ガンプライブ! ~School Gunpla Project~ 作:Qooオレンジ
相変わらずの亀更新で申し訳ございません…。
さて、物語の方は今回でようやく真姫ちゃんのお話に一区切り着けることが出来ました。
どのような結末になるのか、是非お確かめ下さい。
それでは
第5話「START:DASH!!」そのきゅう てん ご③
始まります!
[[“ファイナル・ベニャッガイ”はもう止められないにゃ…。かよちん……さよならだにゃ…凛はかよちんが大好きだったにゃ………。さぁ!デカブツ!凛とベニャッガイの生きざまをみやがれだにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!]]
[[凛ちゃぁぁぁぁぁぁん!]]
小泉さんの悲痛な絶叫が響く中、星空さんはあれだけ撃ち続けておいて何処にそれだけの弾薬が残っていたよ!ってツッコミたくなる規模のデカブツの弾幕に怯みもせずに突撃していったわ。
そして、星空さんのデカネコは可愛いネコミミが特徴的な大きな頭からデカブツに激突したの。
デカブツとデカネコ。
二機の非常識な装甲を持つ機体同士が激突したその瞬間、星空さんのデカネコを中心に鼓膜が破れるんじゃないかってくらいのすさまじい轟音と、真っ暗な宇宙を真昼の様に照らすオレンジ色の大きな、そう…まるで太陽の様なとても大きな爆発が巻き起こったの……。
「……ねぇ…星空さん?うそでしょ?返事してよね…通信に出なさいよ…ふざけてないで…早く応答しなさいよ……星空さん!聞いてるの!早く通信に出なさい!…あ!そっか!爆発の影響で通信が繋がらないだけなのよね?レーダーも効いてないし!あれだけ凄い爆発だったんだもの、当たり前よね?そうよね?そうなのよね……ねぇ…星空さん……お願いだから…お願いだから……応えてよ……星空さん……。星空さん!」
[[凛ちゃん……花陽も凛ちゃんが大好きだよ……。西木野さん……あの爆発じゃ…凛ちゃんはもう……。]]
分かってるわ…。アレだけの規模の爆発を巻き起こしたんだもの。
星空さんとデカネコが無事なワケがないって事は…。
頭では分かっていも、心が、気持ちが、どうしても理解したくないって拒んでる…。
認めたくない、って。認めたらダメ、だって…。
認めちゃったら…認めたくない……認めたくないけど…。
………また、“仲間”が死んじゃった…。
結局は覆らない現実を突き付けられて、私は認めてしまった…。
星空さんが死んじゃった事を…。
私が、私と百式が弱いから。
弱いから…弱いままの私じゃ誰も、ナニも守れない…。
高坂先輩…星空さん……ゴメンね…私が弱いから…守れなかった。
“仲間”なのに、私なんかの“仲間”になってくれたのに……守れなかった…。
もし私があのザクのファイターの様に、誰にも負けないくらいの、それこそ機体すら選ばない様な凄い操縦技術を持っていたら……高坂先輩も星空さんも死なずに済んだのかな…。
どんなに凄い弾幕でも全部避けて、デカブツにキツい一撃をお見舞いして……そうしたら高坂先輩も星空さんも死ななくて済んだのかな…。
[[凛ちゃん…ありがとう…凛ちゃんのお陰で花陽と西木野さんは無事だよ…生き残ったよ……ありがとう凛ちゃん………え?う、うそ……なんで?!どうして“ファイナル・ベニャッガイ”の爆発に巻き込まれたのに!なんで!]]
「小泉さん?どう……し…………。」
星空さんの自爆…“ファイナル・ベニャッガイ”の影響で乱れてしまっていたレーダーが復帰すると、そこには信じられない事に敵機を示す赤い光点が一つ残されていたの…。
やがて爆発の影響から視界が晴れて、百式のメインモニターに写し出されたのは……。
「はは…ホント冗談キツいわ……。悪い夢なら、もういい加減に覚めて欲しいモノだわ…。」
機体を大破させながらもまだこちらに主砲のバズーカを向けているデカブツの姿だったの。
「星空さんが命懸けで突撃したのに…なんであんたが…あんただけが、デカブツだけがまだ生きてるのよ!」
私達とデカブツとの戦いはまだ終わらない……。
このままじゃ…ヤられっぱなしじゃ!まだ終われないのよ!
「デカブツ……あんただけは絶対に許さないわ!私の“仲間”の仇…この手で今度こそ討つわ!あれだけのダメージよ!一気に接近してビームサーベルで!」
[[待って!西木野さん!まだ後側のホーミングミサイルの発射口が生きてます!装甲内部の内蔵火器も生きてるはずです!接近する前にまた弾幕を張られたら!]]
「じゃあどうしろって言うのよ!遠距離から決めろって事?けど百式のビームライフルや小泉さんのマシンガンじゃ、まともにダメージは与えられなかったのよ!」
ナニか!ナニかないの!
あの忌々しい装甲をぶち抜ける様な強力な一撃は!
[[やっぱりマテリアルのままじゃ火力が足りない…。せめて“カーバンクル”用に造ってたレールカノンだけでも完成していたら…。]]
私は苦し紛れに百式のメインモニターを通して、周囲を見回したわ。
でも私達の周囲にあるのは星空さんのデカネコの装甲の欠片や“骨組み”の残骸だけ…。
デカネコの装甲の欠片をぶつける?
無理ね。弾丸として利用するにはデカネコの装甲の欠片は強度は問題ないけど、ただ投げるつけるだけじゃ意味がないわ。
物凄いスピードで投げつけられるならば、デカブツの装甲を貫けるかもしれないけど、そんなことは百式のパワーじゃ出来ないわ…。
「他にナニかないの…ナニか……。」
そう私が呟いた時、百式のメインモニターの端にある物が写っている事に気が付いたわ。
「アレは……そうだわ!アレならデカブツの装甲だって貫けるはずよ!」
[[西木野さん?!ナニか良い手が見付かったんですか?!]]
「ええ!見付けたわ!結構ギリギリな賭けになるかもしれないし、説明してる時間も無いわ!悪いけど小泉さんには少しの間だけデカブツの相手をして欲しいの!」
星空さんからの遺言で託された小泉さんをデカブツの弾幕の矢面に立たせるのは気が退けるけど、今はこれしか方法がないわ!
戦闘終了まで時間がもう残り僅か…。
このチャンスを逃したら高坂先輩も星空さんもホントにムダ死になっちゃう……でも……そんなことは私が絶対にさせない!
[[花陽が一人であの戦車のオバケさんの相手を………わ、わかりました!怖いけど花陽だってファイターの端くれです!やってみせます!大丈夫!花陽のジム・マテリアルのシールドは凛ちゃんのベニャッガイの装甲と同じ位の強度があります!防御に徹すれば花陽だって少しくらいは!]]
「小泉さん……ゴメンね…。小泉さんだけに危険な役割を押し付けちゃって…。」
大破して本来の火力を発揮できないとはいえ、あのデカブツの非常識な火力に一人で立ち向かわなきゃいけない…。
大人しい小泉さんにとっては一人であの怪物に立ち向かうのは厳しいわよね…。
[[西木野さん。こう言うときは“ゴメン”じゃなくて、“ありがとう”って言って欲しいかな?なんて…偉そうなこと言っちゃったね。それじゃ花陽は行きますね!]]
「小泉さん……。」
[[絶対に勝ちましょう!西木野さん!勝って凛ちゃんと穂乃果先輩の仇を取りましょう!]]
小泉さんはそう言って左腕に装備していたシールドを機体の前面に構えると、緑色のジムを加速させてデカブツへと向かって行ったわ…。
「えぇ…絶対に勝ってやるわ!百式!これが最後の戦いよ!だからお願い……私にもう少しだけ付き合って!」
小泉さんがデカブツへと向かうのを見送った私も、度重なる無茶な軌道でガタが来始めている百式のメインスラスターを噴射して、目的の物が漂う場所へとブースト機動で向かい始めたわ。
私の目的の場所…そう…私がビームサーベルで斬り捨てた“骨組み”の残骸が漂う宙域へ……。
私が思い付いた手…それは“骨組み”が使っていた強力な一撃を放てる“対物(アンチ・マテリアル)ライフル”を使って、デカブツの装甲を貫いてヤるって事だったの。
「デカブツの仲間の“骨組み”の武器でデカブツを倒す、か。私にとってもデカブツのファイターにとっても皮肉よね…。」
敵の力を借りなきゃ仲間の仇すら討てない弱い私。
自分よりも弱いヤツに仲間の武器でトドメを刺されるデカブツ。
ホント、皮肉よね…。
「それでも…どんなに皮肉でも!他人の、敵の力を借りなきゃダメでも!私は仲間の仇を討つわ!」
それが死んでいった高坂先輩と星空さんへのせめてもの手向けになるって信じて!
「あった!“骨組み”の対物ライフル!コイツの威力ならデカブツの非常識な装甲が相手だって貫けるはずよ!」
今の百式に出せる全速で“骨組み”の残骸が漂う宙域へと辿り着いた私は、“骨組み”の残骸の中からお目当ての対物ライフルを見付けて手に取ったわ。
手にした対物ライフルのマガジンを抜いて残弾を確認すると、マガジンの中に残されていた弾丸はあと3発。
「よかった…まだ弾が残ってた……。」
そう。私がギリギリな賭けになるって言った理由。それは“骨組み”の対物ライフルに残弾が残っているかどうかだっの。
でも、対物ライフルには弾が残っていた……ふふ♪どうやら私は賭けに勝った様ね!最後の最後で私にもツキが向いてきたのかし?
「残弾は3発…まぁ1発あれば十分だけどね。」
私は残弾の確認をし終えたマガジンを戻すと、百式の右手で対物ライフルのグリップを握り直し、左手でコッキングレバーを引いて3発残っていた弾丸の内の1発を装填すると、対物ライフルを構えてデカブツへと狙いを付ける為にメインモニターを見つめたの。
メインモニターには小泉さんの緑色のジムが、シールドを構えて必死にデカブツからの攻撃を耐えている光景が写し出されていたわ。
このままじゃマズイわ!急がなきゃ小泉さんまで死んじゃう!
「小泉さん!聞こえてる?こっちは準備が出来たわ!今からデカブツにキツい一撃をお見舞いしてヤるから、小泉さんは後退して!」
[[ふぇ?通信?あ!西木野さんから!わ、わかりました!シールド自体はは無事なんですけど、シールドを支えている左腕の関節がもう限界だったんです!]]
「小泉さんにも小泉さんのジムにも無理させちゃってホントにゴメン…じゃなかったわね。こんな時は“ありがと”、なのよね?小泉さんが時間を稼いでくれたお陰で、今度こそあのデカブツを仕留める事が出来そうだわ。ねぇ、高坂先輩…星空さん……。もしあの世ってヤツがあるなら、二人ともそっちで見ててよね…。二人の仇…討ってみせるわ!」
照準の先にしっかりとデカブツを捉えた私は、小泉さんが後退したのをモニターとレーダーで確認すると、百式の右手で構えた対物ライフルの引き金を引いたわ!
「きゃぁ!」
引き金を引いた瞬間、“ドン”という轟音と共に百式を物凄い衝撃が襲って、私は思わず短い悲鳴をあげてしまったの。
私は慌ててライフルを撃った反動で崩れたバランスを各部のスラスターを使って必死に立て直して、放たれた弾丸の行方を探したわ。
コンソールを操作してサブモニターで射線データを確認すると、対物ライフルから放たれた弾丸はデカブツとは全く別の方向へと飛んでいっちゃってたわ…。
「ちょっと!聞いてないわよ!なんなのよ!このライフルのバカみたいな反動は!威力上げ過ぎてバランスの事なんて考えてないでしょ!このライフル作ったヤツ!バカなんじゃないの?!」
あー!もう!愚痴ってる暇は無いわ!残り時間がヤバイのよ!
さっきの射撃データを基に修整を掛けて………出来たわ!小泉さんみたいに上手にデータの編修は出来てはいないけど、今はこれで十分よ!
足りない分は私自身の腕でカバーしてやるわ!
後はこの修整済みの補正データを火気管制システムにリンクさせれば!
[[西木野さん!急いでください!もう残り時間が!]]
「分かってるわ!今度こそ、今度こそって!今日はもう何度目になるかわかんないくらい言ったけど!今度こそ!墜ちなさい!デカブツ!」
残り2発の残弾。コッキングレバーを引いてその内の1発を再び装填した私は、デカブツへと狙いを定めてもう一度引き金を引いたわ!
さっきと同じ“ドン”っていう轟音と共にまたもや襲って来る反動を、私は百式の全身のスラスターを噴射して必死に押さえ込んで射撃体勢を保ったわ!
反動を押さえ込んで放たれた対物ライフルの弾丸は、狙い通り真っ直ぐにデカブツへと向かって行って……。
[[その対物ライフル…凄い威力です…。“ファイナル・ベニャッガイ”を耐えたあの装甲を簡単に貫通しちゃいましたよ!]]
デカブツの胴体のど真ん中をコアごと貫いたわ。
コアを貫かれたデカブツは、最後の抵抗で僅かに腕に装着していたバズーカの銃口を私の百式へと向けようとしたんだけど、その動きは途中で止まってしまったわ。
コアをぶち抜いたから誘爆はしなかったみたいね…。
もしデカブツの内蔵火器が誘爆していたら、星空さんのデカネコの自爆並に大爆発したんでしょうね。
それにしても…ようやく終わったのかしら?
私の周囲のレーダー反応は一つだけ。
味方を、小泉さんの緑色のジムを示す青い光点ただ一つだけ。
私達を散々苦しめてくれたデカブツの反応は完全に消えてしまったわ…。
そうよ…ついにやったわ……やったやったわ!
高坂先輩と星空さんの、私の“仲間”の仇を討ってやったわ!
「やったわよ…高坂先輩…星空さん…仇、討ったわ…。……はは……あはははは!やったわ!ヤってやったわ!デカブツ野郎が!ざまぁみやがれよ!」
[[うわぁ…。セレブなお嬢様の西木野さんでも、ざまぁみろとかそんな言葉使うんですね。うん…なんだかチンピラ状態の鳴神先輩みたいです。]]
「はぁ?!ちょっと!小泉さん!今の発言は聞き捨てならないなわね!誰がチンピラよ!誰が!確かにちょっと乱暴な言葉使いだったけど、女の子相手にチンピラはないんじゃないの?」
[[きゃー。か弱い女の子の花陽はチンピラな西木野さんに絡まれてしまいましたー。誰か助けてー。おまわりさーん。]]
「ナニよ!そのウソっぽい悲鳴は!いいわよ。あくまでも小泉さんが私の事をチンピラ扱いするんなら、私にだって考えがあるわ…。ねぇ小泉さん…知ってる?このバカみたいな威力の対物ライフル……あと1発だけ弾が残ってるのよね……。折角の弾を残すのももったいないわよね?…だ、か、らぁ………この残り物を小泉さんにプレゼントしてあげるわ!!!」
[[ひぃぃぃぃぃぃ!調子に乗ってイジり過ぎちゃいましたぁぁぁぁ!ダレカタスケテー!!!]]
「あ!待ちなさい!逃がさないわよ!」
[[イーヤー!せっかく生き残ったのに味方に殺されるぅぅぅぅぅ!]]
「小泉さん!待ちなさい!逃がさないって言ったでしょ?うふふふふふふ♪アハハハハハハハ!!!」
[[ぎゃぁぁぁー!なんか西木野さんがことり先輩みたいになってますよぉぉぉぉぉぉ!]]
「はぁ?!ことりぃぃ?誰よそれ…あれ?ことり?それって…。」
ことりって確か高坂先輩の友達で痴女の人よね?
………痴女?わ、わたしが?!
「…誰が…誰が…誰が…痴女だぁぁぁぁ!私はまだ処女よぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
[[ええぇぇぇぇぇぇぇ?!花陽は痴女だなんて言ってませんよぉぉぉぉぉぉ!って!大声で処女とか叫ばないでくださぁぁぁぁい!]]
「処女で悪いか!あんただってどうせ処女でしょうが!あ!コラ!逃げるな!止まりなさい!あんたの膜をコイツでぶち抜いてヤるわ!」
[[イヤー!オカサレルー!ホントにダレカタスケテー!!!]]
「やったね!真姫ちゃん!花陽ちゃん!あんなにつよいのやっつけちゃうなんて、ホントにスゴいよ!」
「にゃーん!かよちんも西木野さんもサイコーだにゃー!“ファイナル・ベニャッガイ”でデカブツヤローを倒せなかった時はもうダメだにゃー!って、思ったけど、まさか拾ったライフルでトドメ刺すなんて!」
「う"ぇぇぇぇえ?ちょ!なんで二人が生きてんのよ!死んだはずでしょ!まさかオバケ?!成仏出来なくて化けて出たのね!ダメよ!このままじゃ二人とも地縛霊になっちゃうわ!特に星空さんは自爆したんだから地縛霊じゃなくて自爆霊になっちゃうわよ!自爆するオバケなんて迷惑よ!お願いだから成仏して大人しくあの世に逝きなさい!」
「西木野さん?死んだって確かに凛ちゃんは自爆で、高坂先輩は相討ちでバトルロイヤルからは退場になったけど、ガンプラバトルじゃ人は死にませんよ?」
「は?ガンプラバトル?……あ!そ、そうよね…。これはゲーム…ガンプラバトルシミュレーターなのよね…。そうよゲームよ。人が死んだりはしないんだわ…。」
あまりにリアル過ぎるからすっかりゲームだって事を忘れていたわ…。
でも、良かった…。高坂先輩と星空さんが生きていてくれて。
高坂先輩が相討ちになった時、凄く怖かった。
星空さんが自爆して時、ホントに悲しかった。
仲間が死ぬ…仲間なんていなかった私には初めての経験だったから、戦闘中につい感情的になっちゃったわ…。
「ぷぷぷー!西木野さん、かわいにゃー!凛と穂乃果先輩が死んだって思ってたんだにゃー!」
「えー!相討ちでバトルロイヤルからは退場になったけど、穂乃果は死んでないよー!」
「ちょっと!星空さん!笑わないでよね!私としては笑い事じゃなかったんだから!二人が…せっかく出来た私の“仲間”が死んじゃったって思って、ホントに怖かったんだから…。」
「仲間?今、西木野さんが仲間って言ったにゃ!西木野さんが凛達のこと仲間って言ってくれたにゃ!」
「え?私そんなこと言った?」
「言ったよ!真姫ちゃんが確かに仲間って!やったね!みんな!真姫ちゃん、げっとだよ!」
「花陽はその仲間(西木野さん)に殺されるそうになりましたよ…。最後は対物ライフルを無理矢理お股に突っ込まれて、先輩にあげる予定の花陽の初めてを奪われそうに!」
「高坂先輩!人の事をポケモンみたいに勝手にGETしないで!あと小泉さんは私の事を痴女って言ったからでしょ!」
「花陽はことり先輩みたいって言ったんだけど…。」
「あれ?ことりちゃんは痴女だって海未ちゃんが言ってたよー?」
「ほら!ことりって人みたいって事は痴女だって事なんじゃない!」
「なんだか理不尽ですよぉ!」
「にゃーん♪なんか西木野さんがかわいにゃー!」
「私が可愛いのは当たり前でしょ!!」
バトルを終えた私と小泉さんを迎えてくれた高坂先輩と星空さん。
そんなみんなと一通りじゃれあった私は、アミューズメントセンターのレストコーナーでお茶をしながら今日のバトルを振り替える事にしたわ。
私には今日のバトルで、どうしても疑問に思う事があったの。
それはあのデカブツの事なんだけど…。
「ねぇ。そう言えばあのデカブツってホントにガンプラだったの?私、まだガンプラバトル始めたばかりだから、全部のガンプラを知ってるワケじゃないけど、流石にあんな化け物みたいにデカいガンプラがあったら知ってるわ。」
デカブツの大きさは私の百式と比べてかなり大型の機体だったわ。
MG…1/100サイズのマスターグレードって種類のガンプラやその上の1/60サイズのPG(パーフェクト・グレード)なら、あの大きさのガンプラもあるんでしょうけど、ガンプラバトルで使用できるガンプラのサイズは基本的にHG(ハイ・グレード)って呼ばれている1/144サイズのガンプラかSD(スーパー・デフォルメ)サイズのガンプラだけよね?
MGやPGを素体にしても、マザーシステムにスキャニングの段階で弾かれるはずだし。
MGサイズのガンプラを使うためにわざわざマザーシステムにハッキングでもしたのかしら?
無いわね。ガンプラバトルのマザーシステムにハッキングなんてそれこそ無いわ。
ガンプラバトルのマザーシステムって、軌道エレベーターとかで使われている最新のAIシステムよりもずっと上位のAIシステムって話よね?
セキュリティなんかも核兵器の発射ボタンよりも高度な防壁が何重にもあるとかって話だし。
ハッカーに言わせれば、ただのゲームでしかないガンプラバトルのマザーシステムをハッキングするくらいなら、軌道エレベーターのAIをハッキングした方が楽らしいわ。
「にゃ?そー言えば凛もあんなバケモノは知らないにゃ!」
「穂乃果も真姫ちゃんとおんなじで、ガンプラバトル始めたばっかりだからよくわかんないや!」
デカブツの素体について星空さんも高坂先輩も心当たりはないみたいね。
もしかしたらあのデカブツは特定のガンプラを素体に使わないで、プラスチック素材を使って1からフルハンドメイドで作り上げた機体だったのかしら?
そうだとしたらデカブツを作り上げたビルダーは凄い作製技術を持ってるのね。
あれだけの機体を0から作り上げるなんて、きっとプロのビルダーでも相当に難しいわよ。
でもガンプラってガンダムのプラモデルだからガンプラよね?
ガンプラを素体に使わない機体って“ガンプラ”って呼べるのかしら?
まぁマザーシステムがOK出したんだからガンプラバトル的には良いのかな?
「うーん…あんまり自信はないんですけど、あの戦車のオバケさんはたぶんHGのガンタンクをベースにしたフルカスタムのガンプラだと思いますよ。花陽も一人のビルダーとしてあれだけのガンプラがどんな素体なのか気になったんでGPベースに残ってるさっきの戦闘データを見直してみたんですけど、オリジン版の初期型ガンタンクか1stガンダムのガンタンクかは分かりませんが、この辺り…腰の辺りに少しだけガンタンクの面影が残っていました。」
「「「え?ガンタンク?!アレが???」」」
ガンタンクってアレよね?なんかちょっと可愛いヤツ。
え?ガンタンクが可愛いっておかしいですって?
可愛いでしょ!ガンタンク!
ガンタンクの何処がどう可愛いか説明しろって言われてれも困るけど、私は可愛いと思うわよ?
「はい。ガンタンクです。あと、これはたぶんなんですけど、このガンプラはまだ未完成なんだと思います。機体全体の構成からの予測になりますけど、最終的には今のキャタピラー型の脚部じゃなくて、4脚か6脚くらいの多脚戦車みたいにするんじゃないかな?と思います。バックパックも取り付けて宇宙戦に対応出来るように改造するんでしょうし。拡張性を持たせつつもこれだけのガンプラを作り上げた…ホントにこのガンプラを造ったビルダーさんはスゴいですね…。」
小泉さんの説明だともしかしてデカブツってもっと強くなるって事なの?
今でさえ要塞みたいに強いヤツがもっと強くなる……悪夢ね。
「バケモノがもっとバケモノになるにゃ…。こうなったらバケモノを今度こそ一撃で仕留めるために“ファイナル・ベニャッガイ”の威力をもっと上げるしかないにゃ!次は頭の中に爆薬じゃなくて核爆弾でも入れてやるにゃ!かよちん!改造よろしく!」
核兵器廃絶って騒がれてる昨今の世界情勢で、ゲームとは言え核爆発なんて物騒なモノ使って良いのかしら?
あぁ…でも確か核兵器を搭載したガンプラもあったわね。
GP02だったかしら?アトミックバズーカって武装を装備していたわね。
「改造してもいいけど凛ちゃんは自爆前提でガンプラバトルに出撃しちゃダメだよ!あくまでも“ファイナル・ベニャッガイ”は最終手段なんだからね!そんなにポンポン自爆されちゃったらみんなに迷惑になるからダメだよ?凛ちゃんも知ってるでしょ?バトルロイヤルでたまに出てくるはた迷惑な自爆ファイターの人達のこと。」
「ふぇ?自爆ファイター?ガンプラバトルってそんな人たちもいるの?」
「穂乃果先輩はガンプラバトルを始めたばかりなんで知らないんですね。この自爆ファイターなんですが、困ったことにかなりの数が居るんですよ…。中でも一番酷い爆弾持ってる人達が秋葉原周辺をホームにしている“肉弾三ボルゾイ”ってチームなんですけど…。」
「凛もそのおバカさん達は知ってるよ!それって三機編成でストレージを共有して、バカデカい爆弾持ってうろついてる頭のおかしい人たちだよね?あの人たちってバトルフィールドの真ん中まで来ると大爆発してフィールドのほとんどを吹き飛ばしちゃうんだにゃ。アレと一緒にされるのはゴメンだにゃ。」
「バトルフィールドのほとんどを吹き飛ばす威力の爆弾?!冗談じゃないわ!ソイツ等、迷惑処の騒ぎじゃないわよ!もし私がバトルロイヤルでその連中を見付けたら、自爆される前に真っ先に墜としてやるわ!」
「あー…西木野さん、残念ですけどそれはやめた方が良いですよ。あの人達を撃墜すると、例の凄い爆弾がもれなくその場で大爆発しちゃいますから。どうやら三機の内の一機でも撃墜判定を受けると爆弾が爆発する仕組みみたいなんです。だからあの人達に会ったら大人しく諦めるか、とにかくバトルフィールドの一番端まで逃げるか、ですね。バトルフィールドの真ん中で爆発した場合に限りますが、フィールドの一番端まで逃げればギリギリ爆発の圏外になるので、助かる可能性もあるんですよ。」
「ナニよソレ…。ホントに迷惑な連中ね。ねぇ星空さん。デカネコの自爆の「自爆じゃなくて“ファイナル・ベニャッガイ”だにゃ!」……“ファイナル・ベニャッガイ”の威力を上げたいだけなら、爆発をもっとぎゅっと集束させたらいいんじゃないの?今日見た感じだと爆発の威力が広範囲に広がってたみたいだったわよ?」
「爆発の威力を集束……なるほど!その発想はなかったですね!それなら今の爆薬の量でもシステムを多少いじるだけでお手軽に威力が上がります!」
小泉さん…眼鏡を光らせながら楽しそうにグフグフ言ってノートPC弄ってるわ…。
小泉さんって結構マッドなのかしら?
教室では見れない一面よね。
「うん!うん!やっぱりそら君の言ってた通りはなよちゃんはたよりになるね!だからはなよちゃん!μ'sに入ろうよ!凛ちゃんも真姫ちゃんも!みんなで一緒にガンプライブ優勝を目指そうよ!」
「「「みゅーず?」」」
それって薬用石鹸の?
「うん!“μ's(ミューズ)”!石鹸じゃないよ!穂乃果たちのガンプラバトルチームの名前だよ!」
“μ's(ミューズ)”
初めて聞いたこの音楽の女神の名を冠したその名前が、私のとても大切な…そう…とても、とても大切な絆になるなんて、この時の私は知りもしなかったわ。
これが始まりの日。
私の物語のプロローグ。
穂乃果の想いから始まった私達“μ's”の絆の物語。
私、西木野 真姫の“みんなで叶える物語”が始まった日。
そうね…こんな時、あのバカならこう言うんでしょうね。
“さぁ、ガンプラバトルを始めましょ。”
って。
もっとも。私がμ'sに入るのはもうちょっと先なんだけどね。
つづく?
皆様。ご覧いただきましてありがとうございました!
デカブツとまきりんぱな+穂乃果ちゃんとの戦いはいかがでしたしょうか。
本当は前々話に登場した“骨組み”についても作中で軽く触れたかったのですが、力不足で断念してしまいました…。
しかし、“骨組み”、デカブツ、穂乃果ちゃんと相討ちになったファイターの三人は、使用ガンプラと共にこの先また登場する予定であります。
その時には改めて三人の名前やガンプラについて紹介したいと思います。
次回からは再び海未ちゃんを語り部に、μ'sの初めての公式戦が始まります。
今までレンタルガンプラの素組のザクだけを使用したいたソラも、本来のガンプラではありませんが、少しは本気のガンプラを使用する事になります。
さて、ソラが使用するガンプラとは一体…?
それでは本日もご覧いただきまして、本当にありがとうございました!
皆様のご意見やご感想等、お待ちしております!
お気軽にお声掛け下さい。