ガンプライブ! ~School Gunpla Project~ 作:Qooオレンジ
5月にあるまじき暑さで溶けていQooオレンジでございます。
この暑さはあきらかにおかしいですよねテスト
今回はいよいよ海未さん達がソラへと挑みます。
それでは 第8話B「過去と今と、そして未来と」そのいち② 始まります。
アミューズメントセンターで無事に青空と合流をした私達は、仲良くにらみ合いを続けることりとにこ先輩を置いて店内のレストコーナーへと向かいました。
GPカンウターへ向かってすぐにでもバトルロイヤルへの出撃登録を済ませてそのまま出撃しても良いのですが、まずは少し落ち着いて確りと準備をしてから出撃した方が良いパフォーマンスが出来ます。
そんなわけでことりとにこ先輩を置いてけぼりにした私達はレストコーナーの一角にあるいつものテーブル席に陣取り、それぞれガンプラの確認や装備の変更等の細々とした出撃準備をする事にしました。
レストコーナーのテーブル席に腰掛けた私達は、お店の入り口で未だに醜く言い争いを続けることりとにこ先輩の大きな声をBGMにそれぞれのガンプラの準備を進めます。
最も、私の場合は準備と言ってもガンプラに異常が無いか確認する位なのですけどね。
もちろん今日も私のジム・スナイパーⅡに異常は見当たりません。
腰に取り付けた刀もちゃんと鞘が固定されてポロリの心配も無いようです。
新しく取り付けた背中の高機動型バックパック“K9パック”も問題ありませんね。
これなら私のジム・スナイパーⅡは今日も100%のパフォーマンスを発揮してくれそうです♪
私がジム・スナイパーⅡの点検をしている隣では、同じ様にテーブル席の椅子に腰掛けた穂乃果が鞄からガンプラを取り出していました。
穂乃果が鞄から取り出したお馴染みのストライクガンダムには大きな剣が装備されていました。
穂乃果は今回はソードストライカーに換装して出撃する様ですね。
このソードストライカーはレーザー対艦刀“シュベルトゲペール”と呼ばれる大きな剣が特徴の近接戦闘型の装備です。
他にもビームブーメランやロケットアンカーを搭載しているらしいです。
ランチャーストライク同様に非常に攻撃力の高いストライカーパックですね。
ですがどんなに攻撃力の高い武装を搭載したストライカーパックでも穂乃果の事ですから、何も考えずに真っ先に先陣を切って突撃して行くんでしょうね…。
特に今回のソードストライカーは近接戦闘型…近付いて戦わなければその真価を発揮する事は出来ません。
そうなると穂乃果は絶対に対艦刀を構えて無謀な突撃を敢行する筈です。
絶対に絶対に突撃しやがります。
それ以外に戦い方を知らないのですか?!と、思わず叫びたくなる程に突撃しやがります。
そうなるとまたいつも通りに単機で突出し過ぎて囲まれてふるっぼっこです。
はぁ…これは後で徹底的に無闇に突撃をしてはいけません!と、教え込んでおかないとチームを組む私達が酷い目に遭いそうですね。
穂乃果はきっと自分がやらなければいけないと思っていつも無謀な突撃を繰り返すのでしょうが、もう少しは後衛の私達の事も頼って欲しい物です。
そんな突撃ばんざーい♪な穂乃果の隣では、青空がアタッシュケースから見慣れないガンプラを取り出していました。
暗緑色に塗装されたそのガンプラはやっぱりと言いますか当然と言いますかお馴染みの一つ目のガンプラ“ザク”…なのですが、先日まで青空が使用していた高機動型ザクⅡとは随分と趣の異なるガンプラでした。
まず目に付くのは両肩の増加装甲を基軸に取り付けられた大きなブースターです。
そして両腕の大きなシールド。
あのシールドは以前の高機動型ザクⅡの時にも装備していましたね。
確か名前は“ピアッシングシールド”。
ビームサーベルの発振器を改造したモノを先端部分の内部に搭載した大型のシールドで、圧縮エネルギーカートリッジを使用して凛のベニャッガイの非常識装甲すら貫通してしまう高出力のビームニードルを発生させる事が可能なギミックが内蔵されていた筈ですね。
今回のザクにはその“ピアッシングシールド”が両腕に取り付けられています。
背中にはかなり大型のバックパックブースター…そしてそのバックパックブースターの上部には三連ミサイルポッドが左右合わせて合計四つ取り付けられています。
手持ち武装は大型のマシンガンですね。
ですがあのマシンガンには弾倉が見当たりませんね?
弾倉は見当たりませんが…エネルギーパックの様な物が取り付けられています。
と言う事は、あれは通常の大型マシンガンではなく、エネルギーパックからエネルギーを供給して使用するタイプのビームマシンガンでしょうか?
ビームマシンガンだなんて射撃武装は実弾系の物を好んで使用する青空にしては珍しいチョイスですね。
後は脚部にはバーニアが増設されています。
そのバーニアが増設された脚部には、何やら柄の様なモノが装着されています。
あれはきっとビームサーベルかそれに類するビーム系の近接武装なのでしょうね。
何と言いますか…先日まで使用していた高機動型ザクⅡに比べて、随分と色々なモノが取り付けられてザクですね。
この様子ならもしかすると他にも何か隠しギミックや武装が取り付けられているかもしれません。
これが青空の言っていた“リヴァイブ”…さしずめ機体名は“ザク・リヴァイブ”と言った所でしょうか?
私がそんな事を思案しながら青空の手にしたガンプラを見ていると…
「ん?」
青空が私の視線に気づいて、目線で“どうしたんだ?”と訴えて来ました。
私はそんな青空に…
「それが新しいガンプラなのですか?」
と、聞いてみる事にしました。
やはり聞いてみるのが一番手っ取り早いですからね。
私の問いに青空は…
「そ。コイツが“ザク・リヴァイブ”。まぁ新しいってワケじゃねぇーけどな。」
「新しいってワケじゃない?それはどう言う意味ですか?」
「あー…うん。コイツはさ、昔から…それこそ俺がガンプラバトルに出会うずっと前から持っていたガンプラなんだ。まぁその頃は流石にここまで弄ってはなかったけどな。」
「ガンプラバトルに出会うずっと前から…?」
ガンプラバトルに出会うずっと前…つまりは青空が小さな子供の頃の話ですよね?
でも…青空がまだ小さな子供だった頃は…青空が親御さんに捨てられて、親戚の方々をたらい回しになっていた頃ですよね?
「そう…ずっと前から…俺がまだあの人と一緒に暮らしていた頃から…。」
“あの人”
青空が何処か懐かしそうに…そして辛そうに言ったその一言。
私は“あの人”と言った青空の表情とその一言を聞いて、一人の人物を思い浮かべました。
私が思い浮かべた人物…それは青空のお母様。
幼い青空を捨て人。
「青空…」
この話題はいけません。
青空の最も触れられたくない部分。
世界大会でのバッシング騒動以上にタブーな話題の筈です。
私がその事に思い至り、何と言えばいいのか迷っていると…
「ねぇ!ねぇ!そら君も海未ちゃんもガンプラの準備できたんなら、早く登録してバトルロイヤルに行こーよ!」
触れてはいけない話題のせいで何処か気不味い雰囲気を醸し出していた私と青空に、空気をこれっぽっちも読まずに穂乃果がそう言ってきました。
「そ、そうですね!時間ももったいありません!準備が出来たのならば登録を済ませてバトルロイヤルに出撃しましょう!」
空気を読まない穂乃果の乱入。
ですが、今日ばかりはその空気を読まない穂乃果の乱入に私は助けられてしまいました。
私は穂乃果の乱入を機に、無理矢理に話題を変える事にしました。
多少…いえ、多少どころではなく強引な話題の切り替えではありますが、あのまま気不味い空気で青空にタブー話を続けさせるよりよっぽどいいです。
幸いな事に…
「……ん。そうだな。うっし!んじゃ今日も気合い入れて行くとしますか!」
青空も私の強引な話題の切り替えに乗ってくれました。
青空も私達の間に流れていた気不味い空気が嫌だったのでしょうね。
そんな事もあり、私達は早速バトルロイヤルの出撃登録をお願いしにGPカウンターへと向かおうとしたのですが…
「それでは今日もいつも通りみんなでバトルロイヤルに出撃…「ちょーっと待ったぁぁぁぁぁぁぁ!!!」…ちょっと待ったって、なんですか?にこ先輩。」
そこに今度は先程までアミューズメントセンターの入り口でことりといつもの様に楽しくじゃれあいをしていたにこ先輩がやって来ました。
そして…
「今日はバトルロイヤルには出撃しないわ!アンタたち…穂乃果と海未とクソ鳥娘の3人は今日はそらと戦いなさい!」
と、最早絶壁としか表現出来ない哀れな胸を張って、そう言ってきました。
「そら!アンタはソイツを…“リヴァイブ”を使ってこの子たちと本気で戦いなさい!手を抜いたらち○こ噛み千切るからそのつもりでいなさいよ!!!」
「本気で…ねぇ…「そら!」 あー、はいはい「“はい”は1回!」…へーい。了解ですよ、部長様。本気でヤりますよ、本気で。あともし噛み千切ろうとしやがったらその前にイカせまくって動けなくしてやるんでそのつもりで。」
本気の青空と戦え…?
本気の青空と戦ったとしても、私達が簡単に負けるのが目に見えているではありませんか。
にこ先輩は何のつもりでそんな勝ち目のないバトルをさせるのでしょうか?
「よくわかんないけどそら君と戦えばいいんだね!よぉーし!がんばるぞー!」
「ねぇ♪ねぇ♪ソラ君♪もしことりたちがソラ君に勝てたらごほ~び♪ちょ~だい♪二人っきりでとぉ~ってもあま~い夜を…ねっ♪」
「うっさい!クソ鳥娘!!!なんでもいいからさっさと逝きなさい!!!」
「や~ん♪うっさいのはにっこぱげのほ~ですぅ♪ってことりは思いま~す♪」
「誰がハゲじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「ほれ、ことりさん。にこちゃんとじゃれてないでさっさと行くぞー。穂乃果と海未さんも。」
「「はーい♪」」
「待てやぁぁぁ!!!ボケぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
こうして私達はにこ先輩の意図を読めないまま、対戦モードの出撃登録を済ませてそれぞれ出撃する事になりました。
そして知る事になるのでした。
世界の頂に登り詰めた猛者の真の実力…その片鱗を…。
荒ぶるにこ先輩をレストコーナーのテーブル席に放置してGPカウンターで対戦モードへの出撃登録を済ませた私達は、すぐにそれぞれ指定されたガンプラバトルシミュレーターの筐体へと搭乗しました。
スキャニングの完了したガンプラのデータが登録されているGPベースを筐体の所定の場所へ設置し、ガンプラバトルシミュレーターのメインシステムを起動させて出撃準備を済ませた私達は、出撃前の僅かな時間を利用して最後の打ち合わせを行います。
打ち合わせと言っても私達三人での出撃の場合は基本的に穂乃果が前衛、ことりは中衛で遊撃、そして私が後衛と、それぞれ役割は決まっているんですけどね。
「いいですか、穂乃果?何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も言いましたが、一人で突出しては行けませんよ?穂乃果のそのソードストライクは近接戦闘用の装備が搭載されていますので今回は前衛をお願いしますが、前衛だからといって突出して良い訳ではありません。後衛の私や遊撃のことりと確りと連携して三人で戦って下さい。くれぐれも三人でチームを組んでいる事を忘れないで下さいね?」
[[うん!よくわかんないけどわかった!穂乃果にまかせて!]]
[[よくわかんないけどわかったって…それって結局はわかってないんじゃないのかな?ってことりは思うんだけど?気のせいかな?]]
はぁ…ことり…それはきっと気のせいではありませんよ……あれ?なんかこのやり取りって前にもやったような?
って!そうじゃありません!
「兎に角!穂乃果は単独で突出し過ぎない事!わかりましたか!」
[[はーい!]]
本当に大丈夫なのでしょうか?
もう不安しかありません。
もちろん私のこの不安は見事に的中しました。
この後、全ての準備を終えて発進した穂乃果は、青空のザク・リヴァイブを見付けるなりソードストライクに装備された対艦刀を振りかざして突撃して行きやがりました。
そして前回の冒頭に繋がる訳です。
穂乃果は私達の静止も聞かずに単機で青空の駆るザク・リヴァイブへと斬りかかり、そして…
[[うげ?!よけられたー?!]]
[[当たり前だ!そんな大振りの攻撃なんかに当たるワケねぇーだろ!]]
振り下ろした渾身の一撃はあっさりと避けられてしまいました。
[[まずは穂乃果!テメェからだ!!!]]
攻撃を避けられた事で体勢を崩した穂乃果のソードストライクの隙を“本気”の青空が見逃す筈はありません。
青空はザク・リヴァイブの左手に予め持たせてあったビームサーベル…後から聞いたら正式には“ビームブレード”らしいです…にビーム刃を展開させて、穂乃果のソードストライクの胴体中央のコックピット部分を貫きました。
[[ぎゃーす!やーらーれーたー!!!]]
コックピットを貫かれた穂乃果は呆気なく撃墜。
全く…ぎゃーす!じゃありませんよ…。
これで二対一ですか…。
毎度お馴染みのアホの突撃のお陰で折角の三対一という数的優位が…
はぁ…愚痴を言ってもこの状況は変わりませんね…
仕方ありません。
こうなったらことりと二人で何とか抗ってみせましょう!
本気の青空に!!!
つづく?
皆様。本日もご覧いただきましてありがとうございました。
作中の挿し絵のガンプラ“ザク・リヴァイブ”なのですが、時間が無くまだ左側のミサイルポッドを取り付けていなかったりしております…。
そして…2年以上の時間を要してようやく主人公機を登場させる事が叶いました。
確実にハーメルン内のガンプラバトル作品の中で最も主人公機が遅く登場したのはこのガンプライブで間違いないと確信しております。
もうギネスに登録してもいいほどに遅い登場でございます。
ほんと、どうしてこうなった…。
次回は絵里さんsideのお話となります。
絵里さんと希さんとにこちゃんの3人がまったりと2年生VSソラのバトルを観戦する予定でございます。
次回更新はいつも通り月曜日のお昼頃を予定しております。
頭に来て始めた短編シリーズの更新は妄想力の低下&クソ上司のお陰でブラック労働万歳の為、しばらくはお休みさせていただきます。
何卒ご了承下さいませ。
それでは改めまして、本日もご覧いただきまして、本当にありがとうございました。
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