ガンプライブ! ~School Gunpla Project~   作:Qooオレンジ

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皆様、本日もご覧いただきありがとうございます。

先週の風邪が治ったと思っていたら、今週はインフルエンザで発熱中なQooオレンジでございます。
今回も熱にうなされながらの投稿になりますので、所々おかしな部分や誤字脱字があるとは思いますが、体調回復後に修正いたしますのでご容赦下さい。

それでは 第5話「START:DASH!!」そのじゅうきゅう 始まります。
















第5話「START:DASH!!」そのじゅうきゅう

「“お肌の触れ合い通信”!!!」

 

そうです!思い出しましたよ!“お肌の触れ合い通信”ですよ!

 

以前にことりが何時ものエロボケで、“裸で抱き合うとお肌の触れ合い通信みたいに通じ会えるの♪”とか言っていました!

 

その時に“お肌の触れ合い通信”についての説明も受けていたんですよ!

 

すっかりと忘れていました…。

 

ガンダム作品では時として、機体同士を直接接触させて通信をする描写があります。

 

劇中では“お肌の触れ合い通信”や“接触回線”等と呼ばれたいたそうです。

 

この“お肌の触れ合い通信”は機体の装甲同士を直接触れ合わせ、電波妨害に影響されずに相手に直に電波を伝える事が出来るのです!

 

あのイカれた女のパートナーである電子精霊のイリスが妨害しているのは恐らくは通信電波の送受信。

 

電波を外部に飛ばす事が出来ないのならば、鳴神君のザクに直接触れ合って、直に電波を届けてしまえば良いのです!

 

この“お肌の触れ合い通信”ならばそれが可能な筈です!

 

<おや?どうやらMHプログラムの影響下を完全に脱し、正解に辿り着けた様ですね。おめでとうございます。ソノダウミ様。>

 

「イリス?MHプログラム?何の事ですか?それよりも……お肌の触れ合い通信が正解だと随分と簡単に認めるのですね?まさか…。」

 

あのイカれた女の電子精霊がこんなに簡単に答えだと認めた…。

 

あれだけ性根の腐った女の事です…正解だと思わせておいて、実はハズレ…通信手段なんて残されていなかった…なんて事も十分にあり得ます。

 

そうなるとまさか“お肌の触れ合い通信”も使用出来ないのですか?!

 

<ご安心を。お肌の触れ合い通信……接触回線は本当に使用可能です。マスターはお優しいお方ですので、常に救済方法を用意して下さっております。今回の救済方法はソノダウミ様が思考を重ね辿り着いた接触回線になります。そしてソノダウミ様がご推察の通り、私が通信システムに介入して妨害しているのは通信電波の送受信のみです。機体同士を直接接触させて電波をやり取りする接触回線にはマザーシステムと言えども介入は出来ませんので。>

 

「ならば!今すぐに鳴神君を助けに!」

 

<残念ながらそれは不可能です。お忘れですか?ソノダウミ様の乗機は現在、ビグ・ラングのメガ粒子砲にロックオンされております。動けばその瞬間にマスターはメガ粒子砲のトリガーを引いて、ソノダウミ様を撃墜するでしょう。>

 

あ…そ、そうでした…ロックオン・アラートが鳴っていないので忘れていましたが、あのイカれた女が乗っ取ったビグ・ラングのメガ粒子砲が私のジム・スナイパーⅡを狙っていたのですよ!

 

せっかく打開する手段が見付かったと言うのに!

 

<もし…もしもこの場に居るのがソノダウミ様、貴女ではなく、コウサカホノカ様、またはミナミコトリ様でしたら、メガ粒子砲を回避してナルカミソラ様の元へと向かえたかもしれませんね。>

 

「穂乃果やことりならば?ことりならばまだしも、穂乃果は私とあまり変わらないのではないのですか?」

 

ベテランファイターであることりの技量は私や穂乃果よりも圧倒的に上です。

 

ことりの使用しているウィングガンダムを改造した機体…ウィングガンダム・リトルバードの性能も、あの派手な火力に目が行きがちですが、機動性もかなりのモノです。

 

一方の穂乃果は私と同じガンプラバトル初心者で、使用している機体も私と同じ素組…。

 

今は鳴神君が届けてくれたあの高性能なエールストライカーを使用していますが、穂乃果の反射速度自体は私とそこまで変わらないと思いますが…。

 

<いえ。今回の介入に際して、ソノダウミ様、ミナミコトリ様、コウサカホノカ様、お三方の戦闘データを予め解析いたしましたが、その中でもコウサカホノカ様の反射速度は時として非常識な数値を叩き出しておりました。反射速度の数値だけで言えば、私のマスターやナルカミソラ様を上回る数値です。>

 

「穂乃果が?貴女のマスター…あのイカれた女はいざ知らず、鳴神君を上回る反射速度を?何かの間違いではないのですか?」

 

<私もマスターも戦闘データを解析した結果を見たときに同じ事を思いました。コウサカホノカ様は普段はソノダウミ様の反射速度とほぼ同等の数値ですが、ご自身に危険が及んだ時に限りコウサカホノカ様の反射速度の数値はナルカミソラ様や他のワールドクラスのトップファイターと同等…いえ、それ以上の数値を示していました。この反射速度の数値は攻撃を認識したと同時に回避行動を始めているとしか考えられません。>

 

あの穂乃果が鳴神君の様なワールドクラスのガンプラファイター以上の反射速度?

 

攻撃を認識したと同時に回避行動?

 

え?穂乃果ですよ?穂乃果(アホ)な穂乃果なのですよ?

 

本当なのでしょうか?

 

ですが、イリスが嘘を言っている様には見えません…。

 

「……その穂乃果ならばこの状況でもビグ・ラングからの攻撃を避けれたと貴女は言いたいのですね。」

 

<はい。コウサカホノカ様と現在の彼女の乗機…ヤザワニコ様がナルカミソラ様に持たせたエールストライカーを使用しているストライクガンダムならば回避は容易でしょう。>

 

また“ヤザワニコ”ですか…。

 

先程からあのイカれた女もイリスもその名を言っていますが、一体誰なのでしょうか?

 

鳴神君と…その…肉体関係にある様ですが…。

 

鳴神君!後で絶対に聞き出しますからね!

 

その為にも何とかして鳴神君の元へと辿り着かなければ!

 

「……ことりとことりのウィングガンダム・リトルバードでも、ですね。」

 

<はい。>

 

ですが、今の私では鳴神君の元へと辿り着く前に、あのイカれた女の乗っ取ったビグ・ラングに撃墜されてしまう…。

 

ことりならば…穂乃果ならば…私以外ならば簡単に鳴神君を助ける事が出来たのに…。

 

「…私では無理…ですか…。」

 

<はい。データの解析結果、ソノダウミ様では回避が成功する可能性は極めて0に近いです。>

 

回避は無理…ならばシールドでメガ粒子砲を防ぎながら…。

 

<勿論、シールドを使用しての防御も無理ですね。対ビームコーティングが施されているのならば、素組のジム・スナイパーⅡのシールドでもメガ粒子砲の直撃を一度位は防げたのでしょうが、現状の装備では残念ながら防御も不可能だと判断いたします。>

 

防御も無理…つまりは完全に手詰まり…もはや為す術は…打てる手は無いのですか…。

 

<チェックメイトですね。あぁ、そうそう。先程、コウサカホノカ様とミナミコトリ様ならばビグ・ラングからの攻撃を回避出来ると申しましたが、そのお二人ではそもそも接触回線の事に気付く事は出来なかったと思われます。>

 

「…なんですか、それは?貴女はもしかして慰めているつもりですか?」

 

<いえ。私は純然たる事実だけを述べております。例えばミナミコトリ様の場合はマスターが皆様の音声データを使用してナルカミソラ様と会話を始めた段階であのバスターライフルを振り回して暴れ出していたと簡単に予想出来ます。彼女がどの様な原理で暴走状態に至るかは不明ですが、判断力が著しく欠如した状態での戦闘行動では私のマスターに勝つのは難しいでしょう。>

 

全くもってその通りですね。

 

この場に居たのがことりならば、確実に最高深度での黒化現象を巻き起こして、動くなとの警告も何もかも無視してあのイカれた女へと襲い掛かっているでしょうね。

 

ことりがそうそう簡単にやられるとは思いませんが、判断力が欠如した黒化状態ではあのイカれた女の陰険な策略にハマってしまい、事態が悪化してしまう可能性はとても高いです。

 

<コウサカホノカ様は反射速度は異常な数値を発揮する事もありますが、それ以上に思考能力に決定的な欠陥があります。初撃は回避出来たとしても、その後に考え無しの突撃を敢行し、最終的にはビグ・ラングの弾幕を避けきれずに撃墜…でしょうね。>

 

私もその予想には概ね同意出来てしまいます…。

 

穂乃果は思考を放棄していますので、本能の赴くまま直感的に行動し突撃…でしょうね。

 

それにしても穂乃果…貴女は見ず知らずの電子精霊にまで穂乃果(アホ)だと思われていますよ…。

 

<その点、ソノダウミ様はミナミコトリ様の様に激昂し暴れ出す事もなく、コウサカホノカ様の様に浅慮に突撃する事もなく、冷静に思考し続け最適な答えを導きだしました。>

 

イリスは勘違いしている様ですが、私も自分でも不思議なくらいに激昂してましたし、決して冷静ではなかったのですが…。

 

しかも接触回線を思い出した切っ掛けが“ヤザワニコ”と言う人物が鳴神君に抱かれている云々と言った会話が切っ掛けなんですよね…。

 

「答えが…この状況を打開する手段が見付かっても、結局は私も手も足も出ずに撃墜されるか、このまま鳴神君が苦しむ様を見ているだけですがね。」

 

<ならばコウサカホノカ様の様に無謀な突撃でもしてみますか?先程も進言しましたが、ソノダウミ様が攻撃を回避出来る可能性は極めて0に近い確率ですが、0ではありません。>

 

可能性は0ではない…ですか…。

 

ここでこのまま鳴神君が苦しむ様を…あのイカれた女に心が壊されて行く様を見続けるなんて選択肢は私には勿論ありません!

 

ならば!私も穂乃果の様に何も考えずに突撃してやりましょう!

 

「イリス。貴女にはお礼を言いますよ。」

 

<お礼?何故でしょうか?>

 

「貴女のお陰で突撃する決心がつきましたからね!」

 

<……ソノダウミ様はもっと冷静に思考し判断する人物だと思っておりましたが、どうやら違っていた様ですね。>

 

「何とでも言っていなさい!ただし!貴女が始めに言った通りに、貴女にはスリープさせたサポートAIの代わりに確りとシステムアシストを行って貰います!」

 

<突撃を行っても結果は見えているでしょうに……。システムアシストの件は了解しました。MHプログラムが停止した現在、元より通信妨害以外の妨害は行わない予定ですので、ご存分に。>

 

「その言葉、今は信じますよ。鳴神君……今…参ります!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さぁ!決心は付きました!後は突撃あるのみです!

 

あのイカれた女は私が動いた瞬間に攻撃してくる筈です!

 

何としてもその一撃を避けて、鳴神君へと辿り着かなければ!

 

集中しなさい!私!

 

大丈夫!イリスの話ではあの穂乃果(アホ)の穂乃果でもこれから襲ってくる一撃は回避出来るとの事です!

 

反射速度が非常識な数値だろうが、穂乃果は穂乃果(アホ)なんです!

 

そんな穂乃果に出来るならば、私にだってきっと出来る筈です!

 

私はそう自分に言い聞かせ、鳴神君の元へと向かう為にバックパックのバーニアに火を灯します。

 

この機体…初めてみんなでガンプラバトルをしたあの日、鳴神君が私に買ってくれたジム・スナイパーⅡに出せる最大限の加速を発揮する為に、飛び出す瞬間ギリギリまで力を溜めます!

 

見つめる視線のその先には真っ赤な巨大なモビルアーマー…。

 

これから私はイカれた女に乗っ取られたあの巨大なモビルアーマーの一撃を掻い潜り、鳴神君の元まで辿り着かなければいけない…。

 

回避に失敗すればもれなく撃墜。

 

そして鳴神君は……………恐れるな!私!女は度胸ですよ!やってみせましょう!やり遂げてみせましょう!

 

意を決した私はギリギリまで出力を上げたバーニアを一気に解放し、鳴神君のザク目掛けて機体を急加速させました!

 

身体に強いGが掛かり機体が前に進み始めたその時、ジオングの頭部を狙い撃とうとした瞬間と同じあの不思議な感覚がまた私を支配し始めました。

 

本来ならば急加速によって瞬きする間もなく流れていく筈の景色がゆっくりと流れていく…。

 

そして先程とは違い、今度はゆっくりと流れていく景色から“色”すらも抜け落ち、私が知覚する全ての世界は白と黒の二色に塗り分けられて行きました…。

 

全てがゆっくりと動く世界。

 

色の無い世界。

 

音の無い世界。

 

私だけの世界。

 

私はそんな世界に身を委ねながら、視線の先の大きなモビルアーマー“ビグ・ラング”の上部に連結されているビグロの“くちばし”がゆっくりと開き、その中に搭載されたメガ粒子砲の砲口が淡い光を放ち始めるのを認識します。

 

砲口に灯る光を認識した私は、ジム・スナイパーⅡの左側にある全てのスラスターを総動員し、やがて迫り来るメガ粒子砲からの回避行動を試みます。

 

機体の左側にあるスラスターが私の意を汲み全力で推進剤を噴射し始めたその時、ゆっくりと動いてた時間の流れが急激に元に戻り、世界に再び鮮やかな色と音が戻って来ました。

 

全ての感覚が元に戻った瞬間、ビグ・ラングから放たれたメガ粒子砲のビームが私目掛けて襲い掛かって来ました!

 

「全力でぇぇぇぇ!!!避けなさぁぁぁぁぁい!!!!」

 

私の気合いの叫びに応える様にジム・スナイパーⅡは迫り来るメガ粒子砲から逃れようと、機体左側のスラスターを全開で噴射させて右へと押し出されます!

 

そして私へと襲い掛かったメガ粒子砲の光は…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<左腕消失。ダメージコントロールを開始します。無茶をしましたね。>

 

「それが何ですか!腕の一本や二本!くれてやります!」

 

回避行動の結果、私のジム・スナイパーⅡはビグラングから放たれたメガ粒子砲を避けきれずにシールドごと左腕を吹き飛ばされてしまいました。

 

もとより無謀な試みだったのです!完全に回避出来るなんて思ってはいません!

 

たとえ左腕を失っても!右腕を失っても!両足を!全ての四肢を失ったとしても!機体が動き!あの人の元へ…鳴神君の元へと辿り着ければよいのです!

 

だからお願いです!ジム・スナイパーⅡ!

 

無力な私に力を貸して下さい!

 

あの人に私達の想いを届けさせて下さい!

 

全力で!私を鳴神君の元まで!

 

「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

私の想いに応える様に、再びバックパックのバーニアから激しく推進剤を噴射して加速を始めた機体は、鳴神君のザクへと向けて真っ直ぐに突き進みます!

 

メインモニターに映る鳴神君のザクが、その距離を詰めるに従い、次第に大きくなっていきます。

 

あと少し…あと少しで!

 

そして、私のジム・スナイパーⅡは……

 

<間もなく友軍機に衝突します。衝撃にご注意ください。>

 

「っ!きゃぁぁぁぁ!!!」

 

全力の加速の勢いそのままに、鳴神君のザクへと激突しました!

 

[[…ぅ……ぁ…]]

 

<<ウミ?!なんて無茶を!>>

 

「あ、あはは…どうやって止まるかを考えていませんでしたね…。」

 

前に進むことばかり考えていて、どうやって止まるかを考えていないとか…これではまるで穂乃果の様ですね。

 

まぁ…たまには私も思考を放棄し、何も考えずに行動するのも良いのかもしれませんね。

 

結果として左腕を失いはしましたが、メガ粒子砲を回避してちゃんと鳴神君の元まで辿り着けましたし。

 

鳴神君のザクに激突したお陰で止まる事も出来ましたので今回は良しとしましょう!

 

何はともあれ左腕を失いはしましたが、何とか鳴神君の元へと辿り着く事は出来ました!

 

後はイリスの言葉通り本当に接触回線が使えれば……。

 

<<止まり方を考えずに突撃とかホノカの様ですね…って!声が聞こえる?!これは接触回線ですか!ウミ!聞こえますか!ウミ!>>

 

私の声がアイリに聞こえたと言う事は通信が繋がったのですね?!

 

やりました!これなら!

 

「アイリ!私の声が聞こえているのですね!通信が繋がっているのですね!」

 

<<はい!聞こえています!聞こえますよ!ウミ!貴女の声が!ウミ!お願いです!マスターが!このままではまたあの頃の様に悪意に引き込まれてしまう!今度は戻れないかもしれない!お願いです!ウミ!マスターを!マスターを助けてください!私の声ではマスターには届かないのです!だから!>>

 

悪意に引き込まれる?!そう言えば、鳴神君が以前までの自分はろくでもない人間だっと言っていましたね。

 

人を傷付け、見下し、嘲笑う…。

 

その頃の鳴神君に戻るとでも言うのてすか?!

 

させませんよ!そんな事は!

 

「分かっています!その為に穂乃果の様にこんな無茶を通してやって来たんですから!鳴神君!聞いていますか!鳴神君!」

 

鳴神君!私は貴方に言いたい事が!伝えたい事が沢山あります!

 

全てを言葉にするのは無理かもしれません…ですが!それでも言葉を重ねて貴方にこの想いを伝えてみせましょう!

 

[[…ぁ……そ…の……]]

 

[[うふふ♪びっくりいたしましたわぁ♪園田さんったらぁ急に飛び込んで来るのですものぉ♪ワタクシ、驚きのあまりぃ思わず引き金を引いてしまいましたわぁ♪うふふふふ♪ですぅがぁまさか園田さん程度の能力でワタクシの一撃を不完全ながらも避けてぇ、ここまで辿り…]]

 

鳴神君へと言葉を投げ掛けようとした私の邪魔をしたのはやはりこのイカれた女でした。

 

私達の声を使い、私達の真似をし、鳴神君の心の傷口を無理矢理にこじ開けようとしたこのイカれた女の声を聞いた瞬間、私は今まで必死に押さえ込んでいた怒りと憎悪と嫌悪の感情が一気に爆発して、気が付けば思わず大きな声で叫んでしまっていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お黙りなさい!外道!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と。

 

[[え?!げ、げどう?!あ、あの?今、何と?]]

 

そう…外道です!

 

人の心を!人の想いを!人の勇気を!人の…私達の絆を!

 

その全てを!尊厳を踏みにる貴女は外道で十分!

 

私の我慢もここまでですよ!この腐れ外道女!

 

これ以上は貴女の好きにはさせません!

 

鳴神君の前に!まずはこのイカれた外道女を黙らせてやります!

 

「黙れと言いました!私は!今!鳴神君と話しているのです!貴女は…いえ………貴様はもう喋るな!!!」

 

[[なっ!]]

 

ふん!言ってやりましたよ!

 

感情の赴くままに、もしお母様がお聴きになっていたら卒倒してしまいそうな野蛮な言葉を使ってしまいましたが、私だってヤる時はヤるのです!

 

さぁ!イカれた外道女は黙らせました!

 

次は鳴神君!貴方です!

 

お説教の時間です!

 

「鳴神君!聞こえていますか?!聞こえていますね!貴方は!どうして私達を信じてくれなかったのですか!わたしが!穂乃果が!ことりが!大切な仲間である貴方をいらないなんて本当に言うと思っていたのですか!穂乃果が一人じゃなきゃ誰でもいい?!側に居てくれるのならば鳴神君!貴方じゃなくても別に誰だって良いですって?!ふざけるな!!!穂乃果は鳴神君!貴方に!他の誰でもない!好きで好きで大好きな貴方に!鳴神君だから側に居て欲しいのです!人の感情に敏感な貴方ならば!穂乃果の好意にだって気付いていた筈です!真っ直ぐに貴方だけに向けらているあの娘の好意に!鳴神君は知っている筈です!貴方が穂乃果の頭を撫でる時のあの幸せそうな穂乃果の表情(かお)を!鳴神君だって見ていた筈です!誰よりも穂乃果の側で!すぐ近くで!穂乃果がどんな気持ちで貴方に頭を撫でられていたかを知っていた筈です!知らなかったなんてそんな事は私が言わせません!絶対に!!!」

 

穂乃果の真っ直ぐな気持ち…。

 

穂乃果の素直な表情(かお)…。

 

人の悪意を何よりも恐れ人の感情に過敏になっている貴方が、そんな穂乃果の真っ直ぐで素直な気持ちに気付いていない筈がありません!

 

貴方はそんな穂乃果の気持ちを好ましく想っていた筈です!

 

「ことりだってそうです!破廉恥な行為に付き合ってくれるならば誰でも良いですって?!本当にそうですか?!そんな訳がありますか!ことりは鳴神君!貴方が大好きだから!貴方だから契りを交わしたいと想っているのですよ!恥も外聞も棄てて!ただひたすらに貴方を求めているのですよ!不能?役立たず?ソーセージサイズ?男性器が小さいからつまんない?!たかがその程度であの色欲に盛り狂ったことりが身を引きますか!貴方をいらないと言いますか!ことりならば!不能で役立たずならば“ことりが無理矢理にでも勃たせてあげるね♪”って言うに決まっています!男性器が小さい?ことりならば“ソラ君のお○ん○ん♪ちっちゃくて可愛い♪”とかってぬかして逆に喜びますよ!挙げ句の果てには“ことりがおっきくしてあげるね♪”って喜びながら咥えるに決まっていますよ!ことりの遠慮の無い掛け値なしの好意を向けられ続けた来た貴方ならば!ことりの純粋で不純な気持ちを理解している筈です!違いますか!鳴神 青空!!!」

 

例え本当に貴方が不能だとしても、そんな事はことりには関係ありません。

 

例え貴方の男性器が本当に小さかろうとも、ことりには関係ないのです。

 

ことりが貴方を求めるのはただ好きだから。

 

貴方のぬくもりが欲しいから。

 

貴方の愛が欲しいから。

 

欲望のままに、本能のままに、気持ちのままに。

 

貴方が大好きだから、ただただ求める。

 

求めた結果が性行為なのは純で不純なことりらしいんですけどね。

 

[[…ほ…の……こと…さ…]]

 

反応が戻った!ですがまだ鈍い?!

 

鳴神君の心を引き戻すにはまだ言葉が、想いが足りないのですか?!

 

ならばもっと言葉を!想いを重ねましょう!

 

貴方に届く様に!

 

「花陽も凛も!貴方を貶めたりはしません!あの子達は貴方をとても慕っているではないですか!今日だって花陽は私達の為に!貴方の為におにぎりを握って来てくれたのですよ!女の子がどうでもいい相手にお料理なんてしますか?する訳がありません!凛だって貴方にエチケット袋を作って持って来てくれたではないですか!凛が貴方に渡したそのエチケット袋を見なさい!無駄に可愛い猫の絵とか、貴方への応援メッセージが描かれているのではないですか?」

 

二人とも一生懸命に貴方の為を思って作ったんです!

 

まぁ凛の場合は一生懸命に考えて作ったのがエチケット袋だったと言うのはアレですけどね。

 

[[…かいて…る…ねこの…え…おにーさん…がんばるにゃーって…。]]

 

鳴神君が私の問いかけに応えてくれた!

 

ならばあと少しです!あと少しで!

 

「私だって!貴方がどれ程の勇気を振り絞って私達の元へと駆け付けてくれたのか知っています!そんな貴方に最低ですなんて言いません!言えません!」

 

[[でも…けど……。]]

 

「確かに、このバトルを観ている観客の方々には、六年前に貴方を傷付けた人達と同じ様に、貴方へと無責任な悪意の言葉を投げ掛ける人もいるかもしれません…。」

 

[[そうだ…あのときみたいに…またみんなおれのことを…]]

 

「ですが、そこにあるのは本当に悪意だけですか?貴方への善意はないのですか?」

 

[[善意?そんなモノは…]]

 

「無いとは言わせませんよ?少なくとも、私達は、花陽と凛も。鳴神君が頑張っていると知っています。私達は貴方へ悪意を向ける事はありませんよ?」

 

そして、恐らくは“ヤザワニコ”と言う人物も。

 

[[園田さん…穂乃果…ことりさん…小泉…星空……。]]

 

「信じて下さい!穂乃果を!ことりを!花陽を!凛を!そして!」

 

戻って来て下さい!私達が大好きな何時もの貴方へ!

 

穂乃果が共に居たいと願う貴方へ。

 

ことりが求めてやまない貴方へ。

 

花陽が、凛が慕う貴方へ。

 

「私を!!!」

 

そして……私が産まれて始めて恋した貴方へ!

 

[[信じる?みんなを………俺は…俺は…。]]

 

「さぁ!鳴神君!いえ……“青空”!共に進みましょう!」

 

[[みんなと一緒に…そうだよ…決めたんだ…俺は…俺は…俺は!]]

 

<MHプログラム、稼働率3%まで減少。まもなく機能停止します。>

 

MHプログラム?先程からイリスも外道女も言っていますが、何の事ですか?

 

それよりも!鳴神君…いえ、青空の瞳に生気が戻ってきましたよ!

 

これならばもう大丈夫ですね!

 

[[うふふ♪構いませんわぁ♪イリスちゃん♪実験はどちらも一応は成功ですからぁ♪初期段階としては上々の結果ですわぁ♪それにしても…せっかくぅ鳴神さんのトラウマを抉ってコチラ側に引きずり下ろして差し上げ様と思いましたのにぃ♪つまりませんわぁ♪実につまりませんわぁ♪絆だなんてぇ、なんて茶番でしょう!善意だなんてぇそんなモノは幻想でしかありませんわぁ♪そう!この世の全ては悪意を孕んでぇ、悪意を撒き散らすぅ…悪意の底に沈んだ事のある鳴神さんならばぁ♪善意なんてぇ、絆なんてぇ、穢らわしいクソみたいなモノがこの世の中には存在していない事が分かる筈ですわぁ♪]]

 

っ!またこの女ですか!

 

悪意を孕んでいるのは貴女ではないですか!

 

悪意を撒き散らしているのは貴女ではないですか!

 

善意が、絆がクソですって?穢らわしいですって?

 

クソで穢らわしいのは貴女です!!!

 

善意があるからこそ!人は人として生きていけるのです!

 

絆を紡ぐから!誰かとの絆を繋ぐから!人は優しくなれるのです!

 

人は人を愛せるのです!

 

私は悪意を否定はしません!

 

ですが!善意も絆も貴女なんかに否定はさせません!

 

この女の物言いには本当にイライラします!

 

「人の言葉を理解出来ないのですか?私は貴様に“黙れ”と言った筈です。」

 

[[あらあら♪園田さんったらぁとーってもぉ怖いわぁ♪うふふ♪ワタクシ♪泣いちゃいそうですわぁ♪えーん♪えーん♪うふふ♪]]

 

「何がえーん♪えーん♪ですか!どうやら黙る気は毛頭も無い様ですね…では!無理矢理にでも黙らせてやりましょう!青空!」

 

[[園田さん?!]]

 

「行きますよ!あのイカれた腐れ外道女をぶち殺しに!」

 

[[へ?ぶ、ぶち殺す?!な、なんか園田さんっぽくない…。]]

 

「当たり前です!私は!今!とても!とても!怒っているのです!私達の声を使って!私達の真似をして!私達の大切な仲間を!大好きな貴方を!青空を傷付けようとしたあのイカれた腐れ外道女に!」

 

[[うふふふふ♪園田さんったらぁイカれた腐れ外道女だなんて野蛮な物言いですわぁ♪本当にぃ♪本当にぃ♪本当にぃ♪ほぉーんとぉーにぃぃぃぃ♪♪♪うふふ♪うふふふふ♪あはははははは!]]

 

何ですか?外道女の様子が…?

 

[[はははははははははは!!!笑わせてくれるなァァァ!おぉォォォォい!!ならァ……来いよォォォ!園田 海未ィィィ!相手してヤろーじゃねぇーかァァ!けどなぁァァ!テメェ如きクズ女にィィィ!このアタシがヤれっかよォォォ!!!]]

 

急に言葉使いが乱暴に?これがこの女の本性……化けの皮が剥がれましたね!

 

「フン!それが貴女の本性ですか。どちらが野蛮な物言いなのだか!」

 

[[うるせぇよォ!絆だなんだと群れねぇーとナニも出来ねぇクソ虫風情がァァァ!オラァ!そこのヘタレ諸とも!まとめてぶち殺してやっからさっさとかかって来やがれェェェ!イリィィィィスゥゥゥゥ!テメェは戻れェェェ!]]

 

<了解しました。それではソノダウミ様、失礼いたします。>

 

外道女の叫びに応えて、私の機体に取り憑いていた電子精霊のイリスは消えてしまいました。

 

どうやらあのイカれた腐れ外道女のもとに戻った様ですね。

 

その証拠に、私の機体の本来のサポートAIが再起動し始めました。

 

さて…これであのイカれた腐れ外道女をぶち殺せば全てが元通りですね。

 

ならば………

 

「上等です!お望み通りにその脳天をコイツ(スナイパーライフル)の一撃でぶち抜いて差し上げます!行きますよ!青空!何時も通りに前衛は青空が!私が後衛で援護を行います!」

 

悔しいですが、あの外道女は少なくてもガンプラバトル初心者の私よりも強いでしょう。

 

私の機体も、私の操縦技術も、認めたくはありませんがあの外道女よりも劣っている…。

 

ですが…一つだけ、私には貴女に負けない要素がありますよ。

 

そう……私は一人ではない…私には仲間がいる。

 

とてもとても心強い仲間が…青空が!

 

結局はまた青空に頼る事になってしまいますが、このままこの外道女を放置する訳にはいきません!

 

散々に場を荒らしてくれたお礼は、確りと!たっぷりと!お返しして差し上げましょう!

 

[[え?え?]]

 

「え?じゃありません!青空!お返事は!」

 

[[は、はいぃぃぃ!]]

 

「違う!何ですか!そのお返事は!何時もの貴方ならば!こう言うでしょう!」

 

そう…貴方はこんな時には私達を鼓舞する様に、威勢良く、前を向いて!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「“応よ!”と!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<<ですね。ではマスター、男の魅せ場ですよ。トラウマを突かれた程度でヘタレて情けなさ過ぎる所を見せてしまったのです。ここは気合いを入れて一発どうぞ。>>

 

[[っ!…あ…はは…そっか…そうだったな……うん…うん!うっし!アイリ!園田さん!んにゃ!“海未さん!”]]

 

ふふ♪“海未さん”ですか。

 

ようやく私の事も名前で呼んでくれるのですね。

 

「はい!では!今度こそ行きますよ!青空!あのイカれた腐れ外道女をぶち殺しに!」

 

[[“おうよ!!!”]]

 

さぁ!腐れ外道女!お仕置きの時間ですよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様、本日もご覧いただきましてありがとうございました。

ようやくソラも正気を取り戻し、いよいよ次回は謎の乱入者との戦闘になります。
ちなみにソラや海未さんの様子があきらかに可笑しかったのにはある理由があります。
その理由も物語が進みにつれて、謎の乱入者の目的と共にあかされていく予定なので、何卒お付き合い下さいませ。
次回は海未さんがちょくちょく無意識で使っていた最近流行りのZONEを本格的に会得いたします。
ガンプライブではあえてZONEではなく、別の名称を使用いたしますが、古いアニメのネタなので分かる方がどれ程いらっしゃるか…。
先読みで分かったニュータイプなお方は是非とも感想欄へご一報下さいませ。

改めまして本日もご覧いただき本当にありがとうございました。
皆様のご意見、ご感想も御待ちしております。
お気軽にお声掛け下さい。
それでは失礼いたします。


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