インフィニット・ストラトス~Side Class-2~ 作:貴武川 紗実
――コンラッド Side
「(ここで初陣か・・・よし、行くか!)」
俺は待機状態である腕時計のある左手差出し、叫んだ。
「来いっ!ペテルギウスっ!!!」
すると、腕時計が光りだし辺りは眩しくなった。そして各部位にアーマーが装着され最後にヘルメットが着いた。通常のISは身体のどこかは露出しているのだが俺のは全身装甲という珍しいタイプだ。昔、従妹の姉ちゃんに見せられた日本のあるヒーローに似てて割と気に入っている。
「相手は・・・武装無しか!?じゃあ、丸腰相手ならこれで!」
フェイス部分に[敵装備:無し]という敵の情報が表示された。近接ならこっちは射撃で勝負に出る。早速、装備の一つであるパルスライフル"ミーティア"を取出し構えた。
「よし、行くぞ!」
俺の初陣が幕を開けた。
ダダダダダダダダダッ――
かなり撃ち込んだはずなのにあの無人機はまだ動かない。効いているから動かないのか?それとも、何か企んでるのだろうか?
「そうだ!あのロケラン使えば!」
と、模擬戦でお世話になってる現最強装備のロケットランチャー"フレア"に持ち替えて、無人機に狙いを定めようとしたその時だった。
「ぐあっ!?」
奴がこっちに急接近して来て強烈なボディブローを食らった。そして怯んだ隙に首を掴まれて壁に叩きつけられた。衝撃で持ってた"フレア"を落としてしまった。
「は、・・・離せ・・・!」
俺は必死にもがき、掴んだ手を解こうとしたが全然効かない。それどころか2回、3回と壁に叩きつけられた。一発の威力が大きく、
「やばい・・・このままじゃ・・・やられる・・・」
通路を転がりうつぶせに倒れていた。いくらシールドがあるとはいえ痛みは身体に伝わってくる。もし残量が無くなれば
やっぱりISは動かせても実際には戦えないのか・・・ここまで練習してきたのに
「これ以上は危険だ!そこから離れろ!」
「コンラッドくん!こっちに戻るっス!」
ダリルさんとフォルテさんから通信が入り言葉通りに離脱しよう立ち上がろうとした。しかし、ダメージが酷くて起き上がれない。それどころか、無人機がこっちに歩み寄ってきた。
「終わった・・・」
どうやらトドメを刺しに来たみたい。無人機が腕を振り上げたのを最後に俺は目を瞑った。
―ズキッ!
突然謎の頭痛が起きた。
「あ、頭が・・・痛いっ」
そこで俺の意識が消えた。
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――ダリル Side
「これ以上は危険だ!そこから離れろ!」
「コンラッドくん!こっちに戻るっス!」
俺たちの声も届かなかった・・・奴の右腕が降りおろし衝撃とともに砂埃が辺りを包んでいた。そこにいた全員立ちすくんでいて、ティナは膝をついて涙を流していた。俺は彼女を慰めるようにして起きあげた。
「すまない。俺が助けてられたら・・・はっ?」
「え?」
砂埃が治まった先に見たのはさっきまでボロボロだったはずのペテルギウスが何もなかったかのように立ち上がっていた。今度は逆に無人機の顔面に右ストレートが入り転がるように倒れた。その隙にロケットランチャーを
「お前・・・やるじゃねぇか!」
何故か俺はコンラッドを抱きしめていた。人を抱いたのは恋人のフォルテ以外無くましてや男相手を抱くなんて人生で一度もなかったのだが・・・無意識にしていた。
「ラッド大丈夫かよ?」
「へへっ・・・大丈・・・っ」
そう言いかけたところでこいつから力が抜けていった。
「お前たち!無事か!?・・・って、え?」
遠くから
「あー先生。こいつが頑張ったんだぜ」
俺の体に寄り添っていたラッドを指して先生に言った。フォルテもティナも簪もうんうんと頷いていた。
「自分たちのISは壊れて使えなかったっスからコンラッドくんが代わりに倒してくれたんっスよ」
城塚先生はコンラッドの首に指を当てながら話を聞いてくれた。
「とにかく無事でよかった。さ、早く医務室へ連れていってあげて!」
「はい!でも先生は?」
「私はやる事があるからな!」
「サンキュー!城塚先生!」
そう言って俺はラッドをティナとフォルテは簪を連れて医務室へ向かった。
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――コンラッド Side
「ん・・・あれ?」
さっきまで無人機のISと戦ってたはずが目の前は医務室の天井だった。同時に、仕切られていた白いカーテンが開いた。
「あ、気が付いたのね」
カーテンの先にいたのは鈴ちゃんだった。俺はふらふらな頭を支えながら起きあがった。
「あんたも倒れたって聞いてビックリしたんだから!」
「も?どういう事?」
鈴ちゃんに聞くと無言で隣のカーテンを全開にした。その先にはベッドに横になっていた一夏がいた。
「よっ」
「お、おう」
「ホントあんたといい一夏といい、二人とも無茶しすぎよ!」
腰に手を当てながら呆れ顔で俺たちに言った。反論も出来ませんね。俺と一夏は照れくさそうに笑った。
「あっ、そういえばアリーナにいた奴はどうなった?」
「倒したぜ」
「倒したぜ。じゃないわよ!SEが少ないのに敵に突っ込むバカがどこにいんのよ!?」
一夏が自慢げに言っていたが鈴ちゃんにツッコみ気味に叱られた。2人の話を簡潔にまとめると
・先生たちの指示を無視して2人で応戦。
・劣勢からのセシリアさんが加勢して敵を撃破。
・倒したはずの敵がまだ生きてて3人に向かってビームを打たれたがそこへ一夏が突っ込んで完全に停止させた。
「どおりで俺の声も聞かなかったのね」
アリーナ内での話を聞き終えたところで俺もピットのゲートが閉まる直前まで呼んでいたことを言った。
「あー・・・ごめん!逃げようとしたけど放っておけなくて」
「何とか俺たちが食い止めようとしたんだ。ほら、先生たちが来るまでの時間もあったしさ。そういや、ラッドも大丈夫か?あの無人のISがもう1体いたって聞いたぞ?」
「ああ。そっちは俺が倒した」
「嘘でしょ?あんたやるじゃない・・・どうやって倒したの?」
「それがさ・・・」
当時の記憶が無い。ただ、誰かに操られてた感じはした。そして気が付くと目の前にはあの無人機がスクラップ状態になっていただけだ。
「ふーん・・・記憶が無いってのは気になるわね・・・」
「お前も無茶するなぁ」
「少なくともビームに突っ込む勇気は無いよ!」
そう言って男二人で笑いあった。鈴ちゃんは呆れてたけど。
「じゃあ俺は寮に戻るよ」
「もう大丈夫なの?」
「あぁ。待ってる人がいるしね」
鈴ちゃんに心配されたが平気だった。一夏は全身に軽い打撲をしていたが何故か俺は軽い頭痛以外目立った怪我はしてなかった。俺はベッドから立ち上がり医務室を出た。
◇
「よっ」
校舎の出入り口でダリルさんに会った。どうやら俺を待ってたらしい。
「フォルテさんと一緒じゃないんですね」
「あいつは先に部屋に戻ってるぜ」
フォルテさんはティナと一緒に簪ちゃんと医務室に連れて行った。足首を捻挫していたみたいで処置も短時間で済んだそう。とりあえず寮の部屋まで連れて帰って行ったという。
「お前は平気か?急に意識を失ったから焦ったんだからな!」
そう言って肩を思いっきり叩かれた。ISと戦ってた時よりこっちのほうが痛いと思った。
「すいません・・・もう平気ですのでご心配おかけしました」
「そうか!なら良かったぜ。あとさ、ティナにもちゃんと言っておけよ!あいつが一番心配してたんだぞ?」
ダリルさんがいきなり俺の手を取りいちご味の一口サイズのチョコレートを2個くれた。
「えっ?わ、分かりました」
寮に戻りダリルさんと別れ、俺の部屋に戻った。ティナがベッドに座っていて俺のほうを見ると駆けつけて抱きついてきた。
「ラッド!良かった・・・戻ってきてくれて・・・」
相当心配してくれてたんだろうな、ティナの涙が俺の制服でびしょ濡れになっていた。ティナの頭を優しくポンッとしてさっきダリルさんから貰ったチョコレートをあげた。
「ただいま・・・ごめんね心配してくれて」
「・・・当たり前だろっ!でも・・・無事で良かったぜ」
確かに。俺も何が起きたのかも分からない。気が付いたら無人機相手に勝っていた。
こうして俺の初陣は勝利(?)で収めたのであった。