比企谷八幡に特殊な力があるのはやはり間違っている。~救いようのない哀れな理性の化物に幸せを~ 作:@まきにき
感想をくれた方ありがとうございました。おかげで書く勇気をいただけました。
由比ヶ浜と仲直りすることが出来た放課後。久し振りに奉仕部に入った瞬間、扉を閉めて帰りたくなった。
奉仕部には雪ノ下と由比ヶ浜と一色、それに神崎までいたのだ。
「あら?比企谷君そんな扉の前にいないで早く此方に来なさい」
「あ、ああ」
「せーんぱい♪お久し振りです♪」
昨日あっただろなんて今言ったら何故かは分からないが終わってしまう気がする。
「あ、あのその...比企谷先輩会いたかった....です」
「ヒッキー、やっはろー!」
あーなんて言うかカオスな面子だよな....。
「悪い。俺帰るわ」
「ちょ!なんで帰るし!」
「せーんーぱーいー、照れなくても良いじゃないですか~」
「あ、あの...私比企谷先輩に嫌われるようなことしましたっけ...」
「はあ...」
1人こめかみに手を押さえて溜め息をつきながら俺を睨む雪ノ下、マジ怖い。
「帰らないから...落ち着けって、えーと後、神崎出来れば俺のクラスには来ないでくれるか?」
「迷惑でした....か?」
「いやその...迷惑っていうか...1年が2年のクラスに入るのは何かと危ないからな....」
「先輩....」
やっぱりこんな誤魔化しじゃ無理があったか。
「私のこと心配してくれたんですね!」
「は?」
神崎は扉の前で固まっている俺に抱きついてきた。抱き付かれたことにより神崎から女の子特有のいい匂いと由比ヶ浜に劣らずとも勝る2つの胸の膨らみが制服越しにも伝わってくる。
「ちょ!さっちゃん!何してるんですか!?」
「いろはちゃん...ごめんなさい。もう我慢できないの......比企谷先輩」
「ひ、ヒッキーいつまでくっついてるし!」
「とんだ変態ね、早く離れたらどうなの?」
「いや!俺のせいじゃないだろ?」
神崎は俺の背中に手を回して顔をあげる。これだけ密着して顔をあげれば自然とお互いの唇は近付いていきーーー。
「おう、邪魔するぞ」
・・・・・・・・
「見せつけるきか!!!」
「ぐぁ....」
何故か俺だけセカンドブリットを顔面にくらって平塚先生は奉仕部から出ていく。
「平塚先生初めていい仕事しましたね」
「だねー」
平塚先生が不憫に思えてきたぞ...。
「それにしてもあの人何しに来たんだ?」
「うう...私勇気振り絞ったのに....」
「まぁまぁさっちゃんならもっといい人簡単に捕まえられますから♪」
「いろはちゃん...ごめんね、私比企谷先輩以外には興味ないから」
「先輩.....」
「何故俺を睨むんだよ...」
「もういいから早く座ってちょうだい。話が進められないわ」
「あっ!そうだった!」
「話?」
「先輩忘れたんですか~?葉山先輩のお願いですよー」
「あー」
「あーって....まあわたし達も先程思い出したんですけどね」
「思い出したのは私よ、一色さん」
雪ノ下も忘れてたのかよ...。
「ちょっ!そこはどっちでもいいじゃないですか!」
「いろはちゃん、落ち着こ。ね?」
「ね?って!何でまた先輩に抱き付いてるんですか!」
「うう、ヒッキー!」
ほんと俺帰っていいよね?
一悶着あったがなんとか席に座ることが出来たので本を開くと一色に本を取り上げられてしまった。
「先輩、逃げようとしてもダメですよ♪」
「分かった...葉山の依頼の件だったな」
「ええ、由比ヶ浜さんは何か気付いたことはあったかしら?」
「うーん...あんなことがあって周りを気にしてられなかったというか....」
全員で俺を見てくるが俺が悪いので逃げることも出来ずただ顔を反らす。
「そうね....一色さんや神崎さんは何か分かったことはあったかしら?」
「私は元々興味が無いので....力になれずすいません」
「んーわたし的には葉山先輩少し元気がないように見えましたよ」
一色は感じてたのか葉山の違和感に、あいつはあいつ自身、悪いことだと分かっていてやっているから罪の重さに感情がついていけていない。表面上をいくら誤魔化そうとしても見てるやつにはバレてしまう、常日頃から自分を偽っている奴に限って本当に偽りたいときにどんな風に偽ればいいのか分からなくなる。
「どんな風にかしら?」
「そこまでは分かりませんけど....」
「そう...一応聞くけどあなたは?」
「・・・犯人は言えない、が解決方法なら見つけた」
「どういう意味ですか先輩?」
「・・・犯人は言えないということは分かっているということでいいのかしら?」
「ああ」
「なら何故言えないのかしら?本人に直接言われたの?」
「いや別に言われた訳じゃない」
「なら言ってもらえるかしら?それが葉山君の依頼なのだから」
「・・・確かに葉山はそういう依頼を出した。でも本質は違う」
「本質?」
「ああ、あいつらの周りを観察していて分かったことがいくつかあった」
「それは?」
「まず話を元に戻す。今回の依頼は職場見学の班決めが原因だと言ったよな?」
「ええ、そうね」
「だからその犯人探しをしてるんじゃないですかー」
「うんうん」
「で、でも皆。先輩にも何か考えがあるんだよ」
「あの3人の中に犯人がいると思っていた。葉山と一緒の班になりたいが3人1組って決まってるからな」
「それで?」
「観察した結果。あいつらはいつも葉山と一緒にはいるが、あいつら自身は仲が良くないんだよ」
「どういう意味かしら?」
「簡単に言うとあいつらは葉山とは友達だが他の2人とは友達の友達ってことだ」
「・・・由比ヶ浜さんはどう思うかしら?」
「確かにそういうのはあるかも...話の中心の人がいなくなっちゃうとなに言っていいのか分からなくてつい携帯開いちゃうし」
「あーわたしもそれ分かりますよ」
「私はそういうのは...友達あまりいませんし」
「さっちゃんは、わたしの大切な友達だよ!」
「いろはちゃん!」
仲いいなぁーこの2人。
「さて、それじゃあ本題に戻すぞ。つまり葉山の願いって言うのは」
「その3人が仲良くなるようにしてくれ...と言うことね」
「いやそうなんだけどさ、何でそこで言っちゃうの?」
「ゆきのん流石!」
「ゆ、由比ヶ浜さん、落ち着きなさい」
あーこの2人も仲良かったね。
「そ、それで比企谷君。解決方法は考えてあるのかしら?」
「それなら簡単だ。葉山を除外させてやれば良い。あいつがいるから仲良くなれないならその障害を退かすしかないだろ」
「ヒッキー....それはちょっと」
「成る程」
「あれ!?ゆきのんもなんか乗り気!?」
「先輩確かにその方法は悪くないと思うんですけどー具体的にはどうするんですか?」
「いろはちゃん、たぶんだけど班を一緒に組まなければ良いんじゃないかな?ですよね先輩?」
「ああ」
「依頼も解決したみたいだしそろそろ帰りましょうか」
「ねえ!ゆきのん!帰りにシュークリーム食べて行こうよ!」
「いや...このあと少し用事があるからそれは」
「えー良いじゃん~。ね?お願い!」
「・・・少しだけね」
「やったぁー!」
「それじゃあ、さっちゃん。わたし達も行きますか?」
「いろはちゃんが行くなら♪先輩はどうしますか?」
「俺はやることがあるから今日は遠慮しておく」
「えー!ヒッキーこないの?」
「先輩も行きましょうよ~」
「はあ...由比ヶ浜さん、一色さん、神崎さん。この男は急に帰った件で平塚先生に呼ばれているのよ。だから次回にしてあげなさい」
無論平塚先生に呼ばれてなんていないのだがこんな嘘を付いてくれる辺り雪ノ下は誰が犯人なのか気付いているのだろう。
「・・・そうなんだよ。悪いな」
「うーん....それなら仕方ないですね」
「残念です...あの先輩..また今度一緒に行きましょうね」
「ヒッキー、それじゃあまた今度ね!」
「比企谷君、彼のやったことを私は許す気はないわ。チェーンメール事態最低な行為だもの。でも昔の彼とは変わった気がするわ。どうにかするために動いている....誰の影響かしら」
「・・・んなの葉山にしか分からねえだろ」
「ゆきのーん!早くー!」
「そんなに慌てなくてもお店は閉まらないのだから大丈夫よ」
「さてと...」
俺は誰もいなくなった奉仕部で携帯を取り出して葉山に連絡を入れようとしたが、連絡先が分からなかった。なので、雪ノ下に連絡をして葉山の連絡先を聞いてようやく葉山に電話をかけることができた。
「やあ、珍しいね。君から連絡をくれるなんて」
「連絡先を知らなかったからな」
「知ってたらかけてくるのかい?」
「ないな」
「はは、だろうね。それで本題はなんだい?」
「今から奉仕部に来てくれ。俺以外は誰もいない」
「・・・分かった」
葉山に連絡をしてから10分ほどで奉仕部の扉がノックされた。
「やあ」
「悪いな急に呼び出して」
「君が謝るなんて明日は雨でも降るのかい?」
「馬鹿にしてんのか?」
「はは、冗談だよ。・・・依頼の件かな?」
「ああ。まず犯人はお前だ」
「どうしてそう思ったんだい?」
「今更な気もするけどな。お前、自分を除いたあいつら同士が微妙な関係だって気づいたんだろ?」
「・・・それは少し違うな。友達だとは思っているよ。でも」
「違和感がある、だろ?」
「そう、だね...。違和感があったんだ」
「そんな違和感があるのに友達なんて言えるのか?」
「分からない...でも」
「言えないんだよ。いいか?あいつらはお前の友達だ。でもな、あいつら自身は葉山の友達ってだけでそれ以外は友達の友達なんだよ」
「・・・」
「お前、お前がいないときのあの3人見たことあるのか?」
「・・・それは」
「ないよな。あるわけがないんだよ。お前は常に中心にいるんだから。でも気付いた、だろ?」
「・・・」
「それでお前が取った行動だが、何故自分を貶めようとしたのか、だが」
「・・・」
「最初はあいつらに仲良くなってもらいたくて自分を貶めれば仲良くなれるとでも考えたのかと思ったが、たぶん違うな。お前はあいつらを利用して皆の憧れている葉山隼人を辞めたかったんだろ?」
「っ!」
「その顔は自分で気付いてなかったって顔だな」
「・・・ほんと君とは仲良くなれないだろうな」
「ああ。俺もお前が大嫌いだからな」
「俺は君に平等でいてほしかった。君に劣っていると思ってしまう自分が嫌だったんだ」
「ならなんで今回こんなことをしたんだ?」
「君と平等でいたかったから、かな」
「上位のお前が何で底辺に来たがるんだよ」
「君が底辺だと思っている人は、たぶん見る目がないんだろうな」
「何を言って」
「だから俺は君に負けたくない」
「・・・」
「今回のこと感謝してるよ。間違いだった。でも解決はしていない」
「解決策ならあるさ。お前が一緒に班を組まなければ良い」
「成る程な....今は劣っているのかもしれない。でもいつかは追い抜いて見せるさ、君を」
「言ってろ....」
話も終わり鍵を返して俺は自転車に股がり黄昏時の夕陽を見ながら昨日より軽くなったペダルをこぐのだった。
「ただいま」
「お兄ちゃん、お帰り!仲直り出来たんだね!」
「何で知ってるんだ?」
「お兄ちゃんの顔を見れば分かるものですよ」
えっへん、とどや顔になる小町の頭をチョップしてリビングに向かう。
「もぅ!お兄ちゃんご飯抜きにするよ!」
「本当にごめんなさい」
「うわぁ....ここまで完璧に土下座されるとこれはこれで引くわ....」
「これが俺の本気だ」
「あっそ...ほらお兄ちゃんお風呂入っちゃって」
「へーい」
風呂に入ってご飯を食べて小町と何気ない会話を楽しみながら布団の中に入り今日1日の出来事を思い出す。
あのときの葉山の言葉。「君とは平等でいてほしかった」誰から見ても葉山の方が頭もよくて顔も良い友達も多くて女子におもてになる。そんなやつが何から何まで底辺の俺と平等でいたいとかわけが分からなかった。
「はぁ....寝るか」
考えてもイライラするだけなので寝ることにした。
朝起きると小町は日直ということで朝御飯の支度だけしてあり先に出たということだった。
「日直?」
メモを読みながら嫌な予感がしたが目の前に置いてある美味しそうな匂いに負けて椅子に座ると家のチャイムがなった。
「誰だ?」
小町がいないので仕方なく玄関まで行って扉を開けるとそこには。
「先輩。おはようございます♪その...来ちゃいました」
神崎が制服姿で立っていた。
おかしなところがあれば御指摘お願いします。