インフィニット・ストラトス~Side Class-2~   作:貴武川 紗実

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この話ではコンラッドの出番は少なめです


CHAPTER-2
第6話 遅れてきたチャイニーガール


――?? Side

 

「やっと着いた」

 

あたしの出身地、中国北京(ペキン)市から出発してから約12時間。移動という名の長旅の到着地”IS学園”に着いた時には既に夕方5時を迎えていた。本来なら、入学式には間に合ってたはずなんだよね。何故遅くなったのかは理由がある。出発しようとした時期に男たちによる”女尊男卑(じょそんだんぴ)“に反対するデモが起こって暫くの間、空港どころか鉄道すら動かせない状況になっていた。けど、代表候補生でもあるあたしは重要人物ということもあったから日を改め、今日、ここに来ることが出来た。しかもチャーター機で。貸切ってホント最高よ!機内では誰にも邪魔されずに気楽に過ごせたし。そんなことより・・・ホント、威張るだけの子供みたいって昔からそう思ってたから男は嫌いだ。一部を除いては・・・その中でも特別な存在がいた。織斑一夏・・・あたしの幼馴染で小学5年から中学2年の途中までは一緒だった。けど、あたしの両親が離婚したのが原因で国に帰ることになった。離れ離れになってまだ1年半も会ってないけど、あいつは変わってないよね?やっぱあたしがいないと寂しいとか言ってくれないかな?期待とちょっとの不安を抱きながら校舎へ向かった。

 

「えーと、受付は事務室へ行くこと・・・ってそもそも事務室ってどこなのよ!」

 

右も左もわからない状況。あたしが方向音痴だから?それともIS学園自体が大きすぎるから?悩んでいたその時だった。目の前に男子生徒が通り過ぎていった。一夏・・・?あたしは無意識に追いかけてその人の後ろまで追いついた。

 

「一夏?」

「ん?」

 

その男子が振り向いた。ところが一夏じゃなかった。茶髪のショートレイヤーで青目・・・よく見ると日本人じゃなかった。あっ、そういえば!一夏以外にももう一人男でIS使える人がいたってテレビで言ってた。そっか!この人だったのね。もうこの際だ、この人に尋ねよ。

 

「ねぇ、この学校の事務室ってどこかな?」

「事務室?それならこの先の校舎入ってすぐの所にあるよ。あ、よかったら案内するよ。俺も用があって向かうところだし」

 

そう言って、あたしはその人と一緒に事務室へ向かった。感じ良さそうな人でよかった。

 

「もしかして・・・転校生?」

 

校舎へ向かう道中、彼が聞いてきた。

 

「そうだけど」

「そうなんだ!俺はコンラッド・バクスター。ラッドでいいぜ。」

 

と気軽に握手を求めてきた。

 

「こちらこそよろしく。ラッド!あたしは凰鈴音(ファン リンイン)(リン)でいいよ。ところでさ・・・一夏って何組か分かる?」

 

無意識でコンラッドに尋ねた。

 

「1組だよ。知り合い?」

「そう!あいつとは幼馴染なのよ」

「そうなんだ。ならあいつ喜ぶんじゃないかな?幼馴染と再会なんて」

「そうね!」

 

気が付くと楽しいムードになっていた。あたしは、一夏との昔話をコンラッドに話したりした。彼も楽しそうに聞いてくれた。そう、まるで一夏と話してた時のように・・・。

 

 

 

 

翌日、担任の先生・・・城塚先生に連れられて教室の扉の前まで向かった。どうも、あたし以外にも転校生が来るということで振分けの結果、2組に編入することになった。一夏とは隣のクラスになったけど・・・ま、いっか!休み時間に会いに行けばいいし!呼ぶまで待機しててと言われ、先に先生が教室に入っていった。

 

「まず最初に転校生を紹介するわ。さぁ、どうぞ入って!」

 

合図が聞こえ扉を開け、教壇の近くまで歩いた。

 

「凰鈴音です。これからよろしくお願いします」

 

と言って頭を下げた。そして周囲を見ようしたら、目の前にラッドの姿がいた。嘘でしょ!?同じクラスだったなんて偶然だわ。あいつも軽く手を振っていた。

 

「凰さんは中国の代表候補生で専用機も持ってる。皆、仲良くするように!」

 

先生がそう言うと全員「はーい!」と言った。そうして席を案内された。ラッドの後ろだった。そういえば、もうすぐクラス対抗戦だったはず。昨日事務室の人から1組は一夏だって聞いたから、2組のクラス代表譲ってもらおう。そうすれば、あいつと・・・!

 

 

――1時間目終了後

 

 

あたしの周りに何人かの女子たちとラッドがやってきた。女子たちはあたしにいろいろ聞いてきた。あっちではどんな風に過ごしてたとか、専用機はどんなのとか、好きな人いるかとか・・・その質問にはお茶を濁した。いるなんて恥ずかしくて言えないし。質問が終わるとラッドが話しかけてくれた。

 

「まさか、(リン)ちゃんと同じクラスだったとはね。改めて、よろしくな」

「こちらこそ!」

「なんだ、ラッドと知り合いだったか?」

 

と、ラッドの隣にいた女子が話してきた。

 

「昨日知り合ったばっかだよー。そうだ、彼女はティナだよ」

「ティナ・ハミルトンよ。よろしく!」

「うん!こちらこそ!」

 

来て早々2人も友人が出来た。しかも一夏以外の男友達も!しばらくしてあたしは今いるメンバーに聞いてみた。

 

「ねぇ、このクラス代表は誰なの?」

「俺だよ」

 

まさかのラッドだった。

 

「そうなんだ。じゃあさ・・・お願い!クラス代表譲ってくれない?」

 

ラッドには悪いと思いつつ、頼んでみた。断られたら仕方ないから諦めようと思った。

 

「えっ、ど、どうしよ?」

 

ラッドは周りに聞いてた。

 

「私はどっちでもいいよー」

「コンちゃんが決めればいいさ~」

「私は景品貰えるならどっちでもいいぜ」

 

そういえば、1位になったクラスには景品が配られるって話だったっけ?

 

「じゃあさ、クラス代表任せた!」

 

そう言うとあたしの肩をポンッと叩いた。あれ?てっきり嫌だとか言うと正直思ってた。

 

「コンちゃんホントにいいの?」

 

「うん。だって、代表候補生ってことは実戦経験があるでしょ。俺より豊富な鈴ちゃんのほうが優勝狙える可能性が高いはずだ。それに・・・自ら進んでやりたいって言ってるから尊重してあげたいしさ」

 

「なるほどなぁ。確かにそれは一理あるな。・・・頼んだよ鈴!」

(ファン)さん頑張ってね!」

 

こうしてあたしは急きょ2組のクラス代表に任されることになった。これで一夏と戦える・・・と思ったその時だった。

 

「あ、でも今から変えても大丈夫なのかな?」

 

一人の女子が言ってきた。確かに、当日まであと数日しかなかった。今更変えるなんてあたちらが大丈夫でも先生がOK出してくれるか分からない。

 

「俺ちょっと先生に聞いてくるよ!」

 

とラッドが教室を飛び出していった。しばらくしたら城塚先生と一緒に教室へ戻ってきた。すると、あたしたちに向かって両手で丸のポーズをしてきた。

 

「OKだってさ!!」

「上には私が伝えてくるから大丈夫だ。2組の代表として頑張れよ!」

「あっ・・・はい!」

 

強く返事をしたけどなんだか少し体から力が抜けた。こんなにあっさりと話が進むこともあるんだね。ラッド・・・ありがとう!

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

――コンラッド Side

 

 

今日付で俺から鈴ちゃんにクラス代表を委任することにした。自分でやりたいって言ってきたから駄目なんて思う理由がない。多少の後悔はあるけどそれでも、友達の頼みは断れない性格だ。

 

「ラッドー。本当に譲って良かったのか?」

 

放課後、第4アリーナを借りてティナと特訓を兼ねての模擬戦していた。もうする事も無いと思うが、決して無駄なことじゃない。専用機持ちになった今、この先に何が起こるか分からないから。試合を終え、お互いのISを解除してアリーナの端で休んでいた。俺のは待機状態の腕時計に戻るが、彼女のISは学校の訓練機のためしまうことができない。代わりにしゃがんだ状態で待機させてある。てか!いつの間にか俺の呼び名変わってるし。

 

「ああ。女子の頼みには弱いからね」

「あっははははっ!!」

 

ティナが爆笑した。え?ウケることだったここ?

 

「いやぁごめんごめん!そんな感じしてたから予想通りでつい・・・」

「俺そんな感じに見える!?」

「まぁな」

 

頷きながら言った。確かに、前の高校の時もそうだし母さんの頼みも断ったことなかったよな。少しは直した方がいいのかな?

 

「そろそろ寮に戻ろうぜ。疲れたし腹減った~・・・」

「分かった。じゃあ着替えに行くからまた後でな」

「はいよー」

 

こうしてそれぞれのロッカールーム行くために一旦別れた。本来は全室女子更衣室だったが、俺と一夏が来たことから各アリーナの更衣室を別々に区切られた。とは言うもの、更衣室が広いこと!ほぼ貸切状態である。そういや隣のアリーナで一夏とセシリアさんと箒がいたような・・・機会あれば、あの2人と手合せしてもらいたいなぁ。そう思いながら着替えて、ティナと合流してから一緒に寮へ向かった。

 

「いやーラッドの使ってるロケラン強くねぇか?全然避けられないんだけど!?」

「そりゃロックオンしてるし当たるよ。じゃあ今度は回避の練習でもしよう」

「そんなの無理だってぇ」

 

寮に入り、部屋に向かう途中で2人で話していた。すると誰かとぶつかった。

 

「痛っ・・・ごめんy・・・って鈴ちゃんじゃないか」

 

相手は鈴ちゃんだった。しかし何も言わずに立ち去って行った。何だか様子がおかしかった。一瞬だったがあきらかに泣いている顔だった。

 

「おい鈴!」

 

ティナが追いかけて行った。俺も後を追った。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

――鈴音 Side

 

「一夏のバカッ・・・唐変木・・・」

 

2年前の事だった。中学2年の時一夏とある約束をしてた。“料理の腕が上がったら毎日作ってあげる”と。それはつまり、将来あたしと結婚して欲しいって事・・・あいつは覚えてくれてると信じてた。部屋にいるということだから会いに行って覚えてるか確認で聞いてみた。そしたら、”毎日メシを奢ってくれる”って言葉通りのまま受け取ってたみたいだった。挙句に自分の記憶力は感心とか意味の分からないこと言って余計に腹が立って一夏を思いっきりひっぱたいた。そして罵倒して部屋を出て行った。ここまでの記憶しか残ってない。気が付いたら、自分の部屋のベッドで泣きながら倒れてた。

 

「おい鈴!いるか!?」

 

ドアの向こう側から声がした。その声はティナだった。起き上がろうとしたがふらふらで立ち上がれなかった。ところが、既にあっちが先に入ってきたのだ。

 

「だ、大丈夫か?」

 

ティナの後ろからコンラッドが駆け寄ってきた。ショックであたしは思わず抱きついた。

 

「お、おい・・・」

 

困惑してたのは分かってた。けど、それ以外する事が出来なかった・・・。

 

「何があったんだ?」

 

やっと涙もおさまって落ち着いたところで2人にさっきの事を話した。

 

「ねぇ、あたしが言ったことの意味分かったかな?」

 

2人は少し考えていた。すると先に口を開いたのはコンラッドだった。

 

「それはつまり・・・間接的に結婚して欲しいって事?日本のよく言う”毎日味噌汁を作ってあげる”みたいな?」

 

「あぁー・・・あれか!」

「しかし、そのままの意味で取る奴いたんだ。日本の言葉って難しいな・・・」

 

ティナはともかくコンラッドは分かったのに何で一夏は分かってくれないのよ・・・そう思うともーっと腹が立ってきた。よし、今度のクラス対抗戦でもし相手になったら――

 

「で、どうしたいんだ?」

 

同じタイミングでティナが訊ねてきた。あたしはもちろん決心していた。

 

「あいつを・・・ぶっ飛ばしたい!そしてフリーパスを頂くわ!」

 

何もかも吹っ切れた。ベッドから立ち上がって二人に言った。

 

「コンラッド!ティナ!これから放課後、あたしの練習に付き合いなさいよ!!」

 

二人はポカーンとした表情をしていたが気にしない!クラス対抗戦まで待ってなさいよ!!一夏っ!!!

 

 

 

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