ガンプライブ! ~School Gunpla Project~ 作:Qooオレンジ
夏場は基本的に溶けているQooオレンジでございます。
梅雨なのに30度…何かが間違ってるような…。
今回はにこちゃんsideの10回目となります。
グダグダの果てに待つバトルは…。
それでは 第7話A「無冠の女王」そのじゅう 始まります。
[[それで?貴女が秋葉原地区のバトルロイヤルでぼっち無双している二つ名付きの凄腕スクールファイターと言うのはわかりましたが、本当に魔女ではないのですか?]]
ぼ、ぼっち無双?!
くっ!ぼっち無双ってナニよ!ぼっち無双って!
ここは厳重な抗議を…したらまたコイツらのグダグダ空間に引き込まれるんでしょうね…。
我慢よ!にこ!
ここはグッとこらえるの!
大人の女の余裕をこのクソ生意気な子たちに見せつけてやるのよ!
だから…!鎮まりなさい!私の突っ込みスピリット!
しずまれー…しずまれー…しずまれー…しずまれー…しずまれー…しずまれー…しずまれー………………うん。
もう大丈夫。
私の中の荒ぶる突っ込みスピリットは鎮まってくれたわ…!
今の私は未だかつてない程に冷静よぉぉぉぉぉ♪
「しつこいわね。さっきから違うって言ってるでしょ。魔女ってアレでしょ?ホラ?そらが言ってたはた迷惑なクソキ○ガイ女とかってヤツ。なんか私の声のボイスデータも使ってるとか言ってたけど…。ってか魔女とかってヤツと違ってハッキングとか私できないわよ?」
とりあえずは私が魔女とかっていうクソキ○ガイ女じゃないってことを完全に立証しなきゃね。
そらの話だとこの園田 海未って子はかなり頭がキレるってことだから、これだけ説明してあげればたぶん大丈夫だとは思うんだけど…
[[では…貴女はあのキ○ガイ魔女が使っていたボイスデータの元になった人物…なのですね?]]
うん。
大丈夫っぽいわね。
これでようやくお話を先に進めることができるわ…。
長かった…とにかく長かった…。
グダグダに巻き込まれること話数にして2話…。
いよいよ第7話前半の山場よ!
「そうよ!納得した?」
[[はい。納得しました。最も…魔女疑惑については、ですが。]]
「ナニよ!まだなんかあんの?!ってかいい加減にそろそろバトル始めないと怒られるわよ!」
[[それは重々承知してます。ですが…その前に一つだけ答えて下さい。貴女は青空の何なのですか?]]
「へっ?な、なんで?!」
山場よ!とか思ってたんだけど、なんかまた話が変な方向に進みだしたわ。
何でか知らないけど、私がそらと関係があるって気づかれたのよ。
でも…何でこの子は…園田 海未は私がそらと知り合いだって知ってんの?!
そらのヤツが話した?
ううん。
それはないわ。
あのバカのことだから、私のことをコイツらに話したらそのことをちゃんと私に教えてくれるはずだもん。
それじゃなんで?
なんでこの子は私が青空の関係者だって知ってる?
[[なんで知ってるの?とか思ってるのでしょうから一応は説明しておきますが、私が貴女と青空が何らかの関係があると察したのは、貴女の会話に先程から青空の名前がさらりと混じっているからですよ。恐らくは無意識に青空の名前が口から出ていたのでしょうが…。]]
「あっ…!」
そ、そう言えば…さっきから何気にそらの名前を出しちゃってたわ!
うわぁ…やっちまったわね…。
グダグダに巻き込まれ過ぎて注意力が散漫になりすぎてたわ…。
こんなアホみたいなミスするなんて天才美少女スクールファイターの私らしくないわね。
でもやっちまったのは仕方いわ。
どう足掻いても時間は巻き戻せないもん。
過去は変えられないのよ。
とか思っていたんだけどねー。
ぶっちゃけ変えちゃったヤツがいたのよ。
ま、それはまだまだ先の話なんだけどね。
それはおいおいと話していくとして、さて…まずはこの状況をどうしよっか?
ここで私とそらとの関係を全部説明する?
でもそれじゃこの子たちは本気で私と戦ってくれなくなりそうよね?
そうなったらこの子たちを試すって今日の目的が達成できなくなるわ。
ここまで来てそれはちょっとないわー。
「ねぇ?園田 海未?そんなに私とそらの関係が知りたい?」
[[っ…!(この人…私の名前を知っている?)えぇ、気になりますね。あの魔女が色々なボイスデータを使用したときに、青空が最も動揺したのは貴女のボイスデータでしたから。]]
そう言えば…キ○ガイ女に私の声で酷いこと言われたって言ってたわね。
そのときにこの子は…園田 海未は一緒にいたのね。
[[貴女がその声の持ち主ならば、青空との関係が気にならない訳がないではありませんか?]]
「そっか…。」
うーん。
そっか…。とか言ってみたけど、マジでどうしよう。
どうしよっかなー、どうしよっかなー、どうしよっかなー……ん。
そうだ!
「私とそらの関係が知りたいなら…私を倒してみせない!!!行くわよ!!!チーム“μ's”!!!音ノ木坂学院ガンプラバトル部部長!“無冠の女王(ノー・クラウン)”!矢澤 にこの名の元に!アンタたちのその力!試させてもらうわ!!!!!」
「ウズメ!“ヤサカニノマガタマ”を全基射出!3基一組編成でオフェンシブシフト!後ろにいるジム改の改造機を押さえなさい!!!」
ちょっとゴリ押しっぽくなっちゃったけど、無事に戦闘の口火を切ることができた私は、まずはウズメに“ヤサカニノマガタマ”を全基射出して後方に位置しているジム改の改造機…小泉 花陽のジム・カーバンクルを押さえるように指示を出したわ。
アイリから貰ったデータだと、“μ's”の中であのジム・カーバンクルって機体が1番厄介そうだからね。
ビーム兵器を主武装にしているなら“マフツノヤタカガミ”で美味しく吸収できるけど、あのジム・カーバンクルが主武装にしてるのは高威力のレールカノン。
ランクAの防御力を簡単に貫通できる実弾兵器とか私の禍にことは相性悪いのよ。
だから“ヤサカニノマガタマ”のオールレンジ攻撃で動きを封じさせてもらうわ!
<了解しました。“ヤサカニノマガタマ”全基オフェンシブシフトで射出。目標、ジム・カーバンクル。攻撃を開始します。>
ウズメはすぐさま私の指示にしたがってトリニティストライカーから“ヤサカニノマガタマ”を全基射出し、ジム・カーバンクルへと向かわせたわ。
[[う"ぇえ?!な、なにアレ?!]]
[[ビット兵器、じゃなくてSEED系の機体だからドラグーンです!みんな気をつけてください!四方八方からビームが来ますよ!って!全部こっちにきた?!えっ?!なんで?!6基あるなら普通は1人1基って流れですよね?!それなのになんで全部花陽の方に来るんですか?!ちょっ!ダ、ダレカタスケテェェェェェェェェェェ!!!!!]]
小泉 花陽は“ヤサカニノマガタマ”に驚いている西木野 真姫に、オールレンジ攻撃の簡単なレクチャーをしていたみたいだけど、射出された6基全部が自分に向かってきたのを見て今度は自分が慌てちゃってるわ。
そんな小泉 花陽を援護しようと、高坂 穂乃果のエールストライクガンダムが私に背を向けて下がろうとしたの。
敵の目の前で背中を見せるとかこの子、バカじゃないの?
悪いけどそんなスキだらけの背中を見せられたら遠慮なく撃っちゃうんだからね!
[[花陽ちゃん!ちょっと待ってて!穂乃果が 「行かせないわよ!ってか敵の目の前で後ろを向くな!素人!!!オルゥラァァァァァ!!!」 (穂乃果!背中みせちゃダメ!私達が狙われるよ!って遅かったし!ホラ!ビームがくるよ!スラスター全開で右に避けて!!!) っ!うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!]]
小泉 花陽を助けるために、私の禍にこに背中を見せて下がろうとしていた高坂 穂乃果のエールストライクガンダム。
私はその背中に遠慮なく、トリケロス改Ⅱに内蔵されているビームライフルを放ったわ。
無防備な背中へと放たれたビームは当然直撃…するかと思ったんだけど、高坂 穂乃果はビームが当たる直前でギリギリ回避しちゃったの。
絶対に避けられないタイミングのハズだったんだけど、高坂 穂乃果はまるで後ろに目があるように私の放ったビームを察知して見事に避けてみせたわ。
「はぁ?!今のタイミングを避けるってどんな反射神経してんのよ!」
アイリからもらったデータにも反射神経が異常とか書かれていたけど、真後ろから放たれたビームを避けるとか反射神経以前にどっかおかしいわ。
ほんと、背中に目でもあるんじゃないの?
μ'sだけにμ(みゅー)タント?
なんてバカなこと言ってる暇はないわね!
園田 海未が指示を出し始めたわ!
こっからが本番よ!
気合い入れなさい!にこ!
[[穂乃果!敵の目の前で背中を見せるなんて迂闊ですよ!!!しかし…やはりと言うべきかそう簡単には花陽を助けにはいけないみたいですね…ならば!花陽!貴女のジム・カーバンクルならばしばらくはその珠の様な兵器の攻撃を凌げますね?申し訳ありませんが花陽はそのままその珠の様な兵器を引き付けていて下さい!]]
園田 海未が出した指示。
それは、まずは小泉 花陽に対しての指示だったわ。
その内容は単機で“ヤサカニノマガタマ”を引き付けろ。
増加装甲とサブアームに持たせてある2枚のシールドで、防御性能に秀でているジム・カーバンクルならば、しばらくの間は“ヤサカニノマガタマ”の攻撃を凌げると判断しての指示ね。
悪くない判断だわ。
小泉 花陽が“ヤサカニノマガタマ”を引き付けている間は、他の5機は厄介なオールレンジ攻撃に気を配ることなく私の禍にこに対峙できるもんね。
[[えぇ?!た、助けてくれないんですか?!うぎゃ?!か、かすった?!って!余裕ぶっこいてる暇はなさそうです!のーちゃん!アクティブシールド起動!死角からの攻撃を防いでください!うーちゃんはのーちゃんのサポートを!しーちゃんはスラスターサポートをお願い!さーちゃんは…ちょっと待機!]]
<<<<<あいあいさー。>>>>>
“ヤサカニノマガタマ”を引き付けておけって指示を出された小泉 花陽は、初めは情けない声をあげていたけど、すぐに自身の電子精霊たちに指示を飛ばし始めたわ。
この場では自分が“ヤサカニノマガタマ”を引き付けておくのが1番得策だって理解したんでしょうね。
[[こ、こっちはなんとかしのいでみせます!がんばルビィでがんばってみせます!だから!]]
少しだけ怯えるような声でがんばってみせるって仲間たちに伝えると、小泉 花陽は“ヤサカニノマガタマ”を引き連れてこちらから距離を取り出したの。
1人でよくわからない球状のビットを引き付けるのは怖いわよね。
怖いけど…それでもがんばれる。
その勇気。
キライじゃないわよ?
[[海未ちゃん!花陽ちゃんがビットを引き付けてくれてるうちに!]]
[[えぇ!私達で大本を断ちますよ!!!穂乃果は左!真姫は右から!凛は私と真ん中です!]]
小泉 花陽が勇気を振り絞り、“ヤサカニノマガタマ”を引き連れて後退すると、残りの5機がそれぞれ行動を始めたわ。
高坂 穂乃果のエールストライクガンダムは左へ。
西木野 真姫の百式は右へ。
こちらを挟撃するために左右へと展開し、正面からは非常識な防御力を誇る星空 凛のベニャッガイを盾にするように、園田 海未のジム・スナイパーⅡがブレード片手に突っ込んで来たの。
[[うん!穂乃果におまかせ!いくよ!真姫ちゃん!]]
[[了解!ミスるんじゃないわよ!穂乃果先輩!]]
[[うっしゃおりゃぁぁぁぁぁ!!!ヒトのドタマにぷっとい鉄杭をぶっこんでくれやがったクソヤローをぬっこぬっこにぶっころしてやるにゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!]]
左右からの挟撃で動きを限定して、星空 凛のベニャッガイを盾代わりにこちらへ近づいてきた園田 海未が近接戦闘を仕掛けるつもりね。
なんでスナイパーがわざわざ近接戦闘を仕掛けてくるのか理解に苦しむけど、即興の作戦としては及第点。
そして園田 海未が近接戦闘で私に決定的なスキを作って…
[[ことり!私達が必ず隙を作ります!貴女は!]]
[[うん!そのスキにことりがバスターライフルをぶっぱ~♪しちゃうね!]]
大火力のバスターライフルを持つ南 ことりがトドメを刺す。
それがこの作戦の締めかしら?
別にばか正直に付き合ってやる義理はないんだけど…ふふふ♪
特別にちょっとだけ付き合ってあげるわ!
[[頼みます!それと!私達が射線にいても構いません!こちらで勝手避けてみせます!]]
[[りょ~かい♪ことりちゃんにおまかせですぅ♪]]
[[みんな!反撃開始だよ!]]
反撃開始。
高坂 穂乃果のその一言が口火となって、左右から、そして正面からの攻撃が開始されたわ。
[[墜ちろ!墜ちろ!墜ちろ!墜ちろ!墜ちろ!墜ちろ!墜ちろ!墜ちろ!墜ちろ!!!]]
[[うにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!]]
[[えい!えい!えい!えい!えい!えい!えぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!!!]]
私から見て右方向からはエールストライクのビームライフルが。
同じく私から見て左方向からは百式のビームライフルが。
そして正面からはベニャッガイのビームキャノンが。
3方向から禍にこを狙ったビームが放たれた始めたの。
ほぼ同時に放たれたビームは禍にこへと雨あられと降り注いできたわ。
「射撃精度はそれなりね!けどね!その程度の攻撃に当たってあげるほど!私は優しくはないわよ!!!」
禍にこへと降り注ぐビームの雨。
私はまずは機体を大きく後退させて左右からのビームを回避すると、次に正面から迫るベニャッガイが放ったビームを、姿勢制御スラスターを軽く噴かして、機体をひねるように動かして避けてみせたわ。
[[ぎゃーす!避けられたー!]]
[[避けられてもいいのよ!だって!]]
[[凛たちは!]]
[[私が近付く為の布石なのですから!!!]]
3機から放たれたビームを回避した私に次に迫るのは、ベニャッガイの影に隠れる様に移動していた園田 海未のジム・スナイパーⅡだったわ。
私の予想通り、高坂 穂乃果、西木野 真姫、星空 凛の3人の攻撃は園田 海未が禍にこへと近づくための陽動だったみたいね。
園田 海未の操るジム・スナイパーⅡは、右手に片刃のブレードを握り、3機から放たれたビームを避けるために後退した禍にこへ向かってスラスター全開で突っ込んで来たの。
[[この間合いならば!!!はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!]]
そしてブレードを上段に構え、禍にこへと一気に振り下ろして来たわ。
私は目の前で振り下ろされるブレードを、右腕に取り付けてあるトリケロス改Ⅱのシールド部分で受け止めて押し返してやろうと思ったんだけど…
「っ?!」
受け止めようとした瞬間。
背中に“ゾクリ”と悪寒が走り抜けて行ったわ。
いわゆる“嫌な予感”ってヤツね。
私は悪寒が走った直後、自分の直感に従って機体のスラスターを全開に噴かして後ろへと下がったわ。
その直後…
[[チッ!斬り殺し損ねましたか!]]
ジム・スナイパーⅡの手によって振り下ろされたブレードは、わずかにかすったトリケロス改Ⅱの先端部分をバッサリと両断しやがったの。
ただのブレードで禍にこの中でも1番硬いハズのシールドを切り裂くとか冗談じゃないわよ。
「あっぶな!あのまま受け止めようとしてたらシールドごとバッサリだったじゃない!」
直感に従って正解だったわ。
もしもあのままシールドで防御していたら…。
別に油断していたワケじゃないけど、ジム・スナイパーⅡで近接戦闘なんてアホじゃないの?って感じでちょっと舐めてたわ。
そう言えばこの園田 海未って実家が怪しい古流武術だか剣術だかの道場だったわね。
迂闊に近づけばまたバッサリやられるってワケね。
[[ことり!!!今です!!!!!]]
[[うん!]]
っと。
今度は一連の連携のフィニッシュアタックね。
今の連携の最後を決めるのは南 ことりのバスターライフルの一撃。
単調な砲撃くらいなら避けれないこともないんだけど……避けるよりももっと絶望を味わわせてあげるわ!
「ウズメ!“マフツノヤタカガミ”を!」
<了解しました。“マフツノヤタカガミ”起動。>
ウズメは私の指示に従って、すぐに“マフツノヤタカガミ”を起動させてくれたわ。
左腕に取り付けてある大きなシールドからは、“マフツノヤタカガミ”の目覚めを告げる低く鈍い起動音が響き始めたの。
[[チャージ完了!ターゲット!ロックオン♪バスターライフル…………発射ですぅ!]]
“マフツノヤタカガミ”の起動とほぼ同時に、南 ことりもバスターライフルのチャージを完了させたみたいで、こちらへと銃口を向けると間髪いれずにごんぶとビームをぶっ放して来たわ。
[[あは♪ことりご自慢のバスターライフルのごんぶとビームはそんなシールドなんかで防御してもむだむだむだぁぁぁ♪ですぅ♪ちんけなシールドもろとも何もかも一切合切まとめて消し炭も残らずぜ~んぶ♪消し飛んじゃってくださいね♪うふふふふふふふ♪あはははははははは♪♪♪]]
バスターライフルをぶっ放してテンションの上がってる南 ことりはそんなことを言いながら、何がおかしいのか知らないけど高笑いをあげ始めたの。
楽しそうに笑っちゃって。
ずいぶんとご機嫌じゃない?
でもね?
笑ってられるのも今のうちだけよ!
<着弾します。>
私の禍にこにとってビーム攻撃はエネルギーを回復してくれる“ごちそう”でしかないのよ!
アンタのご自慢のこのごんぶとビーム…“マフツノヤタカガミ”で残らず美味しく平らげてあげるわ!!!
「禍(わざわい)転じて我が糧となせ!!!“マフツノヤタカガミ”!!!」
南 ことりが高笑いをあげながら放ち続けているバスターライフルのごんぶとビームが、禍にこの左腕に取り付けてある大型シールド“マフツノヤタカガミ”の表面に触れると、正常に起動中のアブソーブシステムが勢いよくそのビームのエネルギーを吸収し始めたわ。
ごくごく。
ごくごく。
ってね。
でもこの子たちはまだそのことに気づいてないみたい。
[[“無冠の女王”なんて御大層な二つ名持ちだからどれだけ強いのかって思ったけど、大したことなかったわね。]]
[[ぶっちゃけらくしょーだにゃ♪]]
呑気に楽勝だったわっておしゃべりしてるわ。
呑気なモンね。
確実に相手の息の根を止めたかどうかも確認しないで、楽しくおしゃべりだなんて。
ここは要教育ね。
[[うん!穂乃果たちならだいじょーぶい!(待って穂乃果!何か変だよ!) へっ?変だよって…ナニが変なの?]]
[[穂乃果?ナニが変なのですか?]]
[[ふぇ?!あ、あのね?えーっと…(ビームがあの黒いヤツから後ろに行ってないんだよ!いくらシールドで防いだとしても、あの規模のビームなら少しは後ろに漏れるハズだよ!それなのに黒いヤツの所でビームが留まってるの!特殊な防御フィールドか何か…アレ?あっ!ちょっと穂乃果!よく見て!あの黒いシールド!ビームを吸収してるっぽい!)…えっ?ビームを吸収?ナニソレ?(あー!もう!穂乃果はほんと穂乃果(アホ)なんだから!しょーがない!ちょっと代わって!) はーい…ありがと、穂乃果!みんな!聞いて!あの黒いヤツ!ことりちゃんのビームを吸収してるよ!]]
[[ビームを吸収?!]]
[[にゃにゃ?]]
南 ことりの高笑いが響く中、ごんぶとビームが直撃している禍にこを眺めていた高坂 穂乃果がこちらがシールドでビームを吸収していることに気づいたみたいね。
そらから高坂 穂乃果はかなりのアホって聞いたけど…アホの割にはよく気づいたわ。
でも気づいたからって今さら遅いんだけどね。
だって…
<砲撃、終息します。>
南 ことりのウイングガンダム・リトルバードが放ったご自慢のバスターライフルのごんぶとビームは、もう“マフツノヤタカガミ”で残らず平らげちゃったもん。
「エネルギーをわけてくれてありがと♪うふふ♪美味しくいただいたわ。ごちそうさまでした♪ってね」
[[ちゅん?!無傷?!それに吸収って?!]]
[[はぁ?!ちょっと!ビーム吸収とかアリなの?!ナニソレ!イミワカンナイ!]]
[[凛だってワケワカメだにゃ!ってワケでかよちん!説明ぷりーず!]]
[[はひ!こちら、ここは花陽に任せて先に行け!的にカッコつけて一人でビットの相手をしているけど現在進行形でオールレンジ攻撃でふるぼっこになっているみなさんお馴染みお米マイスターの小泉 花陽です!そんなわけで花陽はただいまふるぼっこにされていて忙しいから説明ぷりーず!っ言われてもムリでぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!ってかそろそろダレカタスケテェェェェェェェェェェェ!!!!!]]
絶対の信頼を寄せていた南 ことりのバスターライフルの一撃…その一撃が吸収されるっていう信じられない光景が目の前で起こったことで、“ヤサカニノマガマタ”の相手をしている小泉 花陽を除いたチーム“μ's”の5人は呆然としちゃってるわ。
ビームを吸収するアブソーブシステムってかなり珍しいシステムだけど、使い手がいないワケじゃないから知ってる人は知ってるハズなんだけどね。
初心者3人は知らないのは当然としても、南 ことりは知っていてもよさそうななんだけど…。
ご自慢のバスターライフルのごんぶとビームが吸収されちゃってそれどころじゃないのかしら?
まぁいいわ。
さて…次は私が攻める番ね♪
アンタたち…簡単に堕ちるんじゃないわよ?
[[ウソ…ことりのバスターライフルが……。]]
[[ことり!気持ちはわかりますが今は呆けている場合ではありません!]]
[[海未ちゃん…で、でも!]]
[[ことり!とにかく気持ちを切り替えなさい!穂乃果!真姫!二人はもう一度挟撃を!凛はことりと一緒に正面から牽制をお願いします!]]
[[う、うん!]]
[[りょーかいだにゃ!]]
[[うん!もう一回!いっくよぉー!]]
[[ちょっと海未先輩!挟撃するのはいいけどどうするつもりよ!あの真っ黒いの!ことり先輩のアレを防いだ、ってか吸収?しちゃったのよ!花陽がビットとかってイミワカンナイヤツの相手をしていていない今!こっちはみんなビーム兵器が主体だから、ビームを吸収するようなヤツが相手だとどうにもなんないんじゃないの?!]]
[[問題ありません!ビームを吸収するのならば…物理的に叩き斬ればいいだけです!]]
[[た、叩き斬る?!]]
[[さっすが海未先輩!そこにしびれあこがれるにゃ!]]
[[海未ちゃんかっこいー!]]
[[凛!穂乃果!無駄口を叩いてる暇があるのならばさっさと行きなさい!ほら!真姫も!]]
[[はーい♪]]
[[はーい♪だにゃ♪]]
[[わかったわよ!ヤるわよ!ヤればいいんでしょ!]]
[[ことり!貴女も!]]
[[ちゅん……。]]
どうやらあちらの作戦は決まったみたいね。
会話の内容から察すると、さっきとおんなじように高坂 穂乃果のエールストライクと西木野 真姫の百式で挟撃して、星空 凛のベニャッガイに加えて南 ことりのウイングガンダム・リトルバードと2機でさらに牽制。
そのスキに園田 海未が接近してブレードだぶった斬る♪ってとこかしら?
さっきの園田 海未の一撃は結構ヤバかったから、あんまり近づかれたくはないわね。
とりあえずは…
「ウズメ!“クサナギノツルギ”、ブラスターモードで起動!」
さっきから“ヤサカニノマガマタ”のオールレンジ攻撃で押さえてる小泉 花陽のジム・カーバンクルから墜とさせてもうわよ!
増加装甲と2枚の頑丈なシールドで防御を固めていたとしても、“クサナギノツルギ”のブラスターモードの砲撃なら当たればどうとでもなるわ!
<了解しました。“クサナギノツルギ”、ブラスターモードで起動。エネルギーバイパス、オンライン。>
再びこちらへと攻撃を仕掛けるために展開し始めた“μ's”の5人を尻目に、私は機体を操作してバックパックの右側に取り付けてある長く大きな砲身の“クサナギノツルギ”を小脇に抱えるように構えたわ。
“クサナギノツルギ”を構えている少しの間に、エネルギーストレージからはブラスターモードでの砲撃に必要な分のエネルギーがすでに供給され始めていて…
<チャージ完了。>
間を置かず、チャージ完了を告げるウズメの短い報告の声がコックピットに響いたわ。
「ターゲット!」
その声を聞きながら、私はメインモニターに映る光景…その光景の奥に見える緑色の増加装甲を着こんだジム・カーバンクルにターゲットを合わせ…
<ロック。>
暴発を防ぐためのセーフティを…
「ファイナルセーフティ!」
<アンロック。>
解除して…
「逝け!“クサナギノツルギ”!」
禍にこが誇る最大火力。
砲剣“クサナギノツルギ”のトリガーを引き絞って一気に大出力ビームをぶっ放したわ!
<ファイア。>
いつものようにウズメが短く告げる“ファイア”の一言。
その一言と同時に、小脇に抱えるように構えた“クサナギノツルギ”の先端からは膨大な光の奔流が溢れだしていったわ。
解き放たれた光はまっすぐに突き進んで行って…
<<はなよ!きけん!きけん!すごいのきたー!>>
<<ぼーぎょはむりぽー。>>
<<かいひすいしょー。かいひすいしょー。でもかいひもむりぽー。>>
<<さーはこんかいはでばんなしー。おひまならきてよねー。>>
[[へっ?!うげっ!!!ごんぶとビームぅぅぅぅぅぅぅ?!ちょっ!マジでダレカタスケテェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!!アンギャァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!]]
“ヤサカニノマガマタ”の集中攻撃を捌くのことでいっぱいいっぱいで、まともに身動きのできない小泉 花陽のジム・カーバンクルを一瞬で飲み込んだわ。
[[かよちん!!!]]
[[花陽!!!]]
これで…
「まずは1機。」
さぁーて。
次は誰を狩ろうかしら?
つづく?
皆様。本日もご覧いただきましてありがとうございました。
にこちゃんの最初の犠牲者は花陽ちゃんとなりました。
次の犠牲者は…。
次回更新はいつも通り月曜日のお昼頃を予定しております。
お時間よろしければご覧下さいませ。
それでは改めまして、本日もご覧いただきまして、本当にありがとうございました。
皆様のご意見、ご感想、または質問などもお待ちしております。
どうかお気軽にお声掛け下さい。