3~5日かかる』と書いてあった。この種類の看板の設置持続時間は約5日間だ。」

「それって…5日以上たって帰ってこないプレイヤーを誰かがこの洞窟に探しに来た時には…もう…」

「そうだ。どこでプレイヤーが消えたかの手懸かりが一つ消える」

 

たしかに左の道を進めばNPCはいる。だがおそらくこのクエストは囮で無視しても大丈夫だろう。

 

「アスナ、これから右の道を進む。けどいつレッドプレイヤーに襲われるか分からないから用心してくれ」

「わかった。キリトくんもね」

 

右の道は左に向かう道よりも更に薄暗くせまかった。その道を先程より少し速度を落として進む。

 

「止まれアスナ」

「え、わっ!?」

 

俺はアスナの腕を掴みながら急ブレーキをかけた。

 

「何かのスイッチだ」

「えっ…この小石が…?」

 

ゴツゴツした道の中央付近にわざとらしく平たい地面があり、その中心部に小石のような突起があった。

 

「押してみよう」

「…だ、大丈夫なの!?」

「分からない。けど試す他ないだろ?」

 

俺は恐る恐るその小石を踏んだ。

 

「カチッ……」

「……………何も起こらないじゃない」

 

アスナが左足を踏み出し進む。すると

 

「っ!?」

「アスナ!」

 

アスナの左足を中心薄青色の光の円が現れゆっくり広がってゆき、光が通った部分から床が抜け落ちてゆく。ギりのところでアスナはそれを避け俺の後ろに跳び退いた。

 

「びっくりした…」

 

落とし穴だった。恐らく蒼い篝火の奴らはこの落とし穴に落ちたのだろう。

 

「俺がわざと穴に落ちるから、アスナはスイッチを踏まずにこの先の道がどうなってるか調べてくれ」

「な、何言ってるの!?どこに繋がっているかも分からないのに!それに落下ダメージで死んじゃうかもしれないんだよ!?」

「大丈夫だ。どこに繋がってるかは分からないけど落下で死ぬことはない。落下で死ねば奴らは落ちた奴のアイテムを奪えないからな」

 

俺の説明を聞くとアスナはしぶしぶ了解してくれた。

 

「それじゃあとでね、気を付けてねキリトくん!」

 

そう言うとアスナは物凄い勢いで道を駆け出した。アスナの足元にはあの円は出ていない。俺はそれを見送るとスイッチを踏み勢い良く踏み出した。するとやはり青い円が俺の足の回りに現れた…のだが、その円は先程とは比べ物にならないスピードで広がって落とし穴になっていった。その様子は落とし穴というより道が一瞬で崩れ去ったようなものだった。

 

「なんっ…あぁぁぁぁぁ!?」

 

落ちながら俺は側面に剣を突き立てた。側面は次第に斜めになってゆき、最後は滑り台のようになっていた。

 

「あぁぁぁぁー……あああ!!」

 

俺は着地と同時に尻餅をついた。

 

「キャァァァッー……!!」

 

向かい側から悲鳴と同時にガリガリと靴底が擦れる音が聞こえた。

 

「あ、あれ…?アスナ?」

「…キリトくん、走ってたら急に地面が消えて」

「あー…ごめん、俺のミスだ」

 

どうやらあのスイッチが出す落とし穴の場所は固定なのではなく、あそこから先の道の全てがトラップの範囲な上に地面と触れている点が二点以上ある場合はその間を瞬時に落とし穴に変えるらしい。

 

「なるほど…でもそしたら、蒼い篝火のみんなもやっぱり落ちてここへ来た可能性が高いってことでしょ?」

「あぁ、だから近くにいるはず…」

 

俺のすぐ数メートル前に何か光る物が落ちていた。

 

「なんだ…?これ」

 

見るとそれは炎を模した形の指輪だった。

 

「っ!! それ!!」

 

アスナが早口に言った。

 

「ハースさんの右中指にはめてあったやつ…」

「なんだと…」

 

ということは、やはりハースはここに来たことになる。

それから深夜まで洞窟やその回りを探したが蒼い篝火のメンバーを見つけることは出来なかった。

 

「…キリトくん」

「あぁ…念のため剣士の碑を確認してこよう」

「…うん」

 

 

────剣士の碑

 

剣士の碑は横に長いのでアスナと手分けをして名前を探すことにした。

 

Linli …───

Leo …───

momo…───

health…

 

ハースの名前にだけ横線は刻まれていなかった。




次はまたハースサイドの話ですw
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