ガンプライブ! ~School Gunpla Project~   作:Qooオレンジ

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皆様。本日もご覧いただきありがとうございます。

スクフェスのクール属性がPrintemps編成になったQooオレンジでございます。
勧誘では何故か花陽ちゃんが異様に出るので、ついにクール属性のPrintemps編成が二年生編成の平均スコアを超えてしまいまして…。
さらば海未ちゃん&千歌ちゃん。
新規海未ちゃんが来ていたら二年生編成のままで良かったのですが…。

今回はにこちゃんsideの18回目となります。
今回よりようやくにこちゃんとことりさんの決戦となります。
そんなに決戦前にはにこちゃんが…。
毎度の事ながらグダグダガバガバではございますが、本日もお付き合いいただければ幸いでございますが。

それでは 第7話A「無冠の女王」そのじゅうはち 始まります。


























第7話A「無冠の女王」そのじゅうはち

「ぬがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!うぉっそぉぉぉぉぉぉぉぉい!!!もうとっくの昔に約束の時間は過ぎてんのよ!!!それなのになんであのクソ鳥娘は来ないのよ!!!!!にこにー様を待たせるなんて一億年と二千年くらい早いってのよ!!!!!!!ってかホントおっそーい!!!ちょっと海未!穂乃果!どーなってんのよ!!!なんであのクソ鳥娘は来ないのよ!!!」

 

にこにー様の居城たる音ノ木坂学院ガンプラバトル部の部室(魔改造済み♪)にチーム“μ's”の子たちを招待してやってから2日の時間が経ったわ。

 

そう!

 

今日はこの私!大銀河宇宙No.1超絶美少女スクールファイターの矢澤 にこにー様と、うじうじグダグダと悩みまくって勝手に1人では飛べないだなんて思い込んでいたあのクソ鳥娘の南 ことりとの決戦の日なのよ!

 

朝からの憂うつな授業をなんとかやり過ごしてようやく放課後を迎えた私は、さっそく部室で穂乃果や海未たちと合流して決戦の舞台でもある毎度お馴染みのアミューズメントセンター音ノ木坂店へとやって来たわ!!!

 

時間厳守の10分前!

 

さっすがにこにーさまぁ♪

 

クソ生意気なあのクソ鳥娘とのクソ約束を律儀に守るだなんてマーベラスでアメイジングでファビュラスよね!

 

これからはにこにー様のことファビュラス矢澤って呼んでくれてもいいのよぉん♪

 

とか言ってる場所じゃないのよ!!!

 

約束の時間になっても一向に来ないのよ!

 

あのクソ鳥娘が!!!

 

5分とか10分くらいの遅刻なら心やさしいファビュラス矢澤なにこにー様は許してあげちゃうわよ?

 

でもね?

 

約束の時間を1時間も遅刻ってどうなのよ?!

 

しかもよ!

 

連絡のひとつもよこさないでよ!!!

 

あり得ないでしょ?

 

えっ?ナニ?ドタキャン?ドタキャンなの?

 

あははー♪うん♪

 

ふ♪ざ♪け♪ん♪な♪♪♪

 

いくらにこにー様がやさしいって言っても、連絡の一つもなく大事な決闘の約束をドタキャンされたりしたらぶちキレちゃうわよ?

 

前回に続いて、うん。ぶっ殺す♪だってのよ!!!

 

と、まぁそんなわけで今にこにー様はとぉぉぉぉぉぉっても♪荒ぶってるにこ♪

 

あまりの遅さに頭に来た私は、クソ鳥娘の親友で同じクラスでもある海未(とついでにアホの穂乃果)にどうなってんのよ!って訊いてみたのよ!

 

「私に訊かれても困るのですが…確かにここまで遅れているのは少し可笑しいですね?ことりはいつもなら少し遅れるだけでも連絡を入れてくれるのですが…。」

 

「ことりちゃんとそら君。穂乃果たちよりも早く教室から出てったよね?もうアミュセンに来てるのかな?って思ってたんだけど…?」

 

半ば…ってか完全にキレながらの私の問いに対しての海未とアホの…じゃなくて穂乃果の答え。

 

それはあのクソ鳥娘と仲の良い2人にとってもこの大遅刻はおかしいといった感じのモノだったわ。

 

海未や穂乃果よりも先に教室を出たんだったら、穂乃果の言う通りもうアミュセンに着いているハズよね?

 

それなのにまだアミュセンには到着していない…。

 

連絡もない。

 

そらも一緒に教室から出ていったなら、きっと2人は一緒に行動してるのよね?

 

そらってあぁ見えて意外にマメな部分もあるから、遅刻しそうなら連絡くらいはしてくれるわ。

 

それはどうやら鳥娘もおんなじらしいし…。

 

そんな2人が遅刻しまくってるのに連絡もないなんて…。

 

うん。

 

あんまり考えたくはないけど…もしかして………。

 

2人は……

 

「これはアレにゃ。」

 

私の脳裏によぎるのは過去の記憶。

 

パパのグチャっとなったカラダ。

 

泣き崩れるママ。

 

パパの死を理解できていないまだ幼い妹たち。

 

妙に鼻につく消毒液の香り。

 

そして安物のお線香の香り。

 

忘れてしまいたい、でも絶対に忘れちゃいけない。

 

私の記憶の本棚の奥の奥の奥に鍵をかけてしまい込んでいる嫌な記憶。

 

近しいモノの…パパの死の記憶。

 

ぐるぐると頭の中で2人が事故に遇ったかもしれないと言う、考えるのも忌々しい嫌な予感が渦を巻いて、何だか吐き気がしてきた私の思考を中断させたのは、元気だけが取り柄の猫娘の凛の声だった。

 

「アレ、ですか?」

 

「そうにゃ。アレにゃ。」

 

「アレってナニよ!!!」

 

アレ。

 

凛が何を言おうとしているのかさっぱりわからない私は、心の奥底に渦巻いている暗い気持ちを吹き飛ばすためにあえて大きな怒鳴り声で凛に“アレってナニよ!”って聞き返したの。

 

でも…

 

「アレはアレにゃ。」

 

「凛のことは気にしない方がいいわよ?この子、アレはアレとか言ってるけど何にも考えないでアレとか意味深に言ってるから。」

 

どうやら凛の意味深な言動は特に何かを考えてのモノじゃなかったみたい。

 

私は私の嫌な予感と同じ事を他の子から言われなかった事に内心でホッとしつつ、同時にいつものふざけた冗談が飛び出て来なかった事にがっかりしてしまったわ。

 

いつものグダグダ空間を展開させてこの暗い気持ちを嘲笑って欲しい。

 

私はそう思っちゃっていたの。

 

でもね?

 

そんな私の密かな願いは叶ったみたい。

 

会話がいつの間にか、いつものグダグダ方向へと向かいはじめていたのよ。

 

「そ、そんにゃことねぇーにゃ!凛はちゃんと考えてるにゃ!」

 

「ならその考えてるってこと。言ってみなさいよ?ほら?」

 

「みぎゃ?!そ、それは………か、かよちん!説明よろしくだにゃ!」

 

真姫の冷静な評価に対して慌てる凛。

 

そこにさらに真姫が追撃の突っ込みを入れて、追い詰められた凛が花陽にぜんぶ丸投げして…。

 

そしてここからきっと花陽が事態を余計にややこしくしていく。

 

それがこの子たちのいつものパターン。

 

今回もほら?

 

凛が丸投げしたモノを花陽が見事に受け取って、おバカな方向へと舵を切ってくれるわ。

 

私の暗い気持ちとは裏腹にね。

 

「はひ!花陽にまるっとお任せです!あのですね!きっとことり先輩はそら先輩と一緒にラヴなホテルにれっつらごー!してあっはん♪うっふん♪な子作りとかしちゃってるんですよ!いやぁー!羨ましい!でもことり先輩より先にそら先輩とあっはん♪うっふん♪子作りえっち♪なんてしちゃったら嫉妬に狂い狂ったことり先輩におもしろおかしくばらされておいしくお料理されちゃうんで花陽はそんな抜け駆けとかはじぇぇぇぇぇぇったいにしませんけどね!」

 

「こ…づ…く…り………うふふ♪あはははは♪そうですか。子作りですか。」

 

「海未ちゃん?どーしたの?なんかスッゴい笑顔だけど目がぜんぜん笑ってないからスッゴい怖いんだけど?」

 

「うわぁ…ほんとにゃ。海未先輩、見事な笑顔と殺意の眼差しだにゃ。」

 

「ヒトってキレすぎるとああいう顔ができちゃうモノなのね。」

 

「はひ!目だけ般若とかなんかスッゴく器用に怖いことしてます!あ!そうだ!記念に写真撮りましょ!写真!」

 

「記念にって何の記念?」

 

「ラーメン記念かにゃ?」

 

「ねぇ凛ちゃん?なんでラーメン記念?今日のお話にはまだラーメン出てきてないよ?」

 

「おおっと!穂乃果先輩(アホ)な穂乃果先輩に突っ込まれちまったにゃ!真姫ちゃん…凛はもうダメかもしれないにゃ…。」

 

「ちょっと凛?!しっかりして!大丈夫よ!傷は浅いわ!穂乃果先輩(アホ)な穂乃果先輩に突っ込まれたくらい凛ならラーメン食べれば十分に治る傷よ!」

 

「花陽なら真っ白ホカホカのご飯を食べれば完全回復ですよ!ご飯は花陽のエリクサーです!」

 

「お米がエリクサーとか相変わらず花陽ちゃんは安上がりで完全回復しちゃいますぅ♪」

 

「はひ!四肢欠損の状態異常とかでもご飯をもりもり食べればすぐに生えてきますよ!脳ミソぼーん!でもお米があれば大丈夫!2・3秒で完全再生完了しちゃいます!」

 

「いや。それはいくら米狂いの花陽でも流石に無理だろ?」

 

「いいえ!いけちゃいます!いけちゃいますよ!!!例え無理だったとしてもその無理をお米と一緒に炊き込んで炊きあがったご飯と一緒に道理をもりもりとむさぼり喰らう!!!それがこの特級お米マイスターの小泉 花陽です!!!お米の前に無理なんてありましぇん!!!」

 

「ふぇ~♪すごいね♪花陽ちゃん♪ならほんとに四肢欠損の状態異常からでもご飯食べただけで治るかど~か、試しに腕を切り落としてご飯食べさせてみよっかな♪ちゅん♪ちゅん♪」

 

「いや!いや!いや!いや!いや!そんなちゅん♪ちゅん♪とかことり先輩みたいなこと言いながら腕を切り落とすとか怖いこと言わないで下さいよ!今のはアレです!アレ!言葉のあやってヤツですよ!ご飯ネタだけに話を盛っちゃった的な?って、アレ?今…ちゅんちゅんって言いました?言いましたよね?ちゅんちゅんって?」

 

「うにゃ?ちゅんちゅん?」

 

「ちゅんちゅんって……」

 

「ようやく来ましたか。」

 

「あ。ことりちゃん。」

 

「「「ことり先輩?!と、おまけのそら先輩?!」」」

 

「は~い♪かわい~♪かわい~♪ことりちゃんのと~じょ~ですぅ♪」

 

「俺はおまけかよ…。」

 

そして、完全にグダグダ空間が場を支配した丁度その時、本来ならばとっくにこの場に来ているハズの2人の声がグダグダに加わっていたの。

 

いつの間にかグダグダの輪に加わっていたそらと南 ことりの姿を見た私は、すぐに2人へと駆け寄って…

 

「大丈夫なの?怪我とかはない!?どこも痛くない?」

 

その身体をあちこち触り、怪我がないことを確認したの。

 

2人の身体を触った限りじゃ、これと言って怪我とかはないみたい。

 

怪我がないことを確認し終えた私は、改めた2人に向き直って少しお説教してあげようと思ったんだけど…

 

「お願いだから約束に遅れそうな時は連絡して…。何の連絡もなしにただ待ってるだけは辛いのよ…嫌なのよ…あの時の記憶が何度も何度もエンドレスで頭の中で再生されちゃって…どんどん嫌な方向に思考が向いて行って…もう…誰かが居なくなるのは嫌なの…お願いだから…。」

 

お説教なんてできなかったわ。

 

脳裏に甦ったパパの死の記憶のせいで、私はいつもの“私”を…元気で明るい、いつも笑顔の“矢澤 にこ”を維持できなくなっちゃっていたのよ。

 

今の私はほんとのわたし。

 

弱くて泣き虫なほんとのわたし。

 

こんなんじゃ南 ことりに偉そうにアンタはトベナイコトリだなんて言えないわね。

 

「矢澤先輩?」

 

いつもとは違う私の反応に、流石に南 ことりも変に思ったみたいで、先日の部室でやり合った時とは違いこちらをほんとに心配するような声色で私の名前を呼んでくれたわ。

 

私はそんな南 ことりに対して…

 

「お願い…怒ったりしないから…お願いだから…。」

 

やっぱり弱々しくそう言い返すのがやっとだったわ。

 

「にこちゃん…そうだよな…そうだったよな…にこちゃんは…。ごめんな、にこちゃん。遅れそうって連絡できれば良かったんだけど、ちょっと動けなくてさ。事故とかには遇ってねぇし、もちろん怪我とかもねぇよ。」

 

この面子の中で唯一私の事情を知っているそらは、そう言いながらそっと私の頭の上に手を乗せて…

 

「大丈夫。俺はここにちゃんと居るから。」

 

って言ってくれたわ。

 

「ほんとに大丈夫…?」

 

「おうよ。」

 

「ほんとにほんとに大丈夫?」

 

「おうよ。大丈夫だ。」

 

「そっか……」

 

よかった。

 

ほんとによかった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「南 ことりも着いてそうそうバトルは嫌でしょ?ガンプラのチェックや準備とかもあるでしょうし。だからバトル開始は10分後。それまでに準備を整えておいてちょうだい。私はちょっと外の空気を吸ってくるわ。」

 

頭の上に乗せられたそらの手のひらのぬくもりを感じることでようやく少し落ち着くことができた私は、南 ことりにそう言い残すと返事を待たずに踵(きびす)を返してアミューズメントセンターの外へと向かうことにしたわ。

 

準備が必要とか言ったけど、ほんとに準備が必要なのは私の方なのにね。

 

そらのお陰で少しは落ち着くことはできたけど、まだ頭の中でぐるぐるとあの日の記憶が回っているもの。

 

このままの状態でバトルだなんてちょっと無理。

 

ぶっちゃけコンディションは最悪よ。

 

こんな状態でガンプラバトルなんてしたら間違いなくコックピットの中で吐く自信があるわ。

 

だから私は一刻でも早くこのひどい気分を落ち着かせるために、足早でアミューズメントセンターの外へと向かったの。

 

見慣れた自動ドアをくぐり抜けて外に出た私は、そのままアミュセンの脇にある人気のない裏路地へと足を向けたわ。

 

そしてたどり着いた誰もいない裏路地で、私は壁に背中を預けてぼーっと建物の合間から見える青い空を見上げたの。

 

空を見上げていれば涙は流れないからね。

 

だいじょうぶ。

 

私はだいじょうぶ。

 

そう自分自身に言い聞かせながら、青い空を見上げ続けていると…

 

「にこちゃん。」

 

この1年ですっかり聞きなれた、この見上げる青い空と同じ名前を持つアイツの声が裏路地に響いたの。

 

私は空を見上げたまま、瞳だけを動かして私の名前を呼ぶその声の主の姿をそっと見ると、そこにはこちらを心配そうに見つめているそらの姿があったわ。

 

普段は絶対に見せないようなそらのその心配そうな顔を見て、不謹慎だけど私の気持ちはまたちょっとだけ落ち着きを取り戻すことができたわ。

 

「なんの用よ?今日のアンタは南 ことりのセコンドでしょ?あの子の側に居なくていいの?」

 

「居なきゃ不味いだろうな。でもさ、今はにこちゃんの側に居なきゃダメだろ?」

 

そんなうれしいことを言うとそらは…

 

「ほら。」

 

私の手を引いて…

 

「あっ…」

 

いつものように胸元に私を抱き寄せてくれたわ。

 

「心配すんな。俺はにこちゃんを置いてどっかに行ったりしねぇよ。約束だ。」

 

「うん…。」

 

そらの胸元に顔をうずめた私は、そっと目を閉じて全身でそらのぬくもりを感じながら、ぐるぐると回っていたあの日の記憶が少しずつ頭の中から薄れていくのを感じていたわ。

 

そうして気持ちが少しずつ落ち着いていくのと同時に、そらのの胸元からそら以外の“誰か”の香りがしていることに気づいたの。

 

どこかやさしくてあたたかい、ふわふわとした香り。

 

この香りが誰の香りなのか、私にはなんとなくわかってしまったわ。

 

この香りの持ち主はきっと南 ことり。

 

あの子ね。

 

たぶん…直前になって怖気付いちゃったあの子も、こうやって抱きしめてもらってそらから勇気をわけて貰っていたんでしょうね。

 

そらが連絡したくてもできなかった。って言ってたのは、こうやって今の私と同じように、南 ことりを抱きしめてあげていたからなのね。

 

まったく。

 

別の女を抱きしめてあげたそのすぐ後で、他の女を抱きしめちゃったりして。

 

節操が無いにもほとがあるってのよ。

 

でもまぁ…それがこのバカだもんね。

 

いざとなって怯えちゃった南 ことりを見捨てることができなかったんでしょ?

 

過去の記憶…パパとのお別れの記憶に怯えている今の私を見捨てることができなかったように。

 

ねぇそら?

 

私はね?

 

やさしいバカって嫌いじゃないのよ?

 

だから…今回は特別に許してあげるわ。

 

感謝しなさいよ?

 

ね?そら…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせ。準備は…もうできてるみたいね。」

 

10分の間、ずっとそらに抱きしめてもらってようやく完全に気持ちを落ち着かせることができた私は、再びアミュセンの自動ドアをくぐり抜けてみんなが待っているレストコーナーのテーブル席の一角へと戻ったわ。

 

そこで私を待ち受けていたのは、パステルグリーンのかわいらしいノースリーブのワンピースに着替えた南 ことりの姿だったの。

 

あの衣装…確かこの前そらたちが出た公式戦でこの子たちが来ていたバトルコスチュームよね?

 

戦装束を身に纏って準備は万全!ってとこかしら?

 

「はい。いつでも行けます!」

 

「そ。ならいいわ。それ、かわいい衣装ね。そっちがせっかく気合いれてバトルコスチュームに着替えてくれたとこ悪いんだけど、私にはアンタみたいに公式戦に着れるような衣装がないからこのままで戦わせてもらうわよ?」

 

「ちゅん♪それならこのバトルが終わったらちょっと採寸させてくださいね♪ちょうどみんなの新しいバトルコスチュームを作ってるところだったから、矢澤先輩の分もちょちょい♪って一緒に作っちゃいますぅ♪」

 

バトルコスチューム、か…。

 

なんだかんだで今までガンプライブ出場を目指しときながら、バトルコスチュームのことなんて1度も考えたことなかったわ。

 

だってどうせ私1人じゃガンプライブには出場できなかったから、本番用の衣装は…バトルコスチュームは必要なかったんだもん。

 

でもこれからはそうじゃない。

 

私は仲間を見つけることができたから。

 

ついにあの夢の舞台へと降り立つことができる。

 

そうなったらちゃんとしたバトルコスチュームも必要になるのよね。

 

南 ことりがバトルコスチュームを作ってくれるって言うなら、お願いしちゃおうかしら?

 

この子が今身に纏っているバトルコスチュームは悪くないわ。

 

だから…

 

「そうね…せっかくだからお願いするわ。」

 

私は南 ことりにバトルコスチュームを任せることに決めたわ。

 

「は~い♪ことりちゃんにまかせてちゅんちゅん♪ですぅ♪」

 

私の産まれて初めてのバトルコスチューム…ふふ♪楽しみね♪

 

そんなことを思いながら私は…

 

「さて…それじゃ行こっか?」

 

南 ことりをガンプラバトルシミュレーターの筐体へと誘(いざな)うの。

 

「はい♪」

 

南 ことりは笑顔で私の誘(いざな)いに応じ、ガンプラバトルシミュレーターの筐体へ続くタラップを登って来たわ。

 

「アンタ、随分といい顔するようになったわね。」

 

ほんと、3日前とはえらい違いよ。

 

あの時は色んなことに怯えて、色んなことに戸惑って、色んなことに諦めきって、とてもじゃないけど“いい顔”だなんて言えない顔をしていたもの。

 

せっかくかわいい顔してるのに台無しだったわ。

 

それがどうよ。

 

今のこの子はこの前と大違いじゃない。

 

きっとこの笑顔がこの子の…南 ことりのほんとの表情なんでしょうね。

 

こんないい笑顔を持ってんだもん。

 

悔しいけどあのバカが惹かれちゃうわけだわ。

 

「誰かさんのお節介のお陰ですぅ♪」

 

誰かさんのお節介って…そらのヤツ!

 

この子に私の思惑を話したわね!

 

むがー!どうしてくれんのよ!

 

今まで南 ことりを散々煽ってきたのがわざとだってバレたらなんかはずいじゃない!

 

今日のバトルの結果がどうであれ、私が南 ことりを他の子たちと同じようにガンプラバトル部に向かい入れてあげなきゃ♪とかそんなあれやこれやもバレちゃってたりしてんの?!

 

ぐぬぬ…と、とりあえずこの場は素っ気ない態度で華麗にスルーよ!

 

だってにこにー♪クールな大人のお♪ん♪な♪なんだもん♪

 

「あっ、そ。」

 

「むぅ。なんか反応がたんぱく質ですぅ。」

 

「言っとくけどそんな雑なボケにいちいち突っ込まないからね。突っ込んで欲しいならもっと練ったボケをしてみせないってのよ。わかった!」

 

「は~い♪」

 

「まったく…。」

 

そこまで言うと、私たちはお互いがそれぞれ指定されたガンプラバトルシミュレーターの筐体の前までたどり着いたわ。

 

私が筐体のハッチを開けて中に入ろうとすると…

 

「矢澤先輩。」

 

南 ことりが話しかけてきたわ。

 

「なに?」

 

私が振り返りながらそう応えると…

 

「よろしくお願いします♪」

 

南 ことりはニッコリ笑いながらぺこりとお辞儀をして、私の返事を待たずに自分の筐体の中へと入って行っちゃったの。

 

「ほんと、いい笑顔するようになっちゃって…。」

 

たった3日。

 

されど3日。

 

油断するつもりはこれっぽっちも無いけど、どうやらガチで気を引きしめて行った方がいいっぽいわね。

 

「さぁーて…」

 

ガンプラバトルをおっぱじめますか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バトルフィールドはビックキャニオンフィールド…見通しの悪い巨大峡谷フィールドか。」

 

筐体の所定位置にGPベースをセットして、予めスキャンされた“ガンダムアストレイ・ダークフレーム禍にこ”のデータを読み込ませて機体の初期設定を終えた私は、スラスターを一気に噴かして勢いよく発進ゲートから飛び出したわ。

 

発進ゲートから飛び出した私の目に真っ先に写った光景は、モビルスーツの巨体でさえ余裕で越えるような巨大な谷間。

 

バトルフィールド“ビックキャニオンフィールド”の光景だったわ。

 

このバトルフィールド…この前のサンダーボルト宙域みたいに広域レーダーが効かないとか厄介な罠があるとかはないんだけど、ご覧の通り見渡す限りどこまでも延々と巨大な峡谷が続いていて、とにかく見通しが悪いのよね。

 

南 ことりの機体はウイングガンダムをベースに改造された機体。

 

その機動性と火力はバカにできないわ。

 

この見通しの悪い巨大峡谷で死角からぬっと現れて、いきなりバスターライフルで奇襲とかされたらちょっと怖いかもしれないわね。

 

その場合はビームを吸収する“マフツノヤタカガミ”の起動が間に合えば問題はないんだけど、もしも間にあわなかったら装甲がそこまで厚くない禍にこじゃ下手したらあっさり堕ちちゃうかもね。

 

うん。

 

十分に気を付けて進まなきゃ。

 

そう思った矢先。

 

<高エネルギー反応を感知。6時方向より高出力ビーム、来ます!>

 

「っ!言ってる側から!!!」

 

私の相棒のサポートAI“ウズメ”が高エネルギー反応がこちらへと近づいて来ていることを知らせてくれたわ。

 

言われるがままに6時方向…つまり真後ろを振り返ってみると、そこにはこちら目掛けてまっすぐに向かって来ている高出力ビーム…南 ことりに言わせれば“ごんぶとビーム”ってヤツが見えたの。

 

でも…

 

「この前より出力が弱くなってる?」

 

こちらへと向かって来ているごんぶとビームは、ビームの規模自体は前回とそう変わらない大きさだったんだけど、そこから発せられているエネルギー反応の数値は以前の半分以下しかなかったのよ。

 

私はそのことを少し訝(いぶか)しげに思いながらも、スラスターを操作して迫り来るごんぶとビームをひらりと避けてみせるわ。

 

前回のようなガチのごんぶとビームなら“マフツノヤタカガミ”を起動させておいしくいただきます♪しちゃうけど、今くらいの威力のごんぶとビームは吸収してもたかが知れてるから、無理に吸収しようとしないで無難に回避しちゃった方がいいのわ。

 

実はアブソーブシステムでのビームの吸収って、吸収中はまともに動けないから致命的なスキになっちゃうのよね。

 

だからあの程度の吸収しても吸いとれるエネルギーが微妙なビームは、吸収しちゃうより避けちゃった方が諸々の事情的にいいのよ♪

 

無事に回避も成功して、禍にこの後方へと過ぎ去っていくごんぶとビームを見送りながらそんなことを考えていると、ごんぶとビームがやって来た方向から1機のガンダムタイプの機体がこちらへ向けて飛んで来るのが見えたわ。

 

その機体はウイングガンダムを少しだけ改造して作られたあの子の機体。

 

名前は確か…そう。

 

ウイングガンダム・リトルバード。

 

“ことり”だから“リトルバード”なんでしょうね。

 

なんかさ。

 

もうちょっと気の効いた名前があるでしょ?って思うのは私だけなのかしら?

 

メタい話すると、オレンジジュース野郎が考えていた南 ことりのガンプラの名前って当初は“ウイングガンダム・ハミングバード”って名前だったらしいわよ?

 

で、いざ実際に使おうと思っていたらあることを思い出したんですって。

 

“アレ?そう言えばハミングバードってZプラスのアレじゃね?”

 

って。

 

これはまずい!って思ったんでしょうね。

 

それで急遽、今のウイングガンダム・リトルバードって名前にしたんですって。

 

アホね。

 

他にも凛のガンプラは当初はベニャッガイじゃなくてただのグレイズだったとかって話もあるわよ?

 

他にも…

 

「っと。今はそんなことどうでもいいわね。ウズメ!反撃するわよ!!!」

 

またいつもの悪いクセで話が脱線しようとしていたことに気づいた私は、そのことに対して少しだけ苦笑いを浮かべつつ、ウズメに反撃を始めるために声をかけたわ。

 

<了解です。“トリケロス改Ⅱ”起動。>

 

いつものようにウズメは私の短い言葉からその思惑を察してくれて、すぐに禍にこの右腕に取り付けてある“トリケロス改Ⅱ”を起動させてくれたわ。

 

「鳥だけにコイツで串刺しにして炭火でじっくり焙って焼き鳥にしてヤるってのよ!!!行け!“御雷槌(ミカヅチ)”!!!」

 

私はこちらへ向かって飛んでくる南 ことりの操るウイングガンダム・リトルバードを素早くロックオンすると、6本ある“御雷槌”のうちの3本を射出してやったわ。

 

高速で射ち出された“御雷槌”の鉄杭は、南 ことりのウイングガンダム・リトルバードへとまっすぐに飛んで行ったんだけど…

 

[[そんなへっぽこに当たってたまるか!コノヤロー!ですぅ!]]

 

「避けた?!この前はもろに直撃してたのになんて生意気な!ってかへっぽこ言うな!!!」

 

“御雷槌”が直撃する直前に、南 ことりはウイングガンダム・リトルバードの背中に取り付けてあるウイングスラスターを大きくはばたかせて、迫り来る3本の鉄杭を避けちゃったの。

 

しかもなんかへっぽことかクソ生意気なこと言いやがるし!

 

じょーとーよ!!!

 

なら徹底的にヤってやるわ!!!

 

まぁ始めから手加減なんてするつもりはなかったけどね!!!

 

「“ヤサカニノマガタマ”!!!全基射出!!!!!」

 

<了解しました。“ヤサカニノマガタマ”全基射出します。>

 

「オフェンシブシフト!!!あのクソ生意気な鳥娘を撃ち抜きなさい!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様。本日もご覧いただきましてありがとうございました。

にこちゃんのお父さんのくだりにつきましては、閑話「ダイスキでダイキライ」をご覧下さいませ。

次回はことりさんsideの更新となります。

次回更新はいつも通り月曜日のお昼頃を予定しております。
頭に来て始めた短編シリーズの更新は金曜日のお昼頃を予定しております。
お時間よろしければご覧下さいませ。

それでは改めまして、本日もご覧いただきまして、本当にありがとうございました。
皆様のご意見、ご感想、または質問などもお待ちしております。
どうかお気軽にお声掛け下さい。
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