インフィニット・ストラトス~Side Class-2~ 作:貴武川 紗実
寮の入口の扉を開けた。ここでは履き替えが無く土足で部屋に向かうことになってる。部屋まで着く間ポケットからウォークマンを取り出して音楽でも聞こうと思ったその時だった。
「おっ!コンラッド君!ちょうどいい所に!」
寮の守衛の人に呼び止められた。
「今日の昼頃に君宛てに届け物が届いたよ」
「俺宛に?誰からですか?」
「それがね・・・宛名が書いてないんだよ」
「・・・はい?」
俺と守衛さんと一緒に警備室に向かい俺宛らしき荷物を確認しに行った。その荷物は段ボール状に包まれていて確かに届け先には俺の名前が書いてあった。しかし肝心の誰が送ったのかが書いてなかった。母さんが書き忘れることなんてあり得ない。
「この書き方だと、君がここにいるってことを知ってる上で送ってきたって事だよね。どうする?」
「一応・・・部屋に持ってきます」
突然の出来事で心臓の鼓動が激しく聞こえ、背筋に冷や汗が流れた。見知らぬ人から送られてきた怪しい物。もし爆弾とか怪しい物だったらどうしよう・・・そんな気持ちになり、音楽も聞く気にもなれなかった。部屋に着き段ボールを机の上に静かに置いた。ティナが帰ってきてるようだがシャワー中ようだ。一人ぽつりといるなか、俺は包装をゆっくり剥がした。そして段ボールを開けると中からアタッシュケースが入っていた。それを取出し、鍵を外し開けた。
「何これ・・・?」
アタッシュケースの中身はデジタル腕時計と設計図と説明書一式が入っていた。一通り机に並べることにしすべて取り出した。するとケースの底からメモが入っていた。俺はそれを取出した。内容は・・・
【君の専用機を差し上げよう。上手く使いこなしてくれたまえ c(U*・×・)U】
と書いてあった。最後のマークはうさぎかな?ってか、本当に誰なんだ・・・?専用機ってまさかこれ―――
「あ。帰ってたんだ。先にシャワー借りたよ」
俺は夢中になりすぎて気配に気づいていなかった。後ろを向くと赤と黒交じりのジャージ姿のティナが髪の毛をバスタオルで拭きながらやってきた。
「なぁ・・・これ見て」
俺はティナにもアタッシュケースの中身を見せた。彼女は腕時計を見た後メモを黙読した。しばらくすると驚いた顔で俺を見た
「これ・・・ISじゃない?やったじゃん!これでクラス対抗戦もいけるな!」
「いやいや、まだ勝てるかどうか分からないよ。それに・・・差出人が分かんないから安易に使うわけにはいかないし」
「あー確かにそうだよな。じゃあどうするんだ?」
「とりあえず先生に報告してみる」
この判断しかなかった。勝手に専用機を入手したなんて言えないしバレたら大騒ぎだからな・・・。翌日、城塚先生に伝えるとIS技術部へ行くように言われた。
◇
放課後、俺は言われた通りIS技術部の職員室へ向かった。技術部は俺たちの教室がある校舎の奥に位置する所にある。そこでは主に、ISに関する調査や研究がおこなわれている。また専用機を所持している生徒限定だが整備室を貸出し、規律の範囲内の改造、強化も出来るのだとか。
「失礼しますー」
職員室の扉を開けた。中には何人かの先生がいたが、そのうちの一人がこっちに来た。
「やぁ。バクスター君かい?話は聞いてるよ。こっちに来てくれ」
男の先生だった。俺は何も言わずについていきある部屋へ入った。そこには主任室と書かれていた。
「で、どこの誰かから分からない奴からISが贈られたんだって?」
「はい・・・これがそうです」
俺は腕時計を外してその人に渡した。
「見たところ、ただの腕時計にしか見えないけどね・・・よし。ちょっと預かってもいいかな?なーに!心配するな!問題がなかったらすぐに返すよ。あ、あと千冬ちゃんには僕から伝えるよ」
ち、千冬ちゃん・・・?友達なのか??
「あ、あの・・・織斑先生と知り合いですか・・・?」
俺は無意識に聞いた。
「そうだよー。千冬ちゃんと束ちゃんは僕とは同級生さ」
その人は机のPCを立ち上げながら答えた。
「あの子が世界大会に出た時、僕がメンテナンスとメディック担当だったからね。あ、そういや名前まだだったよね。僕は”
蛇島・・・聞いたことないな。ここに来る前、千冬さんが出場した映像は何度か見たが彼を見たことは無い。けど、裏方の人だったら映る可能性も低い。
「そうだねー・・・3日もあれば解析出来ると思うんだけどねぇ。終わったら連絡するよ」
そう言って蛇島先生と連絡先交換をした。何気に先生との交換は初めてだし一夏以外で男の人と取れるなんて思ってもなかったからちょっと嬉しかった。
◇
用件を済ませてさっさと寮に帰ろうと思って少し小走りで向かった。
「あっ」
「あら?」
途中、校舎に繋ぐ連絡通路で以前に一夏と言い合いしていた金髪のお嬢様とばったり出会った。
「貴方も整備に来ていらっしゃったの?」
「いや、俺のはまだだけど」
正確には出来てるけど今は出せない状況なんだよね。正直に言うと何されるか分からない人だし
「あら。そう」
そう言うと俺の横を通り過ぎて行った。
「貴方といい織斑一夏といい、運に恵まれた男なんてここにいても他の女子にちやほやされる以外役に立ちませんわ。ま、わたくしに話しかけられるだけでも光栄と思ってくださって」
と、去りながら俺に言ってきた。何なんだこいつ・・・初対面なのに随分と上から目線だな。確かにISが出来て以来”女尊男卑”の世の中になったけどさ。胸糞悪い気分にされつつ俺は部屋に向かった。決めた。専用機が正式に使えるようになったらあいつをぶっ飛ばしてやる!!