インフィニット・ストラトス~Side Class-2~ 作:貴武川 紗実
「はぁ・・・はぁ・・・」
「どうした?やはりこの程度だったか」
「俺は・・・俺は負けるわけにいかねぇんだよっ!!」
接近戦でボーデヴィッヒとやりあっていたがやはり歯が立たなかった。SEが削られ残りわずかとなりこれ以上食らったら負けてしまう・・・けど、俺は皆と約束したんだ。絶対勝つと!
「うぉぉぉりゃぁぁぁぁぁ!!!!」
ガシッ!
「ふん」
「・・・あっ・・・」
「終わりだ」
ドゴッ
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ガシャァァァァァァン!!!!
「ぐはっ・・・ち、ちくしょう・・・」
右ストレートを放ったが受け止められてしまいカウンターで逆に右ストレートを食らってしまい地面に叩き付けられた。SEが尽き強制解除になってしまった。試合終了アナウンスと共に歓声が響いた。
「やはり貴様は奴の片割れに過ぎなかったようだな」
ボーデヴィッヒは俺に捨て台詞を吐きアリーナを去って行った。
「ま、待てよ・・・」
意識が朦朧とし気を失った・・・。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――ピピピピッピピピピッ。
「・・・っ!」
夢だった。
「夢か・・・」
ついに学年別タッグトーナメントの日を迎えた。しかし、この日に限って悪い夢を見てしまった・・・よりによってボーデヴィッヒに負ける夢。額には冷や汗がたらたらと流れてきた。横を見ると、ティナは相変わらず布団を蹴飛ばして大の字で寝ていた。
「(そうだ、勝てばいいんだ)」
俺は自己暗示をして気を引き締め、朝シャワーをしに向かった。
◇
「いよいよだな」
「あぁ」
「二人とも、気合入ってるね」
男子更衣室で俺と一夏、そしてシャルルの3人でトーナメント表が発表されるのを待っていた。今回の大会は生徒数が多いため数日間かけて行うそうだ。2対2のタッグ戦で先に2人を撃破すれば勝ちという殲滅戦方式だ。
「しかし来賓の方々が豪華なこった」
「各国の政府や企業の関係者が来てるから勝ち続けたらスカウトが来ちゃったりするかもね」
「おぉーじゃあ優勝とかしたらお偉いさんに呼ばれたりする?」
「あり得る話よ」
「よーし!あいつに勝つついでに優勝して名前を覚えてもらおうかな!」
「ふふっ。でもお姉さんの弟さんってことだから多少は覚えられてるんじゃない?」
「あー・・・」
「あ、そういやお前のお姉さんもISの操縦者だったよな?確か名前は――」
「レジーナ・バクスター」
レジーナ・バクスター・・・俺の姉貴でオーストラリアの代表。そしてモンド・グロッソの初代女王であり、あの千冬さんに唯一黒星を付けた人だ。第2回もこの2人どちらかが勝つと予想されてた中突然行方不明になってしまい世界中で大ニュースとなった。結局国際規模で捜索されたが一切痕跡が見つからず現在はほとんど発展も無い状態だ。俺も探してはいたが俺一人ではどうしようもなかった。
「ホントに気の毒だよ。お姉さん、早く見つかるといいね」
「あぁ。ありがとな。でも・・・」
「でも?」
「もし逢えたら一度戦ってみたいな。初代女王の実力をこの身で確かめたいんだ」
「本気かよ?」
「まぁ叶わない夢だけどね」
そう言っていつでも出撃出るようISスーツに着替えた。
「あ、対戦表が決まったみたいだよ」
「どれどれ・・・え?」
「あーあ。君たちとは決勝戦までお預けになったね」
「それはそうだけどラッド、よく見ろよ」
「ん?・・・え?」
モニターから対戦表に切り替わり俺たちはそれぞれのブロックを確認し合った。俺・ティナ組はAブロックで一夏・シャルル組はBブロックになった。肝心のボーデヴィッヒは俺と同じAブロックになり順調に進めたら準決勝で遭うことになる。それだけじゃなく奴の相棒が箒だということだ。
「あいつのペアが箒だとは・・・」
「箒・・・」
「それより一夏・・・」
「何だ?」
「悪いな!俺があいつを倒す役目になっちゃったよ」
「そうだなー。・・・負けんじゃねぇぞ」
「もちろんだ!決勝で会おうぜ!」
「あぁ!」
パァンッ!
「これが男の友情ってやつかな?」
「かな?シャルルもやるか?」
「え?う、うん・・・やる!」
パァンッ!
◇
1回戦――
2回戦―――
3回戦――――
順調に勝ち続け明日はいよいよ準決勝だ。一夏たちも順調に勝ち続け、不意に負けてくれることを祈っていた奴のペアもが残念ながら勝ち上がってきた。
「いよいよだな」
前夜祭を兼ねた集まりを俺の部屋で始めていた。メンバーは俺、ティナ、一夏、シャルル、鈴ちゃん、セシリアさん。あと話を聞いて駆けつけてきた
「Aブロックから試合が始めるからラッドたちが先ね」
「組が違うけど・・・ラッドくん頑張ってね!」
「コンコンふぁいと~」
「ありがとう!ん?コンコン?」
「あーのほほんさんは親しい人にはニックネームで呼ぶんだぜ」
「そうなのか。じゃあのほほんさんは友達か!やった!!」
「おーやったー!」
俺は両手を挙げて喜んだらのほほんさんも真似して両手を挙げた。それからは暫く皆でわいわい語り合ったりゲームしたりして楽しい時間を過ごした。消灯の時間になりそれぞれの部屋に帰っていき俺たちは寝る準備をし始めた。
「ラッド。あいつに勝てる策考えた?」
「策という策は思いつかない」
「でもさ、私は考え思いついたぜ」
「え?」
「ほら、あいつのAICって前しか出ないじゃん?って事は背後に回れば・・・」
「なるほど。それで前を集中させて背後に攻撃すれば当たるかも!」
「だろ!?私いい考えじゃね!?」
「あぁそうだな!明日は勝とうぜ!」
「おう!鈴たちの仇を取らないとな!」
パァンっ!
両手ハイタッチをして明日に向けてそれぞれのベッドに入り眠った。
◇
「私は負けると予想していたが・・・貴様たちはなかなかやるではないか」
「そうか。そりゃどうも」
「私らをなめてもらったら困るんだけど!」
「フンッ。貴様らを倒し、織斑一夏も倒す」
「いーや。その前に俺たちがお前を倒す」
「・・・」
5
4
3
2
1
試合開始!!!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ラウラ Side――
「行くぞティナ!!」
「分かってるよ!!」
試合が始まり2人同時に突撃を仕掛けてきた。
「・・・先制攻撃か。露骨な戦法だな」
「そうかい?」
「!?」
私はAICを出し動きを止めた。しかし目の前にいたのはティナ・ハミルトンだけだった。
「ど、どこだ!?」
「こっちだ!」
AICを出した隙に私の視界から消すように飛んだようだ。奴は私にフレアを向けていた。すぐさま解除しその場から離れた。直後に爆風が吹き上げた。
「ちっ!」
「小癪な事を・・・!」
「はああああああああああああっ!!!」
レールカノンを奴に向けようとしたところ、私のペアになった篠ノ之箒がコンラッド・バクスターに突っ込んでいった。
「(くそっ、邪魔をするなと言ったはずだ!!)」
「ボーデヴィッヒさんよ!私が相手になるぜ!」
「ふん・・・訓練機如きが私に勝てるとでも思っているのか?」
「そんなの無理だよ。でも、やってみなきゃ分からない事もあるんだよ!!」
そう言って訓練機"ラファール・リヴァイブ"を身に着けたハミルトンが牽制するようにマシンガンを撃ちながら周りをグルグルと飛んでいた。
「そうかい・・・なら本気で行くぞ」
ワイヤーブレードを放出し奴を狙った。ちょこまかとしつこく避けられたがついに――
「ぐはっ!!」
ブレードが2発命中し絶命した虫のように落下し地面に墜落した。やはり訓練機如きでは、私には倒せない。無意味だ。
「どうした?やってみなきゃ分からないのだろ?」
「くっ・・・ううっ・・・」
私は落下したハミルトンを掴み、とどめにプラズマ手刀を刺そうとした・・・
「やめろぉぉぉぉ!!」
「!?」
背後からコンラッド・バクスターが急接近して来たのでハミルトンを放し奴のパンチをかわした。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
コンラッド Side――
数分前に遡り・・・
「私を忘れては困るな」
「忘れるわけないだろうが。じゃあタイマンと行こうか」
「ラッド!こいつは私が相手になるから箒を頼むよ!」
「分かった!」
そう言ってボーデヴィッヒをティナに任せ俺は箒とタイマンを始めた。箒は訓練機"
「なっ!それは・・・」
「双天牙月だ」
「何故お前が持っているのだ!?」
「そういえば箒には言ってなかったな。俺のIS、他者の武装をコピー出来るんだ」
「じゃあつまり、鈴のISを・・・」
「あぁ。優勝してくれって気持ちを込めて頂いたのさ」
俺は連結した双天牙月を鈴ちゃんから教わったスタイルで使いこなした。が、箒も剣術の達人レベルだからなかなか直接ダメージが入らない。
「はっ!」
「ぐっ!」
ガキンッ!ガキンッ!!
何度も打ち合いをしそして・・・
「うおりゃっ!」
キーンッ!!
葵を飛ばすようかち上げた。無防備になった所でフレアに切り替え箒に放った。命中し向こうの壁まで吹き飛んで行った。
「あと3発か・・・」
このフレアが使えるのは1回の展開で5発までだ。先ほど1発撃ち込んだから2発も使ってしまった。弾を温存するべく俺はミーティアに切り替えティナを援護に向かおうとした。だが彼女がが襲われていた。俺は咄嗟に向かいボーデヴィッヒにもう1発パンチを当てようとしたがかわされてしまった。
「大丈夫か!?」
「あぁ・・・悪りぃ・・・もう動けないわ」
ラファール・リヴァイブのSEがOのアラームが鳴り戦闘不能となった。がくりと項垂れていたティナを庇い。俺は壁際まで運び再度出撃した。
「次は貴様の番だ」
「そうだな。箒も撃破したし次はお前を倒す」
「ほぅ・・・やれるものなら・・・やってみろ!」
今度は奴が突撃を仕掛けてきた。至近距離ではフレアは自分にまで食らってしまう・・・
「食らえ」
「ぐぉっ!」
仕返しと言わんばかりのボディブローを食らった。俺は壁際まで飛ばされ、SEもかなり削られた。
「ぐっ・・・残り250か・・・相手は700も・・・」
「やはり貴様は奴の片割れに過ぎなかったようだな」
!?夢でも同じこと言われたことを言われた。あの時はこのまま負けたんだ・・・でも、そうはさせない!
「どうした?もう終わりか?」
[警告!敵ISからロックオンされています!]
ディスプレイに警告文とアラームが鳴りだした。
「いや・・・終わりじゃない」
俺はクイッと右手を振った。
「何だ?・・・くっ!」
「俺にはまだ秘策があるんだよ・・・!」
その秘策とは
「ブルー・ティアーズ!?貴様が何故それを!?」
「教えてやろう。俺のISは他のISの武器をコピー出来るのさ」
「何だと?」
「さぁ行け!」
3機のブルー・ティアーズが散開しながらボーデヴィッヒを射撃し続けた。回避はしつつも数発は命中してるようでSEが徐々に減っていった。
「このっ・・・!」
俺の予想通り、ワイヤーブレードで破壊を試みてる。・・・背を向けた!今がチャンスだ!!
「うぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「なっ!い、
「食らえっ!!!!」
飛ばしながらフレアを放った。これならAICは間に合わない!
ドゴォォォォォォォォン!!!!!!
「きゃあああああああああ!!」
フレアで吹っ飛んだボーデヴィッヒは壁に激突して倒れこんでいた。ディスプレイには[ペテルギウスSE:250/シュヴァルツェア・レーゲンSE:300]と表示されていた。追い込んだ。これで畳み掛ける!一度止まったが再度奴の方へ突っ込み、掴み、連続で殴った。
ガッ!ガッ!ガッ!
俺は怒りに任せ、ひたすら殴り続けた。こいつにバカにされた怒りと傷つけられた皆の仇!!!
「そしてこれが・・・鈴ちゃんとセシリアさんの仇だっ!!!!」
――ガッ!!
ビィーーーーッ!!!
「試合終了!勝者、コンラッド・バクスター、ティナ・ハミルトン!」
試合終了の合図とアナウンスが鳴り響き、歓声が湧いた。
「勝った・・・勝ったぞ!うおおおおおおおおおおおお!!!!」
「やったな!ラッド!!」
ラファール・リヴァイブを外したティナが駆け寄ってきて抱きついてきた。俺たちは勝った・・・!そして、皆の仇も取った・・・!!勝利の余韻を楽しんだ後、倒れこんだボーデヴィッヒの元へ向かった。
「お前の負けだ。ボーデヴィッヒ」
「・・・何故だ」
「あ?」
「何故だ・・・貴様に負けるなんて・・・認めぬ・・・」
「何を言ってんだ?」
「認めんぞぉぉぉぉぉ!!!」
突然叫びだしたのと同時に激しい電流がボーデヴィッヒの周りから放ち、ISがドロドロに溶けて行った。彼女も叫びながらそのドロドロに飲み込まれ、不気味な物体へ変化していった。
「緊急事態発生!全生徒は速やかに避難せよ。繰り返す!全生徒は速やかに――」
「何かヤバそうじゃん。ラッド逃げるよ」
「あぁ。・・・あ?」
「どうした?・・・ってお前・・・」
ティナと逃げようとしたが動けなかった。足元を見ると俺の両足はドロドロに掴まれていた。
「うおっ!?何だ!?」
そのドロドロに俺は物体の方へ引っ張られるように飛ばされてしまい、その物体に激突した。固い性質だったみたいで肩を強打してしまった。
「ぐっ!」
「ラッド!!!」
ティナが駆けつけ手を伸ばし俺も手を伸ばしたが、足元周辺はすでに黒いドロドロが広まっていて手が届かなかった。俺はそのまま飲み込まれてしまった。目の前が真っ暗になり、意識を失った・・・。
◇
教員 Side――
緊急事態を発令した直後・・・アリーナ一望出来る観察室には織斑先生、山田先生、そして蛇島先生がいた。
「な、何なんですか?あれ・・・」
「VTシステムだ」
「VTシステム・・・条約で禁止されているはずですよ!?」
「そう。過去にモンド・グロッソを制覇したことのある人の動きをトレースするシステムで、アラスカ条約で使用も研究も全て禁止になってるが・・・密かにあの子に埋め込まれていたとはね」
「っ!バクスター君が飲み込まれています!!・・・え?あの姿って・・・」
「何だと!?」
「暮桜・・・千冬ちゃんが使ってたISを真似たのか」
「山田先生、今すぐ鎮圧部隊を送れ」
「何人送っても敵う相手じゃないかな」
「分かっている。だがやるしかない」
「あの形態だとジワジワと削るのも時間がかかりそうだな・・・一撃で潰すしかない」
「だとすると・・・」
「
「でも一夏君はまだ観客席にいたはず」
「ふっ・・・流石に出てきたか」
「お?どうやって?」
「恐らく、閉まる隙にアリーナへ飛び込んだのだろう」
「あーそういうことね・・・彼ならやってくれるか」
「教師としては認めるわけにはいかないが、今は信じよう。あいつの姉としてな」
「ははっ。そうだね!」
「それと、お前に一つ言っておきたい。学園内では織斑先生と呼べ」
「はいはい」