ガンプライブ! ~School Gunpla Project~   作:Qooオレンジ

113 / 480
皆様。本日もご覧いただきありがとうございます。

アニソンランキング ベスト100
我等のμ'sの名曲“Snow halation”が見事1位の栄冠を手にしましたね!
私の1番大好きな曲なので、本当に嬉しかったです!
皆様はμ'sやAqoursの曲で何が1番お好きでしょうか?

さて、今回は今までチラチラと密かに現れていた、賢くて狂暴な彼女が動き出します。



それでは 第5話「START:DASH!!」そのにじゅうに はじまります。








第5話「START:DASH!!」そのにじゅうに

「ふぇ?なに?ホノカ?え?変わって?そら君のこと、助けてくれるの?うん、わかった………。アリガト、ほのか。ここはホノカに任せて♪さぁーて、生徒会長さん?それと、さっきからソコで隠れてニヤニヤしてる副会長さん?ちょーっと、ホノカとお話ししよっか♪」

 

私が密かに生徒会長を…絢瀬 絵里先輩をバラして剥いで血抜きして、じっくりコトコト煮込んでエリシチにしてやろうかと考えていると、穂乃果が可笑しな独り言を喋り、急に薄ら笑いを浮かべて“穂乃果とお話ししようか”と言い出しました。

 

……またですか…。

 

また、穂乃果の雰囲気が何時もとは違っています…。

 

今日のコレは特に違和感が酷いです…。

 

雰囲気も、表情も、話し方も、全てが穂乃果らしくないのです。

 

そう…らしくないのです。

 

私の目の前に居るのは確かに穂乃果です。何時も明るく、何も考えないで思い付きで行動して私達を振り回す、アホだけど…それでもどうしても憎めない…あの“穂乃果”の筈なのです。

 

何時もの見慣れた穂乃果の笑顔は、見ているこちらまでもが明るくなれる…そう…まるで太陽の様な暖かい笑顔の筈です…。

 

ですが今の穂乃果の笑顔は“薄ら笑い”…暖かい太陽の様な笑顔とは真逆の、どこまでも冷たい…まるで氷の様な微笑み…。

 

何なのですか?!穂乃果は一体どうしてしまったのですか?

 

「うちは別に隠れてニヤニヤはしとらんよ?丁度お手洗いから帰ってきたとこやねん。それよりも……なぁえりち?コレは流石にやり過ぎや。えりちが大好きなうちでもコレはアカン思う。見過ごせんよ?」

 

「希…。」

 

「鳴神くん、えりちが意地悪してホンマごめんなぁ。もうええんよ。頭あげてぇーや。そもそも鳴神くんが意地悪なえりちにそんな土下座なんてする必要はどこにもないんよ?」

 

「駄目だ。悪ぃけど、希さんがそう言ってくれてもコレだけは譲れねぇーんだよ。絵里さんが穂乃果達にもう1度チャンスをくれるまでは絶対に頭は上げねぇ。それがクズな俺なりの、絵里さんに対する最低限の通すべき“スジ”なんだ。」

 

どうしても違和感が拭いきれない穂乃果の放った言葉で、柱の影から出て来た副会長は、生徒会長にやり過ぎだと諭し、青空に“頭を下げる必要は無い”と言ってくれましたが、青空は頑として聞き入れてはくれません…。

 

生徒会長からもう一度チャンスを貰えるまでは梃子でも動かないつもりですね…。

 

青空…。貴方が私達の為にそこまでしてくれるのはとても嬉しいです…嬉しいのですが、やはり私は貴方が私達の為に頭を下げる姿なんて見たくはありません…。

 

どうして貴方は一人で背負おうとするのですか?

 

確かに私達は頼りないかもしれません。それでも…少しだけでも貴方の力になれる筈です…。

 

だからお願いです…。

 

少しは私達を頼って下さい。

 

青空…貴方一人で全てを背負わないで下さい…。

 

「副会長さんの言う通りだよ、そら君。そら君が土下座してまでその人に頼み込む必要はどこにもないんだよ。だってそうでしょ?あの時、生徒会室に居なかったことりちゃんは分からなくても当然だけど、“チャンスは1回だけ”なんて条件は生徒会長さんも副会長さんも誰も出してないんだもん♪ね?そら君も海未ちゃんも、よーく思い出してみて?副会長さんが何て言ったのか。副会長さんはさ、こう言ったよね?“1回手近な公式戦に出て腕試ししたら?”って。“1回手近な公式戦”って事はさ、“とりあえず公式戦に出てみたら?”って事だよね?“1回だけ公式戦にでたら?”って意味じゃ無いよね?みんな“1回”って言葉に囚われすぎだよ。まぁ、それが副会長さんの狙いなんだろうけどね。違うかな?副会長さん。それにさ、海未ちゃんは生徒会長さんに確認もしたよね?“では公式戦で私達の実力を示せば、生徒会の対応も変わると思ってよろしいのですね?”って。それに対して副会長さんは“そうゆーことやね”って言ったよね?海未ちゃんの確認の言葉にも“チャンスは1回”なんて入ってないよ。もちろん副会長さんも“チャンスは1回”なんて言ってない。あの日のお話、ホノカはちゃんと一字一句違わずに覚えてるんだから♪」

 

“チャンスは一回だけ”ではない?

 

思い出せ?副会長が何て言ったのか、ですか?

 

あの時…副会長は確か……………あ!そ、そうですよ!そうです!

 

副会長はあの時、穂乃果の言う通り確かこう言いました!

 

一回手近な公式戦に出て腕試しをしてみては、と。

 

私達が強いと分かれば生徒会長も生徒会公認を許してくれるかもしれない、と。

 

一回手近な公式戦と言ったのは“まずは公式戦に出てみては?”と言う意味で、一回“だけ”とは言ってないのですよ!

 

穂乃果の言う通り、私は確かに確認もしました!

 

“公式戦で私達の実力を示せば、生徒会の対応も変わると思ってよろしいのですね?”と!

 

その返答に生徒会長も副会長も、チャンスは一度だけだなんて一言も言っていません!

 

副会長はこうなるかもしれないと予想してわざとあの様な言い方をしたのですね!

 

副会長…青空も言っていましたが、なんて良い人なんでしょうか…。

 

生徒会長同様に無駄に胸が大きいので絶対に敵だと思っていましたが、副会長は私達の味方なのですね!

 

危うく生徒会長と一緒にコトコト煮込んでエリシチにしてしまう所でしたよ!

 

「っ!希!貴女!こうなるかもしれないって分かっててわざとあんな言い回しをしたのね!」

 

「んふふふ♪なんのことかうちはわかんらんな~♪まぁえぇ~やん♪うちの凡ミスっちゅ~ことで♪ほら♪鳴神くん♪クソ女なえりちに頭下げる必要はどこにもないんよ♪もう頭あげてええんよ♪」

 

「ちょっと!誰がクソ女よ!私は!」

 

「クソ女やね。少なくても、今のえりちは。プライドも何もかもかなぐり捨てて、大事な人達の為に土下座までしての必死なお願いを見下ろして笑ってられる女なんて、クソ女以外の何者でもないんとちゃう?」

 

「希!」

 

「なぁえりち。人の可能性をバカにしたらアカン。人の希望を否定したらアカン。未来は常に変わり続けてるんよ?えりちの“夢”やって…」

 

「イヤ!ヤメテ!“夢”なんて言葉は聞きたくない!貴女まで私に“夢”なんて言わないで!お願いだから…希…私は…。」

 

「えりち……。」

 

「はいはーい。そちらの青春真っ盛りなどうでもイイひっじょーにくだらないお話しは後でゆっくりして下さいね。生徒会長さんの“夢”なんてクソみたいなモノ、ホノカ達にはなーんの関係ないんで。これっぽっちの興味もありませんしねー。」

 

「高坂さん…。」

 

「む!なぁそれはちょい言い過ぎちゃうかな?」

 

「知りませんよ、そんなこと。それについさっきホノカは言いましたよね?ホノカには関係ないって。興味もありませんって。関係ないんですよ、興味もないんですよ。貴女達のユリユリな事情なんて。ね♪そら君、ことりちゃん、海未ちゃん。今日は残念だったけど、ホノカ達“μ's”はまた次の公式戦で勝利目指してがんばろーね♪ね?みんな♪ファイトだよ♪なーんてね♪あはは♪さてさて…そう言う事なので……とりあえずは生徒会長さん……無駄にそら君に土下座させた事………謝れよ。」

 

「穂乃果?!」

 

“夢”…副会長が生徒会長に語るその言葉に過剰に反応した生徒会長を怪訝に思っていると、穂乃果が何時もの穂乃果では有り得ない様な乱暴な言葉の数々を生徒会長と副会長へと放ちました。

 

極めつけは

 

“謝れよ”

 

の一言。

 

冷たい目で生徒会長を見据えて放たれたその言葉は、どこまでも底冷えする様な声色で、私は…いえ、私だけではなく、ことりも、生徒会長も、副会長も…未だに床に這いつくばり土下座をしている青空と、その言葉を放った穂乃果以外の全員が思わず気圧されて一歩後ずさってしまいました…。

 

「謝れよ…ほのかの大好きなそら君に…ホノカの大好きなそら君に…穂乃果達の大好きなそら君に謝れよ!謝れよ!ごめんなさいしろよ!そら君に土下座させたみたいにアンタも床に這いつくばって!そら君にごめんなさいしろよ!謝れよ!」

 

違う…“コレ”は…穂乃果では…でも、確かに目の前で“謝れよ”と吐き捨てた“コレ”は穂乃果なのです。

 

こんなのは絶対に穂乃果では無い筈ですなのに、姿形は見知ったあの穂乃果でしかないのです…。

 

何かが…何かが違う…でもその正体が分からない…。

 

穂乃果…貴女は……“穂乃果”なのですか…?

 

穂乃果……貴女は……“誰”…なのですか……?

 

「ほ、穂乃果ちゃん?!どうしたの急に?!落ち着いて!ね?穂乃果ちゃん?」

 

「落ち着け?ことりちゃんはソレ、本気で言ってるの?この女はそら君を土下座させて!見下して!高笑いしたんだよ!そら君に…ほのかが大好きなそら君に酷い事したんだよ!ことりちゃんだって、この女の事は許せないでしょ!」

 

「それはそうだけど…でも…」

 

「私は許せない。違う…許せないじゃないね…“許さない”かな?貴女の事、ほのかが許しても、ホノカは許せないよ…絶対に…ほのかの大切なモノを傷付けるヤツはホノカが絶対に……ほのか?…でもこの女!……あー、もう!ほのかは甘いよ!甘過ぎだよ!お父さんのアンコよりも甘いよ!優しいのはイイけど、やり返さなきゃ付け上がるだけだよ!関係無いヤツにまでほのかの優しさを分けてあげちゃダメだよ!……え?どうしても…むぅ……はぁ…分かった!分かりました!ほのかがソコまで言うなら…今回は特別だよ?…ホノカだってそら君が大好きなんだから……それじゃ戻るね…。うん…大丈夫……この位でほのかをキライになんてならないよ…だってホノカはほのかが大好きだもん♪…………………わぁぁぁぁぁ!!!生徒会長さん!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさーい!今のなしです!なしでお願いします!忘れてください!って!ぎゃー!!!あたまいったぁーい!!!わーれーるー!!!しぬー!!!」

 

「「「「えっ………?」」」」

 

冷たい言葉で、冷たい瞳で、淡々と許さないと語る穂乃果でしたが、また急に独り言を始めたかと思うと、今度は一転して生徒会長に謝り始めました…。

 

生徒会長に謝る穂乃果は何時もの穂乃果でした…。

 

言動にアホっぽさが戻っています…。

 

と言いますか、頭が痛いって大丈夫なのですか?

 

わーれーるー!って…。

 

普段は全く使わない頭を無駄に使ったから、頭痛がするのでしょうか?

 

「え?あ、あの…こう…さか…さん?その…大丈夫?頭、痛いの?」

 

「あー、なんや…この子、色んな意味で頭大丈夫なんか?おかしなクスリでもキメてたんか?」

 

穂乃果の冷たい言動に凍り付いていた生徒会長と副会長も穂乃果の突然の態度の変化に戸惑っています。

 

生徒会長は純粋に穂乃果が頭が痛いと騒いでいるのを心配してくれている様ですが、副会長はジト目で呆れていますよ…。

 

副会長…色んな意味で頭大丈夫と言っていますが、穂乃果の頭は非常に残念なのですよ。大丈夫ではないのです…既に手遅れなレベルで穂乃果(アホ)なのですよ…。

 

それと、穂乃果(アホ)な穂乃果ですが、流石に怪しいクスリなんてモノは使っていないと思います。

 

……使っていませんよね?

 

先程までの豹変ぶりを見てしまうと、絶対に怪しいクスリを使っていないとは言い切れないです…。

 

「生徒会長さんはやっぱりいい人だよー!でも副会長さんがヒドイ!」

 

「ふぇ?ふぇ?穂乃果…ちゃん…?」

 

あぁ…ことりもフリーズから再起動しましたね。

 

やっぱり戸惑いますよね。

 

先程までの穂乃果は、幼い頃から一緒に居た私達にとっては、とても許容出来ない別の“ナニカ”でしたから…。

 

私だってことり同様に、先程からの穂乃果の態度の急変にはまだ戸惑っています。

 

「貴女は…穂乃果…ですよね?私達の幼馴染みで、アホで向こう見ずな穂乃果…ですよね?あの、その…なんと言いますか…大丈夫…なのですか?」

 

「ふぇ?!えーっと、あのね?そのね?えへへへへ…だ、だいじょーぶ、だよ?ちょーっとあたま痛いけど、穂乃果だからだいじょーぶだよ!もー!それに海未ちゃんヤダなー!ほのかは穂乃果だよ!あ!でもね!穂乃果、“むこーみず”がなんのことか分かんないけど、アホじゃないよ!穂乃果はアホじゃないもん!」

 

あぁ…“向こう見ず”が分からないとか、何時もの穂乃果(アホ)ですね。

 

では本当に先程までの穂乃果は一体なんだったのでしょうか?

 

普段の思考放棄な穂乃果では絶対に気付かない副会長のミスリードに気付いた事と言い、あの人類みな兄弟を地で行く、お人好しが服を着て歩いている様な穂乃果が生徒会長を絶対に許さないと言い放った事と言い…賢くて狂暴…?

 

普段の穂乃果とは…アホで温厚とは真逆でした…。

 

「ですが穂乃果……先程までの貴女は…その…らしくないと言いますか…その…アホではなかった様な…?妙に賢いと言いますか…ちゃんと考えていたと言いますか…何時もよりも狂暴だったと言いますか…。」

 

「うわ!海未ちゃんもヒドイ?!」

 

「うーん?ことりも海未ちゃんと同じ意見かな?さっきまでの穂乃果ちゃん…賢そうだったんだよね~?アホじゃない穂乃果ちゃんなんて……ニセモノ?」

 

ニセモノ……ことりのその一言が妙にしっくりと来ます…。

 

穂乃果のニセモノ…?

 

有り得ない事の筈です…筈ですが……否定が出来ません…。

 

「ニセモノ?!ことりちゃんまで!ホノカは穂乃果だもん!ほのかは穂乃果だもん!穂乃果はアホじゃないもん!穂乃果だもん!!!あ………」

 

「穂乃果!」

「穂乃果ちゃん!」

「高坂さん!」

「危ない!」

 

ことりのニセモノ発言に興奮して急に両手をばたつかせて暴れ出した穂乃果は、途端によろけ倒れてしまいました!

 

「っと!」

 

ですが、今までずっと生徒会長に対して土下座を行っていた青空が立ち上がり、倒れ込んだ穂乃果を間一髪で受け止めてくれました。

 

はぁ…青空、ナイスキャッチですよ。

 

穂乃果…頭が痛いと言っていましたが、まさか倒れてしまうほど体調が悪いのでしょうか…。

 

先程までの変調も体調不良からくる奇行だったのでしょうか…?

 

まるで別人の様でしたが…。

 

「ったく…無理すんなアホ…。医者から貰った薬はあんのか?イヤ、隠してるって事は“ソレ”は他のヤツは知らないのか…?それじゃ医者には行ってないな…。薬はないのか…。仕方ねぇ…ちょっと待ってろよ。アミュセンの医務室から頭痛薬貰ってくる。頭痛薬って確か沈痛成分も入ってっから、飲めば気休め程度にはなるだろ。」

 

「あ、ありがと…あの…そら君…?ねぇ…もしかして…もしかして…さ…。やっぱりそら君は…ホノカに…ほのかに…穂乃果のことに…気づいてる…?」

 

「……何となく…けど、さっきので確信した…。お前は…お前らは…。」

 

「…そっか…はは…そら君にバレちゃったか……ねぇそら君…やっぱり…こんなの…穂乃果は気持ち悪い…よね…。」

 

「どこがだよ?大丈夫…どっちも穂乃果なんだろ?アホで甘えん坊で…寂しがり屋な…穂乃果なんだろ?気持ち悪いわけねぇよ。」

 

「そら君……。」

 

「さっきのはやり過ぎだとは思うけど、お前は…さっきまでのお前は俺なんかの為に怒ってくれたんだろ?」

 

「うん…。ホノカもそら君がだいすきだから…おこっちゃって……ねぇ…そら君…そら君は…穂乃果とこれからも……。」

 

「大丈夫…ずっと一緒だ…。一緒に居るって約束もしたよな?それに…約束なんてそんなモン抜きで、俺自身が穂乃果と…穂乃果達と一緒に居たいって望んでるんだ…。だから、大丈夫。」

 

「…そら君……うん!うん!って!あたまいたぁーい!やっぱりわーれーるー!!!しーぬー!!!」

 

「オイ!ちょっ!待て!穂乃果!グォラァ!暴れんな!ボケ!海未さん!椅子くれ!椅子!とりあえずこのアホ座らせる!ことりさんは水!」

 

「は、はい!」

 

「う、うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅー…おくすりきかない…。あたまいたい…。」

 

「当たり前よ…飲んですぐに効くお薬なんて無いわ。そんなお薬があっても怖いだけよ。大体、飲んですぐに効く薬なんてどれだけ強い薬なのよ。余り強い薬は逆に毒にしかならないわ。ほら、駄々こねてないでリラックスして。そう…大人しくしていなさいね?すぐにお薬効いて良くなるから。」

 

「はーい……えへへ…生徒会長さん…やっぱりいい人ですね!いた…あぅー…。」

 

「こーら!頭が痛い子が急に大きな声を出さないの!もう!」

 

「悪いな、絵里さん。アホの面倒見させちまって。」

 

「はぁ…仕方ないでしょ…。高坂さんがこうなったの…その…たぶん私のせいなんだから…。」

 

穂乃果の謎の奇行が落ち着き、青空が医務室から貰って来てくれた頭痛薬を穂乃果に飲ませて休ませている間に、私とことりはとりあえずバトルコスチュームから着替えて来る事にしました。

 

青空が似合っていると言ってくれた淡いブルーの可愛らしい衣裳ですが、流石に何時までもあの格好のままでは恥ずかしいので…。

 

そう言えば花陽達一年生トリオですが、何やら私達“μ's”が四位なのは可笑しいと!運営委員会に抗議に行ったらしいです。

 

凛辺りが花陽を巻き込んで突撃して真姫が仕方なく着いていったのでしょうね。

 

あの子達には心配を掛けてしまったので、この後の打ち上げで何か好きな物をご馳走してあげましょう。もちろん青空のお財布で♪

 

男の子に奢って貰うのは女の子の特権です♪

 

穂乃果の体調が回復したらみんなでレストコーナーに移動して、さっそく打ち上げと次の公式戦に向けての反省会ですね。

 

そう…“次の公式戦”です!

 

あの後、生徒会長が青空にやり過ぎてごめんなさいと謝ってくれ、さらには私達“μ's”の公式戦への再挑戦も正式に認めてくれました。

 

生徒会公認を貰える条件は前回までと変わらずに“公式戦で結果を示す”です。

 

期限は私達が出場予定の前期ガンプライブ秋葉原地区予選の締め切り一週間前まで。

 

前期ガンプライブ秋葉原地区予選の締め切りは5月の末なので、まだまだ時間に余裕はあります。

 

ですがやる事は沢山ありますよ!

 

ガンプラと操縦技術の強化。

 

仲間集め。

 

青空のトラウマ克服。

 

私個人の目標としては、今回のバトルで体感したあの感覚……“零(ゼロ)の領域”を完全に自分の物にする事ですね。

 

お祖父様から伺ったお話では、“零の領域”は“極限の集中の果てにある”との事でしたが…。

 

今一度、お祖父様に相談してみましょう。

 

私達の課題は大きな所ではこの辺りでしょうか?

 

他にも細々した課題はありますが、みんなで力を合わせて乗り越えてみせますよ!

 

「穂乃果、青空、ただいま戻りました。生徒会長も穂乃果のお世話、ありがとうございました。ことりは衣裳のお手入れがあるのでもう少し掛かるそうです。それで穂乃果…具合はどうですか?少しは楽になりましたか?」

 

「うぅー海未ちゃーん、おかえりー…穂乃果はまだあたまいたいよー…。」

 

「お薬を飲んでからそれなりに時間も経ちました。もう少しで効いてきますよ。穂乃果のその頭痛が治まったら、青空がレストコーナーで好きな物を何でもご馳走してくれるそうですから?ね?青空♪」

 

「また俺の奢りかよ?!はぁ…まぁ別にいいけどさ…。」

 

「そら君ホント!やったー!穂乃果ねー!って!むわぁぁ!あたまー!いーたーいー!」

 

「だーかーらー!大人しくしてなさいって言ったわよね!子供じゃないんだから、少しはじっとしていなさい!」

 

「はーい…。ごめんなさーい…。」

 

「……なんか絵里さん…穂乃果の姉貴みたいだな…。この二人…案外と相性良かったりな。」

 

「……ですね。私もなんだかそう思います…。」

 

「「ダメな妹としっかり者の姉だな(ですね)。」」

 

「もう!ソラも園田さんも変なこと言わないで!こんなやんちゃな子が妹じゃ振り回され過ぎてこっちの身が持たないわ!」

 

「はいはい、っと。んじゃアホの子の面倒は海未さんと絵里さんに任せて、俺も着替えてくるよ。そろそろ更衣室も空いた頃だろーからな。」

 

「はい。いってらっしゃい、青空。穂乃果の事は私と生徒会長…いえ、“絵里お姉さん”で確りと見張っておきます。あぁ、それと。“はい”は一回です。前も注意しましたが直しましょうね?青空?」

 

「へーい。気を付けまーす。んじゃ園田さん、絵里さん、そのアホの事よろしくなー。」

 

「そらくん…穂乃果はアホじゃないよー…。」

 

全く…青空はお返事は一回だけだと何回言って聞かせても直さないのですから。仕方のない人ですね…。

 

そう言えば、青空は以前に“怒られるのは相手が自分の事を想ってくれているからだ”と言って、怒られるのは嬉しいなんて言っていましたね…。

 

まさか怒られる為にわざと私の前では“はいはい”と、お返事を二回しているのではないでしょうね…。

 

……ふふふ。もしもそうだったのならば本当に、そう…本当に仕方のない人ですね…。

 

構って欲しいから言う事を聞かないなんて、子供みたいです。

 

なんだかそう思うと、青空のあの少し不貞腐れた態度が急に可愛く見えてしまいます。

 

不思議ですね。

 

「待ちなさい!ソラ!園田さんも!だから私はこの子のお姉ちゃんじゃないわ!」

 

「わぁーい!生徒会長さんがおねーちゃん♪穂乃果、おねーちゃんほしかったんだー!うっれしーなー!うっれしーなー!おねーちゃん!おねーちゃんだ!えりおねーちゃん!わーい!うにゃ!あたまいたーい!ぎゃーす!」

 

「もう!言ってる側からまた大きな声出して!貴女みたいに無鉄砲な子は妹にはいりません!高坂さん、貴女はさっき倒れそうになったんだから、少しは落ち着きなさい。ね?いい子だから…。あまりみんなに心配を掛けちゃダメよ?」

 

「はーい………生徒会長さん……。あ、あの…さっきはほんとーにすいませんでした…。ホノカが酷いこと言っちゃって……。」

 

「あ……うん…。大丈夫よ、気にしてないわ…。高坂さんが怒ったのも当然だから…。私はソラにとても酷いことをしたから…。気が高ぶって思わずあんなバカなことしちゃったから…。我を忘れてあんな酷いことしてしまって、もう遅いけど本当に後悔してる…ソラや希の言う通り、私は“クソ女”ね…。」

 

「生徒会長さん…。」

 

“クソ女”…ですか。

 

確かにチンピラ属性持ちの青空的に言えば先程までの生徒会長は“クソ女”でしたが、今の萎れた様子を見てしまうと余り強く責める気にはなれませんね…。

 

今だって穂乃果の面倒をちゃんと見ていてくれましたし。

 

きっと根は優しい人なのでしょうね。

 

それにクソ女度で言えば圧倒的な大差でクソ女な腐れ外道女もいますので…。

 

…あの腐れ外道女が人のトラウマを抉り嗜虐に浸り楽しむ様なんて、本当の意味でのクソでしたよ…。

 

いけませんね…いつの間にか私も平気で“クソ”だなんて汚い言葉を使うようになってしまいましたね…。

 

お母様や家族の前では絶対に使わないように気を付けなればいけません。

 

これもそれも全部あの腐れ外道女のせいですよ!

 

あの腐れ外道あはずれ女!私の何処がクソ処女ビッチですか!

 

「生徒会長。恐らくは青空も先程の事は余り気にしてはいない様なので大丈夫だと思いますよ?そもそも青空と私は土下座強要が可愛く見える程の外道に遭遇していますので…。」

 

「ねぇ園田さん…自分で土下座強要とかしておいて言うのも何だけど…さっきの私のアレが可愛く見えるって…その…本当に…?冗談よね?」

 

「そうですね…冗談だったのならばどれだけ良かったモノか…。とにかく私達は先程のバトル終盤でとことん腐り果てた外道の塊の様な女に遭遇しました。」

 

「バトル終盤?え?ちょ!ちょっと待って!園田さん!バトル終盤で遭遇したって、さっきまで貴女達が出撃していたのは他のチームは出撃しない要塞攻略戦のミッションバトルだったのよ?!しかも公式戦よ!バトルロイヤルや普通の対戦形式のバトルならば他のファイターと出くわすのも同然だけど、要塞攻略戦じゃ!」

 

「ええ…青空の電子精霊のアイリの話では、外部からの違法なハッキングによって先程の私達のバトルに乱入して来たそうです。青空と私があの女が乗っ取ったビグ・ラングと戦っている所も、そこの大型モニターで映し出されていましたよね?」

 

「ビグ・ラングが乗っ取られていた?!園田さん!お願いだから本当にちょっと待ってちょうだい!色々と有り得ない話し過ぎて脳が付いていけてないの…。え?ハッキング?ビグ・ラングの乗っ取り?そんな事が起こっていたらマザーシステムが介入してバトル中止になるはずよ?!いえ!マザーシステムが完璧に管理いているガンプラバトルシミュレーターのバトルシステムにハッキングなんて、そもそも無理な話よ!ウィザード級のハッカーでさえマザーシステムの防壁は裸足で逃げ出す位に頑強なのよ?!それにハッキングなんて…。」

 

ハッカーは分かりますが、ウィザード級って何の事でしょうか?

 

ウィザード……英語で魔法使いとかって意味でしたよね?

 

あの腐れ外道女は魔法使いと言うよりも“魔女”ですね。

 

イカれ魔女?キ○ガイ魔女?腐れ外道魔女?

 

どれもイイ感じですね♪

 

今度からはこの呼び方にしましょうか?

 

青空に聞いてみましょう。

 

「そうなのですか?ですが青空はアイリと協力すればマザーシステムが相手でもハッキング出来るとか言っていましたよ?」

 

「それはソラが可笑しいのよ!たった10歳でアセンブルシステムを解析したりとか、あの子は非常識の塊みたいな子なのよ?!アイリって確かソラの契約精霊よね?ソラの契約精霊だって世界で唯一の最上位電子精霊よ!非常識の塊と最上位電子精霊が組めば大抵の事は出来ちゃうわよ!でも普通のハッカー程度じゃマザーシステムを相手にハッキングなんて絶対に無理なのよ!」

 

「はぁ…そうなのですか…。アイリと同じくらいの能力を持っていると言っていた電子精霊とも契約していましたし、あの腐れ外道女は思っていたよりも凄いキ○ガイだったのですね。」

 

「く、腐れ外道女?!」

 

「はい。腐れ外道女です。あぁ正確には“イカれ腐れ外道チンピラあばずれ女”ですね。」

 

「イカれ腐れ外道チンピラあばずれ女………。」

 

「穂乃果はよくわかんないけど、なんかすごいねー!そんなスゴそーな人に勝つなんて、やっぱりそら君はもっとスゴいね!」

 

「いえ。あの腐れ外道女に止めを刺したのは私ですよ。スナイパーライフルの一撃で脳天ぶち抜いてやりました♪」

 

「おぉー!のーてんぶちぬくとか、海未ちゃんもスゴい!」

 

「脳天ぶち抜いてって……園田さんも結構過激ね……あれ?スナイパーライフルで脳天ぶち抜いた…?ソラがあの柄の長いヒートホークで脳天かち割ったじゃなく?」

 

「はい。そうですが…。それがどうかしましたか?」

 

「……園田さん…怒らないで聞いてね?園田さんは今の話で嘘付いていたわけじゃ無いわよね?」

 

「嘘は付いていませんよ?一応は全部真実なのですが…。」

 

「そう……あのね?園田さん。私達が、今日この場に集まった観客がそこの大型モニターで見ていた貴女達とビグ・ラングとの戦闘の結末はね……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様。本日もご覧いただきましてありがとうございました。

皆様は穂乃果ちゃんが抱えていた秘密にお気付きになられましたでしょうか?
彼女の存在がやがて、μ'sの存続を揺るがす事態へと発展いたします。
そこまで行くにはまだまだお時間をいただく事になりますが、何卒お付き合い下さいませ。

次回でいよいよ長かった第5話「START:DASH!!」も終わりになります。
そして前回やり過ぎた絵里さんに希さん、真姫ちゃん、海未ちゃんが制裁と言う名の悪ノリを仕掛けます。
かしこいかわいいえりーちかちゃん。よんちゃい。
の出番です。

次回更新は月曜日のお昼頃を予定しております。
よろしければ是非ご覧下さい。

それでは改めまして、本日もご覧いただきまして、本当にありがとうございました。
皆様のご意見、ご感想もお待ちしております。
どうかお気軽にお声掛け下さい。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。