今年もよろしくお願いします。
武蔵ちゃんが当って欲しいなぁ・・
少年が転生してチャルロスとしての新たな生を受けてはや五年が経ち、年齢に見合わない落ち着きや聡明さなどから神童と天竜人の間で囁かれるようになっていた。
他の子供たちに比べて圧倒的な速さで立ち方や言葉を覚え、五歳の段階ですでに一般的な成人ほどの学力を有し、言葉遣いに舌足らずなどなく、親の言う事をしっかり守る、日夜図書館で本を読む姿やマリージョア中を駆け回る姿はすでに聖地では見慣れた光景。
だが、そんな神童や天才の姿を妬む天竜人や同年代の子供も精神の成長とともに増えていった。
そんな子供離れした姿に周囲からの期待、興味、切望、嫉妬が高まるなかチャルロス本人は。
(スタミナ、強さ、航海術、歴史、交渉術、マナー。他にも数学、語学、帝王学、医学・・・・・・・・やること多すぎて過労死するかもしれない)
自身の将来設計の難易度の高さに絶望していた。
☆☆☆☆
転生先の混乱や周りの状況を理解出来るほどに精神が落ち着きを取り戻した結果。彼は一つの結論を導き出した。
(アカンは
チャルロスこの時生後二週間。
眠る前の一時の決断であった。
それからの行動は早かった。
全身の骨がしっかりと固まっていないため自由に動くことも立つことも出来なかったため、生れたばかりのチャルロスの姿を一目見ようと集まった見学人の会話を盗み聞きすることで語学の勉強を行なった。毎日多くの人集りが出来るため見本となる教本は多く、一ヶ月後には会話の内容を問題なく理解出来るほどに成長していた。
しかし、まだ生後早すぎず立つことが出来なかったため、本格的な勉強や肉体作りを開始するのはそれから一年後のことであった。
一人で立つことが出来るほどにまで成長したチャルロスは、初めに文字の書き取り、数学、地理を覚える事から取りかかり、図書館で様々な本を手に取り他にも多くの分野に手を伸ばし、毎日マリージョア中を
一歳の赤児に見合わない不気味な行動であったが、所為親バカと言えるチャルロスの両親は嬉々として息子のそれを受け入れ、他の者達への優秀な我が子の自慢話としていた。
そんな両親に恵まれた事にもよってチャルロスは必死に生き残るための勉強や準備を出来ることになったのである。
勉強という名の情報収集のおかげで様々なことを知り、いくつかの事をしることが出来た。
まず、現在が原作開始23年前であること。
海賊王ゴール・D・ロジャーは死刑されておらず生存中であるため、海賊王の死に際の一言で始まる大海賊時代を向かえていない。
原作では語られないロジャー海賊団や白ひげ海賊団、四皇、海軍、新世界の猛者達の活躍は大冒険や大活躍は連日新聞で取り上げられ、チャルロスはニュースクー新聞の愛読者の一人であり、楽しみの一つであった。
他にもドフラミンゴがすでに天竜人ではないこと。
ドフラミンゴとは『天夜叉』の異名を持つ悪のカリスマとして知られ、政府公認の海賊である王下七武海の一人。後に
出生は特殊で元天竜人という異色の経歴。
元は典型的な上級思考の我が儘坊ちゃんであったが、天竜人を辞めてから地獄を見たことで悪の大魔王に成長する。
(大魔王に覚醒する前に出会うことが出来れば未来の敵が減ったかもしれない、それに善良な天竜人であるホーミングさんを味方に出来れば世論を変えられたかもしれないのに残念だ。)
彼の父親であるホーミングさんは他の天竜人と違って人を見下すアホ思想の持ち主ではない人物であり、天竜人の顔役にでもなってもらえれば、天竜人に対する批判的な世論にも少しは改善になるのではないか、と考えていたチャルロスにとってこの結果は痛手であった。
天竜人の血統主義の思想教育も幼少の頃より実施されていたが生前、奴隷制度が一般的なではなく平和や平等を願う社会で生きていたチャルロスには無縁のものであったため、効果は確認されることなく嫌悪感を抱いていた。
チャルロスは所謂原作介入と言う行為を行なうか悩んだ。
原作をしっているが故にどのような人が死ぬか、またはどれだけの悲しみを味わうか知っていて助けたい。だが、介入するには実力が足りない。さらに、介入すると言うことは自ら渦中に突っ込むことを意味する。
助けたい!・・・でも危険はいやだ、と板挟みに合いチャルロスは一つの約束をした。
(巻き込まれれば助ける、巻き込まれないならば助けない。)
非情に思える答えであったが、覚悟も実力もないチャルロスにとっては精一杯の譲歩であった。
だが、あのこんな転生特典を授けた性格の曲がり固まった神様に目を付けられているチャルロスが巻き込まれないなんてことはもちろんあるはずがなかった。
自身で自身の首を絞めていることなど気付くことはないチャルロスは、今日まで毎日欠かさず勉強や
そして冒頭に戻る。
☆☆☆☆
月日は流れ早5年。原作開始17年前。
アレも生きていく上には必要だ、念のためって事もあるからこっちも勉強しておくか、と考え片端から手を付けていたためにチャルロスの学習範囲は膨大なものとなり、その膨大すぎる学習量に苦しめられていた。
その過度すぎる勉強量を幼少期から永遠とやり遂げる行為は、到底人間には出来ないような計画であったが、才能故か、元のスペックが高いためか、その内容をきっちり理解して覚えてしまうのでタチの悪い。
そのため、俺勉強しなきゃ→意外に簡単?→増やすか→やればやるだけ覚えられるぞ!→こっちも勉強するか、という風に地獄エンドレスになったため、学習範囲は終わりなく広がっていき、今では大人顔負けの学力が備わるほどになったのである。
(・・・・・よし!一段落。・・・・行きますか。)
勉強を終え一段落ついていたチャルロスは、図書館の壁時計の時間を見て、本日待ち合わせしている事を思いだし待ち合わせ場所に向かった。
チャルロスは本日、海軍の将校と面会することになっている。
チャルロスが海軍の、それも将校に面会する理由は、待ち合わせ場所にいるはずの海軍将校に弟子入りするためである。
五歳を迎えたチャルロスの肉体は十分活発的に動けるまで成長した。
そこでチャルロスは予てから考えていた、本格的な戦闘訓練を行なうことに決めた。
だが、今まで戦闘経験皆無のチャルロス自身では我流の訓練となるため、それならいっそう戦闘のプロフェッショナルである海軍に鍛えてもらおう、と考えた為である。
ここまでチャルロスが力を欲する理由は二つ。
原作介入するときに役立つ手札の一つして。
そして、この世界は死亡フラグが蔓延している上、天竜人には優しくない世界だからである。
前者は説明するまでもないが後者は何故か。
一見、天竜人はこの世界の最高権力者で『助けて海軍大将!!』という必殺の呪文も使える強者(笑)の一族。
だが、多くの人から殺したい程怨まれていたりする。その一部としては、気に入らない国があった場合、気分気ままにその国の国民全員奴隷におとし、婚約者の奥さんを目の前で奪って邪魔をすれば発砲と昼ドラ並の行動を行なう。
世界中で怨まれているため、遠くないうちに起きるはずの暴動の際に、身を守るため鍛えなければ命に関わるからである。
(そろそろ待ち合わせ場所か。一体どんな人が師匠になるんだろう・・・・・)
☆☆☆☆
チャルロスの住むマリージョアよりさほど離れていない場所に建つ要塞の廊下を気怠そうに歩く人物がいた。
背丈は高く、掛けている丸いレンズのグラサンと頭に載せたアイマスクが特徴的な男性。
(ハァ~、眠いし、だるい。働きたくないな~。本部で働き始めてから任務ばかり。さぼって昼寝したいな~、それかボインなねえちゃんと遊びたいな~。)
おおよそ軍人とは思えないような事を考えつつ、彼は目的地に向けて足を運んでいた。
(ハァ~。さっさとこいつを渡して昼寝の続きでもしますか。コングさんからえーと・・・・・・・・誰かに渡すんだっけ、これを?昼寝の途中だったからちゃんと聞いてなかったんだよな~。たしか・・・・上官に渡せとか言ってたような・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・誰に渡すんだっけ?)
今にも眠りそうな雰囲気の男の一通の手紙が握られていた。
手紙には天竜人チャルロス聖の師事を任せる、と言う旨が書かれた指令書。
彼はこの指令書をとある上官に渡す雑務を任されていたが、その説明を寝ながら聞いていたため、肝心のこの指令書を誰に渡すのか分からなかったのである。
(う~ん、思い出せない。誰に渡すか忘れたけど・・・・・・・俺の上官に渡せばいいか。おっ!ちょうど良い所に上官発見!)
そう考え彼は、ちょうどこちらに向かって煎餅食歩いている件の人物を見つけ歩き出した。
ちょうどその頃、同じ要塞の一室で彼に指令書を渡すように任せた人物は、熱々のお茶を啜りながら。
(今頃、クザンに持たせた指令書が届くころか。鍛えて欲しいとは可笑しな天竜人もいたものだな。無碍にも下手も出来ないこのデリケートなこの一件。クザンの上官にあたるセンゴク大将なら大丈夫だろう。もしもこんな案件をあの勝手ばっかりする中将に任せたと思うと・・・・・・・ゾッとする。)
と、そもそも手紙の配達人の人選ミスという前提自体に間違いがあることに気付いていない元帥がいた。
☆☆☆☆
まだ見ぬ師匠の事を考えワクワクしながらチャルロスは待ち合わせ場所までやって来た。待ち合わせ場所は聖地マリージョアの入口。目の前には大海原が広がっている港であった。
年甲斐もなくワクワクしている理由は、師匠となる人の事やこれから教わりたい技が楽しみであるからであった。その様子はまさに遠足が楽しみで待ちきれない小学生のよう。
(まずは、六式を覚えて月歩で空を駆けてみたい!その後に覇気に挑戦する。覇王色の覇気は資質的に無理だと思うから、それ以外を是非とも覚えたい。見聞色の覇気は生存確率の飛躍のために必修!それ以外にも、いざ戦うとき怖じけたりしないためにもメンタルを鍛えなきゃいけないな。・・・・・・やることがこれ以上増えるけど頑張ろう。)
さらに過労死するかもしれない要因を増やした事に気付きチャルロスは顔を青ざめるが、やらなければ命の危険が将来待っていることを思い出し、もう諦め開き直ることでやり遂げる決心をする。
チャルロスが集合場所で待つこと30分。
待ち合わせ場所にお目当ての海軍将校の姿はなくどうしたものか、と待っているチャルロスに背後から声を掛けられる。
「おまえさんが鍛えて欲しいって頼んできた天竜人か?」
やっと来たのか、と少し苛立ち下な表情を作りかけるが、自身がお願いする立場であることを思い出し、表情を取り繕い成りながら振り返り―――――――ピタッ、と体を強ばらせ動きを止める。
「ん?どうした固まりおって?わしの顔に何かついとるか?」
「・・・・・・・・・・・・いえ、そうでなくて・・・・・・えーと、お名前をお伺いしてもよろしいですか?」
「わしはガープ、モンキー・D・ガープじゃ!」
その人物の名前は、チャルロスが姿を一目見た時に思い浮かんだ人名と同じであった。
モンキー・D・ガープ。
後に『海軍の英雄』と呼ばれる主人公ルフィの祖父。
原作開始時ではすでに現役を引退しながらも砲弾を手掴みで投げ、直径200メートル級の鉄球をぶん投げることの出来るパワフルなおじいちゃん。ロジャーを追い掛ける事に生涯を懸け、毎度ルパンを追い掛ける銭形警部のような人物。
前世の記憶から目の前の人物がどのような存在かを思い出したチャルロスは冷や汗を流しながらも、ギリギリ表情を保つことに成功していた。
しかし、幼少期からの英才教育により鍛えられたポーカーフェイスにより外面は落ち着いた様子であったが、鉄仮面で覆われて内面は予想外の出来事でパニックに陥っている。
(・・・・・え?なんでこの人ここに居るの?どうして中将?将校は将校でも何で海軍の上から3番目の階級の将校が来るの? 確かにロジャーは処刑されて居ないけどまだまだ3歳と幼いエースや今年生まれるはずのルフィの面倒は?)
「これからはわしがお主を鍛える。安心せぇ!!わしがお主を立派な海兵にしてやる!!」
突然の出来事に対する予想が飛び交い考えがまとまらずパニックに陥っていたが、その有無を言わせない強者の風格や圧倒的なカリスマに感化されたチャルロスは、ガープの言葉を自然と受け入れ、海兵になること目指―――――――――
「目指さないよ!!!何で!?ガープ中将、俺海兵になりませんよ!!」
(ONE PIECE世界で最も多くの死傷者をだし、海賊や革命軍やその他もろもろと最前線で戦うことが仕事である海軍に、無事生き残りたい俺がなるはずがない!!)
チャルロスはあまりにも予想外過ぎる一言に動揺が隠しきれずに拒否するが、ガープがそんな抗議を聞き取るはずもなく。
「わしがしっかり鍛えるから大丈夫じゃ!!」
何が大丈夫なのか、とツッコミたかったがチャルロスはそれよりも根本的な問題的の抗議を続けた。チャルロスの直感がここで修正しなければもうチャンスはやって来ない、と訴えていたからである。
「だ・か・ら・俺は海兵にはなりません!!!話を聞いて下さい、ガープ中将!!」
「うむ。修行場所へ行くぞ!!」
「話を聞いてよ!!・・・・痛い!痛い!!ついていくから首根っこを持ち上げないで!離して下さい!」
「大丈夫じゃ、安心せぇ。お前は立派な海兵になれる!!!」グッ!!
「ここでサムズアップ!?もう歳で話が聞こえてないのか!?」
「まだ若々しい40代じゃ!」ボコッ!!
「いでぇ!」
拳骨で殴られた頭を押さえながら追い掛ける。
(40代は若々しいとは言わない!・・・・・聞こえてるじゃん。ガープ中将はあの憎たらしい
「ほれ、着いたぞ」
「着いたって・・・ここどこだよ?」
ガープ中将について行った先に停留していた軍艦に乗り、ついた先はマリージョアから遠く離れた位置にある無人島であった。
チャルロスの目の前には緑で覆い尽くされたジャングルが広がっていて、時折鳥の鳴き声や猛獣の雄叫びが聞こえてくる。周りを見渡すも他の島の影一つ見えず、海に浮かぶ絶海の孤島であった。
「ここは人の住んでいない無人島じゃ」
「無人島なんか――――――ナンデエリクビヲツカンデイルンデスカ?」
「お主のまず初めの修業は精神と根性の修業じゃ」
「・・・・・・・・ん?」
「お主にはこれから一ヶ月間この島で過ごしてもらう!」
「ちょっと待って、そんなの―――」
「安心せぇ。食料なら豊富で困ることはないじゃろ」
「いや、そうじゃなくて」
「ほら行くぞ。口を閉じねば舌を噛むぞ。ふん!!」
「どうい―――――投げやがああぁぁぁぁぁぁあああああ」
首根っこを掴まれたチャルロスは投げられ、放物線を描くように飛んでいった。
風の抵抗をガンガンと受けながらも勢いが止まることはなく、刻一刻と無人島に近づく。動くすべのないチャルロスには悲鳴をあげることしか出来なかった。
5歳のこの時からチャルロスの
これからさまざまな無理難題が待ち受けていく、そしてこの出会いこそ彼の人生を大きく変える転換点となった。