ガンプライブ! ~School Gunpla Project~ 作:Qooオレンジ
日々エアコンを開発してくれた偉大なお方に感謝なQooオレンジでございます。
今回はにこちゃんsideの11回目となります。
前回、割りとあっさりと全滅した1年生トリオ。
今回は残された2年生がにこちゃんに挑みます。
それでは 第7話A「無冠の女王」そのじゅういち 始まります。
[[ムリだよ!ことりは弱いから!穂乃果ちゃんや海未ちゃんと違って強くなんかないから!ことりは…ことりは…私は!!!]]
小泉 花陽のジム・カーバンクル。
西木野 真姫の素組の百式。
そして星空 凛のベニャッガイ。
チーム“μ's”の1年生組3人を立て続けに撃墜した私は、今度は残った2年生組の3人の相手をしようとしたの。
“ヤサカニノマガタマ”のオールレンジ攻撃でこのままじわじわとすり潰すか、“クサナギノツルギ”のプラスターモードで一気に吹き飛ばすか、はたまたトリケロス改Ⅱに内蔵されているビームサーベルとビームライフルで真っ正面から戦うか。
そんなふうにどうやってコイツらの相手をしてやろうかしら?って考えていると、私の愛機“ガンダムアストレイ・ダークフレーム禍にこ”のコックピットに、南 ことりの悲痛な叫びが響いてきたわ。
“私は弱いから”
そう叫んだ南 ことりの悲痛な声を聞いて、私はこのままじゃ不味いって思って、咄嗟に“μ's”の2年生組へと通信を送ったわ。
「アンタたち。敵を目の前にグダグダとおしゃべりとかずいぶんと余裕ね?」
って。
ここで無理やりにでも話の腰を折らなきゃ、南 ことりが潰れちゃいそうだったから。
ファイターとしての南 ことりは決して弱くはないわ。
怖がってあと一歩が踏み出せないでいるだけ。
あと一歩…あと一歩だけ。
勇気を出して前へと踏み出せばこの子は変われるの。
だから今ここで自分自身に完全に見切りをつけさせちゃダメなのよ。
[[っ!ことり!とりあえず話は後です!今はまずこの状況を何とかしましょう!穂乃果と2人で前衛へ!あの黒いガンダムがビームを吸収するとしても、マシンキャノンとバルカンならばダメージを与えられる筈です!]]
[[行こう!ことりちゃん!!!]]
不穏な空気が流れていた“μ's”の2年生組3人だったけど、どうやら私の思惑通りに話の腰をポッキリと折ったことで、南 ことりの私は弱い発言をうやむやにすることができたみたいね。
南 ことりの私は弱い発言に何かしら思うことはあるんだろうけど、とりあえず園田 海未と高坂 穂乃果の2人は再びそれぞれの武器を構えて戦闘体勢を取り始めたわ。
けど肝心の南 ことりは…
[[海未ちゃん…穂乃果ちゃん…でも…けど……。]]
まるで項垂れるように力なく宇宙を漂っているだけだったわ。
まったく…この子はグチグチ考えすぎなのよ。
ガンプラバトルは“遊び”なんだから、せめてバトルロイヤルのときくらいは何にも考えないで楽しめばいいのに。
まぁいいわ。
南 ことりが動こうとしないなら、先に高坂 穂乃果と園田 海未の2人の相手をしてあげるわ。
高坂 穂乃果と園田 海未…非常識な反射速度を持つ“精霊使い(エレメンタラー)”と、スナイパーのクセに恐ろしいまでの近接戦闘能力を持っている子。
相手がガンプラバトル初心者だからって油断すれば、一気に喰われるかねないわ。
気合い入れなおして行くわよ!にこ!
遠慮も配慮も一切なしで……本気で相手してやるわ!!!
「グダグダしてるならこっちから行くわよ!!!行け!!!“ヤサカニノマガタマ”!!!」
私はそう言い放つと、戦闘体勢を取った高坂 穂乃果のエールストライクガンダムと園田 海未のジム・スナイパーⅡへと6基全ての“ヤサカニノマガタマ”を向かわせたわ。
初心者相手にオールレンジ攻撃なんて大人気ないかもしれないけど、本気で行くって決めたからにはそんなこと関係ないってのよ!!!
「まずは高坂 穂乃果!アンタからよ!ヤれ!!!」
高坂 穂乃果の周囲に展開させた6基の“ヤサカニノマガタマ”は、私の号令に従って微妙な時間差を付けながら攻撃を開始したわ。
オフェシンシブシフトの“ヤサカニノマガタマ”から断続的に撃ち出される何発ものビーム。
例の非常識な反射速度で数発くらいは避けられるだろうけど…
[[ふぇ?!この人なんで穂乃果の名前知ってるの?! (穂乃果!そんなこと言ってる場合じゃないよ!左上!) うひゃ?! (次は左!) とぉ! (右!右!左!上!) てぇりゃー! (下!右上!後ろ!) いぇーい! ]]
所詮は素組のストライク。
[[よぉーし!この調子で (前!後ろ!右!右上!) って?!ちょっ?!そんなに?! (穂乃果!後ろ!避けて!) うぎゃ?!か、かすった?! ]]
高坂 穂乃果の反射速度が上がれば上がるほど、素組の機体じゃ付いてこれなくなるわ。
[[穂乃果!]]
そうなれば…
「終わりよ!!!」
“ヤサカニノマガタマ”のオールレンジ攻撃を順調に回避しまくってた高坂 穂乃果だったけど、ついに素組の機体が高坂 穂乃果の反射速度に付いてこれなくなっちゃって、“ガクン”と大きく揺れて体勢を崩し、致命的なスキをみせちゃったわ。
[[な、なんで?!ストライクがうまく動いてくれない?!]]
そんな致命的なスキを見逃すほど私は甘くはないわけで…
[[ぎゃーす!!!海未ちゃん!ことりちゃん!ごめん!ヤられちゃった!あとはよろしく!]]
体勢を整える前に“ヤサカニノマガタマ”のビームの集中攻撃でボコボコにしてやったわ。
「4機目!」
機体のあちこちに着弾したビームは、さっきの百式と同じようにストライクの全身を穴だらけにして、ダメージ許容値オーバーで撃墜判定へと追い込んでやったの。
「これで残りは2機。ねぇ?次はどっちがヤられたい?」
[[ほのか…ちゃん……。]]
目の前でまたしても仲間を撃墜された南 ことりは、ただ呆然と高坂 穂乃果の名前を呟いていたわ。
もう一方の園田 海未は…
[[くっ…(あのビームの雨を掻い潜りながら接近…今の私とこのジム・スナイパーⅡでは中々に難儀ですね。例え接近したとしても、常に背後から…いえ、四方八方からあの球状の物体の攻撃に晒される…。先程の穂乃果の様にビームを避けながら上手く戦ったとしても、長引けば長引く程に機体性能の差が顕著になりいずれは………。現状の装備…ブルバップマシンガンとスナイパーライフル、それに先程戦った赤いガンダムからお借りしているこの刀では防御フィールドを展開出来るあの球状の物体の破壊は不可能……近付けさえすれば何だろうと斬り伏せる事は可能なのでが…そもそも近付く事が困難…。今の私に取れる手段は…) ただ1つ!!!死なば諸ともです!!!]]
ブレードを構えて私の禍にこ目掛けてフルブーストで突撃してきやがったわ。
[[肉を斬らせてその命!!!この刃の一刀で両断せていただきます!!!]]
防御と回避を捨てて、被弾を恐れずに相討ち覚悟で一気に突っ込んできて近接戦闘に持ち込むつもりね。
たった1機の素組の機体で、“ヤサカニノマガタマ”を展開している私の禍にこの相手をするのならば、園田 海未の下した判断は悪くないわ。
今の園田 海未の取れる手段の中では最も勝率の高い方法ね。
けどね?
「そうそう簡単にヤられたりはしないってのよ!!!“ヤサカニノマガタマ”!1番から3番まではオフェシンシブシフト!!!園田 海未を迎撃しなさい!」
<了解しました。1番から3番、オフェシンシブシフトで展開。攻撃を開始します。>
さっき高坂 穂乃果のストライクをボコボコにしてやったように、園田 海未のジムスナⅡも“ヤサカニノマガタマ”でボコボコにしてやるわ!
[[っ!]]
ブレード片手にフルブーストで突撃してくる園田 海未のジムスナⅡ。
さっきの高坂 穂乃果のストライク同様に、“ヤサカニノマガタマ”は突撃してくる園田 海未のジムスナⅡへと容赦なくビームの雨を降らせ始めたの。
それでも園田 海未は怯むことなくブレードをしっかりと握りながら、ビームの雨の中をこちらへと突き進んで来るわ。
[[あと少し!!!]]
全身に被弾しながらも鬼気迫る勢いで迫り来る園田 海未のジムスナⅡは、とうとうその手にしたブレードの刃があと少しで届くところまでやって来て…
[[そのお命!頂戴します!!!覚悟!!!!!!!!]]
上段に構えたブレードを禍にこへと振り下ろしたわ。
先程も見せた園田 海未の見事な一閃。
当たれば当然、装甲の強度は中の上くらいしかない私の禍にこはスッパリと両断されちゃうわね。
けど……私の愛機は!この禍にこは伊達じゃないってのよ!!!
「“ヤサカニノマガタマ”!4番から6番!出番よ!!!ディフェンシブシフト!!!」
<4番から6番、ディフェンシブシフト起動。エネルギーフィールド、展開します。>
突撃してくる園田 海未のジムスナⅡの迎撃に向かわせずに、禍にこの周囲に待機させていたもう3基の“ヤサカニノマガタマ”。
私はこの残りの3基の“ヤサカニノマガタマ”を、今まさにこちらへとブレードを振り下ろそうとしている園田 海未のジムスナⅡの正面へと移動させると、3基を連携させてエネルギーフィールドの防御障壁を展開させたわ。
私の指示に従い素早く展開された三角形の防御障壁。
園田 海未の振り下ろした鋭いブレードの一閃は、禍にことジムスナⅡとの間に展開された防御障壁へと当たり…
[[なっ?!刀が?!]]
その手にしたブレードを半ばからポッキリと折れてしまったの。
もっとも、“ヤサカニノマガタマ”が3基で連携して展開させていた防御障壁も、ブレードの一閃に耐えきれずにパリンと割れちゃったんだけどね。
まさかただの素組の攻撃で“ヤサカニノマガタマ”の防御障壁が割られちゃうとは思わなかったわ。
一応この防御障壁に使ってるエネルギーフィールドって、かなりのレベルの攻撃を防げるように設定されてはいるんだけどね。
それを割っちゃうなんて驚いたわよ。
称賛に値するわ。
でも…どんなに称賛に値したとしても…
「じゃあね♪園田 海未♪」
今はまだ、この子は私の敵。
ってことで止めはキッチリと刺しちゃうんだけどね♪
私はブレードを振り下ろしきって無防備な姿を晒している園田 海未のジムスナⅡへと、右腕のトリケロス改Ⅱを向けて…
「5機目♪」
その胴体のど真ん中…コックピットへビームライフルを1発、ずきゅーん♪って放ったわ。
[[くぅぅぅ!刀を折ってしまうだなんてなんて未熟な!無念ですがここまでです!ことり!あとは………………………]]
コックピットを撃ち抜かれた園田 海未のジムスナⅡはコアロストで撃墜判定。
そしてチーム“μ's”で残されたのは…
[[うみ…ちゃん………]]
圧倒的な強さを見せつけられて完全に怯えちゃってる南 ことり。
ただ1人だけになっちゃったの。
さてさて。
最後に残ったこの“トベナイコトリ”…ううん。
“トバナイコトリ”はどうしてくれようかしら?
[[ほのかちゃん…うみちゃん……やだよ……もうひとりはいやだよ…たすけてよ…ことりをたすけてよ…いつもみたいにことりのなまえをよんでよ…たすけてよ…ことりをたすけよ…おねがいだから…ことりをひとりにしないで……………そうだ…そらくんなら…そらくんならまたあのときみたいにことりを…ことりのことをたすけてくれる…そらくんなら……そらくん…どこ?そらくん…どこにいるの?ねぇ?そらくんはどこにいるの?ねぇそらくん。ねぇ。たすけて。ことりをたすけて。そらくん…そらくん…そらくん………]]
チーム“μ's”最後の1人。
南 ことり。
色々とグダグダと考えすぎた挙げ句、飛ぶことを怖がってしまって飛ぼうとしない、ほんとはとても大きな翼を持った強くて弱い子。
そんな南 ことりは幼馴染みの高坂 穂乃果と園田 海未が私に立て続けに撃墜されたのを目の当たりにして、今にも泣き出しそうな声で“たすけて”って呟き続けていてわ。
“そらくん、たすけてよ”…か。
まぁあのバカなら“たすけて”って言えば助けてくれるんでしょうね。
アイツは何だかんだで一定以上仲良くなった相手から頼られるのはキライじゃないから。
アイツの才能や財力を目当てに寄ってくる見ず知らずの相手が“たすけて”なんて言ってきやがったら、容赦なく蹴落とすんだけどね。
っと。
また話がそれちゃったわ。
ほんと私の悪いクセね。
治さなきゃ治さなきゃって思ってはいるんだけど、悪いクセなんてそんなモノ、一体どうやって治したらいいのかしら?
とか言ってるうちにまたまた話がそれてるし。
ほんと気を付けなきゃ…。
さて。
それじゃまた話がそれちゃう前に、この“トバナイコトリ”をなんとするとしますか♪
「ねぇ?南 ことり?」
私は禍にこの周囲に展開させていた“ヤサカニノマガタマ”を一旦バックパックへと戻しながら、目の前で“たすけて”と呟き続ける南 ことりに優しく語りかけたわ。
[[…ふぇ…?ことりのお名前…なんで…?]]
ここにはいないそらへと“たすけて”と呟き続けていた南 ことりは、見ず知らず相手に自分の名前を呼ばれたことで一瞬ぽかーんとしていたの。
やがて“たすけて”と意味もなく呟き続けることを止めてこちらへと注意を向けてくれたわ。
[[あなたは…あなたどうしてことりのお名前を知ってるんですか?ことりだけじゃありません。穂乃果ちゃんや海未ちゃんのお名前も知っていました…。あなたは一体…なんなんですか?]]
色々なことがありすぎて呆けていた南 ことりだったけど、見ず知らずの相手から自分の名前を呼ばれたことで思考の歯車が噛み合ったみたい。
さっきまでのまるで熱にうなされたようにそらへと助けを求めていた時とはうって変わって、しっかりとした、それでいてどこか不安そうな声で、私へと“どうして私たちの名前を知っているのか?”って聞き返してきたの。
そりゃ知ってるわよ。
最近は毎晩あのバカとヤることヤったあとに、ベッドの中で寝物語のようにアンタたちの話を聞かされ続けてきたんだからね。
ってかあのバカ……ヤったあとに別の女たちの話をヤった直後のベッドの中でヤった方の女に腕枕してあげながら話すとか、それって色々とどーなのよ?
しかもよ?話してるときのあのバカったら悔しいくらいにスッゴい嬉しそうなのよ。
穂乃果はアホだけど将来が楽しみなファイターだ。見た目も悪くねぇし。
とか。
海未さんはなんでか知らねぇーけど、たまにこっちのチ○コもぎ取ろうとしてきやがるんだよ。でもあの純和風の見た目はヤヴェよな。
とか。
ことりさんはなんかヤヴェ。アレは怒らせたらダメなヤツだ。にこちゃんも覚えとけよ?下手してことりさんに美味しく喰われたりすんなよ?
とか?
ってか美味しく喰われたりすんなよ?ってナニよ。
はぁ…わかってるわよ…。
この子たちはアンタにとっては立ち直るきっかけのきっかけを作ってくれた子たちだもん。
しかも全員がそれぞれ超の付くような美少女揃い。
惹かれるなって方が無理よね。
それに対して私なんか昭和のオカンみたいにアレはダメ!これはダメ!って口うるさいし、こっちの方が値段は高いけどg単位にするとこっちがお得だからこっち買いなさい!とか半額シール貼ってある方にしてよね!消費期限?そんなの目安よ!目安!とか色々とケチくさいことばっかり言ってるし、見た目はそこまで悪くはないと思うけど、未だに小学生に間違われることもあるちんちくりんだし…。
なんかもうすっかりと古女房みたいになってる私なんかよりも、若くてかわいいこの子たちの方が良いわよね…って!また話がそれたし!
違う!違う!!!
今はそうじゃなくて…!
「戦う前にちゃーんとアンタたちに自己紹介してあげたじゃない?聞いてなかったの?」
今はこの子…南 ことりよ!
そらが怒らせると美味しく喰われたりするとかなんかかなり謎なこと言ってたのが気になるっちゃ気になるんだけど、今はとりあえずそのことはそこら辺に置いといて、この子の私はよわーい♪とか私なんか…♪とか色々とグダグダなとこを何とかしなきゃね。
お節介だろうと何だろうと、これも全ては私の夢のため…ガンプライブ優勝のためよ!
アンタは十二分に強いだから、しっかりとそのグダグダなとこを矯正して、ばっちり戦力になってもらうわよ!
目指すはガンプライブ優勝!
打倒!A-RISE!!!
打倒!綺羅 ツバサ!
“無敗の女王”とか言われてちやほやされてんのも今のうちよ!
この私が最強の仲間と一緒にアンタのその首!もぎ取りに行ってやるんだから!!!
の、前に…南 ことり!
アンタにはにこにー様のとっておきのお節介の時間よ!
[[じこ…しょうかい?]]
「そ♪私は音ノ木坂学院ガンプラバトル部部長。“無冠の女王(ノー・クラウン)”矢澤 にこ。ってね♪」
私は改めて、この目の前で怯えながらもあなたはなんなんですか?って私へと質問を投げ掛けてきた南 ことりへと自己紹介をしてあげたわ。
そうすると…
[[おと…のぎ…ざか…?音ノ木坂?!ふぇ?!ガ、ガンプラバトル部って?!えっ?!えぇぇぇぇぇぇ?!うちの学校にガンプラバトル部なんてあったんですか?!]]
って感じで怯えも吹っ飛ぶびっくり♪
ってかやっぱりうちの学校…音ノ木坂にガンプラバトル部があったこと知らなかったんだ。
ま、当然よね。
去年はガンプラバトル部はほとんど活動らしい活動してないし。
毎日近所のアミュセンにそらのバカと2人で乗り出してバトルロイヤル荒らしまくって、そのあとはそらのバカと1対1でバトって、負けたらラブホか私の部屋で…♪だったもんね。
そりゃ私だって公式戦に出たかったわよ?
出たかったけど…
「あるのよ。もっとも、部員は私は1人だけなんだけどね。あとは鳴神 青空って準部員みたいなバカがもう1人いるだけね。」
正式な部員は私1人だけなんだもん。
公式戦に出たくても出れなかったのよ。
相棒?は公式戦トラウマだしね。
[[っ!ソ、ソラ君?!えぇ?!そんなのことり!聞いてません!]]
私が去年一年間のガンプラバトル部の活動を振り返っていると、南 ことりは私の会話の中に出てきたそらの名前に食いついたわ
見ず知らずの私の口からそらの名前が出てきてこれまたびっくり♪って感じね。
そらがアンタたちに私のことを話さなかった理由。
それは簡単よ。
私がそらに…
「口止めしてたからね。」
[[口止め…?どうして…。]]
どうしてって言われてもねぇ。
うーん。
まぁ強いて言えば…そらを本気にさせたアンタたちのことを私がまだ信じていなかったから。かしら?
コイツらがそらのトラウマの深さをほんとに理解しているのか。
コイツらが本気でガンプライブに出場して優勝を目指すつもりなのか。
とかまぁ色々とね。
あとは…一番大きいのは…私がアンタたちに嫉妬していたから。
私はそらを本気にさせることができなかった。
それをこの子たちはやってみせた。
恋する乙女としてはそこんと複雑なのよ。
ま、そんなことは今さら何だけどね。
「色々とあんのよ。それよりも…アンタは仲間が目の前でヤられたってのにそんな悠長におしゃべりしていていいの?しかも仲間をヤった帳本人と。」
そこら辺は…いつか話してあげるわ。
色んなことを乗り越えたその時にでも…ね。
[[えっ?]]
だからそのためにも南 ことり。
アンタには私と一緒に飛んで貰うわ。
果てないソラってヤツを。
「かかってこないの?って言ってんのよ。私は。」
[[それは…だって…ことりひとりだけじゃ…。]]
案の定、南 ことりは私の挑発じみた言葉に尻込みしちゃったわ。
ひとりだけじゃ…ってね。
確かに勝ち目は限りなく薄いわよ。
けど、勝ち目がまったくないわけでもないんだけどね。
「私には勝てない?」
[[……………………はい。]]
とは言え、今の萎縮しまくってるこの子じゃほんのわずかに残されてる勝機を探すなんてムリよね。
だからこそのテコ入れなんだし。
それじゃ…そろそろこの子にちょーっとキツイこと言ってあげようかしらね。
「そ。なら……南 ことり。アンタはいらないわ。」
[[えっ…?]]
「アンタはいらない。って言ったのよ。私のチームにはね。」
[[ことりは…いら…ない…。]]
南 ことりは私の“いらない”の言葉を聞いて、聞いているこっちが切なくなるような寂しそうな声で“いらない”って呟いたわ。
ごめんね。
イヤなこと言って。
でもアンタは飛べるハズなの。
高いソラを。
青いソラを。
他の子たちと一緒に、どこまでも。
アンタが小さなツバサだと思ってるそのツバサはね?ほんとはとっても大きなツバサなのよ?
だから…
「勝てる見込みがないからって簡単に諦めてバトルを放棄するようなヤツはいらないって言ってんのよ。」
今は…酷いこと言うわね。
イヤな女でごめんね。
[[っ!だ、だって!勝てなかったら戦ったって!]]
「意味ない?」
[[そうです!意味ないんです!]]
南ことりは私が放った“いらない”って言葉に対して、勝てない戦いには意味がないって反論してきたわ。
ふーん。
まだ反論できるだけの元気が残ってたんだ。
けど…勝てない戦いには意味がない…ね。
その考え方…私は嫌いだわ。
[[勝たなきゃ…勝たなきゃダメなんです!バトルに勝てなかったら戦ったって何の意味もないんです!勝てなかったらことりはいらない子になっちゃうから!勝たなきゃダメなんです!だか「ふざけんな!!!」きゃ?!]]
勝たなきゃ意味がない。
その言葉を聞いた私は大きな声で“ふざけんな”って叫び、南 ことりの言葉を遮ってやったわ。
勝てなかったら意味ない?
本気で言ってんならお仕置きモンよ。
こうなりゃお節介にお説教もプラスよ♪
「勝てなかったら戦ったって意味ない?んなわけあるか!!!どんなに無様なバトルでも!そこに必ず意味はあるわ!!!」
[[そ、それは…それはあなたが強いから言えることです!!!ことりみたいに弱い子には勝てないバトルなんかには意味はないんです!!!]]
「例え!例えどんなに負けても!!!」
[[っ?!]]
「負けて負けて負け続けても!!!どんなに弱くても!どんなに強くても!!!意味がないバトルなんてそんなモンは絶対にない!!!!!」
そうよ。
意味のないバトルなんてないのよ。
負けたら意味がない?
それなら去年の私のバトルのほとんどは…そらとのバトルは意味のないバトルになるわ。
そらには結局は一回も勝てなかったからね。
でも意味はちゃんとあった。
敗北は私を強くした。
ちょっとやそっとじゃ負けないくらいの強さを与えてくれた。
そりゃまぁまだあのバカには勝てないけど…それでも今の私は胸を張って“私は強い!”って言えるくらいには強くなれたわ。
[[違う!意味なんて!]]
だから南 ことり。
アンタも負けることを恐れないで。
そして知って。
敗北の向こう側にあるほんとの強さを。
「ある!!!」
[[ありません!!!]]
とかカッコつけて考えてると、なんだか南 ことりが急に強気に出てきたわ。
私の負けても意味があるって言葉に真っ向から反論してきやがったの。
ここからはなんだかもうまたグダグダ。
意味はない!意味はある!って平行線の水掛け論ってヤツね。
「あるって言ってんでしょ!!!」
[[ないったらないんですぅ!!!]]
「ある!!!」
[[あーりーまーせーんー!!!]]
南 ことりも、もちろん私もどちらも引く気はさらさらなくて、お互いにある!ありません!をしばらく言い合ったわ。
「ある!」
[[ありません!!!]]
「あるの!」
[[あーりーまーせーんー!!!]]
こ、この鳥おんなぁぁぁぁぁぁ!!!
人がせっかく良いこと言ってやってんのに!!!
ってかさっきまでの怯えてたのはどこに行ったのよ!!!
なんかスッゴく挑戦的じゃないの?!
えっ?もしかして私って喧嘩売られてる?
売られちゃった?
はん!じょーとーじゃない!!!
売られた喧嘩は言い値で買い取ってやるわ!!!
「敗北は必ず己の血となり肉となるの!どうして負けた?どうすれば勝てた?次は勝つためにどうする?ガンプラは今のままでもいいの?どこを改造すればいいの?ほら!負けたバトルからはこんなにも得られるモノがあるの!!!」
[[だからそれはあなたが強いからです!!!ことりは弱いからいくら考えても強くなんてなれません!!!ガンプラを改造しても操縦が追いつかないもん!!!]]
「ならもっとバトルして腕をあげなさい!!!」
[[勝てないバトルはしたくありません!]]
「なんてワガママ?!勝てないバトルはしたくないならガンプラバトルなんてやめちまえ!!!!!!!」
[[イーヤーでーすー!!!ことりはみんなと一緒にガンプラバトルをするんです!!!穂乃果ちゃんと海未ちゃんとソラ君と、あとついでに真姫ちゃんと凛ちゃんと花陽ちゃんも交ぜてあげてみんなで一緒にいちゃらぶするんです!やめてたまるかこのヤロー!てすぅ!!!]]
なんでそこでいちゃらぶが出てくんの?!
イミワカンナイ!
ってか!
「誰がヤローだ!誰が!アンタ!ガンプラバトルをやめたくないなら!それなら恐れるな!!!怖がるな!!!あと一歩!前に足を踏み出せ!!!!」
ここまで私に対して強気になれるなら、この子のフォローは案外と簡単かもしれないわね。
さぁ!
やってやります!って言いなさい!
ノリと勢いに任せて自分の殻をぶち破りなさい!
[[っ!そ、それは…けど…でも…でも…]]
………なんでそこで勢いに任せてヤってやる!って言わないかなぁ…。
私がグダグダと“でも”とか“けど”を繰り返している南 ことりを見ながら、そんなことを考えていると…
<マスター。ご歓談中に失礼します。>
ウズメがなんか聞き覚えのあるセリフで話しかけて来たわ。
この流れって…ま、まさかよね?
流石に3回もおんなじオチはないわよね?
「……な、なに?」
私が警戒しながらウズメに聞き返すと…
<まもなく…>
「ま、まもなく?」
<バトルロイヤル終了のお時間です。>
って言われたわ。
あぁ。
そう言えばもうそんな時間ね。
そっか。
バトルロイヤルも終わりかー………………って!3回目の文字数10000のオチじゃないんかい!
じゃなくて!
「南 ことり!」
[[は、はい!]]
「この続きは外でよ!」
[[ふぇ?!外って?!]]
「それじゃまたあとで♪」
<失礼いたします。>
<あぁ。マスター。すっかり忘れていました。もうひとつご報告がございます。>
「報告?バトルロイヤル終了間際に何の報告よ?」
<はい。間もなく文字数が目安の10000文字となります。>
……………………………は?
<それでは皆様。また次回、お会いいたしましょう。>
「結局…結局…最後の最後で……またこれかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
[[TIME UP]]
つづく?
皆様。本日もご覧いただきましてありがとうございました。
ようやくバトルロイヤルも終わり、次回はいよいよにこちゃんと“μ's”1・2年生が生身での対面となります。
また、超不定期更新でアヤメさんヒロインのビルドダイバーズ物を始めました。
ガンプライブと合わせてお時間よろしければご覧になって下さいませ。
次回更新はいつも通り月曜日のお昼頃を予定しております。
お時間よろしければご覧下さいませ。
それでは改めまして、本日もご覧いただきまして、本当にありがとうございました。
皆様のご意見、ご感想、または質問などもお待ちしております。
どうかお気軽にお声掛け下さい。