ガンプライブ! ~School Gunpla Project~ 作:Qooオレンジ
近場の模型屋さんでコト○キヤさんのM○G日本刀がどこにも売られておらずに困っているQooオレンジでございます。
やはりAm○zonを使うしか…
さて、今回のことりさん回は何故ことりさんが遅刻をしてしまったのか…といった内容になっております。
それでは 第7話B「トベナイコトリ」そのじゅうはち 始まります。
音ノ木坂学院ガンプラバトル部の部室でエンカウントした矢澤先輩との壮絶な舌戦から早いモノで2日の時間が経ちました。
そう…今日はいよいよことりが“無冠の女王(ノー・クラウン)”矢澤 にこ先輩へとなけなしの維持とプライドと、そしてここが1番何よりも大切な処女卒業のための諸々を賭けた決戦の日ですぅ。
朝、海未ちゃん発案の地獄の朝練を頑張って、ソラ君が用意してくれた朝ごはんをもりもり食べて、それからいつも通りに学校に行って、いつも通りに授業を受けて…そして放課後を迎えたことりは、穂乃果ちゃんと海未ちゃんに挨拶を済ませると、ソラ君と一緒に急いで今日のバトルの準備をするために一路ソラ君のお家へと向かいました。
ことりのガンプラ…ウイングガンダム・リトルバードを対矢澤先輩用に改修したときは、学校の講堂の裏手にひっそりとある何故か無駄に豪華な設備が揃っているガンプラバトル部の部室のやっぱり豪華な設備し揃っていた工作室を使いましたが、今日は“soar”用に最適化されたサポートAIシステムの最終調整だけなので、機材が揃っているソラ君のお部屋にお邪魔しちゃってますぅ。
実ははじめてお邪魔しちゃったソラ君のお部屋なんだけど、思っていたより…っと言いますか、かなり綺麗にお掃除されてちゃんと整理整頓されていました。
水色のシーツが敷かれたセミダブルのちょっと大きめなベッド。
浮気相手が余裕で隠れちゃえそうな大きさの備え付けクローゼット。
お部屋に2つある机の片方には、色々とガンプラのパーツが乗ってますぅ。
そしてもう片方の机にはパソコンが置かれてますぅ。
ちなみにソラ君はそのパソコンにことりのGPベース“マカロンフェスタ”を繋いで、画面にまったくこれっぽっちも理解できない文字の羅列を表示させてナニやらキーボードをカタカタしながら作業中なんですぅ。
たぶんサポートAIシステムの最終調整をしてくれているんだろ~けど…うん。やっぱりナニをやってるのかさっぱり理解できません♪
コンピュ~タ~は難しいですぅ♪
あとお部屋を見回してことりが思ったのは、ガンプラ好きなら当然の積みガンプラも思っていたより少ないことですぅ。
積みガンプラはカラーボックス2つ分くらいしかありません。
そんな思っていたより少ない積みガンプラを見ていると、ことりはあることに気づいちゃいました。
そりゃも~驚愕の事実に。
なんとびっくり♪
積みガンプラの中に………ガンダムがありました。
そう!ガンダムです!
ガンダムがあったんですぅ!
ザクばっかり使っていて、ガンプラバトルでは頑(かたく)なにガンダムタイプのガンプラを使わないソラ君がガンダムのガンプラを持っていたんですぅ!
えっ?!ソラ君ってガンダムタイプのガンプラがキライなんじゃなかったの?!
ことりとお揃いのウイングガンダムを使お~♪って上目遣いで“おねがぁい♪”したときだって“ガンダムタイプは意地でも使わねぇ!”って断られちゃったのに!
それなのにガンダムのガンプラがあるんですよ?!
しかも!
しかもですよ!
よく見るとガンダムタイプのガンプラはガンダムだけじゃありません!
リメイク版のガンダムMk-Ⅱ(ティターンズ仕様)に陸戦型ガンダム、ガンダムXディバイダーにVガンダム、ダブルオーガンダム セブンソード/Gもあればプレバン限定のガンダムAGE-2ノーマルの特務隊仕様までありますぅ!
あっ!ウイングガンダムもありますぅ!
こ、これはいったい全体と~ゆ~ことですか?!
「っし。これでサポートAIの調整も完了っと…。」
「ソラ君!」
ことりは居てもたってもいられなくて、サポートAIシステムの調整が終わって、椅子にもたれ掛かって“のび~”っとしているソラ君に問いただすことにしました。
「うぉ?!な、なんだよ!急に大声出して?!」
いきなり“のび~♪”としていたところ、後ろから大きな声で名前を呼ばれたソラ君はビクッ♪と体を震わせて、ことりの方を振り向きながらなんだよ!って言ってきました。
なんだよ!はこっちのほ~ですぅ!
「大声の1つや2つ出したくなります!何ですか!コレは!」
ことりは椅子をくるん♪と回転させて、ことりのほ~を向いたをソラ君に対して、部屋の片隅に置かれているカラーボックスをビシッ♪っと指差して問いただしますぅ。
何ですか!コレは!って。
ことりのその問いにソラ君は…
「はぁ?コレって…イヤ、見てわかんない?どこにでもある積みガンプラだけど……?」
怪訝(けげん)そ~なお顔で積みガンプラだけど?って答えました。
うん。
確かにどこにでもあるふつ~の積みガンプラですぅ。
でもことりが聞きたい答えはそ~じゃありません!
ことりが聞きたいのはソラ君のお部屋の積みガンプラなのにガンダムタイプのガンプラが混じっていることですぅ!
ガンダムですよ!ガンダム!
ザクスキーで量産機スキーなソラ君がガンダムのガンプラを持っているんですよ!
ことりはそのことに納得のいく説明をよ~きゅ~しますぅ!
「それは見ればわかりますぅ!ことりが言ってるのはそ~じゃなくて!積みガンプラのラインナップですぅ!」
「ラインナップ?プレバンのガンプラが何個かあるくらいで、あとは特に変わったガンプラは積んでねぇーハズだけど?」
「それもあるけどそっちのラインナップじゃありません!ことりが言いたいのはなんでソラ君のお部屋の積みガンプラなのにガンダムのガンプラがあるか!ですぅ!」
「はぁ?!ガンダムのガンプラくらいどこにでもあるだろ!普通は!」
確かに普通の積みガンプラならいくらでもガンダムタイプが積んであるんだろ~けど、あきらかに普通じゃないソラ君が普通とか言っちゃうんですか?!
あとソラ君はど~せガンダムタイプのガンプラは使わないんだから積んでても無駄なんじゃないですか!
「えぇ~!だってソラ君ってザクスキーじゃないですか!それにバトルじゃ絶対にガンダムは使わない!っていつも言ってますよね?それなのにど~してふつ~にガンダムのガンプラあるんですか!ことりはそこら辺を問いただしたいんですぅ!」
「あー…いや、まぁそりゃ確かにバトルじゃ絶対に意地でもガンダムタイプを使うつもりはねぇーねど、それとこれとは話は別だろ?ガンダムタイプのガンプラくらい俺だって作るし改造用のパーツとしても使うって。」
「むぅ!それでもなんか解せません!ですぅ!」
「ですぅ!って言われてもなぁ…。」
解せません
解せませんったら解せません!
だいたい!ソラ君はど~してガンダムタイプのガンプラをガンプラバトルで使わないんですか!
男の子なら普通はかっこよくてアニメでも大活躍しちゃう主人公機が好きなんじゃないんですか?
ぶっちゃけザクなんて毎回毎回ヤられまくってるザコさんですよ?
たま~にガンダムに勝つザクもいるけど、基本的にはすぐにヤられちゃうんです!
ガンプラバトルで言えばファーストガンダムのザクってハイ・モックさんみたいな立ち位置ですよ!
ザクなんてヤられてなんぼですよ!なんぼ!
なのにど~してザクを使い続けてるんですか?
この際ですぅ!
そこら辺も突っ込んで聞いてみましょう!
突っ込んで聞いてみるついでにことりのマタノトビラにソラ君のおまたに生えてるミートスティックさんも突っ込んで欲しいですぅ!
もちろん!生で!
「そもそもソラ君はなんでガンプラバトルでザクしか使わないんですか!ど~せソラ君なら何のガンプラを使っても無双しちゃうんだから、たまにはことりとお揃いのウイングガンダムを使って遊んで欲しいですぅ!」
「え?やだ。」
「ちゅん?!即答?!」
ことりがついでにマタノトビラにミートスティックを生で突っ込んでください♪って言うヒマもなく、ソラ君はことりのよ~きゅ~を即答で断っちゃいました!
せ、せめてちゃんとマタノトビラにミートスティック突っ込んで~♪を言わせて欲しかったですぅ…。
「んなことよりほら。サポートAIの調整終わったぞ。」
ことりが内心でorz状態になって凹んでいると、ソラ君はそんなことはお構いなしにことりに向かって調整の終わったGPベースをポイ♪っと放り投げてきました。
「はぅ?!っと!っと!っと!ですぅ!」
ことりは放り投げられたGPベースを取り損ねて危なく落としそうになりながらも、なんとか無事にキャッチすることに成功しました♪
やったね♪流石はことりちゃんですぅ♪
まぁ別に落としたくらいでGPベースは壊れたりしないんだけどね。
「ナイスキャッチ。んじゃ準備も終わったしそろそろアミュセンに行くか。」
ソラ君はなんとかGPベースを無事にキャッチできたことりにそう言いながら、お部屋の入り口へと向かおうとしました。
そんなソラ君をことりは…
「えっ…?ま、まだだいじょ~ぶだよ♪ほら!時間に余裕あるし♪あのね?あのね?ことりね?も~少しソラ君のお部屋でお話したいなぁ~♪な~んて♪あ♪そうだ♪なんだったらおよ~ふくも脱いじゃいおっか?特別に♪ぜ♪ん♪ら♪になっちゃってもい~よ?ね?ね?だからもうちょっとだけことりとお話しよ?ね?」
慌てて引き留めました。
そう。
まだ約束の時間までは少しあります。
まだ行かなくてもだいじょ~ぶなんですぅ。
だから…だから…
「怖くなった?にこちゃんとガチでやり合うの?」
「っ!」
“怖い”
それはソラ君のお部屋に来てから、わざといつも通りに振る舞うことでずっと隠してきたこと…。
完璧に隠せていたと思ったのに…。
「な、なんで…」
「“怖い”ってその気持ち…俺もわかるから。俺もいつも怖くて怖くて堪んねぇからさ。」
ソラ君が…“怖い”?
それもいつもいつも?
そんなのウソです!
少なくても、ことりたちと仲良くなってからのソラ君は、いつでも誰よりも強かったです!
初めての公式戦のときはトラウマに負けないでことりたちを助けに来てくれました!
前を向いて、上を向いて、真っ直ぐに!
強く!強く!強く!強く!強く!強く!強く!!!
突き進んでいます!
それなのに怖い?
ソラ君が?
そんなこと…そんなこと…
「そんなことないハズですぅ!ソラ君はいつでも!」
「強いってか?んなことねぇーんだよ。基本的に俺ってヘタレだし。1人じゃ何もできねぇんだよ。」
「うそ…だって…だって…」
「ホントだって。俺はずっと昔からいつでもどこでもナニかに怖がって生きてるんだ。捨てられるのが怖い。嫌われるのが怖い。1人になるのが怖い。愛されるのが怖い。失うのが怖い。アレもソレも、何もかもが怖い。怖くて怖くて堪らねぇ。」
そう言ったソラ君の顔はすごくすごく寂しそうでした。
いつもよりも小さく見えるソラ君はまるで迷子のようで…
「ソラ君…」
そして突然の告白に戸惑うことりに、ソラ君は…
「だから…俺は別にことりさんがにこちゃんから逃げてもいいって思ってるんだ。」
逃げてもいいって言ってくれました。
「えっ?」
「怖いなら逃げればいいんだ。」
怖いなら…逃げればいい?
けど…
「けど、ことりさんは怖いけど負けたくないって思ってるだろ?」
でも…
「でも、やっぱり怖い。そうも思ってる。」
そう。
ことりはあの人に負けたくない。
でも…怖い。
けど…やっぱり負けたくない。
怖いけど負けたくない。
でも…けど……負けたくないけど…怖くて…怖くて…怯える心が…震えてる…。
一度自覚してしまった怯える心の震えは身体にも伝わり、ことりの身体はガクガクと震えだしてきちゃいました。
ソラ君はそんな震えることりに近づいてきて…
「こうすれば怖くなくなる。」
そっと抱きしめてくれました。
「あっ…」
「こうすれば震えは止まる。」
優しく、そして強く。
抱きしめてくれました。
「ことりさんが怖くなくなるまで、ことりさんの震えが収まるまで、こうしているよ。」
「うん………ねぇ…ソラ君…。」
「ん?」
「もっと…もっと…強く抱きしめて…。」
「おうよ。」
この時、心と身体の震えが少しずつ収まっていく中で、ソラ君の腕の中で、優しさと強さと、そして弱さに包まれる中で、ことりはこう思いました。
寄り添おう。
と。
この弱くて強い優しい男の子に。
いつかこの人が怖くなくなるように。
怯えなくてもよくなるように。
寄り添おう。
と。
いつまでも、どこまでも。
この命が続く限り。
永久(とわ)に、永遠(とわ)に。
寄り添おう。
と…。
「もう…もう……ことりはだいじょ~ぶですぅ♪」
優しさと強さと、そして弱さに包まれて、立ち向かう勇気をわけてもらったことりは、心の震えも身体の震えもすっかりと収っちゃいました。
このままずっとこのぬくもりの中に包まれていたい…。
そう思っちゃうけど、そうはいきません。
今のことりには待っている人がいるから。
立ち向かわなきゃダメな人がいるから。
名残惜しけどせっかくわけてもらった勇気です。
この勇気で一歩を踏み出して、ことりはあの人に…矢澤 にこさんに挑まなきゃダメなんです。
だからことりはソラ君の胸元に埋めていた顔を上げて、もう大丈夫だよ。って伝えます。
「ん。そうみてぇーだな。」
ソラ君はことりの顔を見ながら、そう言って抱きしめてくれるために背中に回していた手をゆっくりと離してくれました。
ことりから離れていくソラ君のお顔はちょっと照れくさそうですぅ。
そんなソラ君のお顔を見て、ことりはなんだかとっても嬉しくなっちゃいました♪
だからことりは…
「えっへへ♪ソ~ラ君♪もう1回♪はぐしよっ♪」
もう1回ソラ君に抱き付こうとしたんだけど…
「にこちゃんに勝ったらな。」
って言われて避けられちゃいました。
むぅ!
むぅ!むぅ!むぅ!
そこはまた優しく抱きしめてくれるとこですよ!
さっきまでのあま~い♪雰囲気はどこに行っちゃったんですか!
ことりはもう1回はぐをよ~きゅ~します!
はぐです!
はぐ!
「ってかさ…かなり今さらなんだけど…」
唇を尖らさせてむぅ~!ってお顔をしていることりを見て、またいつもの苦笑いをしているソラ君は、ことりの後ろのナニかに気付いて急にびみょ~なお顔になっちゃいました。
今さら…って言ってたけど、なんだろ?
あ♪ことり♪わかっちゃったかも♪
きっと“今さらなんだけど、俺ってことりさんのこと好きなんだよな”ですぅ!
告白ですよ!告白!
愛の告白ですぅ♪♪♪
「約束の時間…過ぎまくってるんだけど…。」
ほら!やっぱり愛のこく…は…く………えっ?約束の時間?
ことりはソラ君の言葉に促されるよ~に後ろをゆ~っくりと振り向いて、壁にかけられていた時計に目を向けました。
時計の針は矢澤先輩との約束の時間からだいぶ進んじゃってました。
ぶっちゃけ………1時間くらい…。
「あ…あはは………。」
「あー…やっちまったなぁ…。」
うん。
とんでもねぇ~だい!ちこく!ですぅ!!!!!!!
あのあと、ことりとソラ君はがむしゃらに走って走って走りまくって、毎度お馴染みのアミューズメントセンター音ノ木坂店に向かいました。
すっかり遅刻しちゃったから、絶対に矢澤先輩に怒鳴られながらねちねちと嫌味を言われちゃうんだろ~な…って思っていましたが、意外や意外。
矢澤先輩は怒ってはいませんでした。
それどころかことりとソラ君のことをすごく心配してくれていました。
怪我はない?って聞かれちゃいました。
そして今度からは怒らないから遅れそうなときは絶対に連絡してね。って優しく諭さすように注意してくれました。
それから矢澤先輩はバトルの準備のために10分間の時間をあげるって言うと、外の空気を吸いに1人ですたすたと歩いて言っちゃいました。
その後ろ姿はなんだかとても辛そうで…。
そう思ったのはソラ君もおんなじだったみたいで、ことりにちょっと言ってくる。って一言断りを入れて矢澤先輩を追いかけて行きました。
知り合ってからまだ数日しか経ってないけど、普段の矢澤先輩とは違いすぎるその様子が心配で、ことりもソラ君と一緒に追いかけて行こうと思いました。
けど何故かはわかりませんが、ここはソラ君に任せなきゃいけない。ってそんな気がしました。
だからことりはソラ君に矢澤先輩のことを任せて、バトルの準備を進めることにしました。
1番ガンプラの扱いにもガンプラバトルの準備にも慣れている花陽ちゃんに改修の終わったウイングガンダム・リトルバードのスキャンをお願いして、ことりは1人で更衣室へと向かいます。
そして持ち込んだ荷物の中からひとつの衣装を取り出します。
ノースリーブの薄い緑色のワンピース。
それはことりたちが始めて参加した公式戦で着ていたバトルコスチューム…。
取り出したバトルコスチュームをロッカーのハンガーにかけて、制服のブレザーを脱いでリボンをほどいて…。
さらにブラウスとスカートも脱いで…。
身につけている物が下着だけになると、ことりはハンガーにかけていたバトルコスチュームを手に取ります。
前回の公式戦が“μ's”の始まりの日だとしたら、今日はきっとことりの始まりの日。
ずっと逃げてばかりだったことりが始めて自分の意思で立ち向かうと決めた日。
さっきちょっとだけまた逃げ出しそうになっちゃったけど、それでもソラ君のお陰でことりはここまで来ることができました。
あとは……
「あの人に…矢澤先輩に勝つだけですぅ。」
さぁ、始めよう。
ことりのガンプラバトルを。
高く高く羽ばたくための戦いを。
バトルコスチュームに着替え終えたことりは、みんなが集まっているレストコーナーのテーブル席へと戻りました。
そして矢澤先輩とソラ君が帰ってくるのを待っていました。
10分。
矢澤先輩がことりに与えてくれたバトルの準備の時間が過ぎようとしていたその時…矢澤先輩はソラ君を伴って帰ってきました。
矢澤先輩はさっきまでのどこかとても辛そうな雰囲気ではなく、自信に満ち溢れたいつものような雰囲気に戻っていました。
ことりたちが待っていたテーブルへと戻ってきた矢澤先輩は、バトルコスチュームに着替えたことりを見るとニヤリと笑ってかわいい衣装ね。って言ってくれました♪
ことりはことりが作ったこの衣装が誉められて、ちょっと嬉しくなっちゃいますぅ♪
そこから少しだけ会話を交わして、ことりと矢澤先輩はそれぞれ指定されたガンプラバトルシミュレーターの筐体へと乗り込みました。
筐体のドアが閉まり終わるのを確認して、ことりは愛用のGPベース“マカロンフェスタ”を所定の場所へとセットします
そして…
「GPベース、セット…ガンプラバトルシミュレーター、システム起動…続けてサポートAIシステム、起動…」
ガンプラバトルシミュレーターを起動させます。
ガンプラバトルシミュレーターの起動が完了すると、続けてソラ君が“soar”を覚えたことりのためだけにカスタマイズしてくれたサポートAIシステムを起動させます。
サポートAIシステムの起動が完了すると…
<システム起動。おはようございます。ことり様。>
ウイングガンダム・リトルバードのコックピットとなった筐体のスピーカーから、女の子の声が響いてきました。
この子の名前は“すずめ”。
電子精霊さんたちのデータを解析して作られた、疑似人格搭載型第三世代サポートAIシステムのプロトタイプですぅ。
ソラ君の話では、矢澤先輩もすずめちゃんと同等の疑似人格搭載型サポートAIシステムを持っているそうですぅ。
「うん♪おはよ♪すずめちゃん♪」
そしてすずめちゃんたち疑似人格搭載型サポートAIシステムは、感情を学び経験を積んでいくと、いずれは電子精霊へと進化することができるらしいですぅ。
<それでは早速初期設定を開始します。IFS(イメージ・フィードバック・システム)接続。火器管制システム、ロック解除。>
まぁぶっちゃけことりは進化とか割りとど~でもよかったりします。
進化しても進化できなくても、すずめちゃんはすずめちゃん。
ことりの大切な相棒ですぅ。
とか考えているうちに…
<全システム、オールグリーン。出撃準備完了です。>
すずめちゃんはさっさと出撃前の初期設定をぜ~んぶ終わらせてくれちゃってました♪
「うん♪ありがと♪」
ソラ君がすずめちゃんを渡してくれるまでは、ずっと出撃前の初期設定はサブコンソールをポチポチして自分でやってましたけど、今度からはそのめんど~な初期設定はぜ~んぶすずめちゃんがやってくれちゃうから、と~っても楽チンですぅ。
とかまたまた考えていると…
<マザーシステムより出撃許可がくだされました。>
マザーシステムから出撃の許可がおりたみたいですぅ。
「りょ~かい♪それじゃ…南 ことり!ウイングガンダム。リトルバード!」
メインモニターの端に点る緑色の“GO”の文字を見ながら、ことりはナノマシンによって接続されたIFSを通して、スラスターに火を灯します。
そして…
「み~んなまとめてことりのおやつにしてやりますぅ♪♪♪」
背中のウイングスラスターと機体各部の補助スラスターを一気に噴射させて、発進ゲートを駆け抜けます♪
発進ゲートを抜けたその先に待ち受けていた光景…それは…
「ここって…大峡谷フィールド?」
普通のMSでも小人さんみたいになっちゃうとにかくおっき~大峡谷でした。
むぅ。
今回のバトルフィールドはことり的には可もなく不可もなく。ですぅ。
ことりの“soar”は一方通行な上にぶつかるか加速が終わるかするまでは止まれません。
その点、この峡谷ならまっすぐに進むだけならなんとかなりそうですぅ。
うん。
とりあえずは矢澤先輩を探さなきゃだね。
効果が切れちゃう前に矢澤先輩を見つけて、奇襲からの先制攻撃でイニシアチブを取っておきたいとこですぅ。
ちなみに何の効果が切れちゃうかって言うと、スプレーをプシュ♪っとして機体に施してある簡易ステルスの効果時間のことですぅ。
本格的なステルスコーティングを施すには時間が足りなかったから、つや消クリアとかと同じようにスプレーを吹き掛けるだけでお手軽にステルスコーティングができちゃうヤツを使ったんですぅ♪
まぁお手軽な分、ステルス状態を維持できる時間も心もとないんだけどね。
現にステルス状態の効果時間は…あとどれくらい残ってるんだろ?
サブコンソールをポチポチ…しなくても、今は優秀な相棒ちゃんのすずめちゃんに聞いちゃえばいいだけなんだよね~♪
ホント色々と楽チンですぅ。
そんなわけで…
「すずめちゃん。ステルスコーティングの効果時間は?」
ことりはすずめちゃんにステルスコーティングの残り時間を尋ねました。
その答えは…
<残り3分を切りました。>
残り3分。
バトル開始から2分くらいしか時間が経ってないから、合計で5分くらいしか持たないみたいですぅ。
「残り時間3分、か…わかってはいたけどあのステルスコーティングスプレー…お値段の割には効果時間が短すぎですぅ。」
なけなしのおこづかいと貯まっていたGPで買った簡易コーティングスプレーだけど、コストかあまりにも高すぎるから使うのは今回だけだね。
しかも1回プシュ♪としただけでずっ~と効果が継続されるならまだ話は別だけど、このスプレー…実は空気に触れると少しずつ剥離していっちゃうから、ほぼバトル毎にまたプシュ♪とし直さなきゃダメなんですぅ。
ステルス性能自体はけっこ~優秀なだけに、お値段や効果時間とかバトル毎にプシュ♪とし直さなきゃダメとか、そこら辺はちょっと残念ですぅ。
って!そんなこと考えてるひまはありません!
簡易ステルスコーティングの効果時間は残り3分しかないんですぅ!
せっかく高いお金を払って施したんです!
このままムダにしちゃったらもったいないお化けさんが来ちゃいますぅ!
「残り3分の間に矢澤先輩を見つけることができればいいんだけど……。」
レーダーに捕捉される心配がないステルス状態なので、ことりはどんどんバトルフィールドを進んで行きました。
そうこうしているうちに…
「あ。いた。」
ことりは矢澤先輩を見つけることができました。
ソラ君の話だと矢澤先輩の使っているあの機体…ガンダムアストレイ・ダークフレーム禍にこのレーダー範囲はけっこ~広いってことだったけど、ことりのリトルバードはその広いらしいレーダーにはまだ捕捉されていないみたいですぅ。
どうやらちゃんと簡易ステルスコーティングスプレーが仕事してくれてるみたいですね…。
ちらりとサブモニターに視線を向けて、そこに表示されているステルス状態の残り時間を確認すると…
「あと1分…」
もうすぐ効果時間が切れちゃいそうでした。
タイミング的にはギリギリですぅ。
ちゅん♪
それじゃちょっと矢澤先輩に挨拶代わりに奇襲しちゃいましょう♪
使うのはもちろんバスターライフル♪
でもいつもの大型バスターライフルじゃありませんよ?
今回、リトルバードに装備してあるバスターライフルは、通常サイズのバスターライフルなんですぅ。
どうしていつものぶっぱ~♪仕様の大型バスターライフルじゃないかって言うと、どうせごんぶとビームをぶっぱ~♪しても吸収されちゃうからなんですぅ。
吸収されちゃうなら別に取り回し難い大型バスターライフルじゃなくてもいいんじゃね?と、いうわけで、今回は多少は取り回しやすい普通のバスターライフルを持ってきました♪
しかもですよ♪この普通のバスターライフルは出力を調整して、ソラ君が教えてくれた矢澤先輩がギリギリ吸収しない程度のごんぶとビームにしてあるんですぅ。
ちまちまと低出力で範囲だけ広いごんぶとビームを撃つのはことりの趣味じゃないけど、これもそれもぜ~んぶ♪あの人に勝つためですぅ。
<目標捕捉。>
「ちゅん♪バスターライフル♪ぶっぱ~♪ですぅ♪♪♪」
さぁ♪いざじんじょ~に勝負ですよ♪
矢澤先輩♪
つづく?
皆様。本日もご覧いただきましてありがとうございました。
ことりさんとにこちゃんの決闘は2~3話で終わる予定でございます。
もちろん長くて飽きると言われ☆1評価をいただいた本作だけに、ただ2~3話程度決闘をして終わる…と、言うような事はなく、もう一波乱起こる予定でございます。
久しぶりにあの人のセリフシーンを書くと余りの書きにくさに驚いてしまいます。
次回更新はいつも通り月曜日のお昼頃を予定しております。
頭に来て始めた短編シリーズの更新は金曜日のお昼頃を予定しております。
お時間よろしければご覧下さいませ。
それでは改めまして、本日もご覧いただきまして、本当にありがとうございました。
皆様のご意見、ご感想、または質問などもお待ちしております。
どうかお気軽にお声掛け下さい。