リ・エスティーゼ王国は封建国家であり、全領土のうち三割を王が、三割を大貴族が、四割をそれ以外の様々な貴族が治めていた。
政治は王と貴族の合議で行われる。王派閥と貴族派閥に分かれ対立しており様々な弊害が出ているが、これは何代も前からの膿が蓄積していった結果…で、あった。
現在では、強権を振るう国王“ランポッサIII世”による独裁が敷かれている。国王が、再び覇権を手中に収めるにあたって、流された血の量は昨年のワインの製造量を越えたらしいが、俺の知った事では無い。
俺は何もしていない。<絶対権力の玉璽>なるアーティファクトを国王陛下に献上しただけである。俺はそれ以外に何もしていない。全ては国王陛下が勝手にやった事である。そんな血塗られた愚王は、大陸統一を夢見ているらしい。まあ、夢を見るのは自由だし、晩節を全うしたいと言うのだから、ある程度は好きにやらせてあげようと思っている。
そんな訳で、派遣の身であり、忠誠心とか愛国心とかは微塵も無いが、一応、主席宮廷魔導師としてお給金を頂いてる分は、力になってあげているのだ。
さしあたり、陛下の夢を実現するにあたって粛清を逃れた貴族や一般兵君達は力不足も甚だしかった。そこで、一部の見込みの有る者を除き、大部分をリニューアル交換して差し上げた。
もっと猶予があれば、一般兵君達はパワーレベリングなど色々してあげれたのだが、何分時間がない。夢見る陛下に残された時間は、限りなく少ないのである。
そこで手取り早く、アルバイト君達を沢山、雇う事にしたのだ。デミウルゴス麾下、魔将の皆さんに悪魔を大量に召喚して貰い、“制服”を渡す事で兵団を作ってみた。やはり人間の国での兵隊が、見た目悪魔の一団と言うのは不適切であると判断したのだ。
制服は“アバター作成キット”と言うアイテムを用いて作成した。一度に大量の生産は大変な作業なのだが、それもデミウルゴスの配下達が一晩でやってくれた。“制服”の製造の為に用意した“材料”は、その端材すら余すところ無く有意義に活用されたと聞く。非常にエコロジーな取り組みだった。
-かくて、疲弊しきっていた王国の戦力は、一夜にして奇跡的な復活を遂げた。後はもう、増強された兵力を以って、ランポッサIII国王陛下が夢を叶える姿を見守るだけ……そう言う算段であった。
が、現実は厳しかった。簡単だった筈の単身赴任。気楽な旅行気分だった単身赴任。物見遊山にあれこれ見て回る筈だった単身赴任。支配者の重圧から解き放たれ…ソリュシャン一人くらいは、まあ旅のツレだと思っていた単身赴任。
それ以降、俺の仕事は激増した。“デスクワーク”何と言う悍ましい単語であろうか…結局、何処の世界でも仕事机は存在して、書類も存在して、事務、経理、総務も在るのだ。“営業”しないで良いだけまだマシだが、それでも貴族の数を減らし過ぎた。俺はそのうち書類に潰されて死ぬかも知れない……
おのれ、ラナーにデミウルゴス!!!話が違うでは無いか。こんな事なら、何処其処の要塞に“超位魔法”をぶち込んで来て下さい。みたいな仕事の方が、後腐れが無くて良かった。
実際、ソリュシャンの“プルプル整体ロールマッサージ”が無ければ、極限に溜まった俺のストレスが王都リ・エスティーゼを燃やし尽くしていたであろう事は間違いない。
と、言うかB案もあったのだ。国王を暗殺又は幽閉し、部下に“変化の杖”でも持たせて裏から国を支配する…そんな鉄板プランも。俺としては別にそっちでも良かった。それなのに、わざわざこんな面倒なA案を採用したのは、悪の在り方に拘るデミウルゴスと黄金悪女に唆されたからに他ならない。まあ、没になったB案は、また違う人物で再利用したのだが…
あぁ、それにしても…悪への拘りか。あの人を思い出すな…子は黙って居ても親に似るもの。
ーさっき混乱6へいったんだが
明らかに神サイモンを作ろうとしている魔法詠唱者がいたんだ
俺が何やってるんですか?ってきくと魔法詠唱者は嬉しそうに
「フフフ・・・完成した・・・ 究極のサイモン・・・ サイモン・アルティマが!!」
とかいってきた。そう言うの楽しいんですか?とも聞いたら
「生意気な奴・・・!!さぁ、サイモン まずはそいつを殺してみなさい!!」
その瞬間、魔法詠唱者はサイモンの8kというダメージをうけて死んだ。ー
それが、彼との鮮烈な出会いであった。それから随分と、色々お世話になったよなぁ……アインズさんでは無いが、あの頃は、本当に楽しかった。ハァ、仕方ないな。ウダウダ考えてないで俺もそろそろ仕事をするか。
リ・エスティーゼ王国のヴァランシア宮殿における宮廷会議。玉座に座る王ーランポッサIIIと、周りに傅くその家臣?達。
会議…会議ねぇ…現在の王国において、どれ程の意味を持つと言うのか…六大貴族とかもう居ないし、残りの貴族だって“中身”は変わってるんだから、陛下の好きにすれば良いじゃないか。余程、変な事でない限り黙認してあげているのだから。
寧ろ、お前んトコのお嬢ちゃんが一番危険なんだよ…一体、お宅は娘さんにどういう教育をしてるのかね?もしかして、今日の議題とはーラナー殿下の更生についてーかな?それなら色々と意見があるぞ、俺は。
「帝国から布告官が来た」
「陛下、侵攻は確定という事であれば、我々も備えなくてはなりません」
応えたのはレエブン侯なる大貴族。中身がまだ変わっていない貴重な人材である。ラナー殿下謹製の“この国にまだ必要な奴リスト”に名前が上がっていた。
「ふむ。デプレジオン殿。貴殿はどう思う?」
聞いてませんでした。などとは言えないよなぁ……。この人たち何の話してたんだろう?とりあえず、真剣に考えましたと言う素振りはしなければならない。その上で…こんな時の答えは一つだ。
「陛下の御意のままに」
王が深く頷き、レエブン侯が片眉を動かしたのはあえて無視する。
「そうか。なるほど……。良かろう……。ならばお前もついてくると良い」
「はっ!あの偽帝の首を切り飛ばして見せますぞ、父上!!」
あと、この会議のレジュメを後で
長くなり過ぎたので分割しましたが、文字数見るとそうでもなかった・・・
次回は戦争編です。多分。