インフィニット・ストラトス~Side Class-2~   作:貴武川 紗実

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第9話 少女たちの策略

 

 

 

――コンラッド Side

 

クラス対抗戦決勝戦は結局引き分けという形で終わった。景品は1組と2組と分け合う事になり両クラスの女子は皆喜んでいたけど俺はそれよりあの無人機との戦いの方が気になって仕方なかった。ある日の放課後、蛇島先生にあの時の出来事を全て打ち明けた。無人機との戦闘中突然頭痛が起きて俺が無意識のうちに倒していた。流石の蛇島先生でも今までにない現象で分からないようだ。ただでさえ、男がISを使えること自体が初めての事だったから。

 

「なるほどねぇ。コンラッド君、ホントに戦ってた時の記憶が無いんだね?」

「はい・・・」

 

俺は蛇島先生が淹れてくれたコーヒーを頂きながら答えた。

 

「しかし君が無事で良かったけど今後何かしらの後遺症も出る可能性もあり得るから気を付けてね。もし、日常生活で異変が起きたらすぐに僕の所へ来てね」

「わ、分かりました」

「あ、ところで君のISだけど・・・少し面白い事が分かったよ!」

 

先ほどまでの心配顔が一転して目をキラキラした表情で俺に語り始めた。

 

「君のIS、ペテルギウスだけど以前第0世代だって話はしたよね?」

「あぁー確かセシリアさんや鈴ちゃんの機体とは性能や仕組みが違うって話は聞きました」

「うん。それで僕は君が前にフィッティングした際にデータを貰って調べてみたんだ。そしたらますます興味深い事を見つけてね!」

「えぇ」

「・・・君の拡張領域(パススロット)の容量が著しく多いんだよ」

 

 

拡張領域(パススロット)・・・簡単に言えば後から装備できる所謂アイテム枠みたなやつだ。容量は機体によって異なるが平均的に6~8らしいが一夏みたいに全く空いていないってこともある。

 

 

「で、ちなみに容量ってどれぐらいなんですか?」

「50だ」

「はい!?」

「50もあるんだよ。こんなに空き容量は今まで見たことないからビックリしちゃったんだよ!!!」

 

蛇島先生が思わず叫ぶほどまれに見ない光景だったんだろう。ハッと我に返って眼鏡をクイッとし仕切りなおした。

 

「あぁごめんね・・・つい熱くなってしまった。で、もう一つ凄いことが――」

 

と言いながら目の前のデスクに置いていたパソコンを開き何やらタイピングして俺にディスプレイを見せてくれた。そこに書いてあったのが――

 

 

 

【"武装複製(ウェポン・コピー)"】

 

 

 

武装複製(ウェポン・コピー)・・・他の専用機のデータをインプットすることでその機体が装備している武器を複製出来る能力。・・・だそうだ。

 

「すげぇ・・・」

 

俺は驚きを隠せなかった。どうやらこれがワンオフアビリティというらしい。要するに俺の専用機にしかない特殊能力というものだ。この能力だから容量が多いのではないかと蛇島先生の見解だ。

 

「ただ、良いこともあれば悪いこともある」

「何です?」

「ペテルギウスは形態移行(フォーム・シフト)しない。むしろ出来ない仕組みになっている」

 

 

 

 

――数日後

 

 

「今日は1組との合同訓練がある。着替え終わったらすぐに第2アリーナへ向かう事!以上。」

 

城塚先生の話が終わり、SHRが終わった。女子達が着替えの準備をし始めたので俺は教室を抜け第2アリーナの更衣室へ向かおうとした。

 

「コンラッド君ちょっと待って」

 

城塚先生に止められた。

 

「何ですか?」

「今日から1組に転校生が来たって話は聞いた?」

 

あーそういえば今度は1組に転校生が2人来たってクラスの女子達が言ってたな。一人はドイツから来た眼帯着けた子ともう一人はフランスから来た金髪の・・・美少年だと。

 

「よかったら仲良くしてあげてね。同じ男子として」

「了解です!」

 

俺は敬礼ポーズして駆け足で更衣室へ向かった。途中で何やらがやがやしてたけど気にせず向かい到着した。一夏と例の転校生はまだ来ていなかった。

 

「おぉ先に来てたのかよ」

 

着替えが済んだ頃に一夏がやってきた。その後ろに転校生の男子生徒がいた。

 

「どこ行ってたんだよ?」

「いろいろあってな・・・あ、紹介するぜ2組のコンラッドだ。で、こっちがシャルル」

「コンラッド・バクスターだ。ラッドでいいぜ」

「うん!僕はシャルル・デュノア。僕もシャルルでいいよ」

 

俺はシャルルと握手をした。

 

「・・・?」

「ん?どうしたの?」

「あ、いや・・・何でもないよ。俺は先に行くぜ」

「え?待ってくれねぇのかよ!?」

「遅れたらマズいからな」

 

そう言ってさっさと更衣室を出てアリーナへ向かった。何せ今日の合同訓練は千冬さ・・・織斑先生がご指導だからな。到着したらまだ生徒が揃っていなかった。まだ時間に余裕があるからもう一人の転校生にも挨拶しようと思い探した。

 

「君が転校生か?コンラッド・バクスターだ。よろしく!」

「・・・」

 

あれ?無視かよ。もう1度話そうと思ったところで織斑先生の号令がかかった。どうやら時間がきてしまったようだ。一夏たちはギリギリ間に合わなかったようで叱られててちょっと申し訳ない気分になっちまった。そして鈴ちゃんとセシリアさんが一夏に言い寄っててまたそれで織斑先生の拳骨食らってた。

 

 

 

 

「今日はISの実戦訓練を行う。・・・とその前に実際の戦闘を見てもらおう。凰!オルコット!前へ出ろ」

 

そう言われぶつぶつ文句言いながら前へ出た。

 

「お前ら少しはやる気を出せよ。あいつ(一夏)に良い所見せるチャンスだぞ」

「「・・・っ!!」」

「こ、ここは私セシリア・オルコットの出番ですわ!」

「そ、そうよ!代表候補生の実力をみせてやるわ!」

 

囁き気味にアドバイスを貰った二人は180度がらりと変わったかのようにやる気満ちた表情に変えた。流石千冬さん!分かってらっしゃる!尚、当の本人はなんの事か分かっていない模様・・・

 

「あの、戦闘は誰とやるんですか?それとも二人に戦ってもらうんです?」

 

俺は質問した。織斑先生は「フッ」と笑い気味に返事をした。

 

「まぁ慌てるな。もうすぐ・・・来たな」

 

そういうと上を向いたので皆も真似して上を向いた。すると黒い物体がこっちに落ちてきた。

 

「わああああああっ!!ど、どいてくださああああいっ!!」

 

誰かが落ちてきた。

 

「え・・・?うわっ!!皆逃げろ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

ドカ―――――――――――ン!!!!!!

 

 

 

 

 

大きな落下音と同時に巨大なクレーターが出来た。俺を含め女子達は真っ先逃げ出し間一髪無傷で済んだ。約1名を除いては。・・・そう一夏だ。

 

「ゲホッゲホッ!おーい大丈夫かー?」

 

砂埃が治まったところで一夏と声の主の人は無事だろうかと思いクレーターを覗き込んだ。どうやら2人共無事だったようで声の主は1組の副担任である山田真耶先生だった。

 

 

 

 

 

 

 

しかし・・・

 

 

「お、お前何してんだああああああ!?」

 

俺は思わず叫んだ。確かに無事だった。一夏は山田先生を押し倒すような状態でたわわな胸を鷲掴みしていた。

 

「お、織斑くん・・・その・・・困ります・・・」

 

ほらー困ってるじゃないk――

 

「ああでも、このまま行けば織斑先生がお義姉(ねえ)さんってことも・・・それはそれで魅力的ですね・・・」

 

あれ?山田先生も妄想に走っちゃってるぜ・・・しかしあの人の胸もでけぇな・・・一夏め・・・羨ましい・・・

 

 

 

ドスッ!

 

 

「痛っ!」

 

背後にいたティナにど突かれた。

 

「・・・あんまりジロジロ見てんなよ」

 

「あ、はい・・・」

 

蹴られた俺より酷い状況の一夏はISを装着していた2人に襲われていた。セシリアさんにスナイパーライフルで撃たれかけ鈴ちゃんからは双天牙月(そうてんがけつ)を連結してデカい手裏剣のごとく投げ飛ばしてきた。

 

「オホホホホッ・・・残念です。外れてしまいましたわ」と顔が笑ってないセシリアさん。

 

「一夏っ!!覚悟しなさいよっ!!!」とブチ切れの鈴ちゃん。

 

両者何の躊躇いもなく攻撃しやがるな・・・双天牙月(そうてんがけつ)が一夏にめがけて飛んできたその時――

 

 

 

 

 

バン!バン!

 

 

 

 

 

訓練機"ラファール・リヴァイブ"を装着した山田先生が放った銃弾で間一髪地面に落下した。伏せた状態でしかもたった2発で。これには俺も一夏もあの2人や他の皆も唖然としていた。

 

「山田君はああ見えて元代表候補生だ。今の射撃もお手の物だぞ」

「い、いえ。昔のことですし・・・それに候補生だけで代表までは・・・」

 

そう言われ照れくさそうにして起き上がり打ち終えたライフルを仕舞いこんだ。この学園はスゲェ人だらけだ。ついさっきまで妄想に走っていた人がこんな射撃技術を持っていたなんて・・・少し惚れた。

 

「さて、お前らの相手は山田君だ。さぁ・・・始めっ!!」

 

織斑先生の号令と共に三人が一気に飛翔していった。

 

「デュノア。ラファール・リヴァイブの仕様を説明して見せろ」

「はい。ラファール・リヴァイブは第二世代の機体で、安定した性能と―――」

 

シャルルが説明していたが、俺は聞くことよりあの3人の戦いに夢中で見ていた。序盤は互角のように見えたのだが・・・そうでもなかった。2人の機体が真っ逆さまに落ちてきて試合はすぐ終わった。山田先生の完勝だった。二人の攻撃は一切当たらなかったし何より連係ミスが目立ちチャンスを逃すことが多かったのだ。当の二人は落ちた後も揉めていた。

 

「ちょっと!邪魔しないでよ!!」

「それはこっちのセリフですわ!鈴さんこそ―――」

「はいはいそこまで!これでIS学園(ここ)の教員の実力を体感しただろ?以降は敬意をもって接するように。いいな?」

「「あ・・・はい」」

「さて、次はグループで実際に乗って訓練を行う。リーダーは専用機持ちが担当だ。では分かれろ」

 

と織斑先生が言い終わると同時に女子達が一斉に分かれた。とは言え明らかな偏りが激しく

 

多い>一夏、俺、シャルル

 

中>鈴ちゃん、セシリアさん

 

少>ボーデヴィッヒ

 

流石にこの状況に呆れたのか出席番号順に振り分けられることになり渋々従っていた。そうして無事に(?)分けられ各グループに訓練機を1機借りることに。打鉄が3機、ラファール・リヴァイブが3機と半々だが早い者勝ちと言われ俺のグループは多数決の末ラファール・リヴァイブを借りることにした。

 

 

 

 

「おしっ!じゃあ早く終わらせようぜ!最初は誰からやる?」

「はいはーい!私!!」

 

準備を終え、1番手は1組の岸原理子さんが名乗りを上げた。万が一時間内に終わらなければ居残りになってしまう。

 

「よいしょ♪」

 

フィッティングも難なくこなし

 

「オーライーオーライー」

「どう?出来てる!?」

「バッチリだ!」

 

歩行、武器の構え・収納、そして装着解除までが今回の訓練だ。

 

「わーい!出来た!!」

 

岸原さんは難なく完了し終えた。その後の子も順調に続いた。所が4人目の子が誤ってしゃがまずに降りてしまったのでISが立った状態のままだ。

 

「あーごめんー!うっかりしちゃったー!」

 

ところが後のメンバーはニヤニヤしてる子や小さくガッツポーズしてる子がちらほらいた。何故?と思った俺はメンバーの一人が向こうのほうを指した。その先は一夏のグループだった。どうやらあっちも同じくISを立ったままにしていて一夏が専用機"白式(びゃくしき)"を展開してお姫様抱っこして上げていたのだ。

 

「あー・・・もしかしてあれ?」

 

 

一同頷く

 

 

「ったくよ・・・しょうがないな」

 

一同の目が輝く。そういや姉貴に言われたことあるな・・・「女子のリクエストはしっかりと応えること」ってな。

 

「ちょっと待ってな・・・(来い!ペテルギウス!)」

 

俺は右手を上にあげて心の中で唱えペテルギウスを展開した。瞬時に装着しフェイスメットが覆われた。

 

「さぁ、次は誰?」

「私よ」

 

5人目はティナだった。両手を腰に当てて待っていた。

 

「じゃ早く乗せてくれよな」

「おうよ」

 

そう言ってティナを抱えてホバーモードに切り替えコックピットまで運んでやった。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

――ティナ Side

 

他の女子達の計らいでラッドに抱っこしてもらう事になった。あまり乗り気じゃなかったけど理子が「いいじゃん♪コンラッド君に抱っこしてもらえるんだよ?」と言われOKしちゃったぜ。しかし理子よ、やたら笑顔で言ってくるのはやめてくれよ。

 

「さぁ、次は誰?」

 

あいつの専用機"ペテルギウス"を装着して準備が終わったっぽい。順番は・・・私だった。

 

「私よ。じゃ早く乗せてくれよな」

「おうよ」

 

そう言われラッドに抱え込まれまるでお姫様抱っこの状態にされコックピットへ向かった。これは流石に恥ずかしいな・・・

 

「ん?どうした?」

「な、何もないよ」

 

ヤバッ。顔に出たかな?そう言うとそのままコックピットまで連れて行ってくれた。その後の訓練はは他の奴らと同じようにサポートしてくれた。普段とは違ってISに関することになると顔つきが変わってくんだよなぁ。何というか・・・頼もしい感じ・・・

 

「おい」

「ふぇッ!?」

「ふぇッ!?じゃないよ。そろそろ降りる時間だぞ」

「あ・・・悪いな」

 

私はしゃがもうとしていたがラッドが小声で「そのままで」と言われ察した。下を見ると後の奴らが鋭い目線でこっちを向いていた。

 

「なるほどな!じゃ私も・・・ってうわっ!?」

 

飛び降りようとしたら足が引っかかってしまって頭から落ちそうになった!・・・がラッドが抱えてくれて地面に激突せずに済んだ。

 

「大丈夫か?」

「あぁ・・・ありがとうな」

 

そのまま地面に下してくれて私の訓練は終了した。次の奴の訓練中理子が話しかけてきた。

 

「ふふーん♪ティナすごく嬉しそうだったねー」

「う、うるせぇよ・・・!」

 

理子に不気味な笑顔で言われたけどほんの少し嬉しかったぜ。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

――コンラッド Side

 

 

無事に全員終わり居残りは免れた。午前の訓練はこれで終わりで午後からはまた別の訓練があるらしい。

解散!の号令で俺は更衣室へ向かって着替えを始めた。

 

「お疲れ―」

「お、おう・・・お疲れ・・・」

「どうした?」

「いや実は・・・」

 

片づけの時に一夏のグループは「男がやって当然!」と言われ一人で機体を運んだそうだ。ちなみにシャルルのグループは「デュノアくんにそんなことさせられない!」と言われ女子全員で運んでもらったみたい。俺のグループは全員で運んだ。この差は何だろう・・・?

 

「そ、それは大変だったな・・・」

 

俺はISスーツの上から制服を着ながら労った。一夏は疲労困憊で動けない状態でシャルルは何故か着替えようとしなかった。

 

「ラッドも終わったのなら手伝ってくれよっ・・・」

「あぁ悪いな。こっちも精一杯だったからさ」

「僕も手伝おうと思ったけどほかの女子たちに止められてさ」

「ま、またこういう場面の時は手伝うさ。・・・さてと、先に着替え終わったけど。一夏大丈夫か?」

「あぁ、大丈夫だ」

 

そう言うとベンチから立ち上がって着替え始めた。ちょっと経った後にシャルルも着替え始めた。そして一夏も着替え終えてシャルルを待とうとしたら

 

「ふ、二人共先に行ってて!」

「え?何で?」

「いいから!」

 

何故かシャルルが強気に言ってきた。

 

「あぁ・・・分かっ――」

「別に待っててもいいぜ?待つのは慣れっこだし」

「僕は嫌なの!先に帰っててよ!!」

 

頑なに帰ってほしいと言ってるシャルルに頑なに待とうとする一夏だったが流石に俺も止めた。

 

「おい、シャルルが嫌だって言ってるだろ。ほら飯行こうぜ」

「お、おう・・・」

「悪いな。シャルル」

「いいよいいよ。ありがとうラッド」

 

何とか一夏を連れ出して更衣室を出た。出る途中後ろから大きなため息が聞こえたのは気のせいだろうか・・・?

 

 

 

 

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