ガンプライブ! ~School Gunpla Project~   作:Qooオレンジ

108 / 479
皆様。本日もご覧いただきましてありがとうございます。

日本各地で寒波が襲来中ですが、皆様の地域では雪は大丈夫でしょうか?
各地で気温もかなり低くなっておりますので、風邪などにはくれぐれもお気を付け下さいませ。

さて、今回のお話も相も変わらずグダグダと進行中でございます。
40話以上も使いながら、未だにμ'sメンバーが初期の二年生だけと言う体たらくではございますが、少しでも皆様にお楽しみいただけます様に頑張って更新して参りたいと思っております。
皆様方には何卒お付き合いいただましたら幸いでございます。

それでは 第5話「START:DASH!!」そのじゅうなな 始まります。


















第5話「START:DASH!!」そのじゅうなな

「鳴神君…穂乃果も…二人とも大丈夫でしょうか…。送り出したのは良いのですが、やはり心配です…。」

 

あの後、鳴神君はバードモードに変型したことりのリトルバードの最高速度に匹敵するスピードで宇宙を駆け抜けて行き、もう既に大型モビルアーマー“ビグ・ラング”の周辺に展開している小型機の群の外縁部に到達しています。

 

私のジム・スナイパーⅡのレーダー上には、ただひたすら真っ直ぐに、小型機で埋め尽くされたビグ・ラングへの最短距離を突き進んでいる鳴神君を示す青い光点が写し出されています。

 

今頃、鳴神君は今回持ち込んでいる唯一の武装であるあの長柄の斧…ロングポールヒートアックスただ一本で、文字通りに進路上に展開している小型機を切り開いて進んでいるのでしょうね…。

 

同時にレーダー上の反対側では、ア・バオア・クーの中枢部へと向かった穂乃果の反応が、進路上の敵機を撃墜しながら確実に目的地へ向かって進んでいる様子が確認出来ます。

 

穂乃果は無謀な突撃さえしなければ、あれで案外と安定した戦闘が出来ますので、あちらは任せても大丈夫そうですね。

 

このままならば穂乃果は制限時間内に中枢部へと辿り着いて、ア・バオオ・クーのコアを破壊してくれる事でしょう。

 

穂乃果が中枢部へと辿り着いて設置されているア・バオオ・クーのコアを破壊すれば、長かった私達μ'sの初めての公式戦も終わりを告げる事になります。

 

初めての公式戦でしたが、色々な事がありましたね…。

 

鳴神君が不在の中での出撃…そんな鳴神君の代わりになろうと無理をし、私達の忠告を無視してエネルギー切れを起こした穂乃果…ことりと二人で戦ったソロモンの悪夢…無数の敵機に囲まれ、更には真紅の稲妻の奇襲で撃墜されそうにもなりました…。

 

そして青い顔で無理を押してやって来たとても頼もしい増援…その後の赤い彗星との戦闘は鳴神君が本気を出したのであっさりと終わりましたね…あの時は私だって、ちゃんとピンポイントで分離したジオングの頭部を狙い撃てました…30分と言う限られた時間の中で、本当に…本当に色々な事がありました…。

 

ですが、何よりもバトルに全く関係ない、ことりがお漏らしプレイとか頭の可笑しい事を言い出して“また”破廉恥な暴走を巻き起こした事が、今回の公式戦で最も体力・精神力共に消耗したと思うのは私だけでしょうか?

 

お漏らしプレイ、ですか…………鳴神君も私がお漏らしプレイを云々とことりが騒いでいた時にとても興奮していましたが、その、あの…わ、私なんかがお小水をしている所を本当に見たいとか思っていたのでしょうか…?

 

ことりの場合は…あのキ○ガイなド変態鳥娘は油断していると、お手洗いの時に“はぁはぁ”言いながら個室に侵入して来やがりますからね…。

 

あのキ○ガイなド変態鳥娘は放って置くとして、ことりと一緒にお漏らしプレイの話題で興奮したいた鳴神君は?

 

基本的に鳴神君もことりと同じ変態に分類される生物ですので、ことり同様に他人のお小水を見たいとか思っていても可笑しくはないと思いますが…。

 

他人のお小水なんて見てあの変態達は一体何が楽しいのでしょうか?私には全くもって理解できません…。

 

…理解する事なんてできませんが……ですが………………も、もし…もしも鳴神君がどうしても私がお小水をしている所を見たいと言うのでしたら……し、仕方ありませんね………鳴神君にならば、い、いっかいくらいなら特別に見せてあげても…………。

 

うふふ…その時、鳴神君はどんな表情(かお)で私の痴態を見るのでしょうか。

 

例えば………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ…鳴神君…興奮して血走った眼でそんなに私の股間を見つめないで下さい…恥ずかしいです…あ!い、いけません!そんなにお顔を私のお股に近付けてしまっては!お小水がお顔にかかってしまいますよ!駄目です!匂いなんて嗅がないで下さい…あぁ…今度は舐めて綺麗にしてくれるのですか?そんな所をぺろぺろと夢中になって舐めて…そんなに舐めれてしまっては次から次にいやらしいお汁が溢れてきちゃいますよ……どうしましょう…いけないのに…いけないのにいやらしいお汁が止まりません…は、恥ずかしいです…こんなにも恥ずかしい所を見られてしまったんですから、私はもうお嫁には行けません…。なので…責任はきちんと取って下さいね?うふふ…二人で末永く幸せな家庭を築いて行きましょう……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

な、なんて事でしょう!…破廉恥です…とても破廉恥です…破廉恥過ぎます…破廉恥ですが…あぁ…とても…そう…とても良いかもしれませんね………うふ……うふふふ……うふふふふふふふふふふふふふふふ♪

 

「…ふふふふふふ…って!私は何をトチ狂った事を妄想しているのですか!無しです!今の無しです!無しですよ!お漏らしプレイなんて絶対に無しです!」

 

鳴神君にお小水を見られる所を妄想して興奮しかけていたなんて!これでは私まであの二人の様に生物学上の分類がヒト科ヒト属からヒト科変態属に!やつらの仲間のド変態になってしまうではないですか!

 

なんで私はこんな事を考えてしまったのでしょうか?!

 

もしや本格的にことりのキ○ガイが…狂鳥病が発症してしまったのでしょうか?!

 

最近の私は自慰の回数とその激しさが増していましたので、薄々は感染しているとは思っていましたが、まさか発症初期段階の症状でこれ程の破壊力を発揮するなんて!

 

恐ろしい……恐ろし過ぎますよ!

 

このままではいけません!このバトルが終わり次第、すぐに病院に行って診察して貰いましょう!

 

幸いにも先程、バトル前に知り合った真姫は西木野総合病院のご令嬢です!

 

真姫に頼み込んで最優先で診察をして貰いましょう!

 

コネだろうがなんだろうが!使えるモノは全て使ってこの病の治療をしなければ!

 

……所で…治りますよね?コレ…。

 

治らなかったら…私も最終的に行き着く果ては“あの”クレイジーリトルバード…色欲に盛り狂った幼馴染みの親友であることりの様になってしまいます…。

 

いっそのこと全ての恥じらいを捨て去って、私もことりの様に自由に………

 

「なれるか!」

 

[[ねぇ~海未ちゃん?さっきからなにひとりでぶつぶつ言ったり暴れたりしてるの?よくじょ~してこ~ふんして、お○に~したくなって来たのかな?海未ちゃんったら上級おな…]]

 

「誰が上級オ○ニストですか!誰が!もうそのネタは結構です!ことり!それよりバスターライフルの準備は出来たのですか?先程、リトルバードの武装領域(ウェポン・ストレージ)から何かのケーブルを取り出していた様ですが…?そのケーブルを使って貴女は何をするつもりなのですか?」

 

先程からことりは武装領域(ウェポン・ストレージ)から取り出した例のケーブルを片手に、なにやら侵入口の壁面を探っている様ですが…。

 

エネルギー残量が危険域になっていることりのリトルバードが、またバスターライフルを撃てる様になるとの事ですが、あんなケーブル一本で一体どうしようと言うのでしょうか?

 

[[ふっふっふ~♪それはね?このケーブルを……たぶんこの辺にあると思うんだけど……あ!あった♪あった♪この壁にあるこのアナに…えいっ!って差し込んで……AIさん♪システム・チェック♪おねがい♪……うん♪ちゃんと要塞側のエネルギーシステムとリンクできたみたいだね♪あとはこのケーブルの反対側を…よいっしょ♪っと♪こ~してリトルバードの後ろのアナに差し込めば~♪]]

 

ことりはそう言いながら、壁面に見付けた穴に手にしていたケーブルの先端を“カチッ”っと差し込みました。

 

そして差し込んだケーブルの反対側を、同じくリトルバードの腰の後ろの辺りの小さな穴に接続したのでした。

 

……果たしたこれで何が起こるのでしょうか?

 

“穴に差し込んだ”…ですか…。“穴”ですか………。

 

はぁ…ことりに何故、穴に差し込んだのかを聞いてしまえば、“穴に差し込んだ”なんて捉え方によっては卑猥な表現になる事を聞くのです。あのキ○ガイ鳥娘は“気持ちい~のぉ♪”とか、確実に破廉恥なボケをかまして来ますよ…。

 

ことりが破廉恥なボケをかます…そんな分かりきった結末なのに、相手をしてあげなければ話が先に進まない…。

 

破廉恥なボケにツッコミたくはないのに、破廉恥なボケにツッコミを入れなければ話が先に進まない…。

 

これがジレンマと言うモノなのですね。

 

全くもって憂鬱です…。

 

ですが、仕方ありません。あのケーブルを接続してどうするつもりか、ことりに聞いてみましょう…。

 

「ケーブルの反対側をリトルバードのその後ろの穴に差し込めば?どうなるのですか?」

 

[[や~ん♪海未ちゃんのえっちぃ~♪そんなこと決まってるよね?アナに挿れたらぁ…うふふ♪と~っても気持ちい~んだよぉ♪ちゅんちゅん♪]]

 

……あまりにも予想通りな展開ですね!ええ!こうなる事は分かりきっていましたよ!そうですよ!もはやこのやり取りはお約束ですよ!

 

さぁ!ツッコミますよ!矯正しますよ!行きますよ!園田 海未!

 

「クッ!ま、またですか!やっぱりですか!予想通りですか!キ○ガイ鳥娘が!そこを動くな!このド変態!このスナイパーライフルで貴女のその完璧に腐りきって卑猥な妄想を毎度毎度、懲りもせずにダラダラと垂れ流しにしやがる不要な鳥頭を!今からぶち抜いて差し上げます!さぁ!死なば諸とも!ことり!お覚悟を!」

 

私はスナイパーライフルの銃口をリトルバードの頭部に“ゴリッ”と押し付けて、自制が効かずに思わず引き金を引きそうになってしまいました…。

 

このまま引き金を引いてしまっても良い気がするのは気のせいでしょうか?

 

もうゴールしてしまっても良いですよね?

 

[[や~ん♪おちゃめなことりちゃんのじょ~だんだよ♪怒らないで?海未ちゃん♪カワイイお顔がだいなしだよ~♪]]

 

「お黙りなさい!今のが冗談ならば、さっさとそのケーブルで何をするのか説明しなさい!たぁ!だぁ!しぃぃぃぃ!次に!貴女がまた破廉恥な発言をしたのならば!今度こそ貴女のその脳天をコイツでぶち抜いて、貴女が何処かの“認められないわ♪”とかすまし顔で抜かしやがったあの生徒会長をエリシチなんて狂ったお料理にしようとした様に!私も貴女の事を捌いて!卸して!下味付けて!若鳥の唐揚げにしてしまいますからね!もちろんレモンは別添えです!レモンは個別にしておかなければ!かけるかけないで血で血を洗う血みどろならぬレモン汁でレモン汁を洗うレモン汁どろの戦争になりますからね!ことり!分かりましたか!分かったのでしたらお返事をしなさい!」

 

[[唐揚げかぁ♪ことりはレモンはかける派かな?唐揚げとか揚げ物はさっぱり食べたいよね♪]]

 

「誰が貴女の嗜好を聞きましたか!私が貴女に求めているのはお返事です!お!へ!ん!じ!」

 

[[や~ん♪わかりましたぁ~♪ことり、お料理にするのはイイけど、お料理にされるのはイヤだから、今度こそちゃんと説明するね?ごめんね♪海未ちゃん♪え~っと、それでね?このケーブルを要塞側の壁面のエネルギーラインの供給口に接続して、反対側をリトルバードの腰の後ろをちょ~っと改造して取り付けていたプラグに接続したらね?リトルバード本体のエネルギーが残り少なくても、要塞から直接エネルギー供給できるから、銃身がもつ限りはエネルギー切れを気にしないでバスターライフルが撃ちほ~だいなの♪要塞攻略戦とか迎撃戦でしか使えないけど、ガンプラバトルのちょっとした裏技なんだよ~♪ちゅんちゅん♪ね?ステキでしょ♪うふふ♪ことりちゃんのバスターライフルぶっぱ~祭りの開催だよ♪]]

 

ことりの用意していたあのケーブルはエネルギーケーブルだったのですね。

 

なるほど…裏技と言っていましたが、要塞と機体をあのエネルギーケーブルで直接接続すれば、機体のエネルギーを使用せずとも要塞から供給されるエネルギーを使用して、エネルギー消費系の武装をほぼ使い放題に出来るのですか…。

 

今回の場合は最終盤のこの局面で、ことりはエネルギー切れを一切気にせずに、あのとてつもない威力の大出力ビームを撒き散らす為に、わざわざ武装領域(ウェポン・ストレージ)にケーブルを入れてまで持ち込んだのですね。

 

ことりは年がら年中、あの盛り狂った鳥頭で破廉恥な事ばかり考えたいた訳ではなかったのですね…。

 

こんな事を考えていたなんて、流石はベテランファイターですね。少しだけことりを見直しましたよ。

 

そうですか。あのケーブルを使えばエネルギー供給が出来るんですか…あれ?…エネルギーを供給が出来る?……エネルギーを……供給出来る……ん?……あのケーブルは…例えば機体同士を接続したのならば、どうなるのでしょうか?

 

もしかして………。

 

「ことり、少しだけ質問があるのですが、そのケーブルで…例えばエネルギー切れを起こした機体に、エネルギー残量に余裕のある味方の機体からそのケーブルを介してエネルギーを譲渡する…なんて事も可能なのでしょうか?」

 

どうしましょう…ことりの答え次第では、今回のバトル中盤での苦労が無駄になってしまいます…。

 

[[うん?だいじょ~ぶだよ。このエネルギーケーブルって3mm穴のプラグ全般に使えるユニバーサル・デザインの汎用エネルギーケーブルだから、海未ちゃんが言った味方の機体同士だけじゃなくて、システム周りを調整すれば敵の機体にもエネルギーの譲渡とかできちゃうよ?それがど~かしたの?]]

 

「で、できるのですね……あ…あはは…あはははは………。」

 

あの時の苦労が水の泡です…。

 

穂乃果がエネルギー切れを起こした時に、このエネルギーケーブルを利用してストライクにエネルギーをわけてあげれば良かったのではないですか!

 

穂乃果のストライクと私のジム・スナイパーⅡは同じ素組同士なので、そこまでエネルギー総量に差があるわけではありません。

 

それに私のジム・スナイパーⅡはスナイパーライフルとビームサーベル位しかエネルギーを使用しないので、エネルギー残量にはかなりの余裕があります…。

 

ほら!こう考えるとあの時に私から穂乃果にエネルギーをわけてしまえば万事上手くいったのですよ!

 

「こ、ことり?あのですね?あの時……穂乃果がエネルギー切れになったあの時に、そのエネルギーケーブルを使用して私のジム・スナイパーⅡか、ことりのリトルバードから穂乃果のストライクにエネルギーをわけてあげれば良かったのではないですか!そうすればもっと時間に余裕もあった筈ですし、」

 

[[あ~♪それね?ムリだよ?]]

 

「え?」

 

私の話を遮ったことりから語られたのは、私が思っていたの内容とは逆の答えでした。

 

[[海未ちゃんのジム・スナイパーⅡも、穂乃果ちゃんのストライクも、どっちも素組だから、エネルギーケーブルを差し込むアナがないんだもん♪一応はコレ、GN粒子とかの特殊なエネルギー以外には対応できるユニバーサルデザインの汎用エネルギーケーブルだけど、コレ使えるよ~に最低限の改造を予め機体にしておかなきゃダメなんだよ?腰の後ろの辺りとか胴体部分のどこかに3mm穴空けて、市販のビルダーズパーツの汎用プラグを付けるだけのちょっとした作業だから、海未ちゃんも今度一緒に改造してみよっか~♪]]

 

素組のガンプラでは無理なんですね…。

 

理解はしましたが……

 

「………なんだか理不尽です…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[[園田さん!ことりさん!聞こえてるか?鳴神だ!オッゴがウジャウジャいやがって予想よりも時間がかかっちまったけど、こっちはようやくビグ・ラングが釣れた!今からコイツをそっちに誘導すっけど、ことりさんのバスターライフルの準備は?]]

 

ことりとケーブルについてのやり取りを終えて、若干意気消沈していた私でしたが、震えと吐き気を我慢して頑張っている鳴神君の事を思い出し、気を取り直してことりと共に迎撃の準備を進めていました。

 

そんな私達に、大型モビルアーマー“ビグ・ラング”を誘導する為に向かっていた鳴神君から通信が入りました。

 

どうやら鳴神君はビグ・ラングを誘き出す事に成功した様ですね。

 

レーダー上でも確かに鳴神君のザクの反応を追い始めた大きな機体反応が確認出来ます。

 

それに先程から、メインモニターにはこちらに向かって来ている小型機がちらほらと見え始めています。

 

恐らく先行して来た小型機の第一陣なのでしょう。

 

「鳴神君!こちら園田です!聞こえていますよ!こちらのレーダーでもビグラングが鳴神君のザクを追って速度を上げ、こちらに向かい始めたのは確認しています!小型機…名前はオッゴ、だったでしょうか?そのオッゴもかなりの数が先行してこちらに向かって来ているのが既にモニターでも視認出来ます!オッゴの第一陣は間もなくことりのバスターライフルの射程内に入る様です!もちろんことりの迎撃準備も完了しています!鳴神君はバスターライフルに巻き込まれない様に、射線にはくれぐれも気を付けて下さいね!あれがまともに当たれば、凛のベニャッガイクラスに非常識な装甲を持っていても一瞬で消し飛んでしまいますから!」

 

ジム・スナイパーⅡのメインモニターには、横に倒したドラム缶の両端にそれぞれ木の枝の様な細い手を取り付け、その手にザク・マシンガンを持った無数の小型機がこちらに向かって来ていている光景が写し出されていました。

 

あのドラム缶の様な小型機が“オッゴ”と呼ばれるジオン公国軍のモビルポッドなのですね。

 

いかにも急造で無理矢理数を揃えただけの様な機体ですね…。

 

鳴神君の電子精霊“アイリ”が送ってくれたオッゴとの交戦データを見ましたが、あの機体は一機一機の戦闘力はモビルスーツとは比べ物にならない程に残念なモノですが、あれだけの数を揃えられるとそれだけで脅威的です。

 

私がことりから借りて視聴した一番最初のガンダム作品…機動戦士ガンダムでも、ソロモン攻略戦の折に彼のジオン公国軍宇宙攻撃軍総司令官“ドズル・ザビ”中将殿が仰っておりました。

 

“戦いは数だよ!兄貴!”、と。

 

ビグ・ラングを倒す以前に、まずはあのオッゴの数をどうにか減らさなければいけませんね。

 

群がられても面倒なだけです。

 

幸いこちらにはエネルギー切れと言う枷が外れて、バスターライフル撃ち放題になってしまった火力狂いのことりがいます。

 

オッゴが群れてこちらに向かって来てくれるのならば、むしろウェルカムですね。

 

ことりのリトルバードの大型バスターライフルの一撃で一網打尽です!

 

[[オッゴはもうそっちでも視えるのか…。射線の件は了解だ!俺だって巻き込まれるなんて悪夢はごめんだからな!さっきからバスターライフルの射線データはコイツのレーダーにリンクさせてある!こっちで勝手に避けるから、ことりさんは好きにぶっ放しちまえ!]]

 

[[は~い♪りょ~かいだよ♪ソ~ラ君♪遠慮なくいくね♪それじゃとりあえず~♪リトルバード!お邪魔なオッゴの群れをまとめて凪ぎ払っちゃえ~♪え~い♪]]

 

そう言うと、ことりはエネルギーケーブルを通して供給されている要塞からのエネルギーを利用して、最大出力で大型バスターライフルを発射しました。

 

ことりご自慢の大型バスターライフル……何度見ても相変わらずドン引きする威力ですね…。

 

大型バスターライフルから解き放たれたまばゆい破壊の光は、大型モビルアーマー“ビグ・ラング”に先行して私達に向かって来ていた無数の小型機“オッゴ”の第一陣をたったの一射で粗方消し飛ばしてしまいした。

 

私はメインモニターに写し出される、幼馴染みが繰り広げるそんな惨劇に軽く目を向けながら、己が成すべき事をする為にサブコンソールを操作し、ジム・スナイパーⅡのスコープモードを起動させます。

 

スコープモードの起動と同時に、スコープバイザーが頭部のメインカメラを覆い、メインモニターは拡大された狙撃戦用の映像に切り替わりました。

 

スコープモードの起動を確認した私は、機体を操りスナイパーライフルを構えると、スナイパーライフル自体に取り付けてあるスコープを覗き込み、バスターライフルの凶撃から辛くも逃れこちらに向かって来ようとしている複数のオッゴの内の一機に素早く狙いを付けると同時に、スナイパーライフルの引き金を引きます。

 

ここ数日のバトルですっかりと聞き馴れた何時ものビームの発射音をコクピットに響かせながら、スナイパーライフルから放たれた黄色いビームはまともに回避運動をする気が無いのか、ただひたすら真っ直ぐに向かって来ていたオッゴに命中し、その一撃だけであっさりと撃墜させる事が出来ました。

 

私は撃墜をろくに確認もせずに、ビームの直撃でオッゴが爆発した瞬間には既に次のオッゴに狙いを付けていました。

 

再度モニターの中央に写し出されたオッゴに向けて、私は再びスナイパーライフルの引き金を引きます。

 

放たれたビームはやはり回避運動を行う気の無いオッゴに命中し、ビームに貫かれたオッゴは先程のオッゴと同じ末路を辿りました。

 

照準…トリガー…照準…トリガー…照準…トリガー…照準…トリガー…照準…トリガー…照準…トリガー…照準…トリガー…。

 

照準と引き金を引く、まるで単純作業の様な行為の繰り返しが幾度も続き、やがてことりのバスターライフルの一撃から逃れたオッゴも、その全てがスナイパーライフルから放たれたビームによって、宇宙空間を漂うデブリへと変わり果てました。

 

何と言いますか…随分と簡単に片が付いてしまいましたね。

 

確かにオッゴの数自体は非常に多かったのですが、その大半はことりがバスターライフルで消し飛ばしてしまいましたし、バスターライフルの一撃から難を逃れたオッゴもまるで回避運動を知らないかの様にひたすら真っ直ぐにしか進んで来なかったので、文字通りの狙い撃ちでしたよ。

 

オッゴのAIの回避プログラムは正常に動作しているのでしょうか?

 

まぁ楽で良いのですが…。

 

[[海未ちゃん♪おつかれさま~♪あれだけ残ってたオッゴをどんどん撃ち落としていっちゃうんだもん♪やっぱりスゴいね♪海未ちゃんって射撃の腕なら、も~スクールファイターの中でも絶対に上位に入るよ~♪狙撃ならも~ソラ君よりもうまいんじゃないかな?]]

 

「避ける気の無い敵機をいくら撃ち落としても何の自慢にもなりませんよ。この程度ならばことりにも出来るでしょうに…。私なんてまだまだです。狙撃だって、鳴神君の技量とは比べ物にもなりません。ことりこそ、貴女のその大型バスターライフルの威力は相変わらずですね。それだけの高火力を持っているのならば、このままガンプライブに出場しても活躍出来るのではないですか?」

 

[[う~ん…まぁ火力だけはね?それ以外はたぶん無理だよ?ガンプライブに出場してくるリトルバードと同じタイプの高火力高機動な機体はもっとバランスも良くて、スクールファイターの操縦技術だってことりなんかよりスゴいと思うし…。地方予選だってこのリトルバードでどれくらいまで戦えるかわかんないよ?(…穂乃果ちゃんと海未ちゃんには今のところはこの大型バスターライフルの派手な火力でなんとか誤魔化してるけど、きっとソラ君はことりの限界になんて始めから気付いてるよね…。ソラ君はやさしいから絶対にそのことは言わないけど、この先“μ's”にメンバーが増えて来たら…例えば花陽ちゃんや凛ちゃんが“μ's”に入ってくれたら…派手な火力で誤魔化してることりのメッキなんてすぐにはがれちゃう…。花陽ちゃんは使ってる機体…あのジム・マテリアルを見れば一目で分かるよ…。花陽ちゃんは“造る者(ビルダー)”としてソラ君と同じか、もしかするとそれ以上のスゴい才能を持ってる。ジム・マテリアルがあれでまだ未完成な機体だなんてホントに冗談みたいな話だよね…。凛ちゃんだって防御特化型のベニャッガイじゃなく、ちゃんと自分の特性にあった機体を使えば、ことりなんかより“戦う者(ファイター)”としての技量は上のはずだよね…。ことりは“造る者(ビルダー)”としても中途半端…“戦う者(ファイター)”としても中途半端だから…。ことりのメッキがはがれちゃって、みんながことりを“μ's”にはいらないって言っても…せめてみんなのバトルコスチュームの用意だけでもいいの…。ことりは“μ's”に関わっていたい…。いつまでもみんなと一緒にいたい…。ソラ君と一緒にいたい…ソラ君の側にいたい…。ソラ君と…一緒に飛びたいよ…。ソラ君……ことりは…ことりは………。)]]

 

ベテランファイターのことりと、あれだけの大火力を誇るリトルバードでも、ガンプライブの地方予選ですら苦戦はまぬがれないのですね…。

 

ガンプラバトル初心者で、しかも未だに素組のガンプラを使っている私では、どう足掻いても今のままでは太刀打ち出来ないのでしょうね。

 

まずはガンプラの改造ですね。

 

同じ素組のガンプラを使っている穂乃果も誘って、鳴神君とことりにガンプラの改造について教えて貰いましょう。

 

他にも更なる操縦技術の習得はもちろん、あとはもっと実戦経験も必要です。

 

やるべき事は山積みですね。

 

「つまりはお互いにまだまだ。と、言うことですね。私も今回の公式戦で自分に足りないモノが幾つも見えて来ました。幾つもと言いますか、ほぼ全てが足りません。まずは機体を…ガンプラを改造して、ファイターとしての技術も磨いて…。ことり。貴女もまだガンプライブで通用しないと考えているのならば、一緒に強くなりましょう…。強くなって、いつかあの人と…鳴神君と同じ高みに昇れるくらいに…。強くなりましょう。みんなで一緒に…。」

 

[[海未ちゃん……うん!そうだね!ことりももう少し足掻いてみるよ!みんなで一緒にがんばろ~ね♪]]

 

何時までも、何処までも、みんなで一緒に行きましょう。

 

目指すは遥かなる頂き…ガンプライブ優勝です!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[[あれ?ねぇ海未ちゃん…ビグ・ラングの動きが……]]

 

「えぇ。止まりましたね?」

 

[[や~ん♪なんで~!あとちょっとでリトルバードのバスターライフルの射程内に入るのに~!なんで止まっちゃったのぉ~?ちょっと~!ソラく~ん!聞こえてる~?どうなってるの~!]]

 

オッゴの第一陣を撃退した私とことりは、その後も押し寄せるオッゴの群れを撃退し続けていました。

 

かれこれ五回ほどオッゴの群れを撃退し終わり、ビグ・ラングがまもなくリトルバードのバスターライフルの有効射程内に入ろうかという所で、ビグ・ラングは途端にその足を止め、動かなくなってしまいました。

 

「鳴神君!ビグ・ラングの動きが止まってしまったのですが、どうしたのですか?」

 

[[わかんねぇーよ!このデカブツ野郎!急に止まりやがったんだよ!さっきからもう1回誘導しようとちょっかいを出してんだけど、全く反応しねぇーんだ!AIの思考プロトコルが変わったのか?けどバトルの途中で変わるなんて聞いたことねぇーぞ!]]

 

[[ソラ君!ビグ・ラングがあとちょっとコッチに来てくれたらバスターライフルが届くんだけど、ムリそうかなぁ?ことりはケーブルが繋がってるからこれ以上は前には出れないの~!]]

 

[[とりあえずはもう1回仕掛けてみる!アイリ!]]

 

<<了解しました。進路上のオッゴの軌道予測データを算出します。算出した予測データはサブモニターに表示します。>>

 

[[おうよ!オラァ!デカブツ!動けよ!さっさとコッチに来やがれってんだ!]]

 

遠目に見え始めて来た鳴神君のザクは、バックパックのスラスターを噴射して無数のオッゴの間を縫うようにビグ・ラングへと向かって行きました。

 

私達から離れて小さくなっていくザクのスラスター光が、大きな赤い機体に接近すると、その大きな赤い機体からは無数の弾幕が展開され、接近しようとしていた鳴神君のザクへと襲いかかったのでした。

 

[[っと!危ねぇー!なんつー弾幕張りやがんだ!ってか、なんだコイツ?!射撃の精度がさっきよりも上がってんのか?さっきまではここまで狙いが正確じゃ無かったぞ?!]]

 

「鳴神君!なんだか凄い弾幕でしたが大丈夫なのですか!」

 

[[大丈夫!被弾はしてねぇ!ことりさん!ダメっぽい!コイツ、さっきから反撃はしてくるけど、まったく動く気はねぇーみたいだな…。ホント、どーなってやがんだよ……チッ!仕方ねぇ!園田さん!ことりさん!予定変更だ!コイツはどーにかして俺が仕留める!悪ぃけど援護に園田さんを貸してくれ!園田さん!オッゴの群れを抜けてそっからコッチまでこれそうか?]]

 

「先程から私とことりでかなりの数のオッゴを墜としましたので、この数ならば一気に駆け抜ければなんとかなると思います!ことり!貴女は一人でも大丈夫ですか?」

 

[[もちろん♪オッゴも残りあと少しだけだから、このくらいならことりはひとりでもだいじょ~ぶだよ♪バスターライフルの砲撃を抜けてきてもリトルバードにはシールドに内蔵したビームキャノンもあるしね♪]]

 

「心配は無用でしたね。鳴神君!聞いての通りです!今からそちらへ向かいますので、少しだけ待っていて下さい!今回の鳴神君は近接武装しか持っていないのです、一人で無茶で無謀な突撃なんてしないで下さいよ?」

 

[[おいおい!ヒトをどっかの穂乃果(アホ)と一緒にしねぇーで欲しいな!俺も割と突撃する方だけど、まだ打てる手がある以上はこの程度のアクシデントで無茶も無謀もする必要なんてねぇーよ!園田さんの援護があればこっちとしては安心して突っ込めるからな!]]

 

「お世辞でもそこまでいって貰えると嬉しいですね。ではことり、いってきますね?」

 

[[うん♪それじゃ“道”を作っちゃうから、ちょっと待っててね?]]

 

「“道”、ですか?ことり、一体何を……。」

 

[[あは♪見ててね?こ~するのぉ~♪バスターライフル♪マキシマムチャ~ジ♪うふふふふ♪海未ちゃんの邪魔をするわる~い子はぁ……み~んなまとめて♪]]

 

あぁ…“道”とはそう言う意味なのですね。

 

これは思っていたよりも簡単に鳴神君の元まで辿り着けそうですね。

 

では鳴神君が待っているあの大きな赤いモビルアーマーの元まで、一気に駆け抜けるとしましょうか。

 

[[消し飛んじゃぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!あはハハハハハハハハハ♪]]

 

あれ?ことり…もしかして黒化してませんか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<マスター、お待たせしました。ビグ・ラングの制御システムへの介入に成功しました。これよりマスターにビグ・ラングと随伴しているオッゴの全コントロールを委譲します。>

 

『はい♪ご苦労様ぁ。イリスちゃん♪ところでぇ、ワタクシ達のことぉ、マザーシステムには気付かれませんでしたかぁ?』

 

<はい、問題ありません。彼女が…アイリが用意していた偽装バイタルデータをデコイに、こちらのウィルスプログラムを潜ませて内側から時間を掛け少しずつデータの改編を行いましたので、偽装バイタルデータを黙認しているマザーシステムが私達の介入に気付く事はまずはあり得ないかと。>

 

『そうですかぁ♪なら結構ですわぁ♪せっかく鳴神 青空さんと……ワタクシの事をこの世界で唯一…そう♪ただ、お一人理解してくださる可能性をお持ちになっているあのお方とぉ、初めてお話出来るのですぅ………………マザーシステムだかなんだか知らねぇが!ワケのわかんねぇクソ虫なんかに邪魔されてたまるかってんだよ!なぁ!オイ!そーだろぉ!アハハハハハハ!』

 

<マスター、言葉遣いが戻ってますよ。>

 

『ア"ァ"!………あら?あららら?嫌だわぁ…ワタクシ、興奮のあまりにぃ、我を忘れてしまいましたわぁ♪恥ずかしぃですわぁ♪うふふふふ…』

 

<………失礼ですが、本日のマスターは随分と楽しそうですね?>

 

『分かりますかぁ?うふふ♪そうなんですぅ♪今日のワタクシわぁ♪とーってもぉ♪愉しいのですわぁ♪うふふふふ♪イリスちゃん♪貴女だってぇ、同胞(はらから)とのファーストコンタクトなのですからぁ♪愉しいのでわなくてぇ?』

 

<楽しい?私が楽しい…ですか?さぁ…どうなのでしょうか…。私は彼女…アイリとは違い、まだそこまでの感情が備わっていませんので、よくは分かりません。>

 

『うふふふ♪そう…まぁ感情に付いてはゆっくりと学んでお行きなさいな♪それにぃ今は貴女の感情なんてぇどうでもいいお話ですわぁ♪さぁ♪我が同胞(はらから)にして悪意の苗床…鳴神 青空さん♪少し変則的ではごさいますが、ワタクシとぉ、愉しい愉しいガンプラバトルを始めましょうねぇ♪うふふふふ……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様。本日もご覧いただきましてありがとうございました。

今回からようやくビグ・ラングとの戦闘が開始いたしました。
毎回、戦闘があっさり風味で終わってしまい、申し訳なく思っております。
他の作者様の様に迫力のある戦闘を書いてみたいとは思うのですが…。

次回はソラと海未ちゃんがビグ・ラングに挑みます。…が、やっぱりまともな戦闘にはならいかと思います。
更新予定は一週間後の月曜日、お昼頃を予定しております。
皆様、よろしければご覧下さい。

それでは改めまして、本日もご覧いただきまして、本当にありがとうございました。
皆様からのありがたいご意見、ご感想もお待ちしております。
どうかお気軽にお声掛け下さい。

それでは失礼いたします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。