ガンプライブ! ~School Gunpla Project~ 作:Qooオレンジ
ついにμ'sが帰って来てくれて狂喜乱舞なQooオレンジでございます。
フェスのチケットが手に入ったら例えどんなに仕事があったとしても出撃する所存でございます。
今回の私は割と本気でございます。
今回は外から見たほのことうみVSソラのバトル回となります。
それでは 第8話A「夢の欠片」そのに 始まります。
高坂さんのソードストライクが何の見せ場もなくザク・リヴァイブのビームブレードでコックピットを貫かれ撃墜判定になった直後、真っ先に動いたのは高機動型バックパックを搭載して腰に一振りのブレードを取り付けた園田さんのジム・スナイパーⅡだったわ。
園田さんのジム・スナイパーⅡは右手に持っていた大型ビームスナイパーライフルを構えて、ソラのザク・リヴァイブへと立て続けにビームを連射しながら機体を一気に加速させて前に出たの。
放たれたビームの光の筋が真っ暗な宇宙空間を眩しく照らす中で、狙われたソラのザク・リヴァイブは軽やかな動きで放たれた全てのビームを避けてみせたわ。
そして反撃として右手に持たせたある大型ビームマシンガンで園田さんのジム・スナイパーⅡを狙おうとしたんだけど、そこへ後方から大出力ビームが…南さんのウイングガンダムのカスタム機から放たれた大型バスターライフルの一撃が襲い掛かったわ。
ソラは反撃を中断してザク・リヴァイブへ向けて放たれた大出力ビームをスラスターを駆使して回避したの。
園田さんはソラが大出力ビームを回避している間に、右手に持たせたあった大型ビームスナイパーライフルを武装領域(ウェポンストレージ)に収納して…
「おっと♪今度は園田さんのジムスナⅡが前に出るみたいやね?」
左腰に取り付けてあった片刃のブレードを引き抜いてさらに前にへと出ていったわ。
本来の前衛の高坂さんがあっさりと墜とされちゃったから、苦肉の策として園田さんが前衛に出ることになっちゃったのね。
「前衛のアホがアホな突撃でアホなことになったから、海未のヤツが仕方なく前に出るんでしょ。」
私や希と同じようにアミューズメントセンターの店内中央に設置されているガンプラバトル用の大型モニターを見上げていたにこも、どうやら私と同じことを考えていたみたいね。
でも園田さんが前に出ちゃって大丈夫なのかしら?
この前、ハイ・モックの大繁殖で1年生の子たち…小泉さんと星空さんと西木野さんがピンチになった時に、ソラと一緒に園田さんともバトルロイヤルに出撃したけど、あの時は近接戦闘なんてほとんどしてなかったわよね?
園田さんは射撃の腕はかなりのモノだったけど、基本的に彼女はスナイパーなのよね?
スナイパーが前衛に出るなんてはっきり言って下策も下策よ。
スナイパーは姿を消して獲物を狙い撃つから怖いワケで、前に出て近接戦闘をしようとするスナイパーなんて怖くも何ともないわ。
園田さんは高坂さんと違ってそこら辺の事はしっかりと理解していそうだけど…。
「園田さんってスナイパーなのよね?その園田さんが前に出てもさっきの高坂さんの二の舞になるんじゃないの?」
「そやね。うちもそ~思うんやけど?にこっち?そこら辺どうなん?」
スナイパーが前衛に出ちゃって大丈夫なのか?
私が口にした素直な疑問は希も同感だったみたい。
希はにこにそこら辺どうなん?って質問してみたの。
「ふん!説明して欲しかったらこの大銀河宇宙No.1「あ♪そ~ゆ~のは間に合ってるんでちゃっちゃっと簡潔に説明お願いな?」……海未のヤツなら穂乃果よりマトモに前衛できるわ。見てればわかると思うけど、近接戦闘の技量って点だけで言えば青空と良い勝負できるハズよ。もっとも…機体性能におっきな差があるから良い勝負ができたとしても最終的にはヤられちゃうでしょうけどね。」
いつものやり取りを一通り終えたにこから発せられたのは、にわかには信じられない言葉だったわ。
「えっ?ソラと良い勝負できる技量?!」
ソラと良い勝負ができる技量。
にこは少しムスッっとしながらそう言ったのよ。
あのソラと良い勝負ができる技量って…それってもう世界レベルに片足突っ込んでるってことじゃないの?
ソラは腐っても元世界大会のファイナリストよ。
特に近接戦闘はあの子の得意分野なのよ?
それと良い勝負にできるって…
「信じられないって顔してるわね。ま、とーぜんよね。ガンプラバトル初心者の海未があのバカとマトモに切り結べるなんて眉唾モンよね。そんなこと言われても私でも普通に信じらんないもん。でも…ほら。見てみなさいよ。」
にこの言葉に促されるように、再び視線を大型モニターに戻すと、そこでは両手にビームブレードを展開させたソラのザク・リヴァイブを相手に見事な近接戦闘を演じている園田さんのジム・スナイパーⅡの姿が映し出されていたわ。
「あの子って家が日舞の家元だけじゃなく、剣術だか古武術だかの道場もやってるんだって。もちろん…」
「園田さんもその剣術?古武術?が使えるってワケなんやね?」
「そ。イメージ通りに機体を動かせるIFS…イメージ・フィードバック・システムがあるから、武道経験者ってあんな感じにすぐに熟練のファイターを相手にしてもそれなりに戦えちゃうのよね。これが俗に言う経験値の差ってヤツなのかしら?」
「経験値の差って言うても…アレはちょいと普通やないんやないんか?」
「そうね…ちょっと普通じゃないわ…。」
何度も言うけどソラはあぁ見えて元世界大会のファイナリストよ。
そのソラを相手にいくら武道経験者だからってあそこまで見事に近接戦闘をして見せるなんて異常だわ。
“才能”…の一言で片付けてしまえばいいんでしょうけど…。
キライなのよね、私。
“才能”って言葉。
私には“才能”なんて欠片も無かったから。
それはきっとソラもおんなじ。
先生が言ってたわ。
あの子にはガンプラバトルの“才能”は無い、って。
でもあの子は…ソラはがんばった。
そしてもがきながらも抗い続けてやがては他の分野の”才能“を見事に開花させてみせたわ。
ガンプラバトルにガンプラバトル以外の要素を取り込んだ。
それはAIに…“電子精霊”に助けて貰う方法。
そして当時はマザーシステムが行っていた機体の設定値の振り分けを自らで行うことで、自分に最も合った機体設定を導き出す…そんなとんでもない方法。
今でこそ機体の設定値の振り分けとサポートAIシステムや“電子精霊”の使用は当たり前のことになったけど、あの頃は当たり前何かじゃなかったわ。
“才能”の無いあの子が先生と戦うために導き出した行為は“異質”。
その一言に尽きる行いだったの。
“異質”だったからあの子は…ソラは…。
そしてそんながんばっていたソラだからこそ、あの時の世界大会に参加していた多くのファイターたちは力を貸してあげたのよね。
ある人は己の磨いて来た技術を。
ある人は己の作り上げたパーツを。
ひとつひとつは対したことない手助けだったかもしれないわ。
でもそのひとつひとつが“ソラ”と言う器に集まり、合わさり、大きな力となった。
そうすることであの日、ソラは先生と同等の勝負を演じて、遂には先生を倒しちゃったのよ…。
当時、私はあの会場で観戦していたけど、先生が負けるだなんて夢にも思わなかったわ。
ほんと、あれは信じられない光景だった…。
「それにしても…ほんまよく持つなぁ…。」
もう2度とは戻れない過去。
楽しくて楽しくて、まるで毎日が奇跡だった。
私がそんな過去に思いを馳せてももう仕方ないのに。
だって私は…
「見て。流れが変わるわよ。」
ソラと園田さんの激しい切り合いをボーッと見ながら昔のことを思い出していた私は、にこの言葉に反応して意識を大型モニターに戻したわ。
大型モニターには相変わらず激しく切り合いを演じているソラのザク・リヴァイブと園田さんのジム・スナイパーⅡが映し出されていたのよ。
けど、にこの言う通り流れは変わろうとしていたわ。
きっかけは南さんのウイングガンダムのカスタム機の強襲。
今までどこかに潜んでいた南さんのウイングガンダムのカスタム機は、姿を現すなり何を思ったのか急に大型バスターライフルを投げ捨てて、ビームサーベルを引き抜いて園田さんと切り合いを演じているソラのザク・リヴァイブへと突っ込んで行ったの。
何を無茶なことを…と思っていたんだけど…
「アレって“soar(ソア)”?!」
南さんのウイングガンダムのカスタム機はまるで消えてしまったかのような急加速で一気にソラのザク・リヴァイブへと突撃して行ったのよ。
あの急加速は間違いなく“soar”…。
タイミングが色々とシビア過ぎて使う人なんてほとんど居ない高速機動方法…それをあの子は…南さんは使ったのよ。
「がんばったのよ、あの鳥娘は。私に抗うために必死でね。っと、それより…」
「今度は鳴神君が“soar”を使ったみたいやね。」
南さんの強襲で戦闘の流れは一気に園田さんたちへと傾いた…かに見えたけど、相手はあのソラだもん。
やっぱりそうは簡単には行かないわ。
南さんの“soar”での強襲をソラは同じく“soar”を使ってあっさりと避けちゃったのよ。
それだけじゃなく…
「“soar”の連発…“Rrapid acceleration(ラピット アクセラレーション)”…。」
ソラは“soar”を連続使用する超高速機動戦法“Rrapid acceleration”を使って、南さんのウイングガンダムのカスタム機を切り刻んでいったの。
目にも止まらぬ速さで駆け抜けて繰り出され続ける斬撃の嵐。
その斬撃の嵐の真っ只中にいる南さんのウイングガンダムのカスタム機は、みるみる間にボロボロになって行ったわ。
そして…
『ちゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん?!』
終いには胴体を両断されて撃墜されてしまったわ。
「“soar”を使って強襲したまでは悪くなかったんだけどね。」
「鳴神君も“soar”を使えるん忘れてたんやない?さてさて…これで残すは園田さんだけやね。」
高坂さん、南さんが撃墜されて残るのは園田さんただ1人。
残された園田さんがどう出るか…と、思っていると、南さんのウイングガンダムのカスタム機が派手に爆発した直後、園田さんは機体を一気に加速させて再びソラに対して近接戦闘を挑んだわ。
そして再び始まる剣と剣の激しいぶつかり合い。
園田さんのジム・スナイパーⅡが裂帛の気合いと共に切り込めば、ソラのザク・リヴァイブはその斬撃を上手くいなして反撃とばかりに切り返す。
園田さんはその斬撃をシールドを使って捌くと下から掬い上げるように切りつける。
大型モニターではそんな剣戟の応酬が続いていたわ。。
「園田さん…よく持っとるなぁ。」
「そうね。でも…」
「よく持ってはいるけど、そろそろ終わりね。」
延々と続けられる剣戟の応酬…かと思われたけど、終りはあっけなくやって来たわ。
園田さんの斬撃をシールドで受け止めたソラのザク・リヴァイブは、そのまま大型バックパックブースターを噴かして推力任せに園田さんのジム・スナイパーⅡを弾き飛ばしたの。
弾き飛ばされた園田さんのジム・スナイパーⅡは全身のスラスターを駆使して間髪入れず体勢を整えたけど、今度はそこにザク・リヴァイブの大型バックパックブースターに取り付けられてあった3連ミサイルポットから数発の弾頭が発射されたわ。
この攻撃に対した園田さんはガンプラバトル初心者とは思えない対応を取ったの。
すぐに武装領域(ウェポンストレージ)からジム・スナイパーⅡの標準装備でもあるブルパップマシンガンを取り出して、左手へと持たせると、ソラが放った数発のミサイルへと発砲を行ったのよ。
迫り来るミサイルへとばらまかれた弾丸は正確に弾頭を撃ち抜いたんだけど…
「おっと♪今回の中身はフラッシュグレネードやったみたいやね♪」
撃ち抜いた瞬間、まばゆい光が漆黒の宇宙を照らしたの。
希の言う通り、園田さんが咄嗟の判断で見事に撃ち抜いた弾頭はただのミサイルではなく、閃光によって相手の視界を一時的に無力化するフラッシュグレネードだったのよ。
そしてこのフラッシュグレネードの閃光によって園田さんが怯んでしまったスキに、ソラのザク・リヴァイブは“soar”で一気に加速して園田さんのジム・スナイパーⅡへと肉薄すると、右手に持っていたビームブレードを一閃させて…
「まぁなんだかんだ言っても初見のそらとリヴァイブの組み合わせ相手に海未は持った方よ。」
無造作に切り捨ててしまったの。
両断された園田さんのジム・スナイパーⅡはもちろん撃墜。
『くぅぅぅぅ!閃光弾とは卑怯な真似を!覚えていなさい!この次は…………』
負け惜しみ?の言葉を最後まで言い終える事もできずに、爆発四散しちゃったのよ。
「いやぁ~♪ガンプラバトル初心者とは思えないなかなかに熱いバトルやったやん♪」
「そうね。園田さんはがんばったと思うわ。あと南さんが“soar”を使った事にも驚いたわ。けど…序盤の高坂さんの突撃はいただけなかったわ。あの突撃で前衛の高坂さんがムダに撃墜されちゃってなかったら、もっと戦い様もあったんでしょうけどね。」
結果的に見れば高坂さん、南さん、そして園田さんの3人はソラの前にあえなく全機撃墜…だけど、私としては思っていたよりずっとよく戦えていたとおもうわ。
でも…
「まだ…ううん。まだまだ足りないわね。」
ガンプライブで優勝するためにはあの子たちにはまだまだ色々なモノが足りない。
それは操縦技術であったり、ガンプラの作成技術であったり、戦術・戦略面での知識であったり…。
才能の欠片も無かった私と違い、あの子たちはみんな何かしらの輝くモノは持っているわ。
磨けば光り輝くハズよ。
「そう。足りないのよ。私たちには。」
磨けば光る才能…。
私が内心で高坂さんたち3人をそう評価していると、にこが私の“足りない”って言葉に頷いて来たの。
そして…
「だから絵里…希…。アンタたちの力を貸してちょうだい。私に、あの子たちに、そして…そらに…。」
私と希に力を貸してと頭を下げたの…。
それに対して私は…私は…………
「ごめんなさい。」
つづく?
皆様。本日もご覧いただきましてありがとうございました。
次回からは第8話Bとしまして、海未さんがメインのお話となる予定です。
いつも通りにグダグダメタメタなお話ではございますが、お付き合いいただけましたら幸でございます。
次回更新はいつも通り月曜日のお昼頃を予定しております。
頭に来て始めた短編シリーズの更新は妄想力の低下&クソ上司のお陰でブラック労働万歳の為、しばらくはお休みさせていただきます。
何卒ご了承下さいませ。
それでは改めまして、本日もご覧いただきまして、本当にありがとうございました。
皆様のお気に入り登録、ご意見、ご感想、または質問などもお待ちしております。
どうかお気軽にお声掛け下さい。