ガンプライブ! ~School Gunpla Project~   作:Qooオレンジ

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皆様。本日もご覧いただきありがとうございます。

閑話の方が先に完成いたしましたので、こちらから投稿になります。
海未ちゃん特別編も現在鋭意作成中でございます。
少々お待ちくださいませ。

さて、今回はネガティブ絵里さん(ミトメラレナイワ。17歳。)が登場いたします。
早くネガティブな絵里さんでなく、ポンコツな絵里さんを登場させたいです…。

それでは 閑話「マホウツカイハジメマシタ。 ~勇気の魔法~ ④」 はじまります。



















閑話「マホウツカイハジメマシタ。 ~勇気の魔法~ ④」

「がんばれ…そら…。そらなら大丈夫…絶対に大丈夫よ……。アンタは最強なんだから…だから…絶対に大丈夫よ……。」

 

 

 

 

がんばれ、そら。

 

トラウマなんかに負けなるな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねー?にこちゃん?鳴神君に設定変更したの伝えたのー?」

 

せっかくばっちり決めて悦に浸っていたのに、急に椿さんがそんなことを言ってきたわ…。

 

設定変更したの伝えたのー?って…あれ…?

 

そう言えば………

 

「あ゙…あぁぁぁぁぁぁ!!!伝えてないわ!すっかり忘れてた!!!ヤバい!どーしよー!!!」

 

「あーあー。にこちゃん、やっちゃったー。いくら鳴神君でも何にも知らないでいきなりあの設定と装備で出撃じゃ厳しいんじゃないかなー?当たったら1発で落ちちゃうわよー。」

 

ヤバいわ!そらに機体の設定やら武装やらをがっつり変更したことをまったく説明してなかったわ!

 

どーすんのよ!私!

 

今からコクピットに突撃してハッチをこじ開けて説明する?

 

“バールのようなモノ”があればイケるかしら?

 

アレさえあれば私でもコクピットのハッチを無理矢理こじ開けれ……るか!

 

か弱いにこちゃんがコクピットのハッチを“バールのようなモノ”なんかでこじ開けられるワケないでしょ!イケるワケないでしょ!

 

あー!もう!なんで私はいつも肝心なときにヘボいミスすんのよ!

 

って!今はそれどころじゃないわね!どうにかしてそらに設定変更したことを伝えないと…。

 

このままじゃ、せっかくがんばってあちこちガリガリ削りまくって武装領域(ウェポン・ストレージ)に入れたにこちゃん謹製のエールストライカーとシールドとビームライフルが全部ムダになるわ!

 

ナニか…あ!ふふーん♪みぃぃぃぃつけたぁぁ♪

 

私の視線の先にいたのはGPカウンターで頬杖をついて半目になってこっちを見てる椿さん…。

 

その椿さんの耳元にはGPカウンターで働く受付嬢専用のインカムがあるのよね…あのインカム…確かガンプラバトルシミュレーターの各コクピットに直通通信できたはずよね?

 

「ねぇ椿さん…そのインカムって確かガンプラバトルシミュレーターの各コクピットに直通通信ができたわよね?」

 

「んー?コレー?できるわよー。直通通信。それがどーしたの?」

 

私の問いかけに、椿さんは自分の耳元のインカムを人差し指でコンコンってつついて答えてくれたわ。

 

うん…予想通りの答えね!

 

つまりはあのインカムがあればコクピットの中のそらに通信ができるのよ!

 

なら私の今ヤることは1つじゃない?

 

欲しいものは……そう!力ずくでも奪い取るのよ!

 

「そうよね…できたわよね直通通信……ふふふふふ…つーばーきさん♪……そのインカム……よこしなさい!!!」

 

私は椿さんの耳元のインカムを奪うために飛びかかったわ!

 

このインカムがあれば、コクピットに入っちゃったそらに通信できるのよ!

 

なんとしても椿さんからインカムを奪ってやるわ!

 

どーでもいいけどインカムとインコムってなんか似てるわね!

 

「きゃ!ちょっとー!にこちゃーん!やーめーてー!せっかく綺麗にセットした髪が崩れちゃうから乱暴しないでー。いやー!にこちゃんに犯されるー!おトイレに連れ込まれて犯されるー!ペ○バンで犯されるー!」

 

「誰が犯すか!誰が連れ込むか!私はペ○バンなんて持ってないわよ!人聞きの悪いこと言わないでよね!乱暴にされたくなかったらさっさとそのインカムをよこしなさい!」

 

むぅ!椿さん、背が高いから跳び跳ねてもインカムに届かないわ!

 

って!このデカイ胸が邪魔ね!

 

なんで私の周りにはムダに胸がデカイのが多いのよ!

 

あのクソ忌々しい生徒会コンビとか!

 

アイツらが!特に絵里のヤツのせいで!今までは校内にあった私のガンプラバトル部の部室が講堂のステージの下の倉庫に移動になっちゃったじゃない!

 

確かに前の部室で放課後にそらとヤって、バカみたいにおっきな声で喘いじゃった私も悪いけど!部室でヤったのってたったの10回かそこらでしょーが!

 

なーにが!“部室はラブホテルじゃないわ。他の生徒の迷惑になるからガンプラバトル部には今の部室から移動してもらいます。処分はしないって決めた理事長に感謝しなさい。”よ!

 

理事長だって理事長室で“ど”キツいプレイしてるじゃないの!

 

なんで理事長室に折り畳み式の三角木馬があんのよ!

 

なんで床に赤い蝋の痕がポツポツと落ちてんのよ!

 

あきらかにSMプレイしてるでしょうが!

 

あの生徒会コンビはまずはそっちをどうにかしなさいよね!

 

大体!今の部室はいちいち講堂裏まで行かなきゃダメなんだから面倒なのよ!

 

…まぁなんだかんだ言ってるけど、今の部室の方が前の部室よりも広いし、ロフトも地下室もあるしで快適なんだけどね…。

 

そらが金にモノを言わせて勝手に(一応は理事長の許可は取ったらしいわ。)リフォームしちゃったから♪

 

ちょっと広めのバスルームにトイレにキッチン、ロフトにはベッドもあるし!

 

部室の地下室にはそらが手配して発電機も設置したから電気も自家発電できるしね!

 

電気も通ってるから冷蔵庫にエアコンに洗濯機まであるわよ!

 

ウォーターサーバーだってあるんだからね!

 

オマケに完全防音だから、いくらおっきな声で喘いじゃっても今度は大丈夫!

 

ガンプラもいっぱい仕入れたし!おやつも替えの下着も準備してあるんだからね!

 

まさに完璧な部室よね!

 

だぁぁぁぁ!そーじゃないでしょ!私!

 

今は椿さんからインカムを奪い取んなきゃダメなんでしょ!

 

「ダメよー。鳴神君が出撃するのは公式戦なんだからー。コレ使って外から指示だしちゃズルになっちゃうわー。運営委員会の人達にバレたら鳴神君のチームが失格になっちゃうわよー。にこちゃんもそれは嫌でしょー?」

 

「大丈夫!まだ出撃してないかギリギリセーフよ!たぶん!お願い!椿さん!今度ナニかレストコーナーで椿さんの好きなモノおごるから!そらが!」

 

「奢るのはにこちゃんじゃなくてー、鳴神君なのねー。そう言えばまだ春の新作スイーツ食べてなかったなー…ここ(アミューズメントセンター)のスイーツって本格的で美味しいのよねー…美味しい分、素材にもこだわってるから、お値段も高いんだけどねー……うーん、まぁ確かにまだ出撃準備中だから、通信くらいはいっかー。」

 

「やった!買収成功!流石は椿さん!話が分かる!」

 

「私とにこちゃんの仲だもんねー。別に春の新作スイーツをタダ食いできるわー♪なんて考えてないわよー。はい、にこちゃん。通信設定は私がしてあげるから、お耳に装着しちゃってねー。それと、ちゃんと鳴神君が出撃したらそのインカム返してねー?」

 

「恩に着るわ!それじゃさっそくそらに繋いでちょうだい!」

 

「春の新作スイーツセット忘れないでよー。ちょっと待ってねー。……おっけー。鳴神君の4番コクピットに通信繋がったわよー。」

 

「了解よ!あとでそらにおごらせるわ!…そら!聞こえてる?そら!アイリでもいいわ!聞こえてたら返事しなさい!」

 

<<マスター。GPカウンターからの通信が入っています。おや?この声はニコですね。>>

 

[[は?!GPカウンターからの通信?それににこちゃん?なんでさ?!]]

 

繋がった!

 

インカムからそらとアイリの声が聞こえる!

 

「インカムを椿さんから借りたのよ!聞こえてるならまずは黙って機体情報を開いて!」

 

[[にこちゃん?どーしたんだよ?それに機体情報を開け?別にいいけどこっちはもうすぐ出撃なんだぞ?!運営委員会の連中にこの通信がバレたら失格になるだろーが!]]

 

「バレなきゃいいのよ!バレなきゃ!それに無理を通せば道理だって一撃でぶち抜けるのよ!いいから早く機体情報を開いて!アンタの出撃までもう時間がないのよ!」

 

[[無理を通せば道理が一撃でぶち抜けるって…それって無理を通せば道理が引っ込むだろ?一撃でぶち抜いてどーすんだよ!ったく…わかったよ!機体情報だな?えーっと、機体情報、機体情報っと………は?な、な、な、な、なんじゃこりぁぁぁぁぁ!]]

 

<<おやおや…これは中々にデンジャラスな設定ですね。流石はマスターです。以前から度し難い変態だとは思っていましたが、ここに来てとうとう新たな性癖に、マゾヒストに目覚めたのですね。おめでとうございます。これで立派な変態へまた一歩近付きましたね。目指せ変態マスターです。音ノ木坂にさよならばいばい。俺はコイツと旅に出る。とか言いましたね?あとは確か鍛えたエロでヤりまくり。仲間を増やして次の町へ。ですね。旅の行き先は留置所でしょうか?それとも逮捕と裁判をすっ飛ばして刑務所にしましょうか。変態は水で増えると聞き及んだ事がありますので、仲間を増やすために水をかけてみましょう。氷水を。>>

 

音ノ木坂にさよならばいばい。って、どこのポケモンマスターの歌よ…。

 

しかもその歌って1番古いOPの曲よね?

 

たまにアイリがなんでそのネタ知ってんのよ!ってツッコミたくなるときがあるわ…。

 

ちなみに私の手持ちは伝説・準伝抜きだとガブリアス、バンギラス、カイリュー、メタグロス、ガルーラ、ゲンガーよ!

 

圧倒的なパワーで叩き潰してやるんだから!

 

……の、ハズなんだけど、そらに勝てないのよ…。

 

なんで?どーして?600族が4匹もいるのよ!

 

なんでそらのトゲキッスにボロ負けすんのよ!

 

なんで毎回エアスラで怯むのよ!

 

※メタグロスでバレパンして下さい。それでキッスは簡単に落ちます。

 

[[イヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤ!コレは無理!ナニこの紙装甲!しかも射撃武装がないって!うぉ!ピアッシングシールドまでねぇーし!無理!絶対に無理!この設定で出たら死んじゃうから!それとアイリ!俺はマゾじゃねぇー!!!変態マスターなんて目指さねぇー!水をかけても増えねぇーよ!にこちゃん!なんだよ!コレは!なんで勝手に機体の設定弄ったんだよ!はっ!まさか昨日の夜の仕返しか?!そりゃ昨日の夜は自分でも乱暴にヤっちまったなーとは思うけど…え?ナニ?この場面で仕返し?にこちゃんヒデェ!イジメ?イジメなの?イジメカッコワルイ!おまわりさーん!イジメっ子がいまーす!捕まえてエロい尋問して下さーい!!!ってかむしろ俺が捕まえてエロい尋問してヤる!覚えてろよ!毎度お馴染みの荒縄で縛って足腰立たなくなるまで責めまくってやるからな!]]

 

やーん♪荒縄で縛って足腰立たなくなるまで責めまくるとか、そんなプレイ♪にこちゃん今から期待しちゃうじゃないの♪

 

私的には昨日の夜みたいに乱暴に抱かれるのもたまにならアリなのよ♪

 

ハジメテが私の意思を無視した強引で乱暴なえっちだったから、身体が自然とあの時のことを思い出して勝手に感じちゃうのかしら?

 

それに、イジメカッコワルイってアンタも随分と古いネタを知ってるわね。

 

そのネタ知ってる私もどうかと思うけど…。

 

とりあえずは色々と置いといて、今はどうして機体設定を変えたか説明してあげなきゃね!

 

「今から説明してやるからちょっと黙って聞け!バカ!」

 

[[イヤさ、バカ!ってにこちゃん…。はぁ…わかったよ!聞くよ!聞けばいーんだろ!]]

 

「それでいいのよ!次は武装領域(ウェポン・ストレージ)の一覧を開いて!」

 

[[武装領域(ウェポン・ストレージ)?予備の武装は右肩のシールドにマウントしてるだけでストレージの中は空だったハズだけど…ちょっと待ってろ………っ!コレって…エールストライカー?それにストライク用のシールドとビームライフル?なんでザクの!しかもSEED系のザクじゃねぇーUC系のザクの武装領域(ウェポン・ストレージ)にこんなモン入れてんだよ!こんなモン入れられても俺のtypeRじゃ使えねぇーだろ!]]

 

あーもう!察しが悪いわね!

 

エールストライカーが入ってる時点で気付きなさいよ!バカ!

 

「アンタのザクがそのにこちゃん謹製エールストライカー使ってどーすんのよ!」

 

[[んじゃエールストライカーなんて誰が使うんだよ!]]

 

「そんなの!決まってるでしょ!アンタの仲間の素組のストライクが使うのよ!エネルギー切れで動けなくなってるあの額のアンテナが折れてるヤツ!」

 

[[俺の仲間の素組のストライク?穂乃果のストライクの事か?穂乃果のストライクが使うって?…………っ!あぁぁぁぁぁ!!!そーゆー事かよ!]]

 

ようやく気が付いたわね!遅いのよ!バカ!

 

そうよ!そのエールストライカーとシールドとビームライフルはあの素組のストライクのモンよ!

 

「やっと気づいたわね!このバカ!そーゆーことよ!」

 

[[ストライクガンダムは!]]

 

「ストライカーパックを換装すれば!」

 

[[もれなくエネルギーが回復する!]]

「もれなくエネルギーが回復するのよ!」

 

[[さっすがにこちゃん!コイツがあれば穂乃果のアホのリチャージを待たなくてもお手軽にエネルギーが回復できる!]]

 

「どーよ!この私の完璧な作戦は!」

 

[[あんまり完璧じゃねぇーけど正直助かる!]]

 

ナニよ!あんまり完璧じゃないって!

 

完璧でしょーが!無策で突っ込むよりもマシでしょーが!

 

<<ニコも中々に考えましたね。ですが武装領域(ウェポン・ストレージ)にエールストライカーとストライクのシールドとビームライフルを入れるだけなら、本来ならばビーム兵器を使えないザクに積んだせいで、バカみたいに機体容量を喰ってしまっているあのピアッシングシールドと“限界突破(リミットバースト)”を外すだけで十分に賄えましたよ。なにも射撃系のFCSまで外さなくて良かったでしょうに。>>

 

[[はい?アイリサン…いま、なんっていった……?FCSがどうとか…?]]

 

<<射撃系のFCS、ファイア・コントロール・システムまで外さなくても、と言いました。お陰で今回のバトルでは射撃武装を敵機から奪っても使用出来ませんよ。今回のバトルはロングポールヒートアックスのみで頑張って下さいね。>>

 

あー、あの大型シールドと“限界突破(リミットバースト)”外すだけでエールストライカーとかストレージに入ったのね。

 

時間もなかったから大雑把に削っちゃったけど…やっぱり適当に削るのはマズかったかしら?

 

…私、計算って苦手なのよねー。

 

お買い物の時は1円単位で細かく計算できるんだけどね?

 

[[……ゴ、ゴ、ゴ、ゴラァァァァァァァ!!!ヤザワァァァァァァ!!!ナニしてくれてんじゃぁぁぁぁぁ!!!ボケェェェェェェェ!!]]

 

「やーん♪にこちゃん、ちょーっとだけ失敗しちゃったわー♪怒っちゃいやん♪」

 

[[やーん♪じゃねぇぇぇぇぇ!!!怒るわ!ボケが!決めた!今夜は仕返しにトコトン犯しぬいてやる!覚悟しろよ!]]

 

「いやーん♪にこちゃんだいぴんちー♪おっかされるー♪」

 

[[ヌワァァァァニガァァァァ!“おっかされるー♪”だ!お望み通にグチャグチャのヌチャヌチャにしちゃる!前も後ろも!ゴムが切れるまで!ヤってヤってヤりまくってヤる!]]

 

<<ヤるのは何時もの事なので構いませんが、避妊は行って下さいね。それと、間もなく出撃準備が完了いたします。ホノカ達もピンチの様ですし、そろそろ真面目に行きましょう。>>

 

[[あー!クソ!わかったよ!わかりました!にこちゃんはマジで後で覚えてろよ!]]

 

ふふふ♪そら、顔色はまだ青いけど、この調子なら大丈夫そうね。

 

「うん。忘れないわ…覚えてる…だから…そらが頑張ったら…好きなだけヤらせてあげるから…。」

 

[[にこちゃん?]]

 

「だから……早く帰って来なさいよ?」

 

[[おうよ……。]]

 

「よろしい!今夜はご馳走準備して、そらの帰りを待ってるからね!今夜はお肉よ!お肉!しかもいつもの安い鶏肉じゃないわよ!今夜は牛肉よ!にこちゃん特性の醤油ガーリックソースでステーキにしてあげる!」

 

[[ソイツは楽しみだ。ご飯も…]]

 

「もちろん炊きたてよ!」

 

<<マスター。お時間です。>>

 

[[ん、了解。にこちゃん…そんじゃちょっといってくる。]]

 

「ええ。いってらしゃい、そら。」

 

“いってらしゃい”

 

そう告げると、そらとの通信は切れちゃった……。

 

店内の大型モニターを見上げると、そこにはちょうど出撃しようとしているそらのザクが映し出されていたわ。

 

『システム起動、IFSの接続を確認。FCS、は今回はありませんので省略します。機体各部、異常ありません。マスター、出撃準備完了です。どうぞ。』

 

『おうよ!高機動型ザクⅡ!鳴神 青空!逝くぞ!オラァァァァァァ!!!』

 

相変わらずの掛け声とともに、そらのザクは勢いよく発進して行ったわ。

 

「鳴神君、行っちゃったわねー。」

 

「ええ。いっちゃったわね。あのバカ……。」

 

「顔色が真っ青だったけど、大丈夫かなー?バイタルエラー判定になるんじゃないのー?」

 

「大丈夫でしょ。どうせアイリに頼んで偽装バイタルデータを用意してるんだろうし。」

 

「偽装バイタルデータって…相変わらず無茶苦茶よねー。」

 

「ま、そらだしね。」

 

大型モニターに映し出されているライブ映像は、そらのザクが進路上のザコを凪ぎ払いながら非常識なスピードで、真っ直ぐに仲間の所へ向かっていっているわ。

 

あの様子ならトラウマは発動していても、なんとか我慢できるレベルみたいね。

 

私の“ユウキノマホウ”のお陰かしら?

 

バトルにさえ出てしまえば、そらなら大丈夫。

 

強い子だからね。

 

「さて、それじゃ帰りますか…。椿さん、インカムありがとね。春の新作スイーツセットはあとでそらに言っておくわ。」

 

「あれー?にこちゃんは帰っちゃうのー?鳴神君のバトル、最後までみていかないのー?」

 

「あのバカなら出撃しちゃえばよっぽどのアクシデントがない限りは大丈夫よ。AI制御のザコ相手にそらがヤらるなんてないから。私は帰ってくるそらに美味しいごはん作ってあげなきゃ。」

 

とか言っていたけど、この後にそらはあの魔女にちょっかい出されて大ピンチになっちゃっうなんて、この時の私は知らなかったのよね。

 

あんなことになるなら最後まで私も観ていけばよかったわ。

 

「ほーんと、にこちゃんと鳴神君ってらぶらぶだよねー。それだけらぶらぶなのに二人とも付き合ってないのがおねーさんは信じられないわー。」

 

「愛や絆の形にも色々とあんのよ。あのバカは変化を極端に怖がるから、私達は今の関係でいいの。まぁ……私だって女の子だから、いつかはどっかのバカがプロポーズしてくれて、幸せな“お嫁さん”になれたらなー、とは思うけどね。そろそろタイムサービスが始まっちゃうから行くわね。なんと言っても今日の午前のタイムサービスはお肉が安いのよ!卵も!今朝の朝ごはんで卵全部使っちゃったから安い時に買っておかないとね!」

 

「にこちゃん主婦よねー。まぁ気を付けて帰ってねー。」

 

「ありがとね。それじゃ椿さん、またね。」

 

「はーい。またねー、にこちゃーん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、にこっち?も~帰るん?せっかくトラウマ我慢して頑張っとる鳴神君の久し振りの公式戦バトルなんよ?鳴神君とらぶらぶなにこっちは最後まで観ていかへんの?」

 

そらのバトルを横目に椿さんに“またね”と片手をあげて別れを告げ、アミューズメントセンターから帰ろうとしたんだけど、そんな私に声をかけて来たヤツがいたわ。

 

私は声のした方を振り向きその姿を確認したんだけど……私に声をかけて来たのは…。

 

「げっ!希!なんでアンタがアミュセンなんかにいんのよ!」

 

「やっほ~♪にこっち♪」

 

振り向いた先にいたのは、シュシュで長めの髪を顔の両脇辺りでそれぞれ束ねたニヤニヤ笑いの女…。

 

音ノ木坂学院生徒会副会長“東條 希”。

 

私の天敵その1

 

増加胸部装甲(“しぼうのかたまり”)をこれでもかってくらいに搭載した音ノ木坂でもトップクラスのデカイ胸の持ち主にして、いつ聞いても怪しい関西弁をしゃべるナニ考えてるかイマイチよくわからない油断ならない“たぬき女”……。

 

まぁこのデカ乳たぬき女はまだマシな方なんだけどね…問題はこのデカ乳たぬき女といつも一緒にいるあの女よ…。

 

そう……。

 

「希…アンタがいるってことは…もしかして…。」

 

「もちろん、私もいるわよ。」

 

あぁ……やっぱりいた。

 

ロシアと日本人とのクォーターで、街ですれ違えば10人中10人全員が思わず振り向いてその容姿に見惚れてしまう美貌の主。

 

デカ乳たぬき女よりは劣るけど、それでも脅威的な胸囲の(シャレじゃないわよ!)持ち主…。

 

成績優秀、品行方正、容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群。

 

一見すると完璧超人に見えるけど、でも基本的にはポンコツな残念な女。

 

そしてポンコツなのに、いつも偉そうに無意味に私のそらにケンカを売ってくるイヤな女…。

 

そのクセにそらに対して“わたし!本当は貴方の事が大好きなの!”って、よく観察してみるとすぐにわかってしまう本当に変な女…。

 

私の天敵その2。

 

この女の名前は………。

 

「絵里…。」

 

音ノ木坂学院生徒会会長“絢瀬 絵里”。

 

希と絵里の生徒会コンビ…ことあるごとに私(とそら)とガンプラバトル部の存続を賭けて争ってきた物凄く面倒な連中。

 

…帰り際にイヤなヤツらに会ったわね…。

 

「あの子……ソラは…公式戦に出れたのね…。トラウマを我慢して頑張ったのね…。今までずっと足踏みしたいたソラが逃げ出さずにもら1度公式戦にでるなんて…そこまであの子は新しい仲間が大切なんだ……。」

 

ふん…。自分に振り向いて欲しいなら少しは素直になりなさいよね。

 

ま、私も他人のこと言えた義理じゃないんだけどね。

 

少なくても私はコイツよりは素直なはずよ。

 

私から“I Love You”だなんて恥ずかしいからまだ言えないけどね。

 

「そうよ。うちのバカは今、一生懸命にツラいのを我慢してがんばって戦ってんのよ。アンタ達…絶対にそらの邪魔すんじゃないわよ!それと絵里…アンタ、アイツと約束したんでしょ?公式戦で結果を出せば生徒会公認をあげるって。ならアイツとアイツの仲間達がこの公式戦で勝ったら、おとなしく生徒会の公認をくれてやりなさいよね。くれぐれも余計なことすんじゃないわよ。」

 

「そうね…勝てれば……ね。もしもあの子が勝てなかったら、私は絶対に認めないわ。どんなに頑張っても、どんなに一生懸命でも、結果が全て。にこ…それは貴女が1番よく分かっているわよね?」

 

「っ!結果が全てなんて!そんなこと!アンタに言われなくても分かっているわよ!私がこの2年間!どれだけひとりで頑張っても!報われなかったんだから!」

 

報われなかった?違う。それはウソだ。

 

私はちゃんと報われた。

 

あのバカが私の側に居てくれた。

 

私のココロの隙間を埋めてくれた。

 

私を強くしてくれた。

 

そして、もうすぐ私はひとりじゃなくなる。

 

私にもきっと仲間ができる。

 

あの子の背中を押して、手を引っ張って、立ち止まっていたそらを前に進ませてくれた優しい子達。

 

そらの仲間達は、きっとひとりで戦い続けてきた私のことも仲間にしてくれる。

 

そうしたら…私はガンプライブへ、夢の舞台へついに出る事ができる。

 

「それでも!私は夢を!ガンプライブを諦めないわよ!」

 

「“夢”……か…………。ねぇ、にこ…夢なんて諦めた方が幸せなのよ…。夢はね?毒のようなモノなの…。いつか叶う…きっと叶う…絶対に叶う…。願い、抗い、追い続けて…淡い希望にすがり続けて、じわじわと蝕まれて…みんな最後には夢と言う名の毒に身も心もボロボロにされて…不幸になるわ…。」

 

「それで?それのナニがいけないのよ?夢は諦めた方が幸せ?夢は毒のようなモノ?上等よ!私は!誰がなんと言おうとも!私の夢を諦めてやるもんですか!願い続けて!抗い続けて!追い続けてやるわ!毒を喰らわば皿まで!たとえこの身が!この心が!夢って言う名前の毒に蝕まれてボロボロになったとしても!いつかは必ず叶えてみせるわ!毒だろうが不幸だろうが!私と私の“禍津ニコ”でぶち砕いてやるわ!」

 

「ぶち砕いてやる、か。ふふ、にこっちは強いんやね…。それに、にこっちのその言い方、鳴神君にそっくりやん?」

 

「(にこ…貴女は眩しすぎるのよ…ソラのせいにして…亜里沙を言い訳使って、全てを諦めて逃げ出した私には…。)そうね……にこ、私は忠告はしたわよ…。いつか夢に、毒に侵されきって、貴女が後悔しないことを祈ってるわ。」

 

「それはご丁寧にドウモアリガトウゴザイマス。おととい来やがれバカヤロー!」

 

余計なお世話よ!このデカ乳金髪ロシアンキツネ女!

 

いつかアンタのポニテ引っこ抜いて泣かしてやるわ!

 

「相変わらず、えりちとにこっちは平行線やね。」

 

「そうね。私達は平行線ね。」

 

「それだけは絵里に同感だわ。私達はどこまでも平行線よ。」

 

「「私達は絶対に交わらない。私達はどこまで行っても平行線だから。」」

 

「はぁ~…そんなこと言いながらえりちもにこっちも息ピッタリやない…。おとなしく仲ようすればええのに。(けどな?えりち、にこっち。うちの占いやと、二人の“平行線”は急カーブで、そう遠くない未来に交わるんよ。“夢”っていう交差点で。えりちの諦めた“夢”とにこっちの追い続ける“夢”…。二人の“夢”が交わる時に…その時は…うちも……。)」

 

「ま、どうでもいいわ。アンタ達はせいぜいそらの邪魔しないようにおとなしくしてなさいよね!」

 

「ならにこが残って私達を監視していればいいんじゃないの?」

 

「(えりち……素直に“一緒にソラが頑張って戦う所を観ていきましょ。”って言えばええんやんか…。ホンマにえりちはぶきっちょさんやなぁ~。)そやね~。にこっちもうちらと一緒に鳴神君の公式戦観ていかへん?」

 

「悪いけど遠慮しておくわ。これから買い物に行って、ツラいのを我慢して頑張って戦って帰ってくるあのバカに美味しいごはん作ってあげなきゃダメだから。」

 

今晩のごはん、とりあえずはソラに約束したからステーキは確定ね。

 

付け合わせにはポテトサラダかしら?ソラも好きだし。

 

でもポテトサラダだけじゃお野菜が足りないわね。

 

レタスとトマトのお手軽サラダも作ろっと♪

 

あとは……。

 

「にこっちと鳴神君、ホンマにらぶらぶやね~。羨ましいわぁ~♪」

 

「………まぁ貴女達の夫婦生活「夫婦じゃないわよ!私達は付き合ってるワケじゃないの!勘違いすんな!バカ!」はぁ……貴女達のその変な関係は今に始まったことじゃないから、とやかくは言わないけど…セ○クスするなら避妊はしなさいよね。子供を作るならせめて高校卒業してからにしなさい…。(……私も素直になれば…ソラは少しは私のことも見てくれるのかしら…。無理よね…私はソラに毎回酷いことを言ってるから…。今さら“好きよ。”なんて言っても…。)」

 

「わかってるわよ。私だって高校くらいは卒業したいからね。ちゃんと毎回ゴムは使ってるから安心しなさい。それじゃ私は行くわよ。一応はもう1回言っておくけど、くれぐれも余計なことしないように!黙ってソラ達に生徒会公認くれてやりなさい!」

 

「(にこっちがおとなしく“μ's”をガンプラバトル部に迎い入れてあげれば全部が丸くおさまるんやけどね~。にこっちのガンプラバトル部は生徒会公認持っとるし。)まぁ成るようにしかならんよ。」

 

「フン!いいから余計なことはすんじゃないわよ。じゃあね!」

 

さぁ!今度こそお買い物して帰るわよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様。本日もご覧いただきましてありがとうございました。

にこちゃんの閑話は次回⑤で終わる予定でございます。
その後はA-RISEの閑話を挟み、花陽ちゃんを語り部に迎えて本編6話「米と猫とツンデレと」をお送りする予定でございます。
また、海未ちゃん生誕祭特別編は完成次第、順次更新して参ります。



次回更新は月曜日のお昼頃を予定しております。
よろしければ是非ご覧下さい。

それでは改めまして、本日もご覧いただきまして、本当にありがとうございました。
皆様のご意見、ご感想もお待ちしております。
どうかお気軽にお声掛け下さい。

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