サイヤ人に捧ぐ   作:もちマスク

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この作品には以下の要素が含まれます
・独自設定
・主人公最強

プロローグなので地の文が続きますが、読み辛ければ後書きに簡単にまとめてあります。


本編
存在しえない歴史


遥か古の話をしよう。

孫悟空やベジータが誕生するよりも。超サイヤ人ゴッドが確認されるよりも遥か昔の事だ。

 

後にサイヤ人と呼ばれる事となる種族は、エイジ700年代とは比較できないほどに強大な種族であった。

荒れ狂う暴力を形容したかのような存在。超越種。暴虐の嵐。

仮にこの古の時代に宇宙トカゲの突然変異種がいたとしても、まるでおがくずか何かのように消しとばされ、食い散らかされ、淘汰されていたことだろう。

全ての存在が彼らに追いつくことができない。

彼らは古代サイヤ人。とある世界線では“超サイヤ人4”と呼ばれる存在であった。

 

彼らの過ぎ去った後には何も残りはしない。原型を無くし微塵に滅びた星々の残骸が散らばるのみである。

そんな悪鬼達の跳梁跋扈する時代が、確かに存在していたのだ。

 

そんな暴力の化身とも言える種族だったが、それでも彼らは絶滅の危機に瀕していた。

彼らに外敵など存在しない。欲しいものも暴力によって手に入る。

では何故かと問われるならば、彼らを絶滅の危機に追いやったのは、他ならぬ彼ら自身であると答えよう。

その身に収まりきらぬ凶暴性は、彼らを共喰いに赴かせ、互いに殺し合い、その数を減らしていったのである。

血を血で洗う地獄のような環境が、古代サイヤ人達にとっての揺籠だったのだ。

 

しかし、その揺籠から誕生した1人の怪物によって、古代サイヤ人達の運命は大きく変わることとなる。

それは、おおよそサイヤ人とは思えない、白く透き通った髪を持つ美しい少女だった。

他の古代サイヤ人には見られない類い稀な知性と理性と気品を持ちながら、彼女は他の誰よりも凶暴性を内に秘めていた。

彼女は理知的でありながら、他の何を差し置いても、闘いが、闘争が、生命の鬩ぎ合いが何よりも好きだった。愛していた。

誰よりも暴力を愛し、そして誰よりも強さに貪欲である彼女にとって、他の古代サイヤ人は最高の馳走であり、この地獄のような揺籠は最高の餌場であった。

彼女の誕生によって、古代サイヤ人の絶滅は更に加速することになる。

 

卓越した力と道理を蹴散らすような凶暴性をもつ古代サイヤ人にとってすら、彼女は天敵と呼べるものであり、彼らは次第に彼女を畏れるようになった。

 

力を持ち過ぎれば、彼女に喰われる。強くなれば、彼女は嬉々として殺しにくる。

兇悪な古代サイヤ人の中であってなお、異質な存在であった彼女は、古代サイヤ人達に“出る杭は打たれる”という事を理解させるのに充分過ぎる存在であったと言えよう。

 

やがて古代サイヤ人達は考えた。如何あってもこの怪物に勝つことはできない。束になって闘いを挑んだとしても、あるいは奇襲、暗殺を試みても、彼女を悦ばせるだけ。事実、彼女の殺害を試みた猛者達はすでに塵と化し、死闘を経た事により彼女がさらなる成長を遂げるだけの結果となった。もはや生物と呼んで良いのかわからない。全身の細胞は常に活性化し、彼女の肉体は老いる事をやめてしまった。

もはや老衰を待つ事すらできない、永遠に成長を続ける怪物の誕生だ。

 

そこで彼らは“退化”する事を選んだ。弱くなる事で、彼女の興味の対象から外れようとの考えからだ。

自分達の力に絶対の自信と誇りを持つ彼らにとって、それは苦渋の決断であったが、それ以上に彼女は恐ろしすぎた。

古代サイヤ人達のこの決断に、彼女は怒り狂った。

 

『それでも戦闘種族か。恥ずかしくないのか。誇りはないのか』

 

彼女は激情の赴くままに古代サイヤ人達を罵ったが、彼ら疲れたように肩をすくめるのみであった。

 

『誇りだと…そんなものはとっくに貴様に貪り尽くされた』

 

彼女は激昂した。仮にも戦闘民族がーーー自分の同種達がこんな惨めで情けない存在であっていいはずがない。彼女は瞳を涙で濡らしながら彼らを睨みつけた。

 

『誇りも力も失ったというのならば、そのようなサイヤ人など、もはや存在する価値などありはしない、滅ぼしてやる。滅ぼしてやる。滅ぼしてやる』

 

憎悪の炎を宿す瞳を前に抵抗する気力すらなくなってしまった古代サイヤ人達を、彼女は情け容赦なく滅ぼしていった。

 

しかし。

6人の古代サイヤ人が立ち上がり、奇跡が起こる。

ただ純粋に生きたいと。滅びを迎えさせるわけにはいかないと。

その祈りが、奇跡を産んだ。

超サイヤ人ゴッドが邪悪のサイヤ人を倒すために、サイヤ人全体の滅びの危機を前にして現れたのである。

 

彼女は狂喜乱舞した。自身に立ち向かう存在は何年ぶりだろうか。10合も自分と打ちあう事ができる存在が他にいただろうか。

彼女は今までの怒りを全て忘れ、その一瞬を堪能し、闘争に没頭した。

ただひたすらに目の前の存在が愛おしくてたまらなかった。

 

しかし、奇跡は長続きはしなかった。超サイヤ人ゴッドの力は長持ちしない。

彼女がウォーミングアップを終えたところで、変身は解けてしまった。

それからの事はよく覚えていない。

気がつけば彼女は呆然と、"勇敢だった"サイヤ人の前で涙を流していた。

感じたことのない、どうしようもない孤独感が彼女を襲った。

 

彼女は全てがどうでもよくなってしまった。

心に失望と諦観が根付いてしまった。

 

もう自分に立ち向かう存在は現れないのだ。

もう自分の闘いは終わってしまったのだ。

もう自分は、命をかけた闘争を楽しめないのだ。

不完全燃焼のまま、もう2度と。

燃えカスのような自分がどうしようもなく惨めに思えた。

 

失意のまま、彼女は永い眠りについた。いつかは。やがて、いつかは、自分と闘える存在が現れる事を夢見て。やがて、自分を越えるような存在が現れる事を祈って。

また、嵐のような闘争を愉しめる日が訪れると信じて。

 

何年も。何千年も。何万年も。例え幾億年でも。

 

 

一方で古代サイヤ人達は、超サイヤ人ゴッドの存在を闇に葬る事にした。

もしもこの先に超サイヤ人ゴッドが現れてしまったら。

確実に彼女は目を覚ましてしまう。それだけはあってはならない。

 

こうして超サイヤ人ゴッドの伝説は抹消され、古代サイヤ人達はただのサイヤ人へと退化を遂げる。

しかし今でもなお、サイヤ人達の間ではこんな伝説が深く根付いている。

 

『偉大にして(えい)(ごう)なる戦闘民族の祖“エミューゼ”

そは久遠(くおん)に横たわる死者にあらず

測り知れざる永久(とこしえ)のもとに死を越ゆるものなり

惑星の墓場 悠久の揺籠にて死せる戦士の神を夢見るままに待ちいたり』

 

 

 




というわけで、主人公は古代サイヤ人の女性、エミューゼです。名前の由来は『ゲミューゼ』から。
読み飛ばした人のためにまとめると

1.サイヤ人の祖先は超サイヤ人4。
2.同じくサイヤ人の祖先である戦闘狂系ヒロインエミューゼに食い散らかされて古代サイヤ人が絶滅の危機
3.強いとエミューゼに目をつけられるので、古代サイヤ人、弱体化を決意→エミューゼ激おこ
4.暴れるエミューゼを止めるために超サイヤ人ゴッドが現れてエミューゼご満悦。でも時間切れであっけなく終了。エミューゼさん不完全燃焼で失意のため冬眠(不貞寝)
5.超サイヤ人ゴッド現れたらエミューゼ起きちゃうから超サイヤ人ゴッドの伝説は闇に葬られる。反面エミューゼは、目覚めさせていけないことを語り継ぐためにどこぞの旧支配者(グレートオールドワン)の如く祀られる。


次回は
6.フリーザにいびられたベジータ王がエミューゼを蘇らせるも、退化しきったサイヤ人にエミューゼ激おこ
をお送りします

この作品では、超サイヤ人やブロリーは、古代サイヤ人への先祖返りという設定です。
黄金大猿が進化して→古代サイヤ人(超サイヤ人4)→退化してサイヤ人の流れになります。
サイヤ人が先祖返りを起こし、一時的に古代サイヤ人の力を少しだけ発揮=超サイヤ人みたいな
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