ガンプライブ! ~School Gunpla Project~   作:Qooオレンジ

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皆様。本日もご覧いただきありがとうございます。

グラブルのサンシャインコラボに向けて各属性の強化を急ピッチで進めているQooオレンジでございます。
今の我が団なら、闇パ以外ならそれなりに戦える…筈…。


今回はことりさんsideの第12回目となります。
凹み状態が続くことりさん。
果たしてことりさんはいつもの無敵鳥人に復活することができるのでしょうか…?

それでは 第7話B「トベナイコトリ」そのじゅうに 始まります。



第7話B「トベナイコトリ」そのじゅうに

いつの間にかことりたちの輪の中に交ざって楽しくお話しをしていた“無冠の女王(ノー・クラウン)”矢澤 にこさん。

 

何度も“μ's”特有?のグダグダ空間に取り込まれながらも、矢澤 にこさんはようやくことりたちのところにやって来た理由を教えてくれました。

 

その理由はズバリ…“スカウト”。

 

自らが部長を務めているらしい音ノ木坂学院ガンプラバトル部への勧誘でした。

 

ただ…スカウトされたのは…

 

「アンタたちの実力はさっきのバトルで計らせてもらったわ。高坂 穂乃果、園田 海未、西木野 真姫、星空 凛、小泉 花陽。アンタたちは合格よ。」

 

穂乃果ちゃんと海未ちゃんと真姫ちゃんと凛ちゃんと花陽ちゃんだけ…。

 

矢澤 にこさんのお口からはことりのお名前は呼ばれませんでした…。

 

さっきのバトルロイヤルでも、絶対的な強者…“バケモノ”を前にして、怯えちゃっていつもみたいに簡単に諦めちゃったことりのことを、矢澤 にこさんは“いらない”って言ってたもんね…。

 

そうだよね。

 

ことりなんていらない子だよね。

 

穂乃果ちゃんたちと違って、ことりは弱いもん。

 

自分よりも強い人の前に出ると、怖くなって何にもできなくなっちゃうもん。

 

そんな弱虫なことりなんて誰もいらないよね。

 

弱さを隠すためにいつも派手にみんなを巻き込むようにバスターライフルぶっぱ~♪していても、わかる人には結局はことりが弱いってことがバレちゃうんだよね。

 

目の前にいるこの“無冠の女王(ノー・クラウン)”矢澤 にこさんに簡単にバレちゃったように…。

 

きっとソラ君にもとっくの昔にバレちゃってんだよ。

 

それでもソラ君はなんにも言わなかった…。

 

ことりに呆れちゃってたのかな?

 

だからことりが誘惑してもエッチなことしてくれなかったのかな?

 

な~んだ。

 

やっぱりことりが弱い子だからぜんぶダメだんだったんだ。

 

そう。

 

ガンダム的に言えば、哀しいけどこれが現実です。

 

「やったね!なんだか知らないけど穂乃果たちみんな合格だって!」

 

「にゃ。凛たちみんな合格ならとーぜんあのクソみたいにつえーそら先輩も合格だにゃ。このちみっ子先輩、最初はイヤなヤツっ思ったけど、案外いいヤツだったにゃ。これでめんどうな公式戦とかでなくてもガンプライブに出れるにゃ。」

 

矢澤 にこさんの言葉を聞いた穂乃果ちゃんたちは、思わぬ所であっさりとガンプライブ出場に必要だった生徒会からの公認が手に入って喜んでます。

 

ことりのお名前が無かったことに気付かずに…。

 

「えぇ。これであの偉そうに“認められないわ♪”とか抜かしやがった生徒会長にこれ以上偉い顔されなくて済みそうですね。」

 

いつもはしっかりしている海未ちゃんまでことりのお名前が呼ばれなかったことに気付いていません。

 

でも…仕方ないよね。

 

ことりは所詮はその程度でしかないんだから。

 

うん♪

 

暗くなるのはいつでもできます♪

 

元々もうそろそろみんなにことりのメッキがバレて一緒に戦えなくなるところだったんだし。

 

ちょうどいい機会ですぅ。

 

それにことりが矢澤 にこさんのチームに入れなくても出来ることはたくさんあります♪

 

例えばみんなのバトルコスチュームの作製とか♪

 

一緒には戦えないかもしれないけど、一緒にはいれるよね?

 

ことりはことりに出来ることでみんなをサポートしちゃいます♪

 

「ねぇ。ことり先輩は?」

 

「えっ?真姫ちゃん、ことり先輩がどうしたんですか?」

 

「呼ばれてないのよ。ことり先輩の名前だけ。もちろん言い忘れ…よね?」

 

ことりが暗くなるのを止めて、これから出来ることを考えていると、真姫ちゃんがことりのお名前が呼ばれていなかったことに気付いてくれました。

 

気付いてくれたのはうれしいけど、気付いて欲しくなかったなぁ…。

 

「言い忘れじゃないわ。私が合格って言ったのは高坂 穂乃果、園田 海未、西木野 真姫、星空 凛、小泉 花陽の5人よ。南 ことりはいらないわ。」

 

「へっ?」

「なっ!」

「にゃにゃにゃ?!」

「アンタ…!」

「えっ?えっ?えぇぇぇぇ?!」

 

さっきと…バトルロイヤルの時と同じようにハッキリと告げられる“ことりはいらない”って言葉…。

 

ガンプライブへの道筋が見えて喜んでいた穂乃果ちゃんたちは、その言葉を聞いて驚いたり怒ったり、それぞれ違った反応をしてくれました。

 

声の感じから判断すると、穂乃果ちゃんと凛ちゃんと花陽ちゃんの3人は驚いてるみたいですぅ。

 

そして海未ちゃんと真姫ちゃんは怒ってくれてるっぽいね。

 

なんで断定しないの?ですか?

 

それはことりがさっきからずっとうつむいてるからです。

 

みんなのお顔をまともにみれないから、暗くなるのは止めようとか言っていたクセに、ことりはさっきからうつむいてテーブルを見つめ続けています。

 

だって…今みんなのお顔をみたら…泣きそうなんだもん…。

 

見なくても泣きそうだけど…。

 

「高坂 穂乃果。異常なまでの反射神経とその反射神経を十分に生かした初心者にあるまじき高い回避能力。素組のストライクで私の“禍にこ”の“ヤサカニノマガタマ”のオールレンジ攻撃をあそこまで避けられるのは得難い才能ね。アンタの課題はもう少し考えて行動すること。恐れずに前に進むその行動力は高く評価できるけど、時と場合にもよるわ。いい?勇気と蛮勇は似ていてもまったく違うものなのよ。アンタの無謀な突撃で味方がヤバいことになるときもあるの。だから少しは考えて行動することを覚えなさい。あとは早く素組の機体を卒業して自分だけのガンプラを作ること。わかった?わかったら返事!」

 

「は、はい!」

 

ことりがうつむいて涙を堪えていると、矢澤 にこさんは何故か穂乃果ちゃんのお名前を呼んで、穂乃果ちゃんの良いところと課題を話し始めました。

 

その内容はとても的確でした。

 

穂乃果ちゃんが発揮する異常なまでの反射神経。

 

そしてそれを活かした回避能力。

 

何も考えずに突撃を繰り返す悪い癖。

 

矢澤 にこさんはそんな穂乃果ちゃんの特徴を穂乃果ちゃん自身へと突きつけて、誉めるところはちゃんと誉めて、ダメなところは直しなさいって言いました。

 

さっきの短い時間でここまで的確に穂乃果ちゃんの特徴を把握するなんて…やっぱり目の前のこの“無冠の女王”さんはすごい人なんですね。

 

色々と言われた穂乃果ちゃんは矢澤 にこさんの“返事!”の一言に、思わず“はい!”ってお返事を返します。

 

良かったね、穂乃果ちゃん。

 

ちゃんと導いてくれる人が仲間になってくれそうだよ?

 

これ以上は伸び代がないことりと違って、穂乃果ちゃんならもっともっと強くなれるから…だから…がんばってね…。

 

「ちょっと待って下さい!貴女は何を言ってるのですか?!そんな事よりもことりの 「園田 海未。」 えっ?」

 

矢澤 にこさんのアドバイスは止まりません。

 

今度はことりのことで矢澤 にこさんに食って掛かろうとしていた海未ちゃんです。

 

「現役スクールファイターの中でもトップクラスの抜群の射撃センスと、それと同じくらいに高い近接戦闘技術をあわせ持つ初心者ながらかなり高いレベルで安定した戦闘力を誇る優秀なファイター。戦闘中の判断能力も高くチームの指揮官としても優秀ね。戦闘面に関しては今のところ特に欠点らしい欠点は見当たらないわ。アンタの課題は高坂 穂乃果と同じく早く素組のガンプラを卒業して自分だけのガンプラを作ること。あとはアンタってほとんどガンダムのこと知らないでしょ?だから1番重要な課題はガンダム知識の学習ってとこかしら?MSVとまでは言わないから、せめてTVシリーズや劇場版、OVAとかのガンダムの映像作品に登場する機体や特殊システムくらいは覚えなさい。ガンダムならTSU○AYAとかそこら辺のレンタルショップでレンタルしてるし、そらのバカもガンダムシリーズなら一通りは円盤もってるから、どっちでもいいから借りて来て観なさい。」

 

うん。

 

やっぱり海未ちゃんへのアドバイスも的確です。

 

「え、円盤?!円盤ってなんですか?!TSU○AYAは私でもわかりますが…。それに青空のバカってなんですか?!貴女は青空とどの様な関係なんですか?!」

 

そして今度は…

 

「円盤はDVDやBD…Blu-rayのことよ。それくらいわかりなさいよね。そらと私の関係は…悪いけどその説明は後回しよ。次は…西木野 真姫。」

 

「ナ、ナニよ!」

 

「回避、防御、射撃、格闘。初心者ながらその全てが近年のスクールファイターの平均値を大きく越えているわ。戦闘面ではさっきの園田 海未と同じで、欠点らしい欠点は見当たらないわ。ただ、仲間がヤられたときに簡単にキレるのは気をつけなさい。時として怒りは自分の普段の実力以上の力を引き出してくれるけど、視野が狭まって思わぬところで足元を掬われちゃうわよ。格下相手に不覚を取ることになるかもしれないわ。キレるなっては言わないわ。怒りを…自分の感情をうまくコントロールしなさい。アンタにはそれができるだけの優れた“知性”があるんだから。その優れた“知性”で暴れ狂う“感情”を無理矢理にでもねじ伏せてみせなさい。いい?心は熱く、頭は常にクールに、よ。あとは園田 海未と同じで素組の卒業とガンダムの知識の学習ね。」

 

真姫ちゃんへのアドバイスでした。

 

「心は熱く…頭はクールに…。」

 

真姫ちゃんは矢澤 にこさんのアドバイスに思うところがあったみたいで、最後に言われた一声をポツリと呟きました。

 

心は熱く、頭はクールに。

 

って。

 

「いきなりはムリだろうから、少しずつでいいわ。ま、がんばりなさい。で、お次は星空 凛。」

 

真姫ちゃんへのアドバイスを終えた矢澤 にこさんは、次は凛ちゃんへと向き直り…

 

「にゃ、今度は凛かにゃ?!」

 

凛ちゃんへとアドバイスを始めました。

 

「アンタは使ってる機体とアンタ自身の持ち味が決定的に合ってないわ。アンタ、今のあの防御特化の機体を使ってバトルしていて、正直言って狭苦しく感じてない?」

 

矢澤 にこさんは、防御特化のガンプラ“ベニャッガイ”を使っていて狭苦しくない?って、凛ちゃんに優しく語りかけます。

 

「そ、それは……でもベニャッガイはかよちんが凛のためにって……。」

 

どうやら図星を突かれちゃったみたいな凛ちゃんは、矢澤 にこさんの語りかけに語尾にいつもの“にゃ”を付けるのも忘れて“でも…”と力なく答えました。

 

凛ちゃんにとってベニャッガイは大好きな親友の花陽ちゃんが、凛ちゃんのためにって用意してくれたとても大切なガンプラです。

 

そうそう簡単に乗り換えなんてできないよね。

 

もしも凛ちゃんにネコミミが付いていたら、きっと今の凛ちゃんはネコミミはへにゃってなっちゃってます。

 

そんなへにゃミミ状態の凛ちゃんに矢澤 にこさんは…

 

「やっぱり自分自身でわかってたんじゃない。今の機体と自分の持ち味が合ってないってこと。親友が自分ためにって頑張って用意してくれたガンプラを大切に想うのは悪いことじゃないわ。むしろガンプラを大切にしてるってことはスゴく良いことよ。でもね、もしアンタが、アンタたちが本気でガンプライブを勝ち抜こうと思ってるんだったら、ちゃんと自分自身の持ち味が活かせる機体に乗り換えなさい。私は別にあのベニャッガイってガンプラを捨てろとか壊せって言ってるワケじゃないわ。少しだけお休みしてもらって、自分自身がのびのびと、そして今よりももっと楽しく戦えるガンプラを作ろうって話なの。アンタにはあんなにスゴい防御特化の機体を作れちゃう、頼れる凄腕ビルダーの親友がいるんでしょ?その親友と話し合って、今度は一緒にアンタが望むアンタ自身のガンプラを作ってみなさい。そうすれば、きっとアンタは今よりもガンプラバトルが楽しくなるわ。ガンプラバトルが好きになるわ。そして…ガンプラバトルが強くなるわ。」

 

優しく、そして丁寧に語りかけてあげました。

 

「凛が望む凛自身のガンプラ…。凛のガンプラは………。」

 

凛ちゃんは矢澤 にこさんのお話を聞いて、心が動かされたみたいだね。

 

きっと花陽ちゃんと協力して、凛ちゃんにピッタリの素敵なガンプラを作るね。

 

矢澤 にこさんに“いらない”って言われちゃったことりは、きっともうみんなとは一緒に飛べないけど、凛ちゃんの作る凛ちゃんの望む新しいガンプラを楽しみにしてるね。

 

「もちろん私も手伝うし、どっかの公式戦トラウマな元チャンピオン様にも手伝わせるわ。必要なら私の知り合いに小泉 花陽に負けないくらいに凄腕のビルダーがいるから、お願いして手伝ってもらえるようにもするわ。 (もっとも、あのデカ乳タヌキ女に頭下げんのはスッゴく屈辱だけどね。ま、かわいい後輩のためなら仕方ないわ。) だからおふざけなしでちょっと真剣に考えてみて。」

 

「うん…。」

 

「いい子ね。さて、次は…小泉 花陽。アンタよ。」

 

凛ちゃんとのお話が終わると、矢澤 にこさんは今度は花陽ちゃんへと語りかけます。

 

「ひゃ、ひゃい!お手柔らかにお願いしまっしゅ!!!」

 

「別に採って喰おうってワケじゃないんだから、そんなにビビらなくてもいいわよ。」

 

ちょっと怯え花陽ちゃんに、矢澤にこさんはさっきの凛ちゃんの時みたいに優しい口調でビビらなくてもいいよって言うと、少し微笑んでみせました。

 

その微笑みをうつむいている状態からチラリと横目で見たはことりは、とてもキレイな微笑みだな、って思いました。

 

ことりはことりのことを“いらない”って言った相手なのも忘れて、そんなキレイな微笑みに思わずボーッと見惚れてしまいました。

 

この人…見かけはとても幼く見えてキレイって言うよりもかわいいって言った方が似合う容姿なんだけど、今の表情はとっても大人っぽくてキレイで…。

 

悔しいけど、ことりじゃあんなにキレイに微笑むことなんてできません。

 

「そ、そうなんですか…?」

 

そうこうしているうちに、矢澤 にこさんのお話が始まりました。

 

「そうなの。ったく…私を何だと思ってるのよ…で、小泉 花陽。現状でもトップクラスのビルダー能力を持ち、そしておそらくは史上初めて電子精霊4体と同時に契約を交わしたレアな“精霊使い(エレメンタラー)”。電子精霊持ちってことでファイターとしての能力も悪くはないわ。伸び代もまだまだあるしね。普段は臆病であまり前に出たがらないみたいだけど、ここぞと言うときには勇気を振り絞って前に出ることもできる。怖くてもみんなのために前に出れるその勇気…私は高く評価するわ。課題は…そうね。もう少し近接戦闘…ってか格闘戦の技術も身につけた方がいいかしら?アンタ、格闘戦はあまり得意じゃないでしょ?」

 

怖くても勇気を振り絞って前に…か。

 

花陽ちゃんはほんとに強いよね。

 

みんなのために…か。

 

ことりは…ことりには…そんなことできないよ…。

 

怖くて怖くて、身体が震えて動けなくなっちゃう。

 

今日だってみんなががんばってるのに、怖くてなにもできなくなっちゃった…。

 

だから…だから…矢澤 にこさんは…ことりを“いらない”って言ったんだよね。

 

「うっ!それは…そのー…」

 

「苦手でもいいの。誰にだって得手不得手はあるんだもの。私にだって苦手なことはあるわ。ただね?苦手なままで放置しちゃダメってこと。せっかく怖くても勇気を振り絞って前に出れるんだから、その時にちょっとやそっとじゃヤられないように、格闘戦の技術も身に付けなさいって話なのよ。幸い、そらのバカは近接格闘戦が得意だから色々と教えてもらいなさい。そして少しずつでもいいから教わった技術を自分の物にできるように練習してみなさい。まずは前衛が抜かれて自分のところまで敵機が近付いてきたときに、前衛組が援護に来てくれるまでの間、1人で自衛できるくらいの技術を身に付けましょ。大丈夫よ。アンタには頼れる相棒が4体もいるんだから。がんばりましょ。」

 

「は、はひ!」

 

矢澤 にこさんのお話を聞きながら、ことりがさらに悲しい気持ちになっていると…

 

「さて、みんなだいたい自分の長所と短所を把握できたわね?明日からはさっき私が言った課題を意識しながら立ち回ってみなさい。星空 凛はどんな機体が自分に合ってるか、ちゃんと考えてみなさいね。それじゃ今日は解散!明日は放課後になったら一旦ガンプラバトル部の部室に集合よ!ガンプラバトル部への入部届けにサインしてもらうからそのつもりで!あぁ、そうそう。アンタたちガンプラバトル部の部室の場所わかんないわよね?そらなら知ってるから適当に案内してもらいなさい。」

 

矢澤 にこさんはそう言ってお話を終わらせようとしました。

 

でも…

 

「は、はい。わかりました…って!そうじゃありません!!!私達の課題を洗い出して提示してくれた事には感謝しますが、そんな事よりもことりです!ことり!!!何故ことりはいらないだなんて言うのですか!ことりは私達の中では1番のベテランファイターなんですよ!青空を除けば私達の中で1番強いファイターなんです!そのことりが“いらない”とはとてもではありませんが納得出来ません!!!そもそも!ことりが“いらない”理由は何なんですか!!!」

 

「そ、そうだよ!海未ちゃんの言ってること半分もわかんなかったけど、ことりちゃんが“いらない”なんて変だよ!だってことりちゃんだよ!ことりちゃんなんだよ!!!ことりちゃんはことりちゃんだからぜーったいにことりちゃんなんだもん!!!ことりちゃんはいらなくなんてないもん!!!みんなにやさしくいろいろと教えてくれたから、いい人だなーって思ったのに!なんでことりちゃんにだけいじわるするの!!!」

 

海未ちゃんと穂乃果ちゃんが矢澤 にこさんのお話を遮り、ことりのことをいらなくななんてないって言ってくれました。

 

ことりは矢澤 にこさんがどうしてことりは“いらない”って言ったのか、その理由を理解してはいるけど…それでも2人の大切な幼馴染みがことりのことをいらなくなんてないって言ってくれて…その言葉がとても嬉しくて嬉しくて…凍りついたように冷たくなっていた胸の中が、少しだけ暖かくなったような気がしました。

 

けれども…

 

「はぁ…私は南 ことりは“いらない”って言ったの。私が“いらない”って言ったんだから、それ以上でもそれ以下でもないってのよ。それに南 ことりを“いらない”って言ったちゃんとした理由だってあるわ。説明してあげよっか?私は別に構わないけど…でもいいの?本人の前で“いらない”理由なんて言っていいの?下手するとトラウマになるわよ?アンタたちの大切な“オトモダチ”が立ち直れなくなるわよ?」

 

矢澤 にこさんは2人の抗議を一切受け付けずに、まるで穂乃果ちゃんと海未ちゃんを挑発するかのように、ことりがいらない理由を話してもいいの?って言い放ちました。

 

「…と…ら…うま…………(穂乃果?穂乃果?大丈夫?) っ!(だ、だいじょぶ!だいじょぶだよ!穂乃果はもうひとりじゃないから!トラウマなんかに負けないもん!) (ならいいんだけど…無理はしないでね?ダメそうなときはホノカが変わるから言ってね?) (うん!ありがと!ホノカ!) だいじょぶ!ことりちゃんは強い子だから!!!ぜーったいにだいじょぶ!!!!」

 

穂乃果ちゃんは矢澤 にこさんの言葉を聞いて、一瞬だけ何かを迷っているような素振りをみせたけど、すぐに自信満々でことりは強い子だから絶対に大丈夫って言ってくれました。

 

穂乃果ちゃんはことりは強いって言ったくれるけど…ことりは…強くなんてないの。

 

今だって何も言えないでうつむいているだけ。

 

昔からそう。

 

辛いこと。

 

悲しいこと。

 

色んなネガティブなことに遇う度に、ことりはただうつむいてじっとしているだけ。

 

嫌なことが過ぎ去ってくれるのをうつむいて待っているだけ。

 

穂乃果ちゃんみたいに、顔をあげて立ち向かったりなんてできないの。

 

ことりは弱い虫さんだから。

 

「へぇ…ずいぶんと面白いこと言うじゃない。南 ことりが強い?ねぇ、アンタ…それ本気で言ってんの?」

 

だから…今もただうつむいて、全てが終わるのを待とう。

 

それが弱いことりにできる精一杯のことだから。

 

「えっ?」

 

「勝てる見込みがなくなるとすぐに逃げようとする。挙げ句の果てには強者の前に出るとブルブルガタガタ震えて動けなくなる。そんなヤツが強い?はん!ちゃんちゃらおかいしわ!」

 

「ちゃ、ちゃんちゃら?ナニソレ?!穂乃果よくわかんない!」

 

「はぁ…これだからアホはイヤなのよ…。」

 

「穂乃果!アホじゃないもん!!!」

 

ごめんね、穂乃果ちゃん。

 

うつむいて涙を堪えてる“ど”シリアス真っ最中のことりだけど、“ちゃんちゃらおかしい”もわかんない穂乃果ちゃんはやっぱり穂乃果ちゃん(アホ)だと思うよ。

 

そこだけはどんなにシリアスに浸っていたとしても、ことりは否定できないよ。

 

ほんとごめんね。

 

「穂乃果!よくわからないなら少し黙っていて下さい!このアホは放っておいて…ことりが逃げだそうとする?何かの間違いでは無いですか?ことりならば逃げ出そうとするよりも先に、まずはぶっぱ~♪ぶっぱ~♪とか言いながら、バスターライフルを振り回して私達諸とも全てを消し飛ばそうとする筈です!あの凶暴なことりがたかが自分よりも強い相手に怯えてガタガタブルブル震えるなんてあり得ません!!!」

 

そして海未ちゃん…ことりが凶暴ってど~ゆ~意味かな?

 

ことりだって女の子なんだから、強い相手に出会ってしまったら、怖くてガタガタブルブルになっちゃうよ。

 

「いや、凶暴なことりがってそれ幼馴染みの親友相手に言う言葉なの?まぁいいけど……園田 海未、アンタが言ったそのバスターライフルを振り回して、ってのはただの虚勢よ。南 ことりはあえて派手な…それこそ味方を巻き込むようなバカみたいに派手な振る舞いをして、今まで自分の弱さを必死になって隠して来たのよ。」

 

ぶっちゃけ…長年一緒に歩んできた大切な幼馴染みの2人よりも、矢澤 にこさんの方がことりのことを理解してます。

 

なんだか…ちょっと微妙な気持ちになってきちゃいますね。

 

「えぇぇぇ?!ことり先輩のあの凶悪な巻き込みぶっぱ~♪がただの虚勢ですか?!」

 

「無いわ。絶対に。アレはむしろ、毎回ノリノリでぶっ放してるでしょ。」

 

「うにゃ。真姫ちゃんの言う通りにゃ。アレはノリノリでマジでマジモンでヤってるヤツだにゃ。」

 

そしてこの3人もことりをなんだと思ってるんでしょうか。

 

泣くの止めてヤっちゃおっか?

 

「花陽!真姫!凛!今ちょっと真面目なお話をしているので茶化さないで下さい!!!おせんべいでも食べて大人しくしてなさい!」

 

「「「はーい。」」」

 

ことりが失礼千万なみんなを一思いにヤっちゃおっか?とか考えていると…

 

「別に大人しくしてなくてもいいわよ。だってこの話はもう終わりだもの。はい!それじゃ今度こそ解散!」

 

ことりたちの座っているテーブルに向かって来る足音が聞こえてきました。

 

この足音は…

 

「待って下さい!!!」

 

そう…きっと…

 

「俺も少し待って欲しいな。なぁ、にこちゃん。」

 

ソラ君の足音です。

 

「え?あ!青空!!!」

 

大好きな人の声に反応するように、ことりが涙を堪えるためにうつむいていた顔を上げたその先には、予想通りにことりの大好きな人が…ソラ君がいました。

 

ソラ君が来てくれたんですぅ。

 

ことりを助けに来てくれたんですぅ。

 

あのときみたいに…。

 

始まりのバトルロイヤルのときに…綺羅 ツバサさんと遭遇戦になっちゃったときみたいに…。

 

ソラ君がことりのことを助けに来てくれたんですぅ。

 

ソラ君の姿を見つけたことりは、今度はさっきまでとは逆に、うれしくて涙がでてきちゃいそうになっちゃいました。

 

「ふん。ようやく来たわね。バカそら。」

 

ことりがまた泣きそうになっちゃっている中、矢澤 にこさんはやって来たソラ君に向けて“ニヤリ”と笑い、とっても親密そうに“バカそら”って呼びかけていました。

 

その光景はなんだか長年連れ添った熟年夫婦のようで…。

 

矢澤 にこさんがソラ君のお知り合いなのは気づいていましたが、まさかこんなに深そうな関係だったなんて…。

 

“いらない”って言われて悲しくて泣いちゃいそうになって、今度はソラ君が来てくれてうれしくて泣いちゃいそうになって…けれども…今のことりは…シットデクルイソウデスゥ♪

 

※ 狂鳥状態ことり語は非常に読みくいので、同時進行で翻訳文を掲載いたします。

 

「誰がバカだ。にこちゃんの方が俺よりバカだろ。ってか遅れたのは誰のせいだと思ってんだ。にこちゃんが俺にちびっ子たちのお迎えを頼んだから遅れたんだろーが。しかも…買い物とか言っといてアミュセンで穂乃果たち相手にガンプラバトルしてたんだろ?」

 

「アンタがいるとこの子たちの実力を計るなんてできないでしょ。お迎えに行って欲しかったのはほんとだしね。どう?みんないい子にお留守番してる?」

 

ホラ。

 

チビッコタチノオムカエトカ、オルスバントカイイヤガッテマスゥ。

※ちびっ子達のお迎えとか、お留守番とか言いやがってます。

 

「こころがしっかりしてるから問題ねぇーよ。それよりも…なんでことりさんがいらねぇーとか言うんだよ?」

 

“ココロ”ッテコハフタリノアイノケッショウデスカ?スカ?スカ?スカ?

※“こころ”ってのは2人の愛の結晶ですか?すか?すか?すか?

 

「ふん。アンタだって気づいてたんでしょ?南 ことりのことは。アンタが放置してるから私が代わりに言ってやっただけよ。なに?悪い?」

 

「悪いに決まってるだろ!よりにもよって“いらない”なんて言いやがって!!!」

 

「今のままなら南ことりが“いらない”のはほんとだもん。」

 

「言い方ってもんがあるだろ!!!」

 

「ほら、私って不器用だから♪」

 

「ナニが不器用だから♪だ!にこちゃん大抵のことはそつなくこなしちまうだろーが!」

 

「にこにー♪天才だもーん♪」

 

ダマッテキイテイレバ…ガチデジュクネンフ~フミタイナカイワシヤガリガッテ。

※黙って聞いていれば…ガチで熟年夫婦みたいな会話しやがりやがって、

 

コレハアレダネ。

※これはアレだね

 

カバンノナカノホ~チョ~ノデバンダネ。

※鞄の中の包丁の出番だね。

 

コンヤノコンダテハ“ノー・クラウン”サンノノオサシミダネ。ダネ。ダネ。ダネ。ダネ。ダネ。

※今夜の献立は“無冠の女王”さんのお刺身だね。だね。だね。だね。だね。だね。

 

「あ、そう。ことりさん。このバカが言ったことは気にすんな。見ての通りにこちゃんってバカだからさ。バカがバカなこと言ってるなー程度でマジに受け取んなくていいから。ことりさんは間違いなく俺たちチーム“μ's”に必要な人材だからさ。」

 

アァ。

 

ヤッパリソラクンハヤサシイヨネ。

※やっぱりソラ君は優しいね。

 

コンヤハイッショニオサシミタベヨ♪

※今夜は一緒にお刺身食べようね♪

 

メノマエニイヤガルコノクソチビオンナヲキュットシメテ、シメタテノ“ノー・クラウン”サンデシンセンナオサシミヲツクルカラネ♪

※目の前に居やがるこのクソチビ女をキュっと〆て、〆たての“無冠の女王”さんで新鮮なお刺身を造るからね♪

 

「衣装係りとしてね♪」

 

…………シメルマエニオンナノコニウマレタコトヲコウカイサセタホ~ガイイカナ?カナ?カナ?カナ?カナ?カナ?

※……〆る前に女の子に産まれて来た事を後悔させた方がイイかな?かな?かな?かな?かな?かな?

 

「オイ!ゴルゥラァァァァァ!!!ヤザワァァァァァァ!!!テメェはちょっと黙ってろ!!!いい加減にしねぇーと足腰立たなくなるでぶち込むぞ!!!ゴルゥラァ!!!」

 

ダメダヨ。

※駄目だよ。

 

ソラクンガコンナクソチビオンナノアソコニイレチャダメ。

※ソラ君がこんなクソチビ女のアソコに挿れちゃ駄目。

 

コンナクソチビオンナナンカ、ブタゴヤニデモブチコンデウワサノドリル○ン○ンデオカサレチャエバイインダ。

※こんなクソチビ女なんか、豚小屋にでもぶち込んで噂のドリルち○ち○で犯されちゃえばイイんだ。

 

「いやぁ~ん♪にこにー♪今夜もそらのバカに犯されちゃう~♪足腰立たなくなるまでぇ~♪ずぼずぼされちゃってぇ~♪アへらせられちゃうんだわぁ~♪もうらめぇ~♪とか、もうかんにんしてぇ~♪とか言わされちゃうんだわぁ~♪」

 

ナニガ“ラメェ~♪”ダ。

※ナニが“らめぇ~♪”だ。

 

ナニガコンヤ“モ”ダ。

※ナニが今夜“も”だ。

 

ムカツク。

※ムカつく。

 

アァ。ムカツク。

※あぁ。ムカつく。

 

○ネバイイノニ。

※○ねばイイのに。

 

ソウダ。

※そうだ。

 

○ネバイインダ。

※○ねばイイんだ。

 

○ネ。

※○ね。

 

○ネ。

※○ね。

 

○ネ。

※○ね。

 

○ネ。

※○ね。

 

○ネ。

※○ね。

 

○ネ。○ネ。○ネ。○ネ。○ネ。○ネ。○ネ。○ネ。○ネ。○ネ…………コンヤ“モ?イマ…コンヤ…“も”って言いましたか?

 

ことりは真っ黒な感情に支配されていつものように堕ちゃっていましたが、ソラ君と矢澤 にこさんのお話の中でとても…そう、とても、とても、と~っても、気になる一言を聞いて、思わず正気に返っちゃいました。

 

それは…

 

「もうらめぇ~♪ってなんかムカつきますね………………今…今夜“も”と言いましたか?今夜“も”ですか?えっ?“も”って何ですか?“も”って?」

 

そう。

 

今夜“も”ですぅ。

 

「はひ!花陽もばっちり聞いちゃいました!今!今夜“も”って言いました!」

 

「えぇ。私も今夜“も”って聞こえたわ。」

 

「にゃ?にゃ?今夜“も”ってことは昨日“も”足腰立たなくなるで犯されたってことにゃ?」

 

「ん~?穂乃果はよくわかんない?(大丈夫。穂乃果はわかなくてもいいから♪)」

 

「とりあえず…誠に心苦しいのですが、現在進行形で問題にしていたことりの事は一旦そこら辺に置いておくとしまして………今夜“も”の“も”について……きっちりしっかりはっきりと!説明して貰いましょうか!!!」

 

「「あっ。やぶ蛇った。」」

 

ことりもシリアスは1回止めて、そのことについて深くついきゅ~したい気分になってきました♪

 

ちゅん♪ちゅん♪

 

ことりちゃん♪シリアスモードから大復活♪です♪です♪ですぅ♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様。本日もご覧いただきましてありがとうございました。


うつ向いてグダグダウジウジと凹んでいたことりさん。
にこちゃんの不用意な一言を聞いて見事に復活することができました。
次回は復活したことりさんを加えた肉食獣の群れが、にこちゃんとソラの関係を厳しく追求します。
果たしてにこちゃんは生き延びることが出来るのか…。
そう言えば…ソラは主人公なのにかなり久しぶりの登場でしたね…。
これでいいのか主人公?

次回更新はいつも通り月曜日のお昼頃を予定しております。
お時間よろしければご覧下さいませ。

それでは改めまして、本日もご覧いただきまして、本当にありがとうございました。
皆様のご意見、ご感想、または質問などもお待ちしております。
どうかお気軽にお声掛け下さい。


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