ガンプライブ! ~School Gunpla Project~   作:Qooオレンジ

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皆様。本日もご覧いただきありがとうございます。

日中の気温15度から夜の気温マイナス5度で温度差20度は色々と厳しいチカァァァァァ!なQooオレンジでございます。


今回は第7話にこちゃんsideの2回目となります。
今明かされるガンプラバトル部の部室が移動することになった秘密とは…。


それでは 第7話A「無冠の女王」そのに 始まります。


























第7話A「無冠の女王」そのに

憂鬱な月曜日の午前中を乗りきってのお昼休みのお弁当タイム。

 

希のデカ乳に玉子焼きを盗られたり絵里のヤツに空気読まない質問されたりしながらわいわいとお弁当を食べてたんだけど、なんか急に希のヤツがおかしなことを言い出してから事態は急転したわ。

 

感情の無い冷たい声で呟かれたのはまるで予言のような言葉。

 

“羽ばたきを恐れる小さき翼を導く時、“無冠の女王”の孤独は終わり、遥かなるユメノトビラは開かれる…。されどトビラの向こうは悪意に満ち、愛するモノは……。”

 

ユメノトビラの向こう側は悪意に満ちてる?

 

愛するモノは…?その先はなんなのよ!

 

私の愛するモノ…それは……意地悪で優しくて、強くて弱い…バカな子…。

 

でも、あのバカはそこら辺の連中が簡単にどうこう出きるほどヤワじゃないわ。

 

だってアイツはスゴいのよ?

 

私なんかとは違ってホントにスゴいヤツなのよ…。

 

だから…大丈夫。

 

きっと大丈夫。

 

大丈夫って思いたい…。

 

不吉な予言のような言葉を呟き終えた希はいつも通りの怪しい関西弁やろーに戻ったんだけど、次はなんか金髪ロシアンキツネが“チカァァァァァ”って謎の奇声をあげておかしくなっちゃうし。

 

妙に舌ったらずな話し方で“えりーちか!おうちかえう!”とかなんとか言い出してもう大変だったわ。

 

なんて言えばいいのかな?

 

そうね…なんだかあれって小さい子供がぐすってるときみたいな…そんな感じかしら?

 

うちの子たち…ここあとこころと虎太朗はほとんどぐずることなんてないけど、幼稚園にお迎えに行くとよく他のおうちの子たちが帰りたくない!とかってあんな感じでぐずってるのよね。

 

そんなぐずり出した絵里はどこからか梅干しの入ったビンを取り出した希に引きずられて生徒会室に連れていかれたわ。

 

“ちょいこのポンコツさんを修理しに行ってくるやん♪”とかなんとか言ってたけど…いや、修理ってロボかなんかなの?

 

新番組♪ポンコツロシアンロボ♪えりーちか!とか?

 

自分で言っといてなんだけど、それってどんな新番組よ。

 

ロシアで開発されたポンコツロボなえりーちかが色々とがんばる?みたいな?

 

問題は教育テ○ビ…今はE○レね…の子供向け番組“おか○さんと○っしよ”っぽい番組にするか、ニチ○サ系の番組にするかね。

 

個人的にはニ○アサ系でプ○キュアっぽい番組にしたいかな?

 

ロシア産ポンコツロボのえりーちかと大銀河宇宙No.1スクールファイターのにこにー♪が世界の平和を守る…そんな感じの番組ね。

 

…………なんで私はポンコツロボえりーちかを放送しようとしてんのよ!

 

そうじゃなくて!今はおかしくなった絵里よ!絵里!

 

えーっと、どのまで話したっけ?

 

確か希が梅干しのビンを片手に絵里を引きずって行ったところまでだっだよね?

 

それでね?希に引きずられて連れて行かれた絵里はお昼休みが終わるころに帰ってきたのよ。

 

すっかり元(?)に戻ってね。

 

絵里に大丈夫なの?って聞いても“なんのこと?”って逆に言われてナニがあったのか結局は聞けなかったわ。

 

ナニがあったのか気になるって言ったら気になるけど、ぶっちゃけもうめんどいからどうでもいいわ。

 

希に聞けばナニかわかるかもしれないけど、どうせあのタヌキははぐらかすだけで教えてくれないだろうしね。

 

そんなこんなで午後の授業に突入したんだけど……。

 

「地理…アンタもダメだわ…。」

 

午後の授業も散々だったわ…。

 

大体ね!今のご時世に地図なんて見ないわよ!

 

地図の見方がわかんなくてもナビがあれば十分でしょ!

 

そらが雛型を作ったヤジマ・コーポレーションのサポートAIがあれば、方向音痴でもしっかり目的地までナビゲーションしてくれるわよ!

 

だから地図の見方がわかんなくてもいいのよ!!!

 

それに地質?地層?

 

そんなもん将来は素敵な奥さん(希望)の私には関係ないっての!

 

石の種類なんて知るかってのよ!

 

宝石なら興味はあるけどあんな高いモン女子高生のおこづかいじゃ買えないってのよ!

 

えっ?女子高生なら援○交際でお手軽におこづかいを稼げる?

 

はぁ?!ナニ言ってんのよ!ふざけんじゃないわよ!このバカ野郎!

 

おこづかいもうちょっと欲しいなぁ♪って思うけど、援○交際なんて絶対にないわ!

 

そもそも私を抱いていいのはこの世でただ1人だけなのよ!

 

あのバカ以外のヤツになんかどれだけ高い金積まれても絶対に抱かれてヤるもんですか!

 

あー!もう!なんかイライラするわね!

 

それもこれもぜーんぶ!ワケわかんない授業のせいよ!

 

ホントなんで学費なんてそれなりに高いお金払ってまでこんなムダの塊みたいな授業しなきゃダメなのよ!

 

おい!ゴルゥラァァァ!!!日本の学歴社会作ったヤツ!出て来いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

東○がそんなに偉いんかぁ?!ハグしよ?とか言われてぐふぐふしとる○○○でも東○入れば偉いんかぁ?!

 

低学歴でもこっちはこっちで必死に生きてるんだよ!

 

ゴタゴタ言うヤツはケ○の穴から手を突っ込んで!奥歯ガタガタいわせてヤるわよ!!!!!

 

えっ?!にこにーにフ○ストプレイしてもらえるならそれはそれでごほうび?!

 

…………こんのぉぉぉぉぉ!!!ド変態どもがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!

 

いくらにこにーが美少女だからってケ○の穴に手なんか突っ込まれたいとかぐふぐふしてんじゃないわよ!

 

アンタたちみたいなド変態相手にフ○ストプレイなんてぜぇぇぇぇぇたいに!ヤらないかね!

 

ぬがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!余計にイライラしてきたわ!!!

 

「お疲れ様、にこ。大丈夫?頭から湯気が出てるけど?」

 

「にこっち、頭使いすぎて知恵熱でオーバーヒートしとるみたいやね。」

 

「うっさい!デカ乳タヌキ!ほっといてよ!!!」

 

「そんなん言わんでもえぇ~やん♪せっかくオーバーヒートしとるにこっちに生徒会室の冷蔵庫でキンキンに冷やしとる冷たいジュースでもご馳走しようかな?とか思っとたのに~♪いや~♪残念!」

 

「フン!キンキンに冷えた冷たいジュースくらいうちの…ガンプラバトル部の部室にだってあるわよ!!!ジュースだけじゃないわよ!うちの部室にはそらお手製のスイーツも常備されてるんだから!冷凍庫の中にはアイスだってあるわよ!どうよ!羨ましいでしょ!泣いて悔しがりなさいってのよ!!!」

 

うちの部室って講堂の下の倉庫だったトコを改装して使ってるんだけど、ムダに色々と設備が充実してるのよね。

 

完全防音で冷暖房完備。

 

冷蔵庫に最新式のシステムキッチン、オーブンなんかもあるわよ?

 

他にも仮眠用(主にエロいことで使用)のベッドなんて上の部屋と地下の二ヶ所にあるし。

 

もちろんガンプラを作る工作室もあるわよ?

 

あとは…簡易ガンプラバトルシミュレーターなんかもあるわよ?

 

そらのヤツは確か地下室には緊急用の発電機もあるとか言ってたわね?

 

こうして改めて考えてみると、うちの部室ってたぶん下手なマンションよりもいい暮らしできるんじゃないかしら?

 

実際に私のうちよりも色々と充実してるしね。

 

なんでそんなにガンプラバトル部の部室がムダに色々と設備が充実してるのかって?

 

あー。話せば長くなるんだけど…去年の夏休み前くらいだったかな?校舎の中にあった以前のガンプラバトル部の部室でそらとその…あの…まぁヤっちゃってたわけよ。

 

エロいこと。

 

そのときに私ったら学校ってことすっかり忘れていつもラブホでヤる時みたいにかなりおっきな声で喘いじゃって…。

 

防音処理なんてしてない部屋でいつものノリで喘いじゃったもんだから部屋の外に私のあはーんな声が丸聞こえしちゃってね。

 

らめぇぇぇぇ♪にこのあかちゃんのおへやのドア♪そんなに乱暴にコンコンしないでぇぇぇ♪的な?

 

イスに座ったあのバカの上に向かい合うように私が乗って…いわゆる“対面座位”ってヤツね。

 

それでまぁキスしながらヤっちゃってたら私もテンション(?)上がっちゃって、ノリノリでエッチな動画のお姉さんたちみたいにあのバカが喜びそうなこと喘ぎながら言ってたのよ。

 

それが部室の外をたまたま通りかかった子に聴かれちゃって…。

 

まぁ幸い?その時に私のテンションあげあげ♪状態のあはーんな声を聴いた子が、その声をエロいことしてるときの声だって理解できなかったみたいで、生徒会に“ガンプラバトル部の部室でなんか騒いでる”ってクレーム入れただけだったんだけどね。

 

それだけなら生徒会から“あまり部室で騒ぐと他の生徒の迷惑になるから止めて下さい”って注意を受けるだけで終わりなんだけど…そうはイカのキ○タマだったのよ。

 

生徒会長…つまり絵里のヤツに呼び出された私とそらはその時に色々と言い合いになっちゃってね。

 

“大方あなたたちは部室で高校生にあるまじき不埒な行為でもしていたんじゃないかしら?嫌ね。野良犬や野良猫のようにところ構わず発情して交尾するなんて。”

 

“んだぁ?てめぇ!ケンカ売ってんのかゴルゥラァァァァ!!!なんならてめぇもところ構わず発情して交尾しまくる雌犬に調教してやんぞ?ア"ァ"?”

 

“えっ?!雌犬に調教?!はい!よろこん…“えりち?”…はっ?!わ、私は今ナニを言おうとしていたの?!”

 

“ねぇ?用が終わったらんなら帰ってもいい?今日は夕方から玉子の特売があるから早く帰りたいんだけど?”

 

“おっ?玉子の特売ってどこでやっとるん?うちも冷蔵庫の中の玉子がなくなっとたからそろそろ買わんとなぁ、って思っとったんや♪”

 

“そう言えば悠莉のヤツがオムレツ喰いてぇとか言ってたな…特売なら今夜はオムレツにするか?”

 

“待ちなさい!三人とも!なんで私が雌犬奴隷に調教されちゃう話からいきなり玉子の特売の話になってるのよ!今は玉子の特売の話じゃなくてこれからの私の調教スケジュールについての話し合いでしょ!主旨を履き替えないでちょうだい!”

 

“なぁえりち?色々とただ漏れになっとるけどえぇんの?”

 

“調教スケジュールって…絵里…アンタそれ冗談でもドン引きだわ。”

 

“チカァ?!”

 

“えっ?もしかして絵里さん?マジでヤっていいの?”

 

“こら!そーらー!”

 

“はいはい。冗談ですよ、冗談。”

 

“はいは1回!何回言えば治すのよ!このバカ!”

 

“へーい。バカでどうもすいませんでしたー。”

 

“くっ!こうなったら…もうどうにでもなれよ!だだ漏れでもいいのぉ!えりーちかを貴方の荒縄でキツく縛ってぇぇぇぇぇ!!!”

 

“荒縄なんて持ってねぇっての。ってかなーんか意外だな。絵里さんでもそんな冗談言うんだ。”

 

“(えりちのこれってあながち冗談とちゃうんやけどなぁ。)”

 

“ねぇ?ホントもう帰っていい?”

 

“チッカァァァァァァァァァァァァァァァァァ♪♪♪”

 

って感じでね。

 

………なんか今とあんまり変わんないわね。

 

絵里がそらに突っかかって、そらが言い返して、希がとりなして…。

 

気づけばそんなやり取りが私たちの“いつも通り”になってたのよね。

 

ごめん。話が逸れたわね。

 

それでこの時にそらのバカが絵里と色々と言い合ってる最中に部室が今の講堂の下の倉庫に移動することになっちゃったのよ。

 

その時にそらが絵里を言葉巧みに言いくるめて“講堂下の新しい部室はガンプラバトル部の好きにしていい”って言質を取り付けたの。

 

あのバカは絵里の“好きにしていい”って言葉通り、新しい部室をノリノリであちこち改装しまくったのよ。

 

リフォームの業者さんを呼んで完全防音にして、水道もひいてお風呂とかキッチンとか水回りを整えて、電気を通して家電とか家具とかを買いそろえて運んでもらって…。

 

夏休みが終わる頃には私のガンプラバトル部の新しい部室として割り当てられた講堂下のみすぼらしい倉庫は、見違えるようにキレイな部屋に生まれ変わっていたわ。

 

リフォーム代金?

 

………にこ♪リフォーム代金なんてしらなーい♪

 

そらが勝手にリフォームしたんだもん♪

 

にこにーにはリフォーム代金なんて関係ないんだもん♪

 

………………ちょっと!黙ってないでなんか言いなさいよ!

 

せっかくにこにーが突っ込みのチャンスをあげてあげたんだから!ちゃんと突っ込んでよね!

 

まったく…。

 

で?リフォーム代金?

 

それならあのバカが一括で払ったわよ。

 

ほら?あのバカってサポートAIシステムのマージンでお金は腐るほどあるから。

 

しかも今はアイリが株かなんかで地味に増やしてるらしいし。

 

部室の魔改造リフォーム代金くらい屁でもないわ。

 

それに経済を循環させるためには金持ってるヤツは適度に使わなきゃダメなのよ!

 

「う~ん。別に泣いて悔しがりはせ~へんけど、鳴神君のお手製スイーツは正直ちょいうらやましぃなぁ…。」

 

「そうね。あの子…中身はチンピラに毛が生えた程度のクズ男のクセにお料理とかお菓子作りとか上手だから…。ほんと不思議よね?あのソラが作ってるはずなのに美味しいのよ?」

 

「ほんま不思議やなぁ…。(昔は砂糖水が贅沢とか言いながら飲んどったり、ザリガニとか捕まえてきて食うとったのになぁ。いつの間にお菓子とかオシャレなモン作れるようになったんやろ?) 」

 

「ふふん♪だ!そらのお菓子食べたかったらガンプラバトル部に入りなさい!そうすればアンタたちにも特別にわけてあげるわ!にこにーは優しいからね!」

 

「…ガンプラバトル部…ね。そうね…。とても魅力的なお誘いだわ。でも…私は…。」

 

絵里のヤツは私が言った“ガンプラバトル部に入れば”の一言を聞くと、どこか羨ましそうな、そしてどこか後悔しているような表情で何かを言い淀んでいたわ。

 

コイツはいつもそう。

 

ガンプラバトルが大好きなハズなのに、ガンプラバトルの話題になるとナニかを後悔しているような顔になるのよ。

 

ねぇ絵里?

 

アンタは一体ナニを後悔しているの?

 

どうしていつもそんな辛そうな顔をするの?

 

「絵里…アンタは…」

 

辛そうな顔の絵里に私が迷いながらも声をかけようとしたんだけど…

 

「……ごめんなさい。放課後は生徒会の用事があるからそろそろ私は行くわ。またね、にこ。」

 

絵里はそんな私の言葉からまるで逃げるように手を降って教室から出ていってしまったわ。

 

「絵里!」

 

「にこっち!ちょい待ってや!」

 

私は手を降って教室から出ていった絵里を追いかけようとしたんだけど、希のヤツに止められちゃったのよ。

 

このデカ乳タヌキは何で止めるのよ!

 

「何のつもりよ!希!」

 

「あんな?えりちにはえりちの事情があるんよ。お願いやからもうちょいだけ待ってあげて。」

 

「絵里の事情…?」

 

「うん。でも大丈夫。そう遠くない未来…えりちも…その時にはうちも……。」

 

そう遠くない未来…か。

 

ねぇ?

 

そう遠くない未来にはナニが待ってるの?

 

ねぇ?

 

いつか絵里の抱えてる事情ってヤツを教えてもらえるの?

 

ねぇ?

 

未来の私たちはどうなるの?

 

ねぇ?

 

私たちは…………やめよ。

 

今聞いても希は絶対に答えてくれないわ。

 

未来なんてなるようにしかならないわ。

 

今までがそうだったように。

 

これからもきっとそう。

 

「…はぁ…。わかったわよ。何も聞かないわ。これでいいんでしょ?」

 

「うん…ありがと♪にこっち♪」

 

「別に…いいわよ。悪いけど私も今日は大事な用があるからもう行くわ。じゃあね、希。」

 

そう。

 

今日は大事な用があるのよ。

 

とっても大事な用が…。

 

「ほ~い♪また明日♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

希にじゃあねって告げて教室を出た私は、その足で昇降口へと向かって一度外へと出てから講堂下の我がガンプラバトル部の部室に向かったわ。

 

講堂には校舎から直接行けるんだけど、ガンプラバトル部の部室の入り口は講堂の裏にあるから一回外に出てから向かわなきゃダメなの。

 

いちいち外に出てからじゃないと部室に行けないからちょっとめんどうなのよね。

 

でも今のガンプラバトル部の部室はそらの手配してくれたリフォームのおかげで、以前まで使っていた部室とは比べられないくらいに広くてきれいで使いやすくなったから、外に出てから行くのがめんどうとかそんな贅沢なことは言ってらんないわ。

 

部室に到着した私はドアの脇に取り付けられているコンソールに親指を押し当てて、指紋認証でドアのロックを解除して部室の中へと入ったわ。

 

部室の入り口の近くにある灯りのスイッチをONにして部屋に明かりを灯した私は、中央に備え付けられているソファーにカバンを放り投げるとポケットからスマホを取り出して通話履歴からあのバカの…そらの番号を選んで電話をかけたの。

 

耳元にスマホをあててあのバカが電話に出るのを待つこと数秒。

 

「あっ♪もしもし?そら?」

 

[おうよ。どうした?にこちゃん?]

 

私のもしもし♪にあのバカはいつもと変わらない声色で“おうよ”って返してくれたわ。

 

「うん。あのね?そらにちょっとお願いがあるんだけど…。」

 

さて。

 

それじゃそらには悪いけど、少し私の茶番に付き合ってもらうわよ。

 

今日の私の目的…それは“μ's”を試すこと。

 

アイリから渡されたデータで“μ's”メンバーのおおよその現状は把握したけど、実際にこの眼で確かめてみなきゃなんとも言えないからね。

 

ガンプライブを勝ち抜いてA-RISEを倒すためには何が足りないのか。

 

何が必要なのか。

 

上から目線で申し訳ないけど、今日は本気で仕掛けてそれを確かめさせてもらうわよ?

 

そのためにもまずはそらを“μ's”から引き離さなきゃね。

 

そらがあの子たちと一緒にいたら試すどころじゃなくなっちゃうからね。

 

私が本気で仕掛けたら、そらならあの子たちを全力で守ろうとするから…。

 

そらと同時に厄介そうな子がチラホラといる“μ's”を相手にするのは分(ぶ)が悪いわ。

 

アイリから渡されたデータを見る限りは、“μ's”は決して油断できる相手じゃないのよね。

 

そんな厄介そうな子たちをそらと同時に私1人で相手にするなんて冗談じゃないわよ。

 

そもそも今の間に合わせで使ってるそらの高機動型ザクⅡだけが相手でも、私じゃそらには届かないからね。

 

いつもみたいに軽くあしらわれて終わりでしょうね。

 

でもいつかは必ずそらに届いてみせるわ。

 

私と私の“禍にこ”でね。

 

それでどうやってそらを“μ's”から引き離すかなんだけど、この時間に私からの電話で“お願いがある”って言えば、そらはたぶん私の妹たちのお迎えのお願いだって思うハズよ。

 

[お願い?この時間ならチビッ子共のお迎えか?]

 

ほらね?言った通りでしょ?

 

あとは適当な言い訳をすればそらは私の妹たちのお迎えに行ってくれるハズだよ。

 

でも言い訳…どうしよっかな?

 

放課後に買い物行くとかでいいかな?

 

問題はナニを買いに行くかね。

 

お米が安いから買いに行くとか言ったらそらは荷物持ちについてくるって言うだろうし…お米と一緒であんまり重いモノはダメよね…ナニか軽いモノで…うーん……あっ!そうよ!確か今日はお野菜のタイムサービスのある日よ!

 

まだ冷蔵庫にお野菜はあるから今日はムリに買わなくてもいいけど、言い訳にはちょうどいいわ。

 

うん!放課後にタイムサービスのお野菜を買い物に行くからお迎えはお願いって言い訳にしちゃえば完璧よ!

 

流石は私!

 

「正解♪ダメかな?今日は夕方からお野菜のタイムサービスがあるのよ。ほら?最近はお野菜高いでしょ?こころたちの栄養のバランスも考えると、高くてもお野菜は欠かせないのよね。だから…」

 

[大丈夫。にこちゃんがナニを言いたいのか言わなくてもわかってるから。チビッ子共のお迎えは俺に任せとけって。]

 

うっしゃぁぁぁぁ!うまくいったわよ!

 

これでそらを“μ's”から引き離せたわ!

 

あとは夕方のバトロイに出撃してくるだろうそら以外の“μ's”に接触して色々と試させてもらうだけよ!

 

バトルロイヤルの無駄に広いフィールドのどこに“μ's”が居るのかはアイリに頼んでおけば一発で教えてくれるしね!

 

「ありがと♪あとでいっぱいキスしてあげるわね♪」

 

そらにはちょっと嘘ついちゃったからあとでいっぱいキスしてごめんなさいしなきゃね。

 

嘘はよくないけど、このくらいの嘘なら可愛いモノでしょ?

 

[キスだけ?その先は?]

 

私が“あとでいっぱいキスしてあげる♪”って言ったら、そらは“その先は?”だって♪

 

もぅ♪その先だなんて恥ずかしいじゃない♪

 

そらったら昨日もシタのに今日もシタいの?

 

ほんとしょうがない子ね♪

 

「その先は…そらがいい子にしてたら、ね?」

 

いいわよ?いい子にはごほうびあげなきゃだもん♪

 

そらがいい子にしていてら今夜もにこがいっぱいごほうびあげちゃうわ♪

 

[へいへい。そんじゃ精々いい子にしてますかね。]

 

って!いい子にしてたらって言ったそばから悪い子じゃない!

 

いつもいつも“はい”は1回って言ってるのに!

 

この子ったら全然このクセ直さないし!

 

もう!何回言えば直してくれるのよ!

 

「こーら!また“はいはい”って2回言ってる!“はい”は!」

 

[1回。だろ?]

 

「わかってるならちゃんとしなさいよね!」

 

[へーい。どーもすいませんでしたー。]

 

「もう…ほんとアンタは…。」

 

“はいはい”って“はい”を2回言うクセを全然直してくれないのは私に甘えちゃってるからなんでしょうけどね。

 

この子は愛情に飢えちゃってるから…。

 

悪いことをしたらちゃんと叱ってもらえるのがうれしいのよね?

 

ほんと、甘えん坊さんなんだから。

 

でもそんな甘えん坊さんなそらがたまらなく愛しいのよね。

 

これっていわゆる手がかかる子ほど可愛いってヤツなのかしら?

 

「まぁいいわ。あといつも通り家に着いたら…」

 

[留守番はこころに任せておけばいいんだろ?]

 

そらが学校からタービン幼稚園にこころたちをお迎えに行ってうちに連れて帰ってくれてからアミュセンに向かえば、時間的にちょうど私と“μ's”の戦闘が終盤の頃合いでしょうからね。

 

私の予想通りだったら南 ことりにはちょっと発破をかけなきゃいけないだろうから、そらにはそのアフターケアをしてもらわなきゃ。

 

結構ひどいこと言わなきゃダメだろうからね。

 

それで私があの子たちに…“μ's”の子たちに嫌われても構わないわ。

 

たぶん南 ことりには今このタイミングで発破をかけなきゃ手遅れになっちゃうかもしれないから…。

 

それで嫌われちゃったら…私は“μ's”には入れないわね。

 

そして“μ's”に入れないってことは、私はもうガンプライブへは出れないってことね。

 

そうなったら影からそらを…そしてそらを受け入れてくれたやさしい子たちを支えよう。

 

そらやそらの仲間たちがガンプライブを勝ち抜けるように、できるだけのことはしてあげなきゃ。

 

大丈夫。

 

私はひとりぼっちには慣れてるわ。

 

だから嫌われても大丈夫。

 

「うん。そらも放課後は例の子たちとアミュセンでガンプラバトルの練習しなきゃダメでしょ?お留守番はこころに任せれば大丈夫だから、お迎えが終わったら練習に行ってあげて。そう言えば確か新しく1年生が3人加入したんだっけ?どんな子たちなの?」

 

……今から嫌われたときのことを考えるのは止めよ…。

 

それに大丈夫。

 

私の大好きなそらを受け入れてくれたやさしい子たちなんだもん。

 

きっとひどいことを言っても私のことを受け入れてくれるわ…。

 

大丈夫。

 

私の夢の道はそらと、そして“μ's”ときっと重なるハズよ。

 

だからきっと大丈夫。

 

[あー…そうだな…。1年生トリオは…天才肌の初心者とネタに走るラーメン狂いのアホネコと米狂いの飛びっきりのビルダーの3人組…かな?これで今の“μ's”は俺を含めて全員で7人…そのうち3人敵機穂乃果と海未さんと真姫はガンプラバトルを初めてまだ一週間くらいだから、とにかく今は実戦経験を積ませておきたいんだよな。細かい操縦技術やらなんやらはあとで何とでもなるけど、実戦経験だけは繰り返し出撃して戦いまくるしかねぇーからさ。]

 

「そうね…前期ガンプライブの秋葉原地区予選まではまだ時間はあるけど、十分ってほどあるわけじゃないからね。時間が許す限り戦って戦って戦って。その子たちにはどんどん経験を積んでもらわなきゃね。」

 

「おうよ。あとは…俺としては早くにこちゃんにも合流して欲しいかな?」

 

「そら……うん。わかってるわ…。わかってるから…だから…。」

 

もう少しだけ時間をちょうだい。

 

ガンプライブで勝ち抜くために。

 

A-RISEを倒すために。

 

今の段階でそのためのしっかりとした下地を作らなきゃいけないの。

 

怖がって飛べない子には飛び方を教えてあげなきゃいけないの。

 

もっとも、飛び方を教えてあげるのはそら…あなたの役割なんだけどね。

 

私はきっかけを与えるだけ。

 

自らの翼で高く羽ばたくための勇気を出すためのきっかけを。

 

“敵”として相対することで…ね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そらとの電話のあと、部室で私のガンプラ…ガンダムアストレイ・ゴールドフレーム天ミナを改造して作った“ガンダムアストレイ・ダークフレーム禍にこ”の確認を終えた私は、いつものアミューズメントセンター音ノ木坂店に向かったわ。

 

店内の大型モニターの画面にはこのアミューズメントセンター音ノ木坂店から出撃している片方のアンテナが折れたエール装備の素組のストライクガンダム… “μ's”の高坂 穂乃果のエールストライクガンダムが、味方機のジム・スナイパーⅡの掩護射撃を受けて、シールドを構えながらビームライフルを乱射してハイ・モックを撃墜しているところが映し出されていたの。

 

その光景を横目でチラリと見ながら、私はカバンから薄いピンク色のGPベースと“禍にこ”を取り出してガンプラバトル専用のスキャナーにそれぞれセットして、手早くガンプラのスキャンとGPベースへのデータの登録を済ませたわ。

 

それからGPカウンターへと向かい、顔馴染みの受付嬢のお姉さん(今日はいつもの椿さんじゃなかったわ。)にGPベースを渡してバトルロイヤルへの出撃登録をしてもらって……。

 

「ガンプラバトルシミュレーター、システム起動。」

 

指定されたガンプラバトルシミュレーターの筐体に乗り込んで出撃準備を始めたわ。

 

<了解。ガンプラバトルシミュレーター、システム起動。ナノマシンの固有パターンを確認。IFS、接続準備……接続完了。>

 

メインコンソールの近くにGPベースをセットしてガンプラバトルシミュレーターのシステムを起動させると、いつも通りすぐに私のサポートAIシステムが起動して出撃準備を始めてくれたわ。

 

私のサポートAIシステム…名前は“ウズメ”って言うんだけど、この子は私のためだけにそらが1から作り上げてくれた限りなく電子精霊に近い世界最高レベルのサポートAIシステムなのよ。

 

そらの話だと、性能自体は下位電子精霊と同じくらいってことなの。

 

あとは“感情”を学習すればウズメも電子精霊に至れるらしいわ。

 

まぁこの子のことはあとで説明するとして、今はまずはさっさと出撃しちゃわないとね。

 

「FCSチェック。」

 

<了解。FCSチェック開始……………チェック完了。全武装オールグリーン。問題はありません。>

 

「“ヤサカニノマガタマ”の制御プロトコルは?」

 

<オフェンシブシスト、ディフェンシブシフト、ブーステッドシフト、共に異常ありません。>

 

「“マフツノヤタカガミ”と“クサナギノツルギ”も問題ないわよね?」

 

<はい。全システムオールグリーンです。いつでも出れます。>

 

「そ。ありがと、ウズメ。」

 

<問題ありません。マスターをサポートする。それがマイスターにより設定された私の最優先事項ですから。>

 

「それでも“ありがと”なのよ。」

 

<……そう言うモノなのでしょうか?>

 

「そう言うモノなのよ。」

 

<…………。>

 

これでまた少しは“感情”の経験値が貯まったのかしら?

 

まぁそれは後回しでいいわ。

 

とりあえずは今日も出撃するとしましょうか。

 

「それじゃ行くわよ!“ガンダムアストレイ・ダークフレーム禍にこ”!!!」

 

さぁーて。

 

楽しい楽しいガンプラバトルの始まりよ!

 

「出るわよ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様。本日もご覧いただきましてありがとうございました。

ようやく本編でもにこちゃんをガンプラバトルへと出撃させることができました。
ここまで長かったです。
本当に長かったです。
なんだかもうゴールしてもいいよね?的なノリですが、ガンプライブはまだまだ、まだまだまだまだ続きます。
ソラとμ'sのガンプライブが終わっても、次はソラの息子のリクとAqoursのサンシャイン編が、サンシャイン編が終わってもオールスター編が…。
果たしてガンプライブはいつ終わるんでしょうか…。
エ、エタらないようにがんばります…。

次回はことりさんsideのお話になります。
皆様はみかん鍋なる鍋を食べた事はございますか?
私は……。


次回更新はいつも通り月曜日のお昼頃を予定しております。
お時間よろしければご覧下さいませ。

それでは改めまして、本日もご覧いただきまして、本当にありがとうございました。
皆様のご意見、ご感想、または質問などもお待ちしております。
どうかお気軽にお声掛け下さい。
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